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量的緩和政策で円安? ~マネタリーベースと為替レートで考えるマネタリーアプローチ~


 高橋洋一嘉悦大教授の主張は納得の行くものが大半なんですけど、量的緩和政策を有効だとしているのは不満です。

 量的緩和政策に関しては

  ■マネタリーベース、マネーサプライ(マネーストック)とは? ~量的金融緩和政策の意味~
  ■量的金融緩和の効果は? ~マネタリーベース、マネーサプライの変化を見る~
  ■量的緩和政策 マネタリーベースを増やしても、マネーサプライは比例して増えない

 で不満の理由を書きました。


 で、今回高橋洋一氏が反論!「その消費増税論議、ちょっといいですか」 番外編 日銀の金融政策で財政再建と円安誘導は簡単にできる(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年3月21日 広野彩子)というものを見つけたので読んでみました。

高橋:円安にすると、輸出企業の業績が伸びて法人税収が上がる。輸入企業は少し不利になるけれど、GDP(国内総生産)は増える。どの程度円安にしたらどの程度GDPが増えるかもある程度分かりますよ。為替レートととても関係があるし、為替レートと税収も関係がある。

――税収にも関係があるのですか。

高橋:ありますよ。為替レートを安くすると輸出企業の収益が改善して税収が上がるということです。円安にするかしないかは、為替介入次第だと言う人が多いのだけれど、実は関係ない。

 私も為替介入は意味がないように思えて、野田佳彦首相の財務大臣時の介入も政治的パフォーマンスに過ぎないのでは?と批判的でした。

 こんな風に結構賛同できるところが多いのです。(ただ、ここでちょっと出ている円安・輸出礼賛には懐疑的です)


高橋:2月14日に日銀が金融緩和と「インフレ1%メド」を掲げた後の為替の動きを見れば、円安になんてすぐに出来るのが分かったでしょう。

 これはちょっとずるいですけどね。

 腰が引けている日銀“インフレ目標”(2012.02.21 ZAKZAK)で、高橋洋一さんは日銀の“インフレ目標”を批判しています。

 日銀は14日、「中長期的な物価安定の目途」を当面「1%」とし、資産買い入れ基金の10兆円増額を発表した。

 それを受けて、円ドルレートは円安にふれ、株式市場も一時、9200円台に回復した。安住淳財務相も、「(日銀が)実質的にインフレターゲット(目標)を設定したと受け止めている」と歓迎した。

 新聞報道では、FRB(米国連邦準備制度理事会)が導入したインフレ目標は、達成できなかった場合の報告義務などはなく、「目標(ゴール)」と表現されている。

 そしてこの「ゴール」は、英国のイングランド銀行などのように達成期間が示され、理由や分析などの報告義務がある「目標(ターゲット)」とは違うと説明し、「日銀の枠組みはFRBに近い」という白川方明日銀総裁をサポートしている。

 今回の措置は何もしないよりましである。ただし、FRBと比較して、腰が引けている。

 批判は日銀が責任回避できるような言い方にしているということが主ですが、「ないよりまし」と「円安になんてすぐに出来る」の両立は苦しいです。


 日経ビジネスオンラインの続きを行きます。


高橋:為替レートは、ベースマネーにおける米ドルの量と日本の円の量で決まるだけです。円の量を増やすと、円がドルの量より相対的に多くなって円安になる。日本の円を分母、米ドルの総量を分子にして割り算すると大体為替が分かる。ソロスチャートとも、マネタリーアプローチとも呼ばれている。簡単に計算できるように丸めた数字で言えば、中央銀行の資金供給量を比較すると、日本が今大体140兆円ぐらいで米国が2兆ドルぐらい。でこぼこがあるけど、大体140兆円と2兆ドルで割り算すると70円。

 1ドルを100円程度にしたかったら140兆円のマネタリーベースを200兆円に増やせばいい。マネタリーベースの定義は日銀券+当座預金です。当座預金を入れないで計算する人もいますが。米ドルでも定義は同じです。これで半年から1年の間に、7割程度の確率で100円になる。この間の日銀の10兆円の資金供給枠も、2兆ドルで割り算すれば5円ぐらい動くでしょう。これを知らないで政権運営してはいけないぐらいの話だと思いますけれど、今の政権の人は知らないのでしょう。

――日銀がお金を刷れば、経済は成長するのでしょうか?

