Appendix

広告

Entries

バードストライクは飛行機だけじゃなくて風力発電でも…原因と対策は?


 「バードストライクは風力発電でも」と「チューリップで飛行機のバードストライク防止」という話をやっていました。その後、バードストライクに関する別記事を読んだので、「バードストライクが飛行場や風力発電で起きやすいそもそもの原因」という小見出しで追加します。

2023/10/22追記:
●風力発電建設のためにイヌワシ調査を改ざん…との内部告発 【NEW】


●最近の飛行機はバードストライクが起きやすい構造

2012/3/20:先にWikipediaからバードストライクの説明。バードストライクとは鳥が構造物に衝突する事故をいいます。航空機と鳥が衝突する事例を指すことが多く、この航空機におけるバードストライクは離陸動作中(滑走、離陸直後)もしくは着陸動作中の速度が比較的遅く、高度が低い時に起こりやすくなっています。

 飛行機ではジェットエンジンが主流の現在では、エアインテークと呼ばれる空気吸入口に鳥が吸い込まれる事故が多いそうです。特に旅客機のジェットエンジンはエアインテークの直径と推力が大きくかつ地面に近いこともあるため、バードストライクが起こりやすいとのことでした。

 例えば、ボーイング777のエンジンGE90型なんかはファンの直径が3メートル以上もあり、鳥が吸い込まれやすくなっているようです。バードストライクというのは、飛行場では避けては通れない問題で、各地で問題となっています。


●バードストライクは飛行機だけじゃなくて風力発電でも

 しかし、タイトルで書いたようになんと風力発電でもバードストライクが起こるんだとか。これに関しては、日本鳥類保護連盟というところが懸念を示していました。実はさきほどのWikipediaでも風力発電については触れていて、「この他、鉄道、自動車、風力発電の風力原動機、送電線や送電鉄塔、ビル、灯台などにおいても起きている」としていました。いろいろありますね。
近年ではクリーンエネルギーの象徴として風力発電に注目が集まっています。しかし、国土の狭い日本では、大型の風力発電を建設できる場所は限られています。さらには、建設場所は風力発電に必要な安定した風が発生する場所、又は通る場所でなくてはなりません。これらの条件を満たす国内の建設適地は、風を利用して飛翔する猛禽類やカモメ類の生息空間であったり、鳥たちの渡りのルートとして利用されている場合が多く、必然的に風車に衝突する事故(バードストライク)の危険性が常につきまとっています。

そのため、風力発電施設が各地で建設されていくにつれて、風車によるバードストライクが各地で報告され始めています。しかし、被害にあった鳥が必ずしも風車の下に落ちて残っているわけではなく、実際は遠くにはじき飛ばされたり、下に落ちてもほ乳類やカラスなどに運ばれたりして、その多くが人の目についていない可能性があるのです。そのため、被害の実態は未だ把握されていない状況です。また、バードストライクの要因も様々で、解決策についてもまとまっていません。

●環境に優しいが鳥には厳しい?鳥を殺しまくっている風力発電

 Wikipediaによると、日本国内の風力発電施設のバードストライクだと、トビの衝突死が報告されているとのこと。風力発電の先進国であるデンマーク、オランダ、イギリス、アメリカなどからより長期にわたる詳細かつ定量的な調査報告がなされているといいます。風力発電なんて人がいないところが多いですし、その分鳥がいっぱいいる気がします。たいへんですね。
猛禽類や渡り鳥の衝突事故が懸念されている。また施設が希少種の生息域やその近くとなることも心配されている。クリーンなエネルギー源として風力発電施設の設置が推進されている一方で風力発電事業は環境影響評価法の対象からはずれており、環境影響評価に関するガイドラインもいまだ整備されていない。

このような現状に対して野鳥保護の観点から日本野鳥の会は環境省に対して意見・要望を表明している。その概略は野鳥への影響がありそうな立地を避けること、風力発電の野鳥の生態に対する影響を調査研究すること、さらに事前の環境影響評価と事後の調査を事業者に義務つけることなどである。特に国立公園・国定公園内の設置には慎重な姿勢を表明している。

