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企業不祥事対応にコンプライアンスなんか必要ない ~石屋製菓と船場吉兆と赤福の賞味期限偽装~


 企業の不祥事対応についてまとめ。<賞味期限改ざんでの船場吉兆と石屋製菓の対応が全く逆だった!>、<最初から潔く問題を認めず嘘に嘘を重ねた船場吉兆のその後は…>、<実は「企業不祥事対応にコンプライアンスなんか必要ない」>などの話をやっています。


●賞味期限改ざんでの船場吉兆と石屋製菓の対応が全く逆だった!

2012/3/8:少し前に不祥事企業トップはジャパネットたかた高田明社長を見習え!というのを書いたばかりで、どうせならセットにできれば良かったのですが、また企業不祥事による対応の違いを書いた記事を発見。不祥事からの脱出、2つの事件から見えた成否を分けるもの- ITmedia(2012年3月2日08時00分)という記事です。

 うちでは、記事での順番とは入れ替えて悪い方から。まず、船場吉兆の例を見てみましょう。2007年10月、大阪の船場吉兆では、5つの菓子の消費期限もしくは賞味期限のラベルを張り替えて、期限を改ざん。白い恋人の石屋製菓でも似たような問題が起きていたのですが、船場吉兆は石屋製菓と真逆の対応をしたと指摘されていました。

不祥事企業はその後にも多々あるが、残念なことに、大部分の企業がこの船場吉兆と同じような対応をとっている。
 船場吉兆側は当時、一連の不祥事を「パートの女性らの独断によるもの」として組織的な関与を完全否定した。社長は記者会見にすら出席していない。 11月9日、今度は船場吉兆本店にてブロイラーを「地鶏」、九州産の牛肉を「但馬牛」と産地偽装していたことが発覚した。16日には大阪府警が船場吉兆に対し、家宅捜索と強制捜査を行った。
 このような状況になっても、船場吉兆はラベル偽装がパートの独断であり、牛肉の産地偽装は仕入れ担当者の独断、地鶏は納入業者が勝手にしたことだと完全に否定した。だがパート従業員の告発で、「全責任はパート従業員にある」という会社作成の報告書に捺印することを強要した事実が明らかになる。納入業者は伝票などの証拠品を提示し、「そもそもうちは若鳥専門店であり、地鶏は一度も扱っていない」と反論した>


●最初から潔く問題を認めず嘘に嘘を重ねた船場吉兆のその後は…

 嘘に嘘を重ねてその嘘がバレきったところで、女将の湯木佐知子さんら取締役が会見を開き、初めて経営陣の関与を認めることに。女将が小声で指示する言葉をそのまま長男の喜久郎氏が会見場で繰り返し、マイクで全て報道されてしまうという醜態を晒しただけでなく、倒産というところまで行ってしまいました。

<翌2008年1月16日に同社は大阪地方裁判所に民事再生法を申請。湯木佐知子氏が新社長となり、その他の役員は辞任した。1月22日に本店が営業を再開するも、5月8日にお客の食べ残しを使い回していたことが発覚。しかも10年以上に渡り続けていた。
 天ぷらは揚げ直し、アユの塩焼きは焼き直す。刺身のツマは洗い直し、刺身は盛り直す。「もったいない」という感性だったという。しかし、それを正規の値段で密かに提供していたのでは、営利目的と言うしかない。さらに、湯木佐知子社長はマスコミに対して、「食べ残し」ではなく「手付かずのお料理」と表現するように要望している。ここにきて、体裁を取り繕ろうとする神経は尋常とは思えない。
 5月28日、ついに飲食店の廃業届を提出し、大阪地裁に民事再生手続の廃止を申し立てた。6月23日に破産手続きが行われた>

 船場吉兆は吉兆グループの中の料亭、並びにその運営会社であり、必ずしもグループ全体がそうであったわけではありませんが、吉兆は高級料亭として有名だったようです。私はそんなもの興味ないのでちっとも知りませんでしたけど、うちの母は憧れていたと言っていましたし、高級料亭な癖にけち臭くて、おもてなしの心もクソもなかった……という衝撃的な事件だったでしょう。


●「極めて異例」の良い不祥事対応だった白い恋人の石屋製菓

 一方、すでに名前が出ているように、良い例として出ていたのは、「白い恋人」で有名な北海道の石屋製菓です。この石屋製菓の代表的なお菓子「白い恋人」がまさに賞味期限の改ざんが行われていたというお菓子でしたので、普通なら大ピンチ。ただ、船場吉兆と異なり、誠意ある対応であったという見方でした。

<改ざん事件の発覚は2007年8月14日。マスコミ報道以前に内部告発による情報提供があったと言われるが、マスコミが大々的に報じたのがこの日であった。発覚当初、社長(当時)は否定したようだが、この事件と前後してアイスクリーム製品から大腸菌を検出したことを公表していないという出来事などが表面化した。社長は3日後の17日に引責辞任を表明。23日に同社にメインバンクである北洋銀行の常務が新社長として就任した。
 さらに創業家の影響を少なくするため、役員5人うち4人を占めた親族が1人(創業家の跡継ぎ)を除いて退いた。辞任した前社長は「今後経営には一切、関与しない」と表明した。
 当初の世間は同社を「北海道の恥」などの酷評をしていたが、発覚からわずか3日での社長辞任という素早い対応と自発的かつ潔い行為によって、だんだんと沈静化していったと思われる。そして、同年11月22日に操業を再開。その途端に商品が売り切れする店舗が続出した>

 これは「不祥事企業としては極めて異例の事態」であり、前述の通り、船場吉兆パターンが一般的。また、創業家一族の多くを追放したという話は、不祥事を起こしてもなお創業一族が主導権を握ろうとして揉めている大王製紙のことを思い出しました。大王製紙は醜いですね。


●すぐ復活の赤福は良い不祥事対応だったのかと見てみると…?

