昭和30年代後半に、尾瀬の美しさにひかれてやってくるハイカーの数が増えるにつれて、また、当時は木道や公衆トイレなどの設備が整っていなかったため、尾瀬の自然は瞬く間に荒廃していきました。東京電力は、その頃から、一度失われた自然を守ろうと、尾瀬の“自然保護”に力を注ぐようになったのです。踏み荒らすことなく、人と自然が触れ合えるように約20km(全長65km)にわたる木道の敷設やアヤメ平の湿原回復作業などに取り組んでいます。
(中略)国立公園の中に私有地があること自体は珍しいことではありませんが、尾瀬のように特別保護地区の7割という大部分を一つの企業が所有しており、しかもその保護に長年関わっているという例は非常に稀有であるといわれています。
国立公園の土地所有者に、その保護活動まで行う法的義務はもちろんありません。私有地でありながら公園としての用に供する義務を負う上、さらに保護活動の責務まで課すことは、当然できないからです。しかしながら、東京電力は「企業の社会的責任」という観点から、尾瀬の保護に長年取り組んでいるのです。
今年、1月1日の日経MJは社会貢献特集を1面で組み、社会貢献業界では大きな話題になった。その特集タイトルは「社会貢献はビジネスへ」。専門紙とはいえ、新聞の1面でそんなことが言える時代になったかと感無量であった。というのは大げさだが、CSRをビジネスの範疇で考えることができるようになったことはやはり喜ばしい。
「利益の一部を社会貢献のために拠出すべきだ」が30.7%。「企業は採算を度外視しても社会貢献活動に取り組むべきだ」に至っては、たったの3.1%である。
CSR業界では長らく、「CSRは企業の利益とはまったく別次元のものである」などという寝ぼけたおとぎ話が幅を利かせていたが、そんな寝言は現場のビジネスパーソンにはまったく通用していないということが証明されたわけだ。(中略)
どのような企業の事業も生活者の志向を無視して成立するはずもない。企業の社会貢献はビジネス志向でやるべきだという層が多数を占めていることが分かった以上、CSRもその方向に向かうべきだろう。
昨年(2011年)10月25日、欧州委員会はCSRに関する正式な政策文書を発表した。(中略)CSRは常にヨーロッパがリードしてきたといっても過言ではないが、その欧州委員会は2001年にCSRをこう定義づけている。
CSRとは、ステークホルダーとともに、自発的に、ビジネス領域に社会問題や環境問題への対策を組み込んでいく(統合させる=integrate)概念である。
この「integrate」が日本ではなぜ「本業を通じたCSR」などと日本語化されたのかは分からないが、ともかく(欧州委員会の定義に従えば)CSRは最初から本業と社会貢献(とエコの)統合だったのである。
そのCSRの概念を今回の政策文書で欧州委員会は、次のように再定義している。
CSRとは、企業の、社会に対してさまざまな影響(impact)を与えることへの責任である。
これは、これまでの定義と比べてより強く、企業の社会への関わりを迫る定義だと言えるだろう。
あくまでも「新興国の健康福祉を向上して経済発展や中間所得者層の拡大に寄与することは、将来の市場形成への長期的な投資である」と主張する。
「CSRではない」と内藤社長が強調するのはなぜか。薬は国によって販売価格が大きく異なる、特殊な製品だ。患者やその国の経済力を考慮した上で価格設定しなければ、新興国の患者に届くことはない。だからこそ「アフォーダブル・プライシング」が必要なのだ。
経済的に発展していない地域においては、今回のように「価格はゼロ」が適正ということもあり得る。それでも成り立つように採算を意識する必要がある。“常識”では無理なことをどのように突破すれば良いのか。普通の商品なら「儲からなければ売らなければ良い」が、こと人命に関わる薬の場合、単純にそう割り切るのは難しいし、そもそも製薬企業としての存在意義にかかわる話だ。
エーザイは長期的に有望市場に育つ新興国でブランドを確立できるメリットを勘案して決断したという。社員のモチベーションも向上した。だが、もう1つ狙いがありそうだ。
それは、DECの無償配布を事業の中に位置づけることで、生産効率化を一層進めようというものだ。エーザイはDECをインドのバイザック工場で生産する。(中略)
インドはとりわけジェネリック医薬品(後発品)の製造コストが低いことに提供があり、この強みを徹底的に突き詰めようという狙いが見て取れる。日本の製薬企業は高品質な製品づくりには定評があるが、低コストでのモノ作りは海外の後発薬メーカーに一日の長があった。
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