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正露丸の副作用 ~クレオソートと「買ってはいけない」と週刊金曜日~


 正露丸の副作用 ~本当は危険?~の関連で、正露丸で問題となっているクレオソートの話です。

 実はこのときにも紹介したBIGLOBEなんでも相談室でもクレオソートの話が出ていました。

かつてベストセラーになった本「買ってはいけない」と、その反論本のひとつ「本当に『買ってはいけない』か!?」が両方手元にあるのですが、それぞれの正露丸(ラッパのマークの大幸薬品製)についての主張を要約すると、だいたいこんな感じでしょうか。

「買ってはいけない」
正露丸の主成分であるクレオソートはかつて電柱や鉄道の枕木の防腐剤としても使用され、コールタールを原料としたもの。
皮膚刺激、呼吸器刺激作用があり発がん性も指摘されている。

「本当に『買ってはいけないか!?』」
防腐剤として使われた日本工業規格クレオソート油はたしかにコールタールを原料している。
しかし正露丸に使われている日本薬局方クレオソートは、ブナの木などから採取した成分を生成、蒸留したもので、防腐剤に使われたものとは原料も構成成分も全く異なる。

だそうです。

 私、これを最初に見たときに原料が違って、用途は違うけど、主な組成は似ているのかな?と思いましたが、よく見ると「構成成分も全く異なる」とありますね。

 それをいっしょだと思っていたんでしたら、もう完全にこの理論はダメですね。


 ちなみに「原料が違って、用途は違うけど、主な組成は似ている」場合でも、いっしょに考えちゃ駄目っていう例があります。

 たとえば、食塩。

 そもそも"食"塩とあるように、食べない塩は食べられるレベルになどしません。

 今年の1月にはこんなニュースがありました。

アイスランドの保健当局は17日、過去13年間にわたり工業用の塩が食用として「誤って」流通していたことを明らかにした。

 首都レイキャビク(Reykjavik)の保健当局者は「工業用の塩には、食用では取り除かれている石や金属などの異物が混入している可能性があり、安全ではない」と、日刊紙フレッタブラディッド(Frettabladid)に語った。

 問題の塩を輸入したのは、飲料メーカーで輸入卸会社の「Olgerdin Egill Skallagrimsson」。輸入元のデンマークでは、道路の融雪剤や化学製品の原材料として使用されている。

 保健当局者によると、アイスランドでは、肉や魚の加工業者や製パン業社など、数十社が13年間にわたりこの塩を使用してきた。塩そのものが市場に出回ったことは無いという。
 
 塩の包装袋には、工業用を意味する「Industrial」との表記があったものの、Olgerdin社の経営責任者によると、特に対応はとらなかったという。同氏は国営放送RUVに対し、「Industrialは食品産業(Food industry)用を意味していると勘違いした」と語った。

工業用の塩、メーカーの「勘違い」で13年間食用として流通 アイスランド(2012年01月20日 07:54 AFPBB)

 極端な話、「泥水も水道水も主成分は水だ、変わらない」みたいな話です。

 工業用水なんてものも存在しますが、用途によって純度などが異なるのは当然の話であり、一緒くたにしてはいけません。


 まあ、週刊金曜日・買ってはいけないのクレオソートの間違いはそれ以前のレベルだったわけですけどね。

 大幸薬品東京都福祉保健局によると、主成分は以下のようです。

木クレオソート(日局クレオソート、ood Creosote)

 分子量は、100から160までの22化合物。そのうち19成分がフェノール系の化合物。
 グアヤコール(guaiacol)、クレオソール(creosol)、フェノール(phenol)、p-クレゾール(p-cresol)、4-エチルグアヤコール(4-ethylguaiacol)、o-クレゾール(o-cresol)の主要6成分で全体の約80%をしめる。


クレオソ-ト油(石炭クレオソート、Coal Tar Creosote)

 トルエンなどの芳香族炭化水素やナフタレン、アントラセンなどの多環芳香族炭化水素、フェノールなどのタール酸類、ピリジンなどのタール塩基類など、多種類の物質が含まれ、それらの成分比は蒸留濃度や抽出方法により変化する。


 クレオソ-ト油は200種以上と記載しているところもありましたが、代表的な化合物名称だけでだいぶ違います。

 しかし、Wikipediaで見ても、初期の正露丸批判はやはりこのクレオソート油を用いたものだったようです。

 ビッグローブなんでも相談室と同じく、雑誌週刊金曜日連載の商品の安全性に関するコラムをまとめたブックレット『買ってはいけない』(1999年)の中で、 木クレオソートとクレオソート油を混同したまま「枕木や電柱に使われる防腐剤を医薬品に用いるのか」と工業用クレオソート油のもつ毒性で正露丸批判が行ったとの記載があります。