 そもそも不祥事を起こしたのが問題だとは言え、北海道出身者としては北海道の企業が良い例になっていると気分が良いです。ただ、、同じ北海道企業だと雪印乳業がありましたからね。健康被害を出していてそもそも重大性も異なりますが、雪印乳業の場合は悪い対応で潰れました。船場吉兆と同じ末路です。

 また、お土産品で賞味期限の改ざんだと、私は赤福を思い出します。こちらも傷が浅かったと思うんですけど、どんな対応だったのか?とWikipediaを見てみました。Wikipediaの「消費期限及び製造日、原材料表示偽装事件」の項目では、まず、改ざんの内容について書かれています。

<2007年10月12日、食品の品質表示などを定めた農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)違反容疑で農林水産省及び伊勢保健所の立ち入り調査を受けていることがわかった。関係者によれば、夏場に製造日と消費期限を偽ったことがあると伊勢保健所に情報が入り、その結果9月19日より農水省と伊勢保健所が任意調査を行ったという。
 農水省によると、赤福は出荷の際余った餅を冷凍保存して、解凍した時点を製造年月日に偽装して出荷していた。赤福は、解凍しての再包装を「まき直し」と称していた。
 偽装は、未出荷のものもあれば、配送車に積んだまま持ち帰ったものもあった。さらには回収した赤福餅を、餅と餡に分けて、それぞれ「むき餅」「むき餡」と称して、自社内での材料に再利用させたり、関連会社へ原料として販売していた事実も発覚した>

 9月19日より農水省と伊勢保健所が任意調査が行われていたのに、その後も操業を続けていたという点は特に良い対応には見えません。マスコミ発覚から6日後の10月18日23時赤福側が緊急会見を発表し、売れ残った商品を製造日を偽装再出荷したことを認めたのは良いのですが、以下のあたりはむしろひどい最悪な話です。

<10月31日付で濱田益嗣が会長職を辞任した後、12月14日に玉井英二を新会長とするなどの新人事を発表した。しかし、濱田典保は社長を留任した(ただしそれ以外の濱田一族は取締役を退任)。加えて前会長の益嗣は、いくつかの会合で、「新会長は飾りもので、二、三年もすれば、自分が会長に復帰する。自由の身のいまの間に、関連会社をばんばん作る」と発言したという>

 濱田典保社長によると、2009年2月の段階で、一昨年(の偽装発覚以前)に比べ、7割程度まで売上が回復。倒産もしていません。ただ、前述の「新会長は飾りもので、二、三年もすれば、自分が会長に復帰する。自由の身のいまの間に、関連会社をばんばん作る」って、船場吉兆なみにひどいんですけどね。

 濱田益嗣元会長個人のWikipediaでは、「2007年10月12日から赤福餅などの偽装が相次いで明るみに出たが、益嗣はなかなかマスコミに姿を現さなかった」とも書かれています。まるで東電のようだと思います。ただ、個人的には三重県人の地元への愛着で、対応がひどくても甘かったのではないかと感じました。


●実は「企業不祥事対応にコンプライアンスなんか必要ない」

 クズな赤福が全然痛い目にあわなかったのを見ると、説得力が乏しくなってしまったのですが、記事に戻ってまとめのところを。記事では、一般従業員の問題ではなく、経営者の問題でもなく、経営者のちょっと下の幹部のコンプライアンスの問題だとしていました。

<なぜ船場吉兆の暴走を食い止められなかったのか――筆者の経験として言えることは、従業員のコンプライアンス教育が不足していることでもなく、経営者自身の問題でもない。(中略)筆者は「もう少し幹部が、コンプライアンスの順守を強く意識して行動していたら、もっと浅い傷ですんだはずだ」と感じている>

 ただ、これも納得できませんね。前述の大王製紙は経営者が暴走しており、幹部に止めるのは無理。船場吉兆だって経営者の暴走でした。また、幹部のコンプライアンス問題も結局経営者次第でしょう。さらに、そもそも「コンプライアンスをもっと重視すべき」という結論で良いのかとも思います。

 そう思ってしまったのは、直前に不祥事企業トップはジャパネットたかた高田明社長を見習え!をやった後のため。「お客様目線」を掲げている企業が大抵お客様目線になっていないのと同様、「コンプライアンス」がどうのと言っている時点で十中八九ダメなのでしょう。

 本当に良い経営者、良い企業というのは、「お客様目線」とか「コンプライアンス」とかそういうもっともらしい用語や建前など関係なしに、脊髄反射的に行動を起こしているんだと思います。


【本文中でリンクした投稿】
  ■不祥事企業トップはジャパネットたかた高田明社長を見習え!

【関連投稿】
  ■マネージャーの役割1 ~早く課長になった人ほど、マネジメントが下手~
  ■ダメな人間の10パターン 「すぐに諦める人」「目標を持たない人」など
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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