タイトルは「アマゾンのジェフ・ベゾスCEO、トヨタのカイゼンに学ぶ」ですが、詰め合わせ的な感じで別な話も。<Amazonで売るのが難しい意外な商品は「ホウキ」…なぜ売れない?>という気になる話や、「他社の話はしない」「他社の話をする企業は本当の顧客第一ではない」といったものを紹介しています。
2021/11/29追記:
●ライバルの話はしない…はずがライバル批判した上にブーメランに 【NEW】
●Amazonで売るのが難しい意外な商品は「ホウキ」…なぜ売れない?
2012/5/14:米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOインタビューで、「最後まで取り扱えないと思っている商品はありますか?」という質問に清掃用品である「ほうき」(箒)という意外なものを挙げていました。
「そうですね…。非常に重くて、かさばるものを届けるのは大変ですよね。その商品が安価なものであれば、取り扱う商材として非常に難しくなる。重くてかさばるものでも平均販売価格が高い商品であれば問題ありません。大画面テレビなどが該当するでしょう。テーブルソーのような動力工具も問題ないですね。
だが、「ほうき」のようなものは難しい。安価なのに扱いにくい形をしている。これでは輸送コストが非常に高くついてしまいます」
(
「顧客中心」と言い張る企業の“嘘”を教えよう 米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOインタビュー(前編)(要登録 原隆 2012年5月1日 日経ビジネスオンライン)より)
へーという話。ホウキってAmazonないんですかね?と検索したら、普通にいっぱい出てきちゃいました。価格的に驚きがないということなのかもしれません。
●「他社の話はしない」「他社の話をする企業は本当の顧客第一ではない」
ベゾスさんは「他社の話はしない」と言っていました。また、「顧客を中心に考えていると言い張る会社の行動を見て下さい。実際に何を言っているのか、何をしているのかを見れば、決して顧客中心でないことが分かるでしょう。メディアに対して最大の競合他社の名前を挙げる。これは競争相手中心であることの明らかな兆候です」とも言っています。
上記は、他社の話をする企業は、本当の顧客第一ではないといった感じですね。ただし、「もちろん、私はこれを間違いだと言っている訳ではない。会社によってはそれでもいいのです」と言っていました。これはどうもいわゆるリーダー企業についていき真似をするというフォロワーの戦略のことを想定していうようです。
「『close following(すぐ後ろからついていく)』という戦略があります。競合の一挙一動にじっと目をこらし、何かした時にはうまくいくかどうか様子をうかがう。うまくいけば、迅速に真似をする。この戦略はある意味難しい。だからこの戦略を取る会社を非難すべきではないとは思う」
●世界最高峰企業アマゾンのジェフ・ベゾスCEO、トヨタのカイゼンに学ぶ
ところが、競合しないためか、それとも考え方の話であるためか、「日本から生み出されたイノベーションはありますか。」という質問に答える中で、他社であるトヨタの話はしています。しかも、かなり長くトヨタについて触れていて、「大きなインスピレーションを受けています」ともおっしゃっていました。
「1つ面白い話をしましょう。数年前、私は1週間の改善イベントに参加したのですが、そのためにある人物を雇いました。その男性は、トヨタなどほかの会社で経験を積み、エグゼクティブとしてその会社の業務分野を長年率いていた人でした。 (中略)
フルフィルメントセンターでほこりがたまっていたので私が掃除をしていると、それを見つけた彼がやってきてこう言うのです。
「ベゾスさん、私はフルフィルメントセンターを清潔に保つことには賛成です。しかし、聞かせてください。なぜほうきで掃いているのですか?どうして汚れのもとを取り除かないのですか?」。
それはとてもいい指摘でした。ほこりの根本的原因を見つければ、ほうきで掃く必要はなくなります。ほこりの原因はたくさんあるので、特定するのは難しいことが分かりました。
しかし、そのメンタリティ、そのアプローチ、その哲学を私たちは、日本から輸入して世界中に広めました。これはまさに「カイゼン」の哲学です。私たちは業務の専門家を大勢雇っているので、そのほかの改善の手法、例えばシックス・シグマもかなり取り入れています。リーン生産方式も使っていますし、さまざまな手法をミックスしています。こういった手法を学び、導入することは非常に有意義でした。トヨタ方式には大きなインスピレーションを受けています」
「カイゼンは役に立たない」と言っている人もいますが、ベゾスさんにインスピレーションを与えたようです。世界的な会社に影響を与えたというのは日本人として嬉しいですけど、そういう世界的な企業が日本からは最近生まれてこないのは寂しく思います。
●ライバルの話はしない…はずがライバル批判した上にブーメランに
2021/11/29追記:最初の投稿部分では、「アマゾンは他社の話はしない」「他社の話をする企業は本当の顧客第一ではない」といった話をジェフ・ベゾスCEOが言っていました。ところが、この発言については、後に矛盾する発言があった気がします。この発言そのものは忘れちゃったのですが、別の例がまた見つかったのでこちらを紹介します。
Amazonのジェフ・ベゾスさんは、株主あての書簡で賃金を値上げすることに絡んで、「最大のライバル(言わなくても分かるでしょう!)に、私たちの福利厚生や時給15ドル(約1665円)の最低賃金に対抗してみろと言いたい」と書いたとのこと。直接名前は出していないものの、ほぼ言ったようなものであり、ウォルマートを挑発したとみられています。
「他社の話はしない」に反したわけですが、内容も問題でした。この記述に対し、ウォルマートのダン・バートレット上級副社長はすぐさま反撃。同日のうちに、「そこの小売業界のライバル(誰だか分かるでしょう)、自分の税金を払ったらどうだろう」「倉庫で働く仲間たちは昔から15ドル以上稼いでいる」とツイッターに相次いで投稿していたそうです。
ツイートの1つ目は、アマゾンが受けている多額の税制優遇や日本でも言われている節税対策(租税回避?)を批判したもの。2つ目は、アマゾンはもともとの賃金水準が低く、社会に利益を還元していないと批判され、2018年に正社員やパート、繁忙期に雇う短期契約の最低賃金を時給15ドルに引き上げた経緯があり、それを皮肉ったものです。
(アマゾンの挑発にウォルマート「自分の税金払え」 読売新聞 / 2019年4月12日 21時37分より)
https://news.infoseek.co.jp/article/20190412_yol_oyt1t50302/
Amazonがブラック企業なのはよく知られた話であり、藪(やぶ)をつついて蛇を出した形。言わなくて良いことを言いました。また、前述の通り、「ライバル企業の話はしない」「他社の話をする企業は、本当の顧客第一ではない」と言ったこともブーメランに。Amazonやベゾスさんにはすごい!と思うところが多くある一方で、いろいろと問題もありますね。
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