 これは恥ずかしいです。


 当然ながら間違いを指摘されたわけですけど、それに対する週刊金曜日の対応は以下のとおりです。


この指摘に対して週刊金曜日誌上において、以下のように
正露丸を「漢方薬」としましたが、漢方薬の成分である生薬は使われているものの、厳密には「漢方薬」ではありません。
漢方薬を「生薬」に変え、構成や見出しなども訂正させていただきます。
正露丸に使われているクレオソートはコールタールを原料とする日本工業規格クレオソート油ではなく、ブナの木などから得られる乾留物を精製・蒸留して作る日本薬局方クレオソートでした。
おわびして訂正いたします。

― 「回答企業にお応えします」

が掲載されたものの、三好基晴などは、なおも「木クレオソートだから安全とも言えません」と全面的な撤回はせず、 その後に発行された第16刷でも「植物性だからといって安全とは言えない。クレオソートは劇薬である。」などと書かれているのが確認されている。

木クレオソートと判明した後も、それがなお危険だとする派の主張の主点は以下のとおりである。

  * 化学混合物としてのクレオソート自体と主成分中最多の化合物であるグアヤコールは、医薬品服用量において劇薬指定されている。
  * 消毒薬として広く用いられたフェノール、クレゾールとグアヤコールは皮膚に障害を与える毒性が知られている。
  * その他のキシレノールなどのフェノール類成分も人体に対して強い毒性・有害性を有するものが多い。

これらの主張に対して大幸薬品ではウェブサイトにおいて、木クレオソートが下痢症状に対して実際に作用するメカニズムや、安全性、他に有名な止瀉薬の成分であるロペラミドと比較した場合の優位性などを細かく掲載している。

 大幸薬品は「植物性だからといって安全」というよりは「別成分だから違う」という主張なので相手の主張を少し勝手に作り出しているところがありますが、確かに「植物性だからといって安全」みたいな風潮はおかしいです。(むしろ週刊金曜日が好きそうな理論ですけど)

 また、広く普及している薬にも危険なものがある可能性があり、その指摘は重要だと思います。


 ただ、私も悩まされたことがありますけど、最初に勝手に勘違いして的外れなことを言いながら自説の間違いを認められない人って、反論できなくなると次々に新しい説を生み出して自分の最初の主張が正しいと言い張るんですよね。

 結論が先で、理論は二の次、三の次なのです。


 正露丸に問題がないと安易に決めつけることはしませんし、必要以上に服用しないなどは当然だと思います。

 しかし、特に週刊金曜日や「買ってはいけない」はこれ以外にも問題のあるトンデモ説を立てていますので、正露丸批判の先鞭をつけたのが週刊金曜日・「買ってはいけない」であれば、極めて慎重に見た方が良いと思います。


 それから、「医薬品服用量において劇薬指定されている」という指摘の意味も怪しいところがありそうですが、いかんせんよくわかりません。

 ただ、この劇薬の話はおもしろかったのでまた別に書きます。(日本では医師が毒薬を処方するので、患者は毒薬を飲まされている!)


 とりあえず、こういう経緯を見てしまうと、正露丸が危険って主張を全面的に受け入れるのは難しいです。(もし仮に本当に危険であることが後に判明したとしても、週刊金曜日は被害を拡大した戦犯ですね)


 以上で終わりにしようと思いましたが、肝心の副作用の話を忘れていました。

 ビオフェルミンの副作用 ~ビオフェルミン便秘薬と新ビオフェルミンS錠~で書いたとおり、副作用のない薬はありません。

 薬副作用症状詳細では、「一般市販胃腸薬である正露丸の副作用は、ほとんどありません」と断った上で、以下のような副作用が書かれていました。(重大な副作用があるのに、「ほとんどありません」って記述は何となく妙な気がしますが頻度の関係でしょうか)

●重大な副作用

 肝機能障害……倦怠感の増大、食欲低下、呼吸困難、吐き気、常に眠い、黄疸、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、総ビリルビン等の上昇等

 黄疸……嘔気・嘔吐、食欲不振、倦怠感、そう痒等、皮膚・白目が黄色くなる、下痢、全身の脱力感、38~39度の発熱、ぶつぶつ状の発疹等

●その他の副作用

 皮膚……発疹・発赤、かゆみ、むくみ

 消化器……悪心・嘔吐、便秘、食欲不振、胃部不快感

 精神神経系……めまい、頭痛


 追加
  ■日本では医師が毒薬を処方するので、患者は毒薬を飲まされている!

 関連
  ■正露丸の副作用 ~本当は危険?~
  ■浜六郎医薬ビジランスセンター(NPOJIP)理事長トンデモ疑惑
  ■ビオフェルミンの副作用 ~ビオフェルミン便秘薬と新ビオフェルミンS錠~
  ■丸山ワクチンの効果に関する記述の食い違い
  ■お茶うがいの効果 ~ヨウ素より〇〇〇が良い?~
  ■その他の医療・病気・身体について書いた記事

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