「儀礼的無関心」というわけのわからん言葉を使われると読む気をなくしてしまいそうなのですが、簡単に言うと、「他人に干渉しないが、完全に無視もしない」といった感じ。本当に無関心だとマナー違反だとみなされるので、無関心を装う程度をやるのがマナーなんだとのこと。
で、この「他人に干渉しないが、完全に無視もしない」の考え方で言うと、電車内でスマホでゲームするのも、通話するのも、化粧もダメですよということ。不思議になるほどこれらを忌み嫌う人が多いのは、「儀礼的無関心」という暗黙のルールを破っているからだと考えられるそうです。(2017/08/04)
2017/08/04:
●ジロジロ見ちゃダメで完全無視もダメという礼儀作法「儀礼的無関心」
●電車内の化粧とスマホ使用・通話は同じ理由でマナー違反になる
●ネットでも同じ!2ちゃんねるやSNSでも「儀礼的無関心」がある?
2017/09/11:
●飲み屋さんの喧騒の中ですら、携帯電話の通話は不愉快に思う!
●ジロジロ見ちゃダメで完全無視もダメという礼儀作法「儀礼的無関心」
2017/08/04:アメリカの社会学者であるアーヴィング・ゴッフマンさんが名付けた「儀礼的無関心」という礼儀作法。これは以前は存在しなかった、電車内のような見ず知らずの他人同士が比較的近い距離感で一定時間を過ごす上で必要とされて生まれた最低限の配慮だといいます。
草柳千早・早稲田大学文学学術院教授は、以下のような言い方をしていました。
「そもそも他者への“関心”、接し方には、一方の極に『ジロジロ見る、触る行為』があるとして、その対極に『存在自体を無視する、感知しない振る舞い』がありますが、『儀礼的無関心』は、そのどちらでもない中間の作法になります。電車内にたまたま居合わせただけで、お互いに会話をしたり、挨拶をしたりするような関係にない人たちが、お互いに守るべきマナーとして望ましいとされるのが『儀礼的無関心』です」
(
電車内での化粧を多くの人が嫌がる社会学的理由 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン 2017.7.3 末吉陽子より)
具体的な望ましい礼儀作法は、
儀礼的無関心 - Wikipediaから引用。
1950年代から1960年代のアメリカのミドル・クラス社会の場合は、「相手をちらっと見ることは見るが、その時の表情は相手の存在を認識したことを(そして認識したことをはっきりと認めたことを)表す程度にとどめる」「そして、次の瞬間にすぐに視線をそらし、相手に対して特別の好奇心や特別の意図がないことを示す」といった振る舞いが正しい礼儀作法だったそうです。
●電車内の化粧とスマホ使用・通話は同じ理由でマナー違反になる
上記の時点で「クソ面倒くさいやつだな」と感じる話だったのですが、スマホのようなものは無関心すぎるということでマナー違反だと考えられるそうです。以下は、画面を見て使用している例なので、ゲーム機も同じだと考えられるでしょう。
「イヤホンをしてゲームに没頭し、自分の世界に閉じているあまり、周りの人の存在を無視する。こうした行為は、『儀礼的無関心』で保たれた平穏を崩すことになり、不快に感じる人もいるでしょう。『儀礼的無関心』が通例の空間では、傍若無人であるという評価になり、不快感を与えることになってしまうのです」(草柳教授)
さらに、この説明からすると、スマホを一生懸命見ることだけでなく、携帯電話で話をするのも他者の存在を無視する行為であり、NGとなります。通話しているというのも、同じ車内にいる人への無関心であり、「平穏」を乱してしまう行為なわけです。
種類が違うように見えるのですが、電車内で化粧をするというのも、同じ儀礼的無関心を守っていない例とされていました。「他人に干渉しない、しかし無視もしない」というルールを守らなくてはいけないといいます。
●ネットでも同じ!2ちゃんねるやSNSでも「儀礼的無関心」がある?
七面倒臭い考え方ですが、この概念がウェブのサービスにも応用されて、説明されることがあるようです。Wikipediaでは、2ちゃんねるでの直接リンクを回避するシステムが儀礼的無関心を支援するものになっているという例を挙げていました。最近の若い人は、2ちゃんねるを知らないのでピンとこない話でしょうけどね。
さらに若い人がわからないっぽいのが、これまた古いmixiの例。「足あと」機能(訪問履歴が強制的に記録される機能で、現在は廃止されている)は「儀礼的無関心」を「強制的関心」に変換する(形跡を残さずに閲覧だけすることを許さない)ものになっているといえるとのこと。ただ、こちらはLINEでも同種の「既読」問題がありました。
私はこういうわけわからんマナーの強制がすごく嫌なんですけど、「儀礼的無関心」はこれまで実際に支持されてきた実績がありますので、「賛成」という人は多いのかもしれません。
●飲み屋さんの喧騒の中ですら、携帯電話の通話は不愉快に思う!
2017/09/11:作者の経験談であり、多発しているという話でもないのですが、ビアホールですら携帯電話の使用を咎められたという話が出ていました。
電車内の通話禁止【こんなものいらない!?】 J-CAST ニュース | ライフ・美容 | 2017年09月11日という記事です。
この記事の作者の岩城元さんは、あるときビアホールでひとり飲みをしていました。ビアホールですので、当然電車の中のように静かではありません。それどころか周りでは酔客が騒いでやかましかったと言います。ところが、携帯に電話が掛かってきたので話していたところ、従業員が寄ってきて「携帯はご遠慮ください」とわれたそうです。しかも大声で電話していたわけでなく、小声でしていたと作者は言っていました。
いったい誰に迷惑を掛けているのといぶかしんだものの、従業員は「あちらのお客様がそうおっしゃるので」と、少し離れた席にいる年配の男を指差したそうです。マジで迷惑だと伝えていた高齢者の方がいたそうです。
ここの作者の場合は儀礼的無関心では説明せず、人の集まる場所で携帯電話で話している者を見ると、反射的に文句をつける連中もいるようだと書いていました。ただ、携帯電話の通話を不愉快に思う…という繋がりで、こちらへ追記しています。
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