2012/4/25:
●裁判員制度最大の問題点?名前を知られて逆恨みなどで報復の可能性
●逆恨みされない裁判なんてない…そもそも殺人罪を扱うから当然危ない
●アメリカでは逆恨みの報復を想定した証人保護プログラムがある
●裁判員への報復には処罰があるから大丈夫と国は説明、でもそもそも…
●裁判官にもヤバそうな人が…暴力団幹部に見える形での陳述を強制
●裁判員制度最大の問題点?名前を知られて逆恨みなどで報復の可能性
2012/4/25:いずれも自民党政権だった1999年から2001年までの間にまとめられ、2004年に成立、2009年5月に施行された裁判員制度は山ほど問題点があり、最近あんまり話題にならないものの、近年稀に見る悪法だと思います。
多数ある裁判員の不利益として、私が最も心配している点の一つが、被告人あるいは関係者・支持者からの逆恨みなどによる報復。
Wikipediaでは、この点について扱っている量が少ないものの、下記のように記されています。
<プライバシー・個人情報保護の問題点>
* 裁判員候補者の氏名等は被告側の弁護人に通知することが規定されている(裁判員法31条)。被告側の弁護人が裁判員候補者の氏名を被告人本人に閲覧することは禁じられておらず、むしろ
裁判の必要上被告に閲覧させる必要も出てくる。従って候補者になった時点で被告側に氏名を知られることになる(氏名が知られれば、裁判所の管轄される区域から住所を推定される恐れがある)。
* 裁判員の氏名が被告人や他の裁判員に知られることにより、
危害が加えられるおそれがある。裁判員法第101条は、裁判員の氏名の漏出を禁じている。なお、氏名がわからなくても顔貌の視認により裁判員を特定されるおそれはある。
* 裁判員になるため仕事を休む必要が発生した場合、上司や使用者に裁判員として呼び出されていることを知らせ、証拠(呼出状)を提示する必要があるが、それを知りえた上司や同僚などが裁判員となった者の氏名を口外することについては禁じられておらず、罰則もない。
最後の項目は直接関係ないように思えますが、裁判員に選ばれたことが周囲にわかることによって、より被告人本人・関係者・支持者に知られる可能性を高めます。裁判員側は拒否権がない上に、様々な制約・罰則があるにも関わらずこの扱い。裁判員制度作成に関わった方は裁判員への配慮が足りなすぎで、非人間的だとすら思います。
●逆恨みされない裁判なんてない…そもそも殺人罪を扱うから当然危ない
裁判員制度で扱う事件が恨みを買うようなものでなければ、それほど心配はないかもしれません。ただ、裁判になる時点で恨みを買わないものはないでしょう。そもそも裁判員制度の対象事件は、「殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪」など十分に関係者から深い恨みを買う事件を扱っています。
<対象事件>
1. 死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件(法2条1項1号)
2. 法定合議事件(法律上合議体で裁判することが必要とされている重大事件)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの(同項2号)
<例えば、外患誘致罪、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、強姦致傷罪、危険運転致死罪、保護責任者遺棄致死などが地方裁判所の受理する事件である>
ただし、一応例外となる事件もあるにもあります。「裁判員や親族に対して危害が加えられるおそれがあり、裁判員の関与が困難な事件」(裁判員法3条)については、対象事件から除外されるとのこと。被告と家族や関係者による報復が予期される暴力団関連事件などが除外事件として想定されています。
特に暴力団や黒社会、マフィア、過激派、テロ組織、宗教団体など組織犯罪の場合、俗にいう「お礼参り」(逆恨み)のの危険性が高まる、といった話もありました。
●アメリカでは逆恨みの報復を想定した証人保護プログラムがある
なお、米国においては証人、陪審員に対しては国家による保護が付く場合があるという話も載っています。さらに、「沈黙の掟」、証人保護プログラムを参照ともあったので、証人保護プログラムの説明も載せておきます。上記であった「沈黙の掟」は「血の掟」とイコールみたいですね。
まず、証人保護プログラムとは、アメリカ合衆国における法廷または上下両院における証言者をいわゆる「お礼参り」から保護する制度とされていました。マフィアの「血の掟」によるお礼参りから証言者を保護する目的で設けられたといいます。
<該当者は裁判期間中、もしくは状況により生涯にわたって保護されることとなる。その間、住所の特定されない場所に政府極秘の国家最高機密で居住する。その際の生活費や報酬などは全額が連邦政府から支給される。内通者により居所が知られないとも限らないので、パスポートや運転免許証、果ては社会保障番号まで全く新しいものが交付され完全な別人になる。なお、被保護者の中でもとりわけ、合衆国の国益に多大なる貢献をしたものは相当裕福な経済的援助を受けることもある。居住の場所はアメリカ合衆国内にとどまらず、ラテンアメリカ各国や、在外の米軍基地内、EU領内などのNATO軍の官舎等が割り当てられることも多々ある>
●裁判員への報復には処罰があるから大丈夫と国は説明、でもそもそも…
日本の場合、前述の通り、特定の事件は対象から外しているので、裁判員に対しての特段の配慮は不要との考えかもしれません。ただ、配慮が足りなすぎると感じますね。例えば、
裁判員制度Q&Aを読むと、顔を見せると断言していることがわかります。
○ 裁判員は法廷内で顔を見せずに裁判をすることができますか。
<裁判員は,公開の法廷で行われる裁判の手続や尋問される証人の証言している様子を見て,判断していただきますので,顔を見せずに裁判をすることはできません>
その一方、「被告人に顔や身元を知られたりしても,危険はないのですか」に関しては、愚かとしか言いようがない回答をしています。
○ 被告人に顔や身元を知られたりしても,危険はないのですか。
<裁判員や裁判員であった人やその家族を脅した場合はもちろん,困らせる行為をした者は厳しく処罰されることになっています。また,裁判員や裁判員だった人は,評議の秘密を守る義務を負いますが,これも,裁判員のだれがどのような意見を述べたかが分からないようにすることにより,裁判員への不当な接触のきっかけを作らないようにする意味もあるのです>
なぜ愚かだと言えるかというと、処罰されることになっているから罪を犯さないと考えられる人は、そもそも被告人席に座っているはずがないため。本当、馬鹿丸出しだと思います。
●裁判官にもヤバそうな人が…暴力団幹部に見える形での陳述を強制
裁判官に関して言うと、この裁判員制度に積極的だったわけではなく、むしろ批判的であったので、別に賛成したわけではなかったのだろうと思います。
ただ、「ああ、裁判官も冷血で、他人のことを考えられないんだな」と思ったニュースがあったので、このタイミングで裁判員制度の問題点を取り上げました。<報復恐れる住民を組幹部と直面させる裁判所(2012年4月23日00時24分 読売新聞)>というニュースです。
<福岡県久留米市の指定暴力団道仁会旧本部事務所立ち退き訴訟で、住民が道仁会幹部の目の前で法廷に立ち、被害について陳述せざるを得ない事態になっている。
住民側は報復を恐れ、対面しない形での実施を望んだが、福岡地裁久留米支部(有吉一郎裁判長)が認めなかったためだ。同種の訴訟で住民が法廷に立つこと自体少なく、識者からは裁判官の判断に疑問の声が出ている。
(中略)住民側は意見書で別室からモニターを通じて行う「ビデオリンク方式」の採用や証言台の周囲についたてを置くよう求めたが、
裁判長は理由を説明せずに認めなかったという>
先述の通り、裁判員制度ですら除外されている暴力団の案件でした。こういう人が裁判を任されていると思うとぞっとします。
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