中国関連のものを整理で、"中国一の金持ち村の華西村"と"中国自動車会社が「信用できない賞」受賞"という違った話の詰め合わせです。(2012/3/18)
その後、"「金持ち村」華西村、既に凋落していた"(2017/05/24)という続報を追加しています。
●中国一の金持ち村の華西村
2012/3/18:日本には昔、葛西村(今の江戸川区葛西)ってのがあったようですけど、華西村って「かさいむら」って読むんでしょうか? と思って調べてみると、どうやら中国の方は「かせいそん」と読むようです。
この村がおもしろいんですけど、元記事は
中国:「金持ち村」の秘密とは 並ぶ豪邸、医療費もタダ 2011年11月7日 10時53分 更新:11月7日 12時58分 毎日新聞です。
華西村の入り口には「天下第一村」と書かれた門がある。西洋風のしゃれた豪邸が並ぶその奥に、地上72階建てのホテル「華西竜希国際大酒店」がそびえ立つ。
高層階には展望台や回転レストランがあり、純金1トンで作った置物の「牛」が客を出迎える。建設費は30億元(約360億円)だが、その不動産価値は既に約1.6倍に高騰。宿泊費は1泊2080~9万9999元(約2万5000~約120万円)だが、早くも予約でいっぱい。「村の発展手法を学ぼうと、地方政府の幹部らが見学ツアーでやってくる」(ホテル関係者)ためだ。
ホテルを建設したのは、金属加工会社など大手8企業から成る村営企業グループ「華西」傘下の会社。 |
上記のような成金趣味はどうかと思いますけど、発展の歴史はおもしろいです。華西村は、かつて面積1平方キロに満たない人口2000人弱の稲作中心の農村でした。それが現在は周辺の村を合併し、現在は面積30平方キロ、人口約3.5万人に。
60年代後半、呉仁宝・前党委書記の指導で、金属加工工場を設置し、資本主義が厳しく批判された文化大革命期にも、ひそかに工場を運営して技術を蓄積したそうです。さらに78年の改革・開放後は工業や農業、商業など産業の多角化に成功して急成長したとのことですが、商才がある役人というのは非常に珍しいですね。
発展のカギとなったのが「少分配、高蓄積」と呼ばれる独特の戦略だ。例えば村営企業に勤める村民の月給は1600~2000元(約2万~2万4000円)と飛び抜けて高くはない。だがボーナスは年間500万円以上あり、その8割は村営企業の「株」で渡される。この株は市場で売買できないが、年1%の配当金が支払われ、村営企業から家屋などを買うのにも使える。村営企業は支払うべき人件費を“蓄積”し、さらなる事業拡大に投資できる。 |
●「結局は一部が残りの住民を搾取する構造だ」という問題
ただし、問題がないわけではなく、以下のような点が指摘されていました。
しかし「株券」をもらえるのは、開村時からの村民で、村営企業を育ててきた約2000人の「老村民」だけで、最近合併した周辺の20村からの住民(新村民)には、その権利を認めていない。約2万人の出稼ぎ労働者(農民工)も現金の月給(約3万6000円前後)だけだ。ある中国経済紙記者は「結局は一部が残りの住民を搾取する構造だ」と冷ややかだ。中国社会科学院農村発展研究所の党国英主任も中国紙に対し、華西村はあくまで例外的で「新しい農村建設の方向性を代表するものではない」と指摘する。 |
でも、開村時から村の発展を率いた「カリスマ」で長老の呉前党委書記は、社会主義国家が力を結集させれば、こんな大きなことができるというのを象徴するものだ」と飽くまで前向きでした。
●中国自動車会社が「信用できない賞」受賞
もう一つ、表題にしたのは
中国自動車大手に「信用できない賞」 豪の消費者団体が 2011/10/27 14:48 日経新聞という話です。タイトルだけで伝わるんですけど、内容は以下。
オーストラリアの消費者団体チョイスは、欠陥品や怪しいサービスに贈る「ションキー(信用できない)賞」の2011年度版に8つを選出した。そのひとつは中国の自動車大手、奇瑞汽車の5ドアハッチバック車「J1」。選出理由は、車の屋根の上に荷物を載せて固定するためのルーフレールに張ってある注意書きのステッカーだ。「ルーフレールは装飾だけのためのものです。使用しないでください」とあるのだ。チョイスは「爆笑させられる」とする一方でステッカーはすぐに剥がれてしまい「安全性の問題がある」と評している。
J1は1万1990豪ドル(約95万9200円)と低価格で売れている。ただ、ビクトリア州では電子安定制御の不具合が問題視され、販売が禁止されていた。 |
笑っちゃいましたけど、中国で笑えなかった出来事が高速鉄道の事故です。ここには日本の技術も使われており、事故以前には技術流出という観点で、中国に提供した企業がひどく責められていました。
しかし、
中国鉄道事故の捉え方(日経ビジネスオンライン 要登録)を読むと、"1998年に当時の小渕恵三首相が江沢民国家主席に「21世紀の日中友好のシンボルにしたい」として日本から中国に提供したのが高速鉄道技術だ"とありました。そうなると政治的な絡みもあったという感じで、企業を責めるのはかわいそうですね。自民党のせいでした。
また、本当かどうか調べていませんけど、企業自体は技術提供に乗り気じゃなかったという噂も聞きましたので、ますますとばっちりの感があります。
●「金持ち村」華西村、既に凋落していた
2017/05/24:華西村の方で別記事を読んだので、追記。どうも既に凋落してしまったみたいですね。
中国で農村の模範だった「金持ち村」はなぜ凋落したのか | 莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見 | ダイヤモンド・オンライン(2017.4.13 莫 邦富)という記事には、そう書かれていました。
最近の中国メディアの報道によれば、2016年3月末現在、鉄鋼、紡績、資材、商業など5つの分野で、傘下企業208社を抱える華西集団の総資産は、541.93億元(約8670億円)。これだけ見ると、まだまだ健在のように見えます。ところが、その内実はひどいもので、華西集団の負債総額は389億元超、資産負債率は約69%だと書かれていました。
ただ、この「資産負債率」っていうのがよくわからず、69%が本当に悪いものかは最初わかりませんでした。どうも日本の企業では使われない指標みたいで、検索しても出てくるのは中国の話ばかり。
その一つである
外資に関する規制 | 中国 - アジア - 国・地域別に見る - ジェトロというページによると、中国で乳製品工業に参入する出資者について、資産負債率70%以下などの条件をつけているそうです。この基準から見ると、華西集団の7割近いというのはギリギリといったところ。良くはないものの、問題外ってことはなし。本当に凋落していると考えて良いかは、保留ですね。
とりあえず、昔のような飛ぶ鳥を落とす勢いではなくなったくらいなら言えるでしょう。その理由ですが、"従来の産業モデルが日ごとに衰えるのに伴って、かつて中国農村経済の模範だった華西村が岐路に立たされ、モデルチェンジが避けられないことを物語っている"という説明。
また、大きな赤字としては、鉄鋼業の不景気による赤字や、逆張り的に進出した海運業の赤字というのがありました。
ただ、本質的には、華西村モデルが、"技術レベルが低い製鉄所と、衣料品やインスタントラーメンを加工する町工場的な企業"であったことが問題でしょう。"コア技術と研究開発力をもっていない華西村のような中国の「金持ち村」はこのところ、相次いで窮地に立たされている"という話。
結局、技術が高く、研究開発力がある大企業には敵わなかった…ということでした。これは中国企業のレベルが、全体的に上がったからということでもあるんでしょうけどね。
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