赤字続きで“国を滅ぼす”とまで言われたオリンピックをドル箱のスポーツイベントに変えたのも、ピーター・ユベロス氏によって企業による協賛活動に革命がもたらされたためです。 露出効果の高いスポーツイベントは、企業の協賛活動としてもうってつけで、例えば、北米市場における企業によるスポンサーシップ活動の約7割がスポーツを通じた協賛活動になっています。 |
日本は欧米に比べてタバコやアルコールに対して比較的寛容な国だと言われます。私も仕事で日米を行き来する機会が多いので、これは実感としてよく分かります(日本が寛容なのか、欧米が厳しすぎるのかは議論が分かれるところだとは思いますが)。アメリカでは、タバコ会社がテレビCMを出すことは既に 1971年に法律で禁じられていますし、その看板広告をスポーツ会場(テレビに映る場所)に掲出することも自粛されています。 |
逆に、今やテレビではタバコによる喉頭がんが原因で声帯を失った人が出演して禁煙を呼びかけたり、タバコが原因で死亡した人の臓器を解剖して見せ、「タバコを吸うと死に至ります」というメッセージを伝えるかなり直接的でグロテスクなCMが流されているくらいです。 世界の大都市はたばこ問題に神経質で、米国でも最も厳しいとされるニューヨーク市は交通機関、レストラン、オフィスビル、スポーツ施設などの公共の施設では全面禁煙となっています(屋内には喫煙スペースすらない)。さらに、昨年は受動喫煙の被害防止の観点から、禁煙エリアがタイムズスクエアやセントラルパークなど市内約1700の公園やビーチにも拡大されました。 |
米下院は12日、たばこメーカーを規制する強力な権限を米食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)に付与する新たなたばこ規制法案を賛成307、反対97の圧倒的多数で可決した。 過去数十年にわたりたばこ業界から強硬な反対を受けてきた新法案は、同日中にバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が署名して成立する予定。 オバマ大統領は同法案が可決されたことは「勝利」だと語り、「米政府の変化を明らかにに示すものだ」と述べた。また、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)米下院議長は今回の新法を「歴史的」と評した。 同法により、ニコチン含有量の制限 風味の添加の禁止、若者を対象とする広告に健康への影響に関する警告を記載することを義務化する権限などがFDAに与えられる。 また10代の未成年者の読者が多い出版物へのタバコ広告が厳しく制限されるほか、タバコが健康に与える影響の印象を和らげる「マイルド」「ライト」といった単語の使用が禁止される。 さらにFDAに学校や遊び場から1000フィート(約305メートル)以内にタバコの屋外広告の設置を禁じる規則の施行を求め、タバコのブランドがスポーツやエンターテイメントのイベントのスポンサーになることもできなくなる。 |
年12月1日付のワシントン・タイムズ紙に「タバコ会社によるスポーツ協賛が日本のオリンピック招致に暗雲をもたらす」(原題:Tobacco sponsorship of sports could doom Japan’s Olympic bid)という記事が掲載されました(ワシントン・タイムズ紙はワシントンDCを中心に流通する地方紙で、有力紙ワシントン・ポストの7分の1程度の発行部数とされる)。 ご存知のように、日本は2020年のオリンピックに向けて招致活動を展開していますが、記事は昨年11月に東京で開催されたバレーボールのワールドカップ大会を引き合いに出し、タバコ会社の協賛活動に寛容な日本の自治体やスポーツ界の土壌がオリンピック招致活動にマイナスの影響を与え得ると指摘しています。 記事が問題視しているのは、日本たばこ産業(JT)社が大会スポンサーとして協賛活動を行っている点です。(中略) 東京都の石原慎太郎知事も、3月23日の記者会見で五輪東京招致に向け、受動喫煙防止に向けた条例制定を検討する考えを示したようです。 米国スポーツ界の常識から見れば、タバコ会社の広告に囲まれて試合を行う各国の一流選手の映像が世界中に放映されることは“あり得ないこと”になります。日本の常識が世界の常識とは限りませんので、注意が必要です。 記事も指摘していますが、日本は2004年の世界保健機構(WHO)第56回総会で採択された「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」を批准しています。同条約ではスポーツイベント等でのたばこ製品の宣伝やプロモーションといった協賛活動は禁止されており、WHOは国際バレーボール連盟に対してワールドカップ日本大会での協賛活動について遺憾の意を伝えるとしています。 |
これに対して、日本バレーボール協会は「JT社の協賛活動は飲料カテゴリのものである」という見解を示しています(同社はコーヒーや炭酸飲料などのソフトドリンクも販売している)。JT社も、同紙からの取材に対して「バレーボールの協賛活動において、たばこブランドや製品の広告は一切行っていない。日本の法律やバレーボール協会の規約にも何ら違反していない」と反論しています。 |
ブログ内 | ウェブ全体 |
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ |