もともと読んだのは、新幹線「ひかり」が由来の地名があるよという話。そこから広げていって、地名は日本の伝統と日本人のアイデンティティを示すから残すべきって意見の紹介や、災害の教訓を示す地名の意味についての話になっていきました。
2017/08/25:
●新幹線「ひかり」が由来の地名や「東京都西東京市南町」という珍地名
●地名は日本の伝統と日本人のアイデンティティを示す
●豊田市や天理市は日本の伝統を壊す悪い地名変更?
●災害の教訓を消してしまう危険性もある新地名
●広島の土砂災害「八木蛇落地悪谷」の地名変更はデマの可能性も
2020/08/02:
●災害の危険性がある地名の見分け方…ただ、該当地名が多すぎ!
●危ない地名候補が多すぎて住むところがない!最低限見るべきなのは?
●新幹線「ひかり」が由来の地名や「東京都西東京市南町」という珍地名
2017/08/25:
新幹線「ひかり」から誕生した町、実は最先端の「鉄道の街」? | 乗りものニュース(2017.08.17)によると、東京都国分寺市「光町」は、東海道・山陽新幹線「ひかり」に由来する地名だそうです。新幹線の開発段階から各種実験を行っていた鉄道技術研究所(現在は鉄道総合技術研究所)があったため…というのが理由だと考えられています。
もともとは「平兵衛新田(へいべえしんでん)」という字名で、1966(昭和41)年に町名が整理された際に改名されました。このときの町名整理は大規模なもので、平兵衛新田のような古くからの字名がほとんど変更され、「南町」や「泉町」といった字名とは無関係の新たな町名が数多く誕生していました。
「南町」なんてのは、すごくありがちな名前ですね。こういう方角の入った地名としては、「東京都西東京市南町」なんてわけのわからないものもあります。北だけはないものの、東が2回、西が1回、南が1回と方角だらけでカオスになっています。
●地名は日本の伝統と日本人のアイデンティティを示す
どちらかと言うと…というくらいであり、絶対!というものではないのですが、こうした歴史的経緯に基づかない地名は、あまり良くないのではないか?と思っています。
私はむしろ何でもかんでも「伝統を守れ」というのにはむしろ懐疑的な方で、
伝統を守るべきという無意味で非論理的な主張 なぜと聞かれて説明できない暗黙のルールなどを書いています。でも、地名くらいは、歴史的経緯を残しておいた方が良いと思うんですよ。
どこで読んだか忘れちゃいましたが、日本の受け継がれた伝統であり、日本人のアイデンティティを示す地名を変更するのはけしからん!みたいなことを書いている人もいました。ちょっとネトウヨくさい感じですけどね。
●豊田市や天理市は日本の伝統を壊す悪い地名変更?
そういう意味では、豊田市なんかも悪い例ですかね。
豊田市 - Wikipediaを確かめてみると、やはり市名の「豊田(とよた)」は、市内に本社を置くトヨタ自動車と、同社の創業者一族の姓「豊田(とよだ)」に由来とのこと。
豊田市は、以前は古代以来の歴史がある「挙母市」(ころもし)という名前でした。ある意味合理的なのですが、挙母市が全国有数の「クルマのまち」に成長した点と、地名の「挙母」が読みにくいという理由で、1958年、商工会議所から市宛てに市名変更の請願書を提出したのが地名変更のきっかけだそうです。(ただし、一部地名で挙母は残っています)
Wikipediaでは、同じように自動車産業が盛んな鈴鹿市の逸話を載せ、対比させていました。本田技研工業鈴鹿製作所の建設当時、市側が本田技研工業に対し「本田市」へ市名を変更する意向があることを伝えたそうです。ところが、古来より伝統ある市の名前を一企業の名前に変更すべきではないという創業者本田宗一郎の考えに則って、本田技研工業側が丁重に断り、実現には至らなかったとのことでした。
また、"日本の市で、明確に私的団体に由来する市名を持つのは、この豊田市と宗教都市である奈良県天理市のみ"だとも記載がありました。新興宗教団体の天理教に由来ということで、これまたイメージの悪い話です。(天理市は1954年に、丹波市町など複数の自治体が合併した際につけられた名前だそう)
●災害の教訓を消してしまう危険性もある新地名
先に書いたように、私はこうした非伝統的な地名を絶対許すまじ!というほど批判しているわけではありません。わかりやすさや市のイメージアップ、ビジネス的なメリットなどによる地名変更というのはある意味合理的であり、理解できるところがあります。大昔に似たような理由で変更となり、「伝統」となった地名もあるでしょうしね。
ただ、歴史と伝統以外の地名変更が良くないことになりかねない例としては、災害の教訓などが忘れ去られるといったものもあります。これは特にイメージの悪い、変えたくなる地名ほど危ないものです。
数年前にそういう事例があったなと検索してみると、
広島災害の教訓―変わる地名、消える危険サイン | THE PAGE(ザ・ページ)(2014.09.04 15:03 関口威人)が出てきました。