移動性野生動物種の保全に関する条約(通称:ボン条約)の第7回締結国会議で風力発電建設に関する決議が採択され、特に大規模海上風力発電の渡り鳥、海鳥に対する影響に考慮することを求めている。

●チューリップで飛行機のバードストライク対策

 ここから再び飛行機のバードストライクの話に。昔あった海外ボツ!NEWSというサイトで、変わったバードストライク対策があって印象に残っていました。<滑走路のまわりがチューリップ畑になったわけ>(2005/03/15 09:26 海外ボツ!NEWS)というタイトルで描かれていた話です。
http://www5.big.or.jp/~hellcat/news/

 こちらによると、最近、アムステルダムのスキポール空港で滑走路のまわりに数十万本のチューリップが植えられました。理由は、鳥がジェットエンジンに吸い込まれる事故を減らすためだといいます。近年、空港にヒメコンドルやアオサギといった肉食の鳥が急増し、吸い込み事故は2003~04年の間に70%近くアップして、平均1万フライトに3件だったのが5件になっていました。

 しかし、なぜチューリップ畑?という不思議な話。これは、最近鳥が増えた理由と関係しています。鳥が増えたのは、滑走路のまわりにエサになるネズミが大量発生したためと考えられていました。滑走路のまわりに生えいている草花をエサにしているのです。一方、ネズミはチューリップの香りが苦手だそうで、そのためのチューリップ畑でした。

 私がこの話を読んで思ったのは、どのネズミもチューリップが嫌いなのか?というところ。もしそうなら、日本では対策できそうだと思いました。ただ、よくよく考えてみると、これはネズミと関係あったからこそできた対策でしたね。鳥が多い原因は場所によって違うでしょうから、どこの飛行場でも有効ということはなさげです。


●犬に吠えさせるなどのバードストライク対策実施も…実はお手上げ状態

 Wikipediaによれば、日本でも「エンジンの損傷や航空機の空港への引き返しなど」の被害が「国内だけで数億円程度」確認されているそうで、「各航空会社や空港はさまざまな対策を講じているが、これといった有効策がないのが現状である」とのこと。お手上げ状態なようです。

<例えば全日本空輸では1985年からエンジンに目玉マークを書いて鳥が近寄るのを防ごうと試みたことがあるが、効果が上がらなかったため後に中止された。また高知空港、高松空港、松山空港ではハヤブサを放し空港周辺から鳥を追い払う試験が行われたことがあるが、これも効果が上がらなかったため実用化には至っていない。ただし後者は日本国外の一部の空港では実際に行われている>

 さらに、散弾銃の空砲や花火の音による威嚇の他、鳥の苦しむ鳴き声を録音したデストレスコールを流すなどをしてるところもあるそうです。また、訓練された犬を使って航空機とは正反対の方向に鳥を追い立てるといった予防策も行われているとのこと。鳥にとっても人にとっても悪い話ですし、何か解決策を見つけなくちゃいけません。


●バードストライクが飛行場や風力発電で起きやすいそもそもの原因

2017/09/07追記:今回全体に修正したのは、バードストライク、年間1500件超!? 1羽でエンジン損傷も どう対策? 乗りものニュース | ライフ・美容 | 2017年09月07という記事を見つけたため。修正を終えてからこちらを読んでみると、国土交通省航空局の担当者は「最も多いのは、コックピットの窓を含む飛行機の前部(ノーズ)に当たる事例」だとしていました。バードストライクではエンジンのイメージが強いものの、数で言うと多くない事故のようです。

 翼やエンジン・プロペラ部、胴体など、衝突する部位や鳥の大きさによっても被害は異なり、胴体がへこんだり窓ガラスにひびが入ったりすることもあれば、当たったことに気づかないほど軽微なケースもあると説明されていました。元の投稿はかなり昔のものでしたが、今でもバードストライク対策は見回りと、その都度鳥を追い払うことが主体だといい、相変わらず抜本的に予防するようなシステムはないという話もあります。

