株式会社安愚楽牧場(あぐらぼくじょう)は、栃木県那須塩原市に本社をおく和牛預託商法最大手の畜産会社。 概要 「繁殖母牛に出資すれば毎年生まれる子牛の売却代金で多額のリターンが望める」という触れ込みで、出資者から金を集めるオーナー制度の最大手。 栃木県、北海道、宮崎県などで38ヶ所の直営牧場を運営し、黒毛和牛をはじめとする肉牛13万3386頭(預託農家346戸分を含む)を飼育している為、実態があるかのように見え、詐欺であることの発覚が遅れ、被害者数・被害額共に他の和牛預託商法を大きく上回ることになった。 商号は明治初期に「胡坐鍋」とよばれた牛鍋をたのしむ庶民のすがたをえがいた仮名垣魯文による小説『安愚楽鍋』からとられている。 |
経営 決算の問題点 オーナーからの入金は全て会社の売上に計上。満期で解約してお金を戻す時は、仕入で計上している為、オーナーの再売買請求権の金額が貸借対照表などの帳簿に全く計上されておらず、オーナーからの債務総額が正確に把握されていなかった。 決算は公認会計士による監査を受けておらず、税理士のみがチェックしたものを公表していた。 また、売上のうち肉牛出荷(出荷牛売上)などの本当の売上は近年は5年連続で減少して、年間160~240億円前後に留まったのに対して、本来は投資や借入に当たるオーナー向けの売上(飼育牛売上)は5年連続で増加するなど、通常の畜産事業としては矛盾した営業成績であり、事実上破綻状態にあった。 自転車操業 監査法人が破綻後に2002年(平成14年)4月 - 2011年(平成23年)3月の収支(9年分)を調査した結果を発表している。 (中略) 「オーナーへの配当(子牛代)」1,505億円だけで本来の畜産事業売上額である「肥育牛出荷など」2,132億円の75%近くに達しており、事業収益からの配当でなかったことは明白である。 結局はオーナーへの支払額合計5,407億円は、オーナーからの契約金収入6,164億円から回されていたことになり、典型的な自転車操業という状態であったことが明らかに成った。 オーナー制度 特定商品預託法に基づいたシステムで、オーナーは同社に売買・飼養委託契約金を払い込み、繁殖母牛の飼養委託契約を締結する。契約期間中に子牛が生まれた場合には、飼養管理費を差し引いた買い取り代金が支払われる。和牛預託商法と呼ばれるものの一種である。 従来は1996年(平成8年) - 1997年(平成9年)が和牛預託商法の事件被害のピークとされ、「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」の特定商品に家畜が追加され規制されることになったが、2011年(平成23年)8月9日の当社の破綻で、被害者数7万3356人被害総額4207億6700万円という最大の事件被害が発生し、改めてこのオーナー制度が問題となった。 |
経営破綻 2011年(平成23年)8月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、事実上経営破綻した。 経営悪化の要因として、東京電力福島第一原発事故による契約解除の増加や和牛の価格下落を挙げているが、実際には従来から行って来た出資金の一部を配当に回す自転車操業が原発事故後の解約増加(約5000件60~70億位)で資金繰りがつかなくなったことが要因である。 東電の過失割合は大きいとして、東電に損害賠償を請求する考えを示した。 同社の地裁への申立内容では負債は4330億円。 これまで発表してきた決算では毎年黒字を計上していたが、実際には1991年(平成3年)以降牛肉自由化の影響で一頭当たりの利益は赤字へと転落しており、出資者の弁済率も1%以下に留まるとしている |
「和牛オーナー」制度で出資者を集め、経営破綻した「安愚楽牧場」(栃木県)について、大阪府内の6人が6日、三ケ尻久美子社長と前役員2人に詐欺の疑いがあるとして、大阪府警に告訴状を提出した。府警は受理する方針。 大阪の被害対策弁護団によると、安愚楽牧場は昨年4月ごろ、経営に行き詰まり、新たな和牛オーナーを募っても和牛の飼育などができない状態だったのに、経営を維持するため昨年7月、6人から計約850万円を集めていたという。 安愚楽牧場は繁殖牛のオーナーを募集、生まれた子牛を買い取る和牛オーナー制度を実施していたが行き詰まり、負債総額約4300億円を抱え経営破綻した。出資した会員は全国に約7万人いるとされ、大阪以外の出資者らも千葉、埼玉、栃木、愛知の4県警に刑事告訴を行う準備を進めている。【渋江千春】 |
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