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シェールガス革命を成し遂げた3つの技術


 シェールガスについては既に二つ書きました。

  ■LNG価格(価格)の推移とシェールガス革命
  ■シェールガス革命はアメリカの製造業の救世主となるか

 このうち二つ目で「まとめる予定がある記事が既に3つあります」と言ったうちの一つが今回のシェールガス、3つの革新 進む増産、課題は水質汚染(要登録 2012/4/8付 日本経済新聞 福士譲 朝刊)です。

 残りの二つの記事は実はシェールガスの短所についてなんですけど、よく見るとこの記事でもタイトルで既に触れられていますね。


 まあ、とりあえず、良い話から。

 地下100~2600メートルに頁岩(けつがん=シェール)と呼ぶ固い岩盤層がある。ここに地中の天然ガスが長い時間をかけてたまっている。岩盤にしっかりと封じ込まれたシェールガスだ。ガスの流れやすさは地中の浅い場所にある従来のガス田の約1万分の1以下にとどまる。地中から取り出すにはコストが見合わない。長らく手の届かない存在だった。

 しかし、「かねて開発が難しいとされてきた」このシェールガスが「2005年以降、米国で生産が飛躍的に拡大」しました。その「背景には3つの技術革新があった」そうです。

 元記事でもあっさりでしたので、出し惜しみせずに3ついっぺんに書きます。

シェール層に沿って水平に掘り進める「水平坑井(こうせい)」の技術だ。従来のガス田で井戸を垂直や斜めに掘り進めた技術と比べ、水平に掘ればガスと接触する面積が増える。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の伊原賢・上席研究員は「水平坑井で1坑あたりの生産量を3~5倍に増やせるようになった」と指摘する。

井戸に水を流し、水の圧力で地層にひび割れをつくる「水圧破砕」だ。井戸からは周辺に亀裂を走らせる。枝分かれしたひび割れには砂状物質などを詰めて隙間を保ち、閉じ込められていたガスが流れ出るようにする。

地震波の観測技術「マイクロサイスミック」だ。水圧で亀裂を広げる際に地中を伝わる地震波を参考に、掘削戦略を練る。

 3つの技術のうち、水平坑井と水圧破砕は00年以前から使われてきた。本当の技術革新は3つの技術をうまく組み合わせる工夫にあった。水圧破砕についてはシェール層を貫く井戸の先端から順番に、圧力をかける管を後ろに引いていく「多段階水圧破砕」も一般的になっている。

 シェールガスの開発に火が付いた当時、米国では好景気でエネルギー需給が逼迫し、原油やガスの価格が上がった。投資の見返りが大きいとみた企業が一気に技術開発を急いだとの見方が多い。

 やはり必要は発明の母ですね。


 しかし、この技術こそがシェールガスの弱点にもなっているのです。

 もっとも、シェールガスの開発には環境への悪影響も懸念されている。水圧破砕に使う水には地層を溶かしたり井戸内の摩擦を減らしたりする薬剤が添加されている。水圧破砕で使用した物質を含む水が地層を伝って飲料水を汚染するという不安も出ている。

 飲料用の地下水は浅い地層を流れ、環境への影響はないとの見方もあるが、米国では州政府が薬剤の情報開示や安全基準の強化に取り組む動きが出ている。開発と環境対策の両立が重要な課題となっている。

 日経新聞だと軽い扱いですが、これは今後もっと詳しい他の記事を読む予定としています。

 また、「地震波を参考に」という話がありましたが、シェールガス採掘、地震誘発? 米中部、M3以上6倍(朝日新聞 2012年4月26日0時16分)という記事もありました。

 米中部で起きるマグニチュード(M)3以上の地震が、10年前に比べ6倍以上に急増していることが米地質調査所(USGS)の調べでわかった。もともと地震があまり起きない地域で、研究チームは、日本でも輸入に向けた動きがあるシェールガスなどの採掘活動などに伴う「人為的な地震」が関係しているとみている。

 米地震学会での発表によると、米大陸中部でM3以上の地震は、1970年から00年までは平均年21回。それが01~08年には平均29回、09年は50回、10年は87回、昨年は134回と6倍以上になっていた。昨年はコロラド州とオクラホマ州でM5を超える観測史上最大級を記録した。

 研究チームは「自然原因とは考えにくい」とし、この地域で増えているシェールガスや石油の採掘との関連を指摘。採掘で出てくる大量の廃水を深井戸から高圧で地下に戻しているため、これが地震を誘発している可能性を挙げた。

 メンフィス大地震研究情報センターのホールトン研究員によると、地下に戻された水が、断層の隙間に入り込んで滑りやすくなり、地震が起きやすくなったと考えられるという。

 「人工地震発生装置」という結構有名な陰謀論がありますけど、本当に地震って誘発できるんですね。


 追加
  ■日本がシェールガスに期待できない3つの理由


 関連
  ■シェールガス革命はアメリカの製造業の救世主となるか
  ■LNG価格(価格)の推移とシェールガス革命
  ■日本が経済成長するには? ~輸出、製造業信仰からの脱却~
  ■エアコンの電気代削減術1 ~21.8%の省エネ~
  ■爆風モード以外のもう1つの過大表示 電気代の嘘
  ■その他の商品・サービス・技術について書いた記事

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