高橋:その通りですよ。人間はおカネが好きでしょう。おカネ見せられたらよく働きますよ。よく識者の人たちが引き合いにするスウェーデンや英米と日本の違いは、社会保障制度だけでなくマクロ政策をきっちり実行している点です。国債引き受けにしろ、ほどよく実施すればいいのです。そんなに心配なら日銀法を改正してインフレ目標を作るべきです。

 私の以前書いたものは「そもそもベースマネー(マネタリーベース)を増やしてもマネーサプライ(マネーストック)が増えていないよ」って話だったのですけど、この話ではマネーサプライ、世の中の実際のお金がどうなろうがお構いなしみたいです。そりゃ、計算できるのですごく楽です。

 そして、結果も「インフレになるよ」って主張ではなく、「円安になる」という主張が主体となっています。私の想定していたのと違うので、前回のは参考になりませんね。


 興味があったのはマネタリーアプローチ。

 でも、検索して出てきたのは個人のサイトで、なおかつネガティブなことを言わなくちゃいけないのでリンクしづらいなぁ……。


 皆さんが見えないのに話だけするとわけわからないとは思いますが、図を見ると1987年から2001年くらいまでは確かによく相関しているのです。これはお見事です。

 しかし、肝心の量的緩和政策を行った時期はほとんど為替レートに変化がない……どころか、やや逆転して円高進行しています。

 この円高から、3年くらい経ってやっと少し円安かな?と思いますが、連動とは言えないシロモノです。

 説明によれは途中でやめたのが悪いってことですが、それにしても効果なさすぎです。

 高橋洋一さんの言葉である"2月14日に日銀が金融緩和と「インフレ1%メド」を掲げた後の為替の動きを見れば、円安になんてすぐに出来る"とも合いません。こちらは実施前から動いてしまっています。


 一方、アメリカの量的緩和政策の時期は、ある程度連動しているようにも見えます。

 しかし、こちらは時間差なく瞬時に発動しており、日本の量的緩和と整合性が取れません。途中でやめるとかやめないとか関係ありません。


 説得力ないなぁ……。


 あと、マネタリーアプローチの定義自体がマネタリーベースではなく、マネーサプライで算出するとしているところもありました。

 前回で見た通り、両者は比例していると言われながらも現実には比例していなかったので、マネタリーアプローチのグラフはまた違ったものになると思われます。


 記事の続き。

――森信さんは連載2回目で、(経済成長すれば増税はいらないとの主張は)「マネーを供給しても金融機関は企業にお金を貸さない、企業も収益の上がる事業をなかなか見つけられないという状況に目をつむっている」とおっしゃってましたが。

 これは量的金融緩和の効果は? ~マネタリーベース、マネーサプライの変化を見る~などの私の指摘と同じです。
 

高橋:円安なら GDPが増えるとさきほど言いましたね。少し理論的な話ですが、お金を刷ると半年ぐらいの間に予想インフレ率が上がる。その間、日銀がしっかり運営していれば、名目金利は一定で推移します。すると「名目金利-予想インフレ率」、つまり実質金利が下がるでしょう。実質金利が下がると半年から1年ぐらいの間に企業は設備投資を増やします。最初はお金が余っているから、ほとんどの企業は内部留保で済ませるでしょう。内部留保がなくなってきて初めて銀行借り入れが増えるのですが、これが2~3年の間に起こります。過去の例で見ても銀行貸し出しは一番最後、景気が上向き出してから伸びてくる。これは政策の効果ラグといって、きちんとした計量分析で分かっています。

 FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長はそれを分かっているから、リーマン危機の時にお金をガシャーンと刷った。私はその時3年ぐらいで景気回復すると主張したけれど、実際に回復しました。こんな話は論争の対象でなく既に結果が出ていることです。日銀を擁護してきた人も、最近は黙るしかないんじゃないですか。
 
 これ円安を前提にしていますけど、だからそもそも日本の量的緩和では円安になっていないのです。

 細かく言えば高橋洋一さんのいた2005年頃は円安なんですけど、マネタリーベース激増は2001年ですからね。2005年頃のマネタリーベースは全然増えていません。

 円安になるのもタイムラグ……となると、前述の通りアメリカの例と合いません。


 この記事の後半はまた大賛成の内容だったのでまた紹介しますが、とりあえず、マネタリーアプローチは到底納得できる考え方ではありません。


 関連
  ■マネタリーベース、マネーサプライ(マネーストック)とは? ~量的金融緩和政策の意味~
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