2012/3/6
●席を譲ってもらえない!全席優先席失敗で「最優先席」登場
●全席優先席失敗と似ている?トクホ売上低下に見る希少価値
●宝石よりずっと役に立つ水が宝石よりずっと安い理由は?
●席を譲ってもらえない!全席優先席失敗で「最優先席」登場
2012/3/6:笑っちゃって良いのかわかりませんが、笑い話のような
市営地下鉄に「最優先席」(2012年02月27日 佐藤善一 朝日新聞)というニュースがありました。
記事によると、横浜市営地下鉄は国内で唯一、“全席優先席”制度を実施していました。全席優先は2003年12月に始まったもの。「優先席を増やして欲しい」などの声を受け、「誰もが気軽に譲り合える車内環境をつくる」という趣旨だったそうです。
ところが、2007年の市民アンケート(対象881人)では、「全席優先」に475人が反対し、賛成を上回った。理由として「趣旨はいいが、現実的ではない」などの意見が多いなど不評。しかも、趣旨通りにはいかず、「席を譲ってもらえない」など不満も多かったといいます。
これにより、なんと「最優先席」というわけのわからない座席が登場する予定に。市交通局は新年度予算案に約400万円を計上。全席優先席は残しながら、各車両に1カ所ずつ設けられている「携帯電話電源オフエリア」を「最優先席」にする方針だそうです。なお、関西でも全席優先を導入する電車があったが、すべて撤退しているとされていました。
もう少し失敗の様子が具体的に見えるのは、
全席優先でも足りない? 横浜市営地下鉄に最優先席(2012/03/03 10:31 【共同通信】)という記事でした。
交通局によると、最初から問題だったのではなく、2011年、震災後の節電対策で運行本数を減らしたところで問題が起きたという説明。車内が混雑し、高齢の乗客らから「どこへ行けば優先してもらえるのか」などの声が寄せられるようになったといいます。利用者のアンケートでは、優先席対象者のうち、頻繁に席を譲られる人は半数にとどまったそうです。
●全席優先席失敗と似ている?トクホ売上低下に見る希少価値
私がこのニュースで思い出したのは、全然関係ない
「お墨付き」の限界効用を考える 市場縮小のトクホ、続々と登場する食の資格(要登録 日経ビジネスオンライン 2010年6月2日 子安大輔)という記事でした。
トクホとは「特定保健用食品」の通称ですが、保健に関する特定の効果効能を、国が認めた食品のこと。認証制度が始まった1991年から許可申請が増えていき、今年の4月28日時点で、表示許可を与えられたアイテムは936品目に達しています。
財団法人の日本健康・栄養食品協会によれば、1997年に1315億円だったトクホの市場規模は年々拡大を続け、10年後の2007年には5倍を超える6798億円に達しました。ところが、2009年の数字を見ると5494億円に低下。なんと2年で1300億円も数字を落としているのです。
市場規模縮小の大きな原因は、リーマンショック以降の不景気であると考えられます。トクホが問題というわけではないでしょう。記事では、。トクホは健康価値が付加されているゆえに、価格設定も高めになっているものが多いので、消費者は買うことをためらったり、あるいはユーザーであっても買う量や頻度を減らしたりする事態が起きていることが予想されるとしていました。
ただ、トクホのアイテム数が増え、目や耳にする機会が増えるに従って、トクホの「特別感」や「優位性」が私たちの中で年々薄くなっているのではないかとも想像されていたのです。これが全席優先席失敗のニュースとイメージが重なった理由です。
●宝石よりずっと役に立つ水が宝石よりずっと安い理由は?
記事によると、「お墨付き」とは、それを与えられたものが少数であればあるほど、価値を発揮するもの。これはどのジャンルでも同じだといいます。トクホは既に広く普及するステージにまで達していますので、お墨付きとしての強い効果を発揮することは今後難しいと言えるとしていました。
えっ、そこに持っていくの?という話になりますが、
Wikipediaによると、「希少性は経済学の出発点でもある」そうです。
<経済学では、希少性には必然性があると考えられる。希少性を解消するためには、使える量を増やすか、使いたい量を減らせばよい。しかし資源は有限であり、欲望は無限であると仮定されるかぎり、希少性そのものが解消されることはないと考えられる>
アダム・スミスの価値のパラドックスは、水と宝石の価格について見たもの。水は宝石よりも使用価値において勝ります。ところが、交換価値においては宝石より低価格という全く逆のことが起きていました。これは、水が豊富で宝石が希少性が高いためですね。
さらに極端なのは空気。希少性がないような財であるために、は価格を有しない自由財となっていると説明されていました。このような希少だからこその価値というものは、様々な場面で考える必要がありそうです。
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