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上杉隆夕刊フジ記事で発言捏造なら、訂正して終わりとはならない


 もう上杉隆さんに関しては書かないかなぁと思っていたのですが、何か知らないうちに大ごとになっていてびっくりしました。


 問題の記事は産経新聞系の夕刊フジに載ったもので、産経新聞系の記事を扱うウェブページだと【原発崩壊】“放射能汚染”の真実…人体への危険性減らず★(2)(2012.03.14 ZAKZAK)ですが、問題の部分は既に訂正・削除済みです。

 東京電力福島第1原発から外部に放出される放射性物質は、毎時7000万ベクレルを超えている。今年1月の話である。仮に3・11前にこの数値だったら、日本中が大騒ぎだろう。

 だが、いまの日本ではこのニュースが大きく取り上げられることはない。逆に、政府は「復興支援」ばかりをうたい、マスコミは原発事故による放射能の問題は存在しないような雰囲気作りに協力している。

 とりわけ、それは福島県の2つの県紙「福島民報」「福島民友」などで顕著だ。

 「除染元年 うつくしま、福島」

 国と同様、福島県でも行政と報道による「官報複合体」が一体となって、こうしたキャッチフレーズを駆使し、「福島の真実」から県民の目を背けようとしている。

 福島での環境への放射能汚染、とりわけ人体への被曝の危険性は減っていないにも関わらずだ。

 また2月、筆者が、郡山市役所前で測った地上1メートルの空間線量の値は毎時1・8マイクロシーベルトを超えた。一方、同じ日「民報」「民友」では、同じ地点での線量が0・6マイクロシーベルトとなっている。

 公の発表と私の測定値が、なぜこうも違うのか。ちなみに私の使っている測定器は日立アロカ製、政府や福島医大の使っているものと同種である。

 「だって、あの発表の数値は、測定前に水で地面を洗って測っているんです。違うのは当然ですよ」

 地元の放送記者が種明かしをする。もはやジョージ・オーウェルの「1984年」の世界だ。

 「もう、そんなことを指摘する人もいません。いくら言っても放射能がなくなるわけではないですから」

 事実を伝えなくてはならない記者ですら、こうである。現実を直視する者が奇異な目で見られる-。哀しいかな、それが「福島の現実」なのである。

【訂正】3月13日発行の夕刊フジ、上杉隆氏「原発崩壊」の連載記事(2回目)で、ウォールストリート・ジャーナル記者の発言はありませんでした。削除しました。

 ■上杉隆(うえすぎ・たかし) メディアカンパニー「NO BORDER」代表、元ジャーナリスト。1968年、福岡県生まれ。テレビ局、衆院議員秘書、米紙東京支局記者などを経て、フリージャーナリストに。政治やメディア、震災・原発事故、ゴルフなどをテーマに活躍した。著書に「官邸崩壊」(新潮社)、共著に「報道災害【原発編】事実を伝えないメディアの大罪」(幻冬舎新書)など。社団法人自由報道協会代表。

 どうでもいいんですけど、経歴にまだ「米紙東京支局記者」って書いているんですね。上杉隆さんも夕刊フジに抗議すりゃいいと思うんですが、都合の良い間違いだからその気はないのかも……。


 内容の方に行きます。

 実はこの記事、訂正部以外でも疑惑だらけのようですけど、とりあえず、ここではウォールストリート・ジャーナル記者の発言についてだけ。

 訂正前のキャプチャによると、以下でした。


(前略)

 「除染元年 うつくしま、福島」

 国と同様、福島県でも行政と報道による「官報複合体」が一体となって、こうしたキャッチフレーズを駆使し、「福島の真実」から県民の目を背けようとしている。

 福島での環境への放射能汚染、とりわけ人体への被曝の危険性は減っていないにも関わらずだ。

 「信じられない。とてもではないが、人が生活できるような数値ではない」

 米ウォールストリート・ジャーナルのエリー・ウォーノック記者と、セーラ・ベルロー記者はあきれたようにこうつぶやいた。

先週、福島から東京に戻ったばかりの筆者が、2人の米国人記者に、原発から50キロ以上離れた福島市と郡山市の空間線量の値を伝えた時の反応がこうである。


 また2月、筆者が、郡山市役所前で測った地上1メートルの空間線量の値は毎時1・8マイクロシーベルトを超えた。一方、同じ日「民報」「民友」では、同じ地点での線量が0・6マイクロシーベルトとなっている。

 公の発表と私の測定値が、なぜこうも違うのか。ちなみに私の使っている測定器は日立アロカ製、政府や福島医大の使っているものと同種である。

(後略)

 夕刊フジの訂正では触れられていませんが、そもそもタイトルが「【原発崩壊】"放射能汚染"の真実…福島、郡山市に人は住めない」でしたので、こちらも訂正となっています。

 通常記事タイトルは作者でなく編集側で決めるはずで、もし今回もそうであれば記事中で根拠の示されていないものを元にタイトルを決めた産経新聞社も問題が大きく、大いに責められるべきです。


