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キングジム宮本彰社長のビジネス名言「9回三振してもいいから、1回ホームランを打て」


2012/3/6:
●大ヒット商品でも「10人に1人」が買っているだけ
●10人中7人欲しい商品より、10人中1人欲しい商品がヒットする
●自分の好き嫌いで評価してはいけない
●「9回三振してもいいから、1回ホームランを打て」
●ポキポキ折れるカッターナイフのアイデアは板チョコから
2019/09/23:
●ホームランを狙わないはずのキングジムがホームランを狙った商品とは?
2020/08/21:
●キングジム宮本彰氏は創業者の孫にあたる4代目社長で25年もトップに
●イエスマンを求めがちなカリスマ社長こそイエスマンになるべき?


●大ヒット商品でも「10人に1人」が買っているだけ

2012/3/6:仕事・ビジネス関連のものは私が興味があるのでよく書いているのですが、悲しいかな全く読まれません。ということで、今回は趣向を変えて、仕事・ビジネスの名言として紹介してみようと思います。

 最初は絶対多数にだまされるな キングジム「ヒットの鉄則」 (要登録 日経新聞 2012/1/26 7:00)から。

 キングジムのヒット商品には、消費者の「これが欲しかった」をうまく体現している商品が多いとして、インタビュアーの方は、「どのようにして、消費者の気持ちをつかんでいるのですか」と聞いていました。しかし、キングジム宮本彰社長は、「実際には多くの消費者の心をつかんでいるわけではない」といった意外な話をしていました。

「ヒット商品というと、いかにも大勢の人から支持を受けているような感じがしますよね。でも、皆が皆買っているわけではないモノがほとんどなんです。
 これに気づいたきっかけは、毎年発表される新聞紙上の「ヒット商品番付」でした。あるとき、その中のほとんどのモノを自分は持っていなかったんです。買ったのは1個だけ。
 「自分はよほど時代に遅れているのではないか」と心配になって、妻や若い自分の娘、社員にもどれくらい買った商品があるかを聞いてみました。そうしたら、ほかの人も、それぞれ違うモノをせいぜい1個か2個しか買っていなかった。つまり、ヒット商品というのは「10人に1人」が買ってくれるモノなんだと気付いたんです。
 10人に1人というと、少ないように見えて、実はすごい確率です。日本の人口1億2000万人に当てはめると、1200万人あるいは1200万個売れるということですよね。実際には、そこまでの数が売れる商品というのはめったにありません」


●10人中7人欲しい商品より、10人中1人欲しい商品がヒットする

 さらにここから、以下のように考えていきます。

「裏を返せば、「まあまあ欲しい」という人が10人中7人いる商品ではなく、9人が「全然欲しくない」と言っても、「必ず買う」という熱烈な支持者が1人いる商品の方が可能性はずっと高い。そういう商品が企画段階で見つかれば、ものすごいヒット商品になる。9対1というか、10分の1の法則に気づいたんです。以来、この法則に当てはめることが、当社の開発の決め手になっています」

 キングジムでは「ポメラ」がヒットしたのですけど、実を言うと、これも企画提案があったとき、「こんなもの売れるのか」と、役員も社員も、それはそれは大反対。社長も反対でした。
 でも、たった1人だけ、社外役員に「こういう商品を待っていたんだ!」という熱烈な支持者がいたんのだそうです。10分の1の法則ににあてはまったので、開発に踏み切ったとのこと。これは偉いですよ。

 普通はみんなが賛成する商品とか、社長の推す商品とかになります。前述の法則を見出していても、社長もみんなも反対というものを商品化できる会社は少ないでしょう。


●自分の好き嫌いで評価してはいけない

 インタビューアーの方も"自分が「売れない」と思うような案件にゴーサインを出すのは、難しそうです"と言っていました。

 しかし、宮本彰社長は、「自分だったら欲しいか」という観点で皆が判断しがちだが、「それが間違いのもと」と言っていました。自分の気持ちは置いておいて「『これが欲しい』と言う人がどれくらいいるか」という計算をできないといけないとのこと。

 これはネットでもよく見ますね。自分の好き嫌いだけで判断しちゃいます。良さがわからないだけならまだしも、ボロクソに批判しちゃいますからね。好き嫌いと評価をいっしょにしてはなりません。

 前述の通り、ほとんどの人がいらないと思っても、「すごくほしい」と思う人がいる方が良いのです。宮本彰社長は、最近は特に財布の紐が固いので、普通の「ほしい」って商品は売れないと言っていました。「皆さんに結構ほめていただいているのに、全然売れない商品というのは多い」ともおっしゃっていました。

 私も実を言うと、ウェブ閲覧やメールの機能を省いた携帯メモ端末という「ポメラ」は、よくわからないコンセプトだと思いました。でも、実際には売れたのです。


●「9回三振してもいいから、1回ホームランを打て」

 あと、私と同じ考え方だなと思った話も。
――社員には、商品開発の際にどのようなことを言っているのですか。

 「9回三振してもいいから、1回ホームランを打て」と日頃から言っていますね。私は、社員に対してもヒット商品と同じ法則を採用しています。失敗したら、すぐにやめればいい。傷の浅いうちに撤退しておけば、9回失敗しても1回のホームランで帳消しにできます。実は、「ポメラ」を提案した社員もそれまで失敗ばっかりしていた者なんですよ。だから、失敗続きだからやらせないということはないですし、言いません。