 また、国が管理する空港でバードストライクの件数が最も多いのは羽田空港で、2016年には182件発生しています。2位の伊丹空港73件と比べても突出した数値です。この理由について担当者は、「羽田空港は交通量が多いということもありますが、水辺にあるため鳥が集まりやすい」と説明していました。

 飛行場は広大な面積が必要なために、あまり人が住んでいないところや海岸近くに作られることが多いです。もう一つバードストライクの事例として書いてきた風力発電も同じような感じなのですが、そもそも鳥が多いところに、人がバードストライクが起きる設備を作っているというのが一番の原因なんでしょうね。


●風力発電建設のためにイヌワシ調査を改ざん…との内部告発

2023/10/22追記:私は風力発電に絶対反対…ってことはないんですけど、いろいろな問題が発生しており、難しいなぁとは思います。最近は再生エネルギー関連の自民党有力議員が風力発電業者から賄賂をもらって、業者に有利な質問をした疑いで逮捕される…といったことが起きました。

 一方、今回追記したのは、<不正疑われ再調査中に事業者が準備書提出・県に説明なし…日本イヌワシ研究会「計画中断」求める【山形発】>(10/21(土) 17:32配信 FNNプライムオンライン)というニュースを読んだため。風力発電建設に有利なように改ざんしたと内部告発があったようです。

<この問題はJR東日本エネルギー開発が行ったイヌワシの調査をめぐり、営巣地と予定地との距離が実際には数kmだったにも関わらず、「10.83km」と記載した準備書を作成した疑いが持たれているものだ。
 「報告した内容が改ざんされた」との元調査員の告発を受け、日本イヌワシ研究会が2023年春に調査した結果、予定地までは最短で2.1km、平均でも約3kmだったことがわかっている。>
https://news.yahoo.co.jp/articles/88f499a5909775257218c6afd8ebeb01a984e3fd

 最短で2.1km、平均でも約3kmを10km以上としたのですから、故意ではなかったとしてとんでもないミス。調査そのものの信頼性がゼロになり、やり直しは当然。ところが、どうもこの再調査をまだやっている最中なのにも関わらず、これを県に隠蔽した上で事業を進めようとしていたようです。

<やり直しの“再調査”は、事業者側から意見を求められている岩手県立大学の由井正敏名誉教授が要求したもので、7月から月1回のペースで行われている。
 10月も10日から3日間行われたが、JR東日本エネルギー開発はこの事実を隠して、9月に県に対し準備書を提出。10月13日、県庁に説明に訪れた時も再調査の事実を伝えず「改ざんや隠ぺいはない」との主張を繰り返していた。>

 再調査はJR東日本エネルギー開発が依頼したわけではなく、日本イヌワシ研究会独自のものなのかもしれません。「調査会社からは改ざんはなかったと報告を受けている」としており、JR東日本的には「改ざんはないから事業を進める」というスタンスみたいですね。ただ、これは正当化できないでしょう。

 というのも、日本イヌワシ研究会の他、日本野鳥の会も意見していたため。「知らなかった」ではなく、知らされても無視した…ということですね。自民党が統一教会問題で責められたとき「知らなかっただけ」と擁護されたものの、実際には被害者団体から抗議を受けたのに無視していたことを思い出しました。


【関連投稿】
  ■機内食がまずいのには理由がある 原因は人間の味と匂いの感じ方のせい
  ■飛行機のペット輸送で犬の死亡事故 貨物室の温度は暑い?寒い?
  ■世界のおもしろ空港 飛行機用の踏切があるジブラルタル空港 啓徳空港も人口密集地スレスレだった
  ■飛行機が離着陸で電気を暗くする理由は安全性 JALとANAで対応分かれ、LCCでもジェットスター・Peachが異なる判断
  ■説明下手すぎANA「重要な経営課題」緊急会見で株価乱高下 実はただの社長交代
  ■商品・サービス・技術についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由