岩手医科大関連の話をまとめ。<悲惨な体験をした震災の被災児は将来より今を大事にする傾向>などをまとめています。
2023/11/13追記:
●悲惨な体験をした震災の被災児は将来より今を大事にする傾向
2023/11/22追記:
●家屋損壊経験者は心理的苦痛増大 平均歩数・骨密度は低下
2023/12/01追記:
●地震が怖くて家に入らない…は危険 車中泊は死亡原因のひとつ 【NEW】
●岩手医科大学教授の論文に捏造と告発、調査で改ざんを認定
2023/10/20:<岩手医大「教授が論文改ざん」と発表 処分を検討|NHK 岩手県のニュース>(10月19日 12時47分)によると、岩手医科大学は、歯学部の教授が中心となって発表した論文で「改ざん」などがあったと発表したそうです。まだ処分は決まっていません。
<岩手医科大学によりますと、2017年に歯学部の教授が中心となって海外の学術雑誌に発表した論文の内容について、「実験方法にねつ造がある」などと文部科学省に告発があり、大学は調査委員会を設置して調査を進めていました。
調査の結果、歯学部の教授は、写真に使用した細胞とグラフの作成に使用した細胞が異なっているにもかかわらず、同じ細胞と記載していたことから「改ざん」が認定されたということです。(中略)
調査結果を受けて、大学は教授に論文の取り下げを勧告していて、今後、処分についても検討するということです。>
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20231019/6040019525.html
これについて、教授は「故意ではなく誤った記載」と主張。ただ、調査委員会は「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことにより、改ざんの状態が生じた」と判断。同じ論文では、実験を担当した研究者が論文の著者として記載されておらず、これも教授の不正行為と認定したそうです。
●個人情報の入ったUSBメモリを紛失した上、3ヶ月問題を放置
2023/11/02追記:岩手医科大学の話をもっと…ということで検索。すると、<岩手医大病院で患者の個人情報入ったUSB紛失 報告も遅れる>(2023年02月02日 17時52分 NHK)という話題が目に付きました。記事タイトルの「岩手医大病院」というのは、「岩手医科大学附属病院」のことです。
<岩手医科大学附属病院によりますと、USBメモリーを紛失したのは、矢巾町の病院に所属する薬剤師で、統計資料を作成するため、去年10月、患者1894人分の名前と年齢、投与されている薬剤などを記載したデータをUSBメモリーに記録しました。
しかし、メモリーを机の上に置いたまま帰宅し、4日後、なくなっていることに気づいて上司に報告したということです。>
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20230202/6040016721.html
個人情報の入ったUSBメモリーの紛失そのものは、残念ながらよくある話。ただ、岩手医科大学附属病院の場合、その後の対応がかなり悪かったですね。上記にあるように、USBメモリーの紛失は前年である2022年10月だったのですけど、複数の問題が発生し、事態を把握するまで3ヶ月もかかったそうです。
<薬剤師は、この際、個人情報が含まれていることを伝えておらず、上司も2か月近くたった11月下旬まで個人情報についての確認をしていなかったということです。
さらに、病院長への報告までに1か月かかり、病院は、紛失から3か月近くたった12月下旬に事態を把握し、調査を行っていました。
病院は、誤って廃棄した可能性もあるとしていて、患者に謝罪するととともに、個人情報の管理についてマニュアルを見直し、講習会を開くとしています。>
●悲惨な体験をした震災の被災児は将来より今を大事にする傾向
2023/11/13追記:「岩手医科大学」をキーワードにニュース記事を探していると、
東日本大震災の被災児、将来より今を大事にする傾向 - 大学ジャーナルオンライン(2021年1月21日)という気になるタイトルの記事を発見。メインの研究者ではないようですが、岩手医科大の研究者なども参加した研究だそうです。
<2011年の東日本大震災で被災し、家屋が全壊または流出した子どもたちは、未来の大きな利益より目先の小さな利益を選択する傾向があることが、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の藤原武男教授、松山祐輔助教らの調査で分かった。(中略)
