2019/01/06:
●ロイヤルホスト系キャッシュレス店舗の挑戦
●人とのコミュニケーションがないことをむしろ喜ぶ人もいる
●「現金を使えないとは、どういうことだ」などのクレーム
●でも現金お断りは違法?通貨支払いを拒めない「強制通用力」というものがある
●キャッシュレスはメリットだらけでむしろ接客も向上
●キャッシュレス店舗の巨大なデメリットとは?
●あえて冷凍モノの調理をオープンに見せる店舗を出す理由
2020/12/19:
●キャッシュレスは使わない!現金派に聞いた理由、ダントツ1位は?
●現金派の人も実は現金の不便さやデメリットが気になっている?
●ロイヤルホスト系キャッシュレス店舗の挑戦
2019/01/06:ファミレスチェーン「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングス(HD)は2017年11月、現金お断りの店「GATHERING TABLE PANTRY(ギャザリング テーブル パントリー)」をオープンしていたとのこと。全然知りませんでした。
このお店には、「日本を変えるために、キャッシュレスの店をつくろう」といった大義があった…わけではありません。現場の負荷をどうすれば軽減させることができるのかという課題を解決するために、実験店としてオープンさせたものだとのこと。これでも十分志の高い素晴らしい目標ですけどね。とりあえず、キャッシュレスだけの実験店舗ではないそうです。
現場の負荷軽減が目標ということで、新しい調理機器を導入して、キッチンで火や油などを使わなくてもいいように。また、掃除はロボットに任せたり、ペーパーレスにしたり。生産性を向上させるだけでなく、働き方改革の一環として、やっているお店だそうです。
(
「現金お断りの店」は、その後どうなったのか? ロイヤルHDの実験 - ITmedia ビジネスオンライン 2019年01月02日 09時25分 公開
[土肥義則,ITmedia]より)
●人とのコミュニケーションがないことをむしろ喜ぶ人もいる
主要なクレジットカードや電子マネーのほかに、QRコード決済にも対応。タブレット端末を使って注文することができるので、店員に声をかける必要はなし。会計の際もテーブルに座ったまま操作すれば、おしまい。さらに店員を呼ぶときも端末から行えるので、声かけは一切要りません。
私は苦にならないものの、これらが苦手という人は多くそういった需要もあるでしょう。接客や人の温かみを売りにすることが多いのですけど、現実には人とのコミュニケーションが苦手という人が結構います。「店員さんを、すんませーん、呼ばなくていいのが楽。だから、ついついドリンク頼みすぎちゃう」という反応もありました。
人がやっていたことをロボットに置き換えることに対して、クレームは出るでしょう。そういう人もいます。ただ、逆にそっちの方が人間と接するより良いという人もいるのです。棲み分けして行けば良いのではないかと思います。
●「現金を使えないとは、どういうことだ」などのクレーム
ただ、棲み分けとは言っても、現実には文句をつけたくて堪らないというヤクザな人はいます。「否定的な意見をたくさんいただきました」として、「現金を使えないとは、どういうことだ」「クレジットカードや電子マネーを持っていないので、店を利用できないじゃないか」といった声があったとのこと。
しかし、10日ほどたつと、「日本にもとうとうキャッシュレスの店ができたんだ」「一度、利用してみたい」などの、肯定的な声が届くようになったとも言っていました。
とはいえ、会計する際に現金しか持っていない人がいる可能性はあるでしょう。社内からは「現金を用意したほうがいいのでは」「次回、支払ってもらえればいいのでは」といった意見があったとのこと。私もそう思いました。
ところが、蓋を開けてみると、トラブルはゼロ。タブレット注文の際に「当店は現金を使用することができません」といった文言が表示され、キャッシュレスでも問題がなければエンターキーを押して、注文することができるというしくみのためとの説明。これでもいいがかりをつけたい人や、注意力がない人はトラブルを起こしそうですけど…。
