2012/3/28:
1件当たり約14万円で37億円かかっている国土交通省の地価公示制度
地価公示は「正常な価格」を公示する制度だから必要?
海外にない日本独特の制度、なぜ日本だけ必要なの?
地価公示への批判は的外れという反論もたくさん!
●1件当たり約14万円で37億円かかっている国土交通省の地価公示制度
2012/3/28:
もうやめるべき地価公示 予算37億円、調査地点1件につき約14万円(2012/3/23 RBAタイムズWeb版)では、国土交通省による地価公示を行う制度について、「もうこの制度を廃止してはどうか」としていました。
"来年度予算要求にも公示地価だけで約37億円が盛り込まれている"ということで、非常にお金がかかっています。お金がかかっているように見えるだけで実際には割安か?というと、そうでもないようです。
調査地点は今年が2万6000地点だから、単純に計算して1件当たり約14万2000円。実際の調査地点1地点についての不動産鑑定士への報酬は公開はされていないが6万円台とされています。これだけお金をかけるのなら、全額被災地復興関連にまわすべきではないか、ともしていました。
●地価公示は「正常な価格」を公示する制度だから必要?
地価公示は、毎年1月1日における標準地の「正常な価格」を公示する制度だそうです。その価格は、一般の土地の取引に対して指標を与え、公共事業などの算定基準とされ、適正な地価の形成に寄与するのが目的だとのこと。
こう聞くと必要そうなのですけど、この「正常な価格」というのがよく分かるようで、まったく分からないと筆者は指摘。
また、適正な地価の形成に寄与などしてこなかったのも事実だとしていました。バブルの発生、崩壊の局面では、地価公示は遅行指標であるためにまったく無力どころか、上昇局面では地価上昇を追認し、あるいはあおり、下落局面では下支えする役割を果たした、としています。
また、国が価格を出さないとわからない…というものでもなさそうです。最近は、大都市圏だけだが三井不動産販売や野村不動産アーバンネット、東急リバブルなどが土地や中古マンション、中古戸建てを対象に定点観測を行い、定期的に発表しているとのこと。地方の地価も、全宅連(社団法人全国宅地建物取引業協会連合会)系の地場の不動産会社でわかるのではないかとしていました。
●海外にない日本独特の制度、なぜ日本だけ必要なの?
あと、気になるのは、諸外国ではどうしているのか?という話です。仮に海外でないのであれば、この制度がないせいで不都合が生じていたりするのでしょうか?
早速、
Wikipediaを見てみると、"日本「独特」の公示地価制度"とありました。やっぱり海外ではないみたいですね。
日本「独特」の公示地価制度は、土地の財としての性質の特殊性[土地の財としての性質 1]、それに関連して現実の取引において情報の非対称性(取引当事者の持つ情報の格差)等を含む特殊な取引事情が見られることに深く関連している。日本の場合、プライバシーや守秘義務に関する懸念、現実の取引価格の正常性への懸念(適正な価格を形成する市場を持つことの困難さ)等から、土地の取引価格情報の公開が進まず、鑑定評価の手法により求められた適正な価格を公示して指標とするという制度が整備された歴史がある[他国における情報公開 1]。日本不動産鑑定協会は、本制度を「世界でも珍しく、これこそ我国独特の文化と言えましょう」としている。
* 土地の財としての性質
1. ^ 特に、個別性と用途の多様性が挙げられる。また、日本の法令では、土地と建物が別個の不動産(財)と位置づけられ、土地とその上の建物を一体で取引する場合でも、消費税等課税の必要から土地建物の内訳価格が契約書上表示されることが多いことも、背景に挙げられる。
* 他国における情報公開
1. ^ 登記の際に取引価格を登記事項にするなどして、不動産取引価格の情報を確保し、公開している国等もある(イギリス、フランス、オーストラリア、香港、シンガポール等)
よくわかんないですけど、日本では必要だよってことでしょうか。地価公示制度の有無によってどのような差が起きているかを分析することで、地価公示が必要であることを示すこともできると思うんですけど…。
●地価公示への批判は的外れという反論もたくさん!
制度への批判はWikipediaだとほとんどありませんでしたが、出ていたのは下記の部分くらいです。
日本不動産鑑定協会は、「最近マスコミ等で地価公示価格について種々な意見が寄せられています」と認めている。制度に関する個々の議論は百科事典の範疇から外れるため、ここでは、新聞の社説で特徴的なものを1つ挙げる。
* 2004年3月23日付毎日新聞「地価公示・何のために誰のために」
「(土地が)値下がりしている時代に(中略)更地には価値がない」「どうやって地方都市の地価が鑑定(評価)されているかは(取材範囲外で)謎だ」「金融技術を利用した不動産投資が活性化している。地価公示は、(中略)廃止するかの岐路に立たされている」
「制度に関する個々の議論は百科事典の範疇から外れる」って但し書きは、初めて見ました。Wikipediaでも代表的な賛成・反対意見などを載せるのは一般的ですし、載せたら変だと思っている方が変です。Wikipediaは両論併記がデフォルトですので、むしろ積極的に載せるべきでしょう。
ということで、もう少し批判に関するものを探そうと思ったのですが、批判は的外れという反論の方がたくさん出てきました。ここらへん読み進めるとドハマリしそうで、そこまで深入りするつもりはないんですけど、わからないことだらけです。
最初の記事では「適正な地価の形成に寄与などしてこなかった」と断言していましたけど、これは寄与したという証明も、寄与していないという証明も難しい気がします。
ただし、証明する必要があるのは、ある制度が必要だと言う側。「地価公示が必要ない証拠を示せ」ってのは、「幽霊はいる」と主張する人が「幽霊がいない証拠を示せ」と言うようなものですからね。特に海外にない日本独特の制度であれば、なおさらその制度の意義をデータ的に示す必要があるでしょう。
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