研究グループは東日本大震災当時、岩手、宮城、福島の3県で保育園に通っていた167人の子どもを対象に2014年、調査を実施した。子どもたちにコイン5枚を渡し、コイン1枚ですぐに1個のキャンディをもらうか、コイン1枚で1カ月後に2個のキャンディをもらうかを選んでもらった>
その結果、自宅が全壊や流出した、津波で流される人を目撃したなど、悲惨な経験をした子どもほど今すぐキャンディをもらえる方にコインを置く傾向がわかったとのこと。研究グループは悲惨な経験をした子供たちは将来より今の利益を優先する傾向があるとみているそうです。
私は正直「途中まで本当かな?」と思いつつ読んでいました。ただ、特に、自宅が全壊や流出した子どもたちは自宅に被害がなかった子どもたちに比べ、0.5枚以上余分に今すぐもらえる方へコインを置いているとも書かれており、納得。一貫した傾向が見られるので、確からしさを感じます。
●家屋損壊経験者は心理的苦痛増大 平均歩数・骨密度は低下
2023/11/22追記:本文には東北大学の名前しかなかったのですけど、岩手医科大学のキーワードで検索して見つけたのが、
東日本大震災、家屋損壊で骨密度低下、東北大学など調査 - 大学ジャーナルオンライン(2019年1月7日)という記事です。
<調査は宮城県の住民を対象に2013~2015年に実施した第1次健康調査と2017年度の第2次調査で約7,700人分の結果を比較、分析した。
それによると、調査で家屋被害の大きさと関連性をうかがえたのは、心理的苦痛、平均歩数、骨密度の3点。心理的苦痛は家屋被害の大小にかかわらず、第2次調査の方が低い傾向にあるが、家屋被害の大きかった人の方が心理的苦痛のリスクが高いことが分かった。
平均歩数は家屋被害が大きかった人ほど低い傾向が続いている。骨密度も被害が大きかった人の方が加齢による低下が顕著に見られた。家屋被害が平均歩数と骨密度の低下を招く負の循環に陥っているとみられる。>
家屋に大きな被害を受けた人は震災による環境の変化で外出を控え、歩かなくなったことが背景にあると推測されているそうです。ただ、正直、意外でした。というのも、震災の直後には、むしろ家の中を怖がって中に入りたがらない人もいるため。地元の北海道胆振東部地震でもそういう人がいました。
たぶん「外出を控え、歩かなくなった」というのは、家屋が壊れるのが怖い・怖くないといった心理とは関係ないんでしょうね。<家屋被害の大きかった人の方が心理的苦痛のリスクが高いことが分かった>ともされていましたので、そうした心理的苦痛による行動の変化なのだと思われます。
●地震が怖くて家に入らない…は危険 車中泊は死亡原因のひとつ
2023/12/01追記:上で書いた<震災の直後には、むしろ家の中を怖がって中に入りたがらない人もいる>の件で補足。恐怖のため車中泊することで健康が悪化することがあるので注意が必要です。
車中泊・避難所暮らし…体調が悪化する被災者、災害関連死を防ぐには:朝日新聞デジタル(2021年11月29日)という記事でもそういった話が出ています。
《70代男性。地震後、車中泊をして過ごす。数日後の昼食後、車を置いていた自宅裏の空き地で突然倒れた。救急搬送されたが、致死性不整脈で死亡》
<大地震の直後、余震の恐れから屋内を避けたり、ペットと過ごしたりするために車中泊を選ぶことがある。
しかし、足を動かさないまま長時間過ごすと、足の血管に血のかたまり(血栓)ができやすくなる。血栓が移動して肺の血管をつまらせると、肺塞栓(そくせん)症などの「エコノミークラス症候群」となり、危険な不整脈につながることもある。>
災害後には、血管や心臓といった循環器系の病気が増えるそうです。災害関連死の死因の内訳が詳しく公表されている2016年の熊本地震では、循環器系疾患が全体の約3割を占めていました。すべてが車中泊のせい…というわけではありませんが、以下のように危険な要素の一つのようです。
<日本循環器学会などは東日本大震災後の14年、循環器疾患の予防ガイドラインを作った。作成に携わった国際医療福祉大大学院の下川宏明・副大学院長(循環器内科)によると、被災者は災害による急性のストレスと、避難生活による慢性のストレスの両方にさらされる。いずれも交感神経を緊張させ、血管が収縮して血圧が上昇するため、循環器疾患のリスクが高まる。
車中泊では運動不足になりがちなほか、トイレの回数を減らそうとして水分をとらない人も多く、血がどろどろになりやすい。>
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