●ポキポキ折れるカッターナイフのアイデアは板チョコから

 ストックしていた話では、日本人の大発明、カッターナイフの歴史- kmonos(2011年8月25日14時25分)というのもヒット商品に関するものでしたので、ここでいっしょに紹介しておきます。
1950年代、岡田氏が勤めていた印刷工場では紙を切るのに、ナイフやカミソリの刃を直接持ち使っていた時代。危険なうえ、すぐに刃が鈍って捨てていたそうです。「使い続けても切れ味の悪くならない、安全な刃物はできないものか」岡田氏は寝ても覚めても考えるようになります。

発想のヒントは身近なところにありました。ひとつは、靴職人が使っていたガラスの破片。当時はそれで靴底などの補修をして、切れなくなったらガラスを割ってまた新しい破片を使っていたのです。もうひとつは、進駐軍が持ち込んだ板チョコレート。格子状に溝が付いているので、ポキポキときれいに折れます。同じく原理で刃をポキポキ折っていけば、常に鋭い刃面を使うことができると考えたのです。

 うまく名言にまとめられませんでしたけど、すごい発明ですよね、これ。「刃の角度や形を研究するために、動物園で動物の牙や爪の様子を観察したこともある」ということでしたが、動物などの生物を真似るというのは今でも行われています。

 こういった事例をヒントに、是非新しいヒット商品を生み出してください。


●ホームランを狙わないはずのキングジムがホームランを狙った商品とは?

2019/09/23:キングジムの話での追記。今回は下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるではなく、最初からホームラン狙いって話なのかも。失敗恐れぬキングジム、発売する翻訳機は「ホームラン狙い」:日経ビジネス電子版(神田 啓晴 日経ビジネス記者 2019年7月3日)というタイトルの記事でした。

 キングジムは、据え置きタイプの翻訳機「ワールドスピーク」を販売すると発表。増え続けるインバウンド需要を商機ととらえ、同社として初の翻訳機の開発・発売に踏み切りました。ホテルや観光施設、商店といった窓口業務を必要とする場所での利用を想定している対話型翻訳機です。

 インバウンド需要とあるように、英語だけでなく中国語、さらに、フランス語などの主要言語をはじめ、欧州、東南アジア、アフリカなどの諸言語を含め72カ国語を翻訳ということで、盛りだくさんですね。ノウハウないのにいきなりなぜこんなに多くの言語を?と思ったら、翻訳にはグーグルやマイクロソフト、バイドゥなど複数の翻訳エンジンが利用されているとのこと。ああいう自動翻訳はビジネスに使っても良いものなんですね。

 2台1組をペアリングして、会話をする人々が互いに向き合った状態で話し合うことを想定。2台1組で14万8000円だといいます。この2台1組というのは、最近ヒットしている先行品との差別化みたいですね。たぶん特許取れないでしょうし、すぐに真似されそうな気がするのですけど…。

 記事では前述のホームランのたとえを出した上で、ワールドスピークについては「開発にも結構(お金を)かけた。これは本命、ホームラン狙いの商品ですよ」という宮本彰社長の自信作だとしていました。でも、前述の通り、私はすぐにパクられるのでは?と心配。さらに翻訳精度もまだ低いそうです。

 成功するパターンで思いついたのが、キングジムが事務用品メーカーなので、お客さんが他の翻訳機メーカーと異なるというケース。キングジムなりの販路を持っている場合、買い手が異なって棲み分けできるということならありそう。記事ではそこらへんの話はなかったんですけど、どうなんでしょうね?


●キングジム宮本彰氏は創業者の孫にあたる4代目社長で25年もトップに

2020/08/21:キングジム宮本彰社長が出てくる記事では、社長はイエスマンになれ キングジム宮本彰社長(下) :日本経済新聞(2019/7/4付 日本経済新聞 夕刊 )というものもあり、タイトルが気になったので読んでみました。

 私は創業家社長が一般的には嫌いなものの、おもしろい人もいてそういう人については素直に評価しています。宮本彰社長もそういう評価している創業家社長ですね。宮本彰さんは64歳で、創業者の孫にあたる4代目社長であり、25年以上トップにいるようです。したがって、トップに就任したときは若く、こういうのは創業家世襲の強みでしょう。

 一方、創業家というよりは創業者などのワンマン社長の特徴なのですけど、デメリットとして、周囲がイエスマンばかりになってしまうということがあります。カリスマ社長引退後にダメになった会社について、前の社長は立派だったけど…と言ってしまいがちですが、本当は後継者を育てられなかったカリスマ社長にこそ責任があります。


●イエスマンを求めがちなカリスマ社長こそイエスマンになるべき?

 そういう観点から言うと、宮本彰社長はおもしろいですね。元記事タイトルになっているように、4代目社長として25年以上、リーダー像を模索してきた中でつかんだ秘訣は、社長が「イエスマン」になることだと語っているんだそうです。社長として心掛けていることはあるかと聞かれて、以下のように答えていました。

「役員人事でしょうか。私は役員が持ってきた案件については、基本的にイエスマンなんです。これは社長を長く経験した中で導き出した結論です。会社の規模にもよりますが、50人ぐらいまでの会社は社長が全て決めるぐらいの気持ちが必要ですが、数百人規模になると、社長が全部を決めているようではダメです。社長は全ての分野のエキスパートにはなれません。それぞれの部門にエキスパートを適材適所で配置すれば、その人たちが正しい判断をしてくれるはずです」
「よく分かっていない社長が結論を出すと、大概失敗します。現場の人たちのほうが分かっているのです。社長がやるべきことは人事です。全て正しい判断を下せると思える優秀な役員を集めて『組閣』ができれば、社長なんて稟議(りんぎ)書にハンコを押していればいいんです。そのほうが会社はうまくいきます」


【本文中でリンクした投稿】
  ■仕事・ビジネスの名言2 「誰もやりたがらない小さい市場を狙いなさい」

【関連投稿】
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