 発言については、この問題を最初に目にしたところでは「捏造」と断定されていて、実際はどうなのかな?と読み始めました。

 上杉隆さん自身はどうおっしゃっているんですかね?上杉隆vs町山智浩inニコ生の秀逸なまとめと公開質問状の答え合わせの感じなら、「産経新聞社・夕刊フジが悪い」「ウォール・ストリートジャーナルの記者が悪い」と言いそうなものですけど……。

 一応、

上杉隆 / Takashi Uesugi
‏ @uesugitakashi

お詫びして訂正します。m(__)m RT @kishaburaku: 【マスコミ】上杉隆氏の夕刊フジの記事【原発崩壊】に誤りがあり、訂正 http://bit.ly/GKvthx

2012年3月22日 - 16:34

http://twitter.com/#!/uesugitakashi/status/182732078562021376

 というように、今回は訂正を認めています。

 しかし、具体的な説明は一切なく、どこがどういう風に間違っていて、どんな理由で訂正しなくてはいけなかったかが全くわかりません。


 ZAKZAKでは「ウォールストリート・ジャーナル記者の発言はありませんでした」としていました。これは発言自体が存在しないものだったという書き方であり、確かに捏造認定されるのもわかります。

 もしそうであれば、個人の発言を勝手に作り出して好きなことを言わせるものであり、これもどうしようもないレベルで酷い行いです。

 どのように間違っていたか説明する必要があります。


 この問題に関して、朝日新聞の新党日本に関する捏造事件(Wikipedia)を引き合いに出されている方がいました。

朝日新聞の新党日本に関する捏造事件(あさひしんぶんのしんとうにっぽんにかんするねつぞうじけん)は、2005年に起きた朝日新聞の記事捏造事件である。朝日新聞社では虚偽メモ問題(きょぎメモもんだい)と呼んでいる。


事件概要

郵政民営化法案をめぐって8月8日に衆議院が解散され、各政党が総選挙に向けて動き出した時期に事件は起こった。

自由民主党の公認を得られなくなった亀井静香と当時の長野県知事である田中康夫が新党を立ち上げるという噂があり、朝日新聞東京本社は朝日新聞長野総局(長野市)に対して何か情報を得ていないか問い合わせた。これに対して長野総局の記者が取材をしていないのにも関わらず、田中の過去の発言を元に虚像の取材メモを作成。このメモから、東京本社の政治部記者により亀井と田中が新党日本立ち上げに向けてどのような行動をとったのかについて書かれた8月21日朝刊の記事が作成された。

8月21日の記事では、亀井と田中が「長野県内で会談した」としていた。

8月23日の長野県知事定例会見で田中が、長野県内ではなくて「東京都内で会談」したのであり、記事が事実ではないことを指摘し発覚した。

8月29日に朝日新聞は記事に誤りがあることを認め、亀井と田中に謝罪した。長野総局の問題の記者は懲戒解雇された。また、30日朝刊に事件の経緯とおわびを掲載した。31日朝刊社説でも事件について述べている。前社長で朝日新聞社取締役相談役の箱島信一は日本新聞協会会長を10月中に辞任すると表明した。その後、2006年12月1日付けで、この事件などの不祥事をきっかけとして組織再編を行なった。また、「朝日新聞記者行動基準」を発表した。


事件に対する反応

朝日新聞は捏造を認めた後、記者会見をせず報道各社に経緯を書いたファックスを送信しただけで済ませたため、その姿勢に批判が集中した。その後、対応の誤りを認めて謝罪した。

 上杉隆の名言集「一回嘘ついたら終わりなんです。嘘は一発で終わり」などで上杉隆さんが、

「アメリカの、海外の新聞は何度間違えてもいいんです。間違えないほうがいいんだけど。ただ、一回嘘ついたら終わりなんです。嘘は一発で終わり」

 と言っているという話はしましたが、日本でも記者が解雇された例はあるようです。(上杉隆さんの当時の発言自体はTBSを非難したものでした)

 朝日新聞社は最初、批判が集中する姿勢だったものの、それで済むはずがなく、上記のような大きな事態になりました。


 上杉隆さんはもちろん、所属記者ではないとは言え夕刊フジにしても、産業経済新聞社にしても、扱いが軽すぎます。既に指摘したように、タイトルに関しては産経新聞社の落ち度である可能性もあります。

 私が夕刊フジで上杉隆さんの記事を載せる立場であっても、実名を出しているのにまさか発言の捏造までするとは思いもよらなかったでしょうが、こうなってしまった以上、それなりの行動を取らないわけにはいきません。

 「ウォールストリート・ジャーナル記者の発言はありませんでした」という書き方を文字通りに受け取れば、これははっきり言ってこれ以上ない悪質な捏造というレベルです。

 記者の実名を出していることからして、それに近い何らかの発言があったのではないかと思いますが、そうであるにしてもやはりどれくらいの誇張だったかを説明する必要があります。


 上杉隆さんにしても、産経新聞社にしても、まずはしっかりとした説明と検証、それに応じた対処が必要です。数行のお詫びを末尾に載っけて済ますような話ではありません。


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  ■上杉隆vs町山智浩inニコ生の秀逸なまとめと公開質問状の答え合わせ
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