●でも現金お断りは違法?通貨支払いを拒めない「強制通用力」というものがある
なお、現金お断りは違法ではないか?とクレームをつける人もいると思われます。日本には「通貨」を用いて支払いをした場合、お店(債権者)はその受け取りを拒めずに、支払いが有効になる「強制通用力」というものがあるそうです。
「強制通用力」の話だけすると、クレーマーが法的に正しいかのように見えます。しかし、上田孝治弁護士によると、契約が成立する前なら、当事者同士で支払方法を決めること自体は強制通用力とは関係なく許されているとのこと。契約にあたって、支払方法などを当事者間で自由に決めることができる「契約自由の原則」というものがあるのです。
(
キャッシュレスの店で「現金で支払わせろ」とクレーマー 法的に軍配が上がるのは? - 弁護士ドットコム 2018年05月28日 09時57分より)
記事では指摘がなかったものの、ネット通販などはそもそも現金以外のやり取りが主流ですよね。着払いのように、現金を使うチャンスがある決済手段もありますけど、それを用意していないお店もあります。なので、私は当然キャッシュレス店舗も全く問題ないと思っていました。
ただし、支払の段階になってはじめて、お店側が「現金不可」と一方的に要求しても通らないとのこと。「現金不可」という前提で契約をする場合には、お店側が「現金不可」であることを明確にお客さんに示して、あらかじめお客さんの承諾をとっておくことが必要だそうです。
ロイヤルホールディングスのやり方の場合は、あらかじめ確認を取っていますので問題ないでしょう。よほどわかりづらいものでなければ、「よくわからずに注文してしまった」という言い訳は有効とされないと思われます。良いシステムにしましたね。
●キャッシュレスはメリットだらけでむしろ接客も向上
このロイヤルホールディングスの話に再び戻りましょう。私も商売をするならキャッシュレスにしてみたいと思いますが、これは非常にメリットが大きいです。最初の記事では、以下が挙げられていました。
・キャッシュレスの店はお金がないので、金庫がない。セキュリティ管理に気を使わなくて済む。
・釣り銭を準備して、入金をして、売り上げを管理するのに1日に40分かかるが、それに時間を取られない。本部への報告でよく起きる人為的ミスがない。
・売り上げの伝票はいらないし、入金帳も不要で、報告書もないため、ペーパーレスに。
なお、仕事から解放されたことで、店長や責任者は「接客にチカラを入れることができるようになった」と言っていたとのこと。人間との接触を減らすことで、むしろ接客のレベルが上がるという現象が起きるのかもしれません。
●キャッシュレス店舗の巨大なデメリットとは?
一方で、キャッシュレス店舗には、めちゃくちゃでかいデメリットもありました。客数は徐々に増えているのですが、現金を使えるようにしたら売り上げは倍になるかもしれないとのこと。つまり、現金お断りのお店は現状あまり流行らないのです。そういえば、ネット通販でも、現金で買う着払いが人気の高い決済手段だとされていました。
この問題は、今やっている新業態ではなく「ロイヤルホスト」の方で、現金お断り店をつくる予定はありますか?という質問への解凍でも出ていました。
「ないですね(きっぱり)。キャッシュレスにすると、間違いなく売り上げが下がります。2割ほど落ち込むのではないでしょうか」
これは、ロイヤルホストでは現状8割が現金で決済されているからといった理由があります。新店舗ではなく、途中で変えるというのは、困難が伴うでしょうね。
また、キャッシュレスは割り勘に不向きというデメリットもありました。割り勘であれば、現金の場合が早く、「1人、1080円ずつです」「はい、お釣りは20円です」といった感じで、融通が効きます。
●あえて冷凍モノの調理をオープンに見せる店舗を出す理由
キャッシュレスの話とは異なるのですけど、おもしろかったのが、検討している2号店の話。冷凍モノよりも料理人が調理したモノのほうがおいしい、といったイメージがあるにも関わらず、冷凍モノを使った調理過程を見せたいとしていました。
