日本の医者は薬を出し過ぎ、日本人は薬漬け、医者を信じずに私の出す本を買って読んで勉強してください……みたいなタイトルにしましたが、「日本では医師が毒薬を処方するので、患者は毒薬を飲まされている」というのは本当です。
まあ、私は怪しい健康本みたいなものはむしろ目の敵にしていますので、冒頭のような意味ではなく言葉のトリック?みたいなものです。
Wikipediaの毒にはこうありました。
薬事法では、医薬品に指定されている物質のうち、効能を示す量と毒性を示す量の差が小さい物を毒薬、劇薬としてその取扱いに制限を加えている。また、毒薬は黒地に白枠、白字をもって、その品名及び「毒」の文字が記載されていなければならず、劇薬は白地に赤枠、赤字をもって、その品名及び「劇」の文字が記載されていなければならないと定めている。
(一般では「毒薬」は「生物を殺す薬」を指す場合が多い。しかし、法令上及び医療の世界では「治療や検査等に用いられる医薬品のうち、その毒性の高さから指定を受けているもの」を示す。つまり、医師から処方された「毒薬」を日常的に服用している患者も普通に多数存在している。意味の混同に注意) |
まあ、私も今回
正露丸の副作用 ~クレオソートと「買ってはいけない」と週刊金曜日~を調べた延長線上で初めて知ったんですけど、びっくりですね!
ただ、考えてみれば、毒薬には「薬」という字がつくのです。薬であっても何ら問題はありません。
むしろ毒物の意味で「毒薬」と言う方が、どうかしている気がしてきました。
気になって語源を調べましたが、明治の法律でも「毒薬劇薬」と並べて書いているのを発見しただけで、どっちが先かよくわかりません。(この法律は今の法律の毒薬・劇薬の概念と見て良いようです。根拠はありませんが、毒物の意は誤用から始まったのでは?と想像します)
これと直接関係無いですけど、検索して見つけた中でおもしろかったのは、外国語の毒の語源です。
毒素 toxin
toxikon pharmakon(=矢毒)のpharmakonは毒の意味で使われているが、この語はpharmaceutics(=薬学)、pharmacology(=薬理学)、 pharmacy(=薬局)、pharmacop(o)eia(=薬局方)などの語源となっているように、現代ではもっぱら薬を意味する。しかし古代ギリシャでは、魔力を持つ植物性物質を指し、病気の治療に使う薬のほか、殺傷力のある毒物や人を豚に変えるような魔法の物質も含まれていた。
毒 poison
ラテン語のpotioの対格のpotionemに由来する(古)フランス語から借りた語。 元来「飲むこと、飲酒」を意味するが、飲み物にいろいろなものを入れた霊薬・媚薬・水薬・毒薬などの「一服」を表すことにも成り、ついには毒薬を意味するようになったらしい。
痛みと鎮痛の基礎知識
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言葉の上で毒と薬は紙一重だったようですが、これは実際薬というものの本質をうまく表している気がします。
ところで、実際毒薬ってどんなものを言うの?という話ですが、
管理薬剤師.comを見てもさっぱりわかりません。
一般名(物質名)や商品名を見ても全然聞いたことが無いので、薬理作用(要するに使い道)をちょっとだけ紹介しましょうか?
「毒薬注射」といういかにもマッドなお医者様に毒殺されそうな項目には、以下のような用途が並んでいました。
抗悪性腫瘍 心不全治療薬 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 抗悪性腫瘍 筋弛緩薬 筋弛緩薬 眼科用剤 降圧剤
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「抗悪性腫瘍」多いですね!
「抗悪性腫瘍」という言葉だと難しいですが、要するに「抗がん剤」のようです。
末尾には「降圧剤」もあり、
浜六郎医薬ビジランスセンター(NPOJIP)理事長トンデモ疑惑で書いた浜六郎先生が悪用しそうで心配です。
正露丸の副作用 ~クレオソートと「買ってはいけない」と週刊金曜日~の関係で興味があったのは劇薬の方だったのですが、残念ながらこちらの一覧のようなものはなし。数が多すぎるのかも知れません。
なおカフェインも劇薬という記述を見かけましたが、真偽は不明です。
どちらにしろカフェインそのものではないですし、そもそも薬ではないですので、コーヒーなんかは劇薬とは呼ばないでしょうけど、週刊金曜日ならコーヒーを「買ってはいけない」くらい言い出しそうです。
この劇薬の一つに抗うつ剤のパキシルというものがありました。
早速検索してみると、「劇薬と知っていたら、絶対飲まなかった」と言っている方がいました。
これで「パキシルじゃない他の薬にしてください」となるならまだマシなのですが、医者は信用できない、民間療法や健康本に頼るとなってしまうと最悪です。
浜六郎医薬ビジランスセンター(NPOJIP)理事長トンデモ疑惑でも書いたように、医師がきちんと説明しないということはやはり問題だと思います。
Wikipediaの
薬事法には、下記のようにありました。
童話や漫画(アニメも含む)、推理小説、刑事ドラマ等では、死に至らしめる毒をしばしば「毒薬」と表現するため、毒薬を「人を殺す薬」「飲むと死んでしまう薬」などと誤解してしまうことがある。前述にもあるとおり、薬事法で定義される毒薬はあくまで医薬品のカテゴリーの一つであり、疾患の治療や検査に用いられる薬である。他の医薬品と同様、適切に使用すれば、安全で有用な薬である。 |
これは毒薬の例ですが、先のパキシル拒否のケースはまさにこのような誤解です。
私は薬嫌いですけど、何でもかんでもすぐに薬を飲みたがる(飲ませたがる)というのが嫌なだけで、薬の効能まで否定しているわけではありません。
薬の危険性だけを強調する人は、先の毒の語源なども見て、薬の本質というものをよく考えてみた方が良いと思います。
(逆に「効能がある」と危険なトンデモ療法を勧める方もいて、昨年は放射線関連でちらほら見かけた気がします。そういう方には今回逆効果になりそうな話でした。
重要なのは効能と危険性の比較ですからね。危険性ばかり高く効能がないものは当然駄目ですよ)
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