地下100~2600メートルに頁岩(けつがん=シェール)と呼ぶ固い岩盤層がある。ここに地中の天然ガスが長い時間をかけてたまっている。岩盤にしっかりと封じ込まれたシェールガスだ。ガスの流れやすさは地中の浅い場所にある従来のガス田の約1万分の1以下にとどまる。地中から取り出すにはコストが見合わない。長らく手の届かない存在だった。 |
シェール層に沿って水平に掘り進める「水平坑井(こうせい)」の技術だ。従来のガス田で井戸を垂直や斜めに掘り進めた技術と比べ、水平に掘ればガスと接触する面積が増える。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の伊原賢・上席研究員は「水平坑井で1坑あたりの生産量を3~5倍に増やせるようになった」と指摘する。 |
井戸に水を流し、水の圧力で地層にひび割れをつくる「水圧破砕」だ。井戸からは周辺に亀裂を走らせる。枝分かれしたひび割れには砂状物質などを詰めて隙間を保ち、閉じ込められていたガスが流れ出るようにする。 |
地震波の観測技術「マイクロサイスミック」だ。水圧で亀裂を広げる際に地中を伝わる地震波を参考に、掘削戦略を練る。 |
3つの技術のうち、水平坑井と水圧破砕は00年以前から使われてきた。本当の技術革新は3つの技術をうまく組み合わせる工夫にあった。水圧破砕についてはシェール層を貫く井戸の先端から順番に、圧力をかける管を後ろに引いていく「多段階水圧破砕」も一般的になっている。 シェールガスの開発に火が付いた当時、米国では好景気でエネルギー需給が逼迫し、原油やガスの価格が上がった。投資の見返りが大きいとみた企業が一気に技術開発を急いだとの見方が多い。 |
もっとも、シェールガスの開発には環境への悪影響も懸念されている。水圧破砕に使う水には地層を溶かしたり井戸内の摩擦を減らしたりする薬剤が添加されている。水圧破砕で使用した物質を含む水が地層を伝って飲料水を汚染するという不安も出ている。 飲料用の地下水は浅い地層を流れ、環境への影響はないとの見方もあるが、米国では州政府が薬剤の情報開示や安全基準の強化に取り組む動きが出ている。開発と環境対策の両立が重要な課題となっている。 |
米中部で起きるマグニチュード(M)3以上の地震が、10年前に比べ6倍以上に急増していることが米地質調査所(USGS)の調べでわかった。もともと地震があまり起きない地域で、研究チームは、日本でも輸入に向けた動きがあるシェールガスなどの採掘活動などに伴う「人為的な地震」が関係しているとみている。 米地震学会での発表によると、米大陸中部でM3以上の地震は、1970年から00年までは平均年21回。それが01~08年には平均29回、09年は50回、10年は87回、昨年は134回と6倍以上になっていた。昨年はコロラド州とオクラホマ州でM5を超える観測史上最大級を記録した。 研究チームは「自然原因とは考えにくい」とし、この地域で増えているシェールガスや石油の採掘との関連を指摘。採掘で出てくる大量の廃水を深井戸から高圧で地下に戻しているため、これが地震を誘発している可能性を挙げた。 メンフィス大地震研究情報センターのホールトン研究員によると、地下に戻された水が、断層の隙間に入り込んで滑りやすくなり、地震が起きやすくなったと考えられるという。 |
ブログ内 | ウェブ全体 |
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ |