台所のスポンジは煮沸・熱湯消毒しても細菌だらけだという研究がありました。ただ、そもそもスポンジが原因で食中毒が多発しているという話は聞きませんよね。実際、過去の別の実験結果を見てみると、スポンジに細菌が繁殖していても、水を流した時点で洗い流されているので、皿などには残っていないようです。
2017/08/05:
●食器洗い用スポンジは細菌だらけ!人々の不安を煽る研究が発表される
●煮沸・熱湯消毒は無意味どころか、逆効果?余計悪化するという結果に
●本当に問題ならスポンジで病気になっている人はなぜ多発しないのか?
●除菌用の特別な洗剤も不要…細菌だらけの食器洗いスポンジが安全な理由
●家庭の食中毒で最も多いのは食材由来 スポンジは関係なさげ
●食器洗い用スポンジは細菌だらけ!人々の不安を煽る研究が発表される
2017/08/05:ドイツにあるフルトヴァンゲン大学の研究者マルクス・エガート教授らが、不安を煽る良くない研究をやっていました。
研究者チームはドイツの一般家庭で実際に使われている食器洗い用スポンジ14個を収集。そして、スポンジにどのような細菌が存在するのかを調べました。
その結果、118属の細菌を発見。スポンジを占める細菌のトップ10位のうち5つは、病気と関連性のある細菌だったこともわかりました。スポンジ1立方センチメートルあたりに存在する細菌細胞の数は、なんと250億~540億という数字です。不安になりますね!
●煮沸・熱湯消毒は無意味どころか、逆効果?余計悪化するという結果に
これを紹介した記事は、
食器用スポンジは細菌のコロニーと化していて煮沸処理は無意味、細菌の繁殖を可視化するとこんな感じ - GIGAZINE(2017年08月02日 07時00分00秒)というタイトル。集めたスポンジでは、「電子レンジにかける」「熱湯につける」などして定期的にスポンジを除菌している人もいました。しかし、それらの対策をしていた人のスポンジと、他の人のスポンジの菌の多さは変わりありませんでした。
これだけならまだしも、病気と関連性のある菌が多いスポンジすらあったといいます。研究者らは、この傾向について「おそらく、殺菌処理で生き残った抵抗力のあるバクテリアはすぐにコロニーを作り始め、殺菌処理が始まる前と同じような状態にするのでしょう」と語っていました。
不思議に思うかもしれませんが、こういうのはよくあることです。殺菌前はいろいろな菌が多く、ライバルがたくさんいる状態のため、抵抗力のあるバクテリアであってもなかなか増えることができません。しかし、殺菌によってライバルの菌が大量に死ぬと、抵抗力のある菌の天下になってしまうのだと思われます。
抗生物質のせいで突然変異して薬剤耐性菌が増えるというのは誤解?の説明もそんな感じでした。
●本当に問題ならスポンジで病気になっている人はなぜ多発しないのか?
といった感じでここまで目一杯おどかして書いてきたものの、そもそもスポンジによって病気になっている人が多いとか、死人がたくさん出ているとかって話を聞いたことありませんよね。
食べ物の健康不安煽りですとか、同じ細菌系の「トイレの取っ手よりバイキンがいっぱいいる」とか、この手の話は多いのですけど、それが実際にどれほどの脅威なのかというところは、説明されずに隠されています。そして、ほとんどの場合は、気にすることのないリスクだということが多いです。
はてなブックマークでも、以下のようなコメントが人気していました。
“世界中で使われているスポンジがデフォでこの状態なのにこれが原因で重大な健康被害が出てないということはあんまり気にしなくてもOKという事だと思う。スポンジで洗った後、流水できれいに流すのが大事なんじゃね?”(tetsuya_m 2017/08/02)
“人間の身体は菌だらけだし、空気も菌だらけなので、肉体を週ベースで取り替えるべき。”(doas1999 2017/08/02)
“すすぐから大丈夫というコメントがあるが、洗った後すすがない欧米でも問題が顕在化してないということはよっぽど問題ないということなのだと思う”(uunfo 2017/08/02)
“これだけ菌が繁殖している!という話題のときに、具体的に菌の繁殖によってどんなリスクが発生するのか定量的に示してるのを見たことが無い。”(potohud 2017/08/02)
●除菌用の特別な洗剤も不要…細菌だらけの食器洗いスポンジが安全な理由
はてなブックマークで最も参考になったのが、汚染されたスポンジについての調査をリンクしていた<黄色ブドウ球菌に汚染されたスポンジで何故大丈夫なのかについて、この記事とても参考になったので読んで欲しい:: http://www.fcg-r.co.jp/compare/enviro_130913.html>(moyabi 2017/08/02)というコメントでした。
リンクされていたページである、
お皿を綺麗に洗うには | 比べる×調べる | エフシージー総合研究所(2013.9.13)では、皿を汚染されたスポンジで10回こすって、10秒洗い流す実験を行っています。
まず、洗剤を使わずに水洗いした皿は、5×5 cm2あたりに8000の黄色ブドウ球菌が付着していました。このくらいの量で健康に影響があるかどうかは相変わらず不明なのですが、とりあえず、黄色ブドウ球菌は残るようです。
次に、うまく不安につけこんだ商品だなと思う「除菌表示のある洗剤」を使って同じように洗ってみました。すると、その皿からは黄色ブドウ球菌は検出されませんでした。きれいに洗い流せているのです。
じゃあ、やっぱり「除菌表示のある洗剤」が良いんだ!と思うかもしれませんが、「除菌表示のない洗剤」で洗ってみても、同じように黄色ブドウ球菌は検出されませんでした。除菌表示がなくても、洗い流せてしまっているのです。じゃあ、特別な洗剤は要りませんね。
●家庭の食中毒で最も多いのは食材由来 スポンジは関係なさげ
このサイトでは、スポンジが汚れているために、洗剤を付けずにスポンジだけで洗うと、むしろ食器を汚染してしまうことを指摘していました。洗剤を使いましょうという話です。ここは注意点ではあります。
ただ、前半の細菌だらけだぞ!という脅迫に関して言えば、スポンジに残る方の細菌は、そこまで神経質になる必要はないとも考えられるかもしれません。…と書いてから軽く検索してみると、家庭での食中毒事件自体は相当多いみたいですね。報告されないケースが多いでしょうから、実際の数字はそれ以上だと思われます。
とはいえ、その家庭における食中毒の原因を見てみると、カンピロバクター(生や加熱不十分な肉類に多い)、サルモネラ(卵)といった食材そのものに細菌が含まれているであろうケースが代表例となっていました。スポンジ由来っぽさのある原因物質には見えません。
はっきりとしたデータが見つからないのですが、スポンジはよほど不衛生にしていない限り、問題なさそうに見えます。先のエフシージー総合研究所では、固く絞り水気を切って吊るしておくのがベストで。晴れた日には日光に当てて紫外線殺菌が効果的というアドバイス。注意するのは、これくらいでいいんじゃないでしょうか?
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