キッチンをオープンにして、「テクノロジーのチカラを使えば、こんな料理もつくることができる」といったことを分かっていただければ、としていました。最新の技術を使えば、料理人がフライパンを使ったかのように、油であげたかのように、鉄板で焼いたかのように、味を再現することができる、とのこと。
また、実際にお客さんが手を動かせば「このような料理ができる」といった体験も楽しんでいただければなあ、とも。実際に客に料理させたらおもしろいお店だと思うのですけど、これもたぶん見て楽しむってことでしょうね。
調理過程を見せるというのは、うどんの丸亀製麺が成功した理由とされていました。おもしろいと思います。ただし、やはり人がやっていない…という悪いイメージは大きいでしょう。人間は味を正確に判断することができず、情報の強い影響を受けることがわかっています。
そういう意味で言うと、
ロボットの接客は愛される 日本の変なホテル以外に米国でも成功で出てきたハウステンボスの「変なレストラン」の発想は良かったです。ペラペラ喋ったり、無駄な動きをしたりと調理ロボットにエンターテイメント性を持たせていました。
ロイヤルHDの人は真面目な印象であり、こういったアプローチを取らないと思いますけど、本当でしたらこういった面も検討してほしいところです。
●キャッシュレスは使わない!現金派に聞いた理由、ダントツ1位は?
2020/12/19:Office Withが、キャッシュレス決済と現金払いに関する調査結果を発表しました。これは、調査の対象がおもしろいですね。現金派である男女560名(年令問わず)を対象にインターネットで行われたものとのこと。キャッシュレス派を含まず、現金派に限った調査。変わった感じがしますが、現金派の考えというのは重要ですから、良い視点だと思います。
まず、現在も現金払いを続けている理由を教えてもらったところ、「お金の管理がしやすい」(181人)が断トツのトップでした。ただ、私はこの「お金の管理がしやすい」が具体的にどういうことなのかよくわからず。データ化されているキャッシュレスの方がむしろ使用金額・残金の管理が楽な気がするのですが、たぶんそういうことじゃないんでしょうね。
次に多かった理由は、「発行やQRコード決済の登録が煩雑」で84人。そして、さらに次となると、50人以下であり、1割以下の少数意見。とりあえず、「セキュリティに不安がある」「使いすぎてしまう」「現金払いに慣れている」(ともに39人)、「お金を使っている感が薄れるから」(34人)といった理由が出ていました。
(
現金派がキャッシュレスに移行しない理由、1位は? | マイナビニュース 2020/12/15 09:18 より)
●現金派の人も実は現金の不便さやデメリットが気になっている?
現金払いを続けている理由1位の「お金の管理がしやすい」は、キャッシュレスのデメリットとも言えます。現金払いのメリットを聞いてもやはり、「使いすぎない」(230人)ことや「お金の動きが見える・管理がしやすい」(200人)に回答が大人気に。あと、ここを読んでいて、「お金の管理がしやすい」がしやすいというのは、財布の中のお札の厚みで使用金額・残金を感覚的に把握して、「お金の動きが見える」ということなのかな?と想像しました。
一方、現金払いで感じる不便・デメリット等についても聞いています。こちらは「ポイントや優待がない」(202人)が圧倒的に多くなりました。私もこれがキャッシュレスの一番の魅力ですね。また、「支払いに時間がかかる」(95人)、「常に財布を持たなければいけない・重い」(56人)、「不衛生⇒コロナで増加傾向」(56人)、「手持ちの現金以上の買い物ができない」(50人)などが出ています。
1位の「ポイントや優待がない」は202人と多かった他、50人以上になった回答が「現在も現金払いを続けている理由」より多いことからすると、現金派の人ですら現金にデメリットが多いとは感じているのかもしれません。意外なことに、むしろキャッシュレスのメリットが感じられる調査結果になりました。
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