記事では、"日本の地名の多くは過去の災害を伝え、後世に警鐘を鳴らすサイン"と断言。"広島の土砂災害で最も大きな被害に見舞われた安佐(あさ)南区八木地区が、崖崩れの多発地帯を表す「蛇」や「悪」のつく"「八木蛇落地悪谷(やぎじゃらくじあしだに)」という地名だったと言われているとしていました。
●広島の土砂災害「八木蛇落地悪谷」の地名変更はデマの可能性も
ただし、広島市郷土資料館に問い合わせると、「蛇落地」や「悪谷」を記す文献などはないとのこと。安佐南区役所地域起こし推進課も、広島市に合併する前の佐東町史などを調べましたが、そうした記載は見つからないということで、広島の場合は誤解の可能性もありそうでした。
この話が話題になったのは、フジテレビの情報番組「とくダネ!」のせい。また、同じグループの産経新聞も書いていたようです。テレビに出た住民の一人は「悪谷」が「芦谷(あしや)」に変わったと証言していますが、こちらの地名もまた戦前の古地図にも見つけらないといいます。
さらに、現在残っている地名の「八木」だけでも、災害絡みの名前だった模様。「八木」は、東京堂出版『地名用語語源辞典』によると、「山間の狭い小谷」を指します。そして、地理空間情報アナリストの遠藤宏之さんが著した『地名は災害を警告する』(技術評論社)では、「『ヤギ』が転石地を示す崩落地名」で、東日本大震災時も仙台市郊外の「八木山」という住宅地で地滑り被害があったと指摘されていました。
なお、最初の方で書いた「東京都西東京市南町」の「西東京市」について、記事に出ていた名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫教授が「不可思議な地名」と一刀両断していました。良くない名付け方をされた地名として、評価が定着している感じです。
●災害の危険性がある地名の見分け方…ただ、該当地名が多すぎ!
2020/08/02:危険な地名関係で、
「桜は裂ける、椿は崩壊する」その土地の歴史を示す危険な地名・漢字(2020年6月19日)|プレジデントという記事もあったので読んでみました。不動産コンサルタントの長嶋修さんの書籍<「a target="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B087RF49MX/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B087RF49MX&linkCode=as2&tag=09136714-22&linkId=185a3e8d26adafe4c30f89465d0386a1">災害に強い住宅選び (日経プレミアシリーズ)

」がベースだそうです。
以前は河川だった場所は、泥土が堆積し周囲の土地よりも低く水を含んで湿地になっていることが多いとのこと。気にしていると住めなくなりそうなのですが、漢字に「サンズイ」が入っており、水をイメージさせるものは低地で、かつては文字どおり川や沼・池・湿地帯だった可能性があるところ。
有名でイメージの良い渋谷も、渋谷駅周辺には舗装された道路の下に川が流れており、低地で地盤も弱いといいます。私が今住んでいるところも昔はさんずい地名だったんですよね。地名変更されたので、最近来た人は知らないと思われます。
さんずい以外でも「荻」は、湿地に育つイネ科の植物「オギ」由来なので注意。杉並区荻窪の場合は「クボ」も窪地を示しており、川の氾濫によってこれまで何度となく水害に見舞われているといいます。また、大阪市梅田は「埋田」から転じたとされ、「梅」は「埋める」に通じるとのこと。
また、内陸部でも「崎」の地名がつくところには、縄文時代など海面が高かった時代に、海と陸地の境目だった地域で、地盤が強いところと弱いところが入り組んでいる可能性があるとのこと。これは水害というよりは、地盤的な問題ですね。
●危ない地名候補が多すぎて住むところがない!最低限見るべきなのは?
判断が難しいだろうと思うのは、漢字ではなく、音で意味がある場合。椿はツバケル(崩れる)で崩壊した土地を意味し、「桜」が「裂ける」を意味することがあるとのこと。検索すると、「つばくむ」が「ツバケル(崩れる」という意味で、「つばめ」もそういった地名といった説明もありました。
こうなってくると、キリがない感じ。どこに住めばいいのか?というのはありますね。実際、住んではいけない危険性が高い土地というのもあるのでしょうが、上記の話をすべて考慮するとさすがに該当範囲が広すぎます。地域の歴史や地名の変遷を見ないと、由来もよくわかりません。全然関係ない理由での名前の可能性もありますしね。
とりあえず、私としては、最低でも自治体が発行している災害被害を予想したハザードマップを見てほしいと思います。私は引っ越すたびにチェックしているのですが、新しく土地を買って住宅を建てて後戻りできない人と何人か話ししていて、ハザードマップを見たことない!と言われて驚いたことあったんですよ。せめてハザードマップは確かめてくださいね。
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