日本の領海内にあるメタンハイドレートやレアアースの埋蔵量を考えると、日本は資源大国だと言えるという意見があります。ただ、別な観点において、日本はとっくの間に資源大国になっていたという見方もあるのです。それは日本メーカーの工業製品に多く使われているレアメタルやレアアースの量を考えると、資源大国といえるというものでした。(2012/5/15)
2017/10/16:スイスの下水に含まれる金銀は3億円以上
●実はもう既に日本は資源大国である
2012/5/15:私は言葉の意味などある程度確からしいと思っていることでも、一度検索して確かめることが多いです。それでも、おかしなこと書いてしまうのでキリがないってことは多々あるんですけど、まあ、それでもやらないよりはマシです。
で、この前も
シェールガス革命はアメリカの製造業の救世主となるかで日本は資源小国云々って書いたときに、念のために「日本 資源」で検索してみたんです。
そしたら、「日本が資源小国ってのは間違いであり、実は資源大国である」ってのがたくさん出てきました。(でも、めんどくさくなって読まないで、当時の投稿はそのまま「日本は資源小国」って書きました。検索した意味ないですね)
あまりにもたくさんそればっか出てくるもので何か逆にありふれた説ですよという感じすらしますが、一度その理由を読んでおかなくてはなりません。と言うことで、今回その機会を設けることにしました。
●理由は「都市鉱山」があるから
どうも見てみると個人のサイトが多いんですけど、引用しても遠慮なく意見を言いやすいということで、マスコミや有名人を優先します。
というわけで、とりあえずサーチナの
日本はなぜ資源大国になれた? 日本が注目を浴びる理由=中国(2011/03/09(水) 08:51)から。
ここでは、"新華社通信は7日、「日本はなぜ資源大国になれたのか」と題して、かなりの資源を輸入に頼ってきた日本が近年、資源大国として注目を浴びている理由を分析、報じた"としています。資源大国と断定されていました。
その理由は、「都市鉱山」でした。"物質・材料研究機構によると、日本国内の都市鉱山に埋蔵している資源は全地球上の金埋蔵量の16%に相当し、銀は埋蔵量の22%、インジウムは61%、タンタルは10%を占める"としています。
実はこれ次に読んだ櫻井よしこさんと同じ観点です。
中国は恐くない、日本は資源大国だ(『週刊新潮』 2010年10月14日号 日本ルネッサンス 第431回)というもの。この投稿の前半は当時の中国との尖閣諸島問題と、レアアース(希土類元素)の停止の問題についてですが、日本が資源大国である理由は終わりに少しだけ書かれていました。
我が日本には、実は稀少金属や稀土が都市鉱山の形で豊富に存在しているのだ。
都市鉱山というのは、さまざまな稀少金属を含む工業製品の山を指す。
●日本政府の方針のせいで資源を活用できず?
そして、非鉄金属製錬業などを手掛けるDOWAホールディングス社長の山田政雄さんの話とともに、以下のようにまとめています。
「物質・材料研究機構が、20種類の金属について調査したところ、我が国が都市鉱山として保有する埋蔵量は世界有数の資源国に匹敵することが判明しました。金は6,800トンで世界の埋蔵量の16%もあります。銀は6万トンで22%、稀少金属ではアンチモンが19%、インジウムが16%、タンタルが10%など、すべて1割を超えています。また金、銀、鉛、インジウムは、国別埋蔵量の順位で日本が第1位に相当するのです。枯渇が懸念されるインジウム、アンチモンも日本の都市鉱山の埋蔵量は決して少なくないのです」
日本はもっと自信を持ってよいのである。幾十年も多くの工業製品を生産してきた結果、資源が製品の形で蓄積されているのは当たり前なのだ。問題は、これらの大切な資源を内蔵する製品から、どのようにして、稀少金属を回収するかである。
我が国には、DOWAをはじめ、世界一の資源回収技術を有する企業が複数、すでに存在する。だからタテ割り行政で資源回収を阻んでいる現状を、合理的に作り直せばよいだけなのだ。枯尾花に脅えるのでなく、民主党得意の行政刷新を断行さえすればよいのである。
「タテ割り行政で資源回収を阻んでいる」って具体的に何でしょうね? 以前見学した工場のパンフレットを見ると、レアメタルや貴金属回収も行なっていると書いてあったので、現在でも希少金属などの回収は行われているんじゃないかと思います。回収率が極めて低いってことでしょうか?
また、この資源回収で本当に利益が出るのか、輸入モノとの競争力はどうかというのも気になりますけど、そういう収益性も含めて上げていけば良いのです。胸が高鳴りますね。
ただ、そもそもの話に戻りますけど、これは資源大国というのとはちょっと違うような? 輸入モノと競争という話を書きましたけど、資源大国ってのは気楽にどんどん掘り出して海外に売るイメージです。石油のように巨額の富を築けるものなんでしょうか?
●メタンハイドレートやレアアースの埋蔵量も豊富
最初のサーチナでは他の理由も出ていました。
日本領海には日本国内で使用する天然ガスの約90年分の量に相当するメタンハイドレートの埋蔵量が確認されているほか、日本近海の海溝には日本国内の天然ガス消費量14年分に相当する1億1000万立方メートルのメタンハイドレートが埋蔵されていることが確認されている。
これは出てくるかもと予想していましたし、以前の
シェールガス革命はアメリカの製造業の救世主となるかでも書きました。獲得手段を開発するまでは取らぬ狸の皮算用ですが、期待しています。
さらに嬉しいことに、新華社通信はまだ他にも日本が資源大国である理由を見つけてくれています。「南鳥島付近の海底にはレアアースやマンガン、コバルト、ニッケル、プラチナ、ネオジムなどの鉱産物が埋蔵されている」としていました。
良いところをたくさん見つけてくれるので何だか気分が良いですが、まあ、中国との尖閣諸島問題はそもそも資源の関係もあるでしょうしね。したたかで厄介な国です。
今回出てきたものは皆まだドル箱となっていないものばかりで、「日本は資源大国」と言うよりも「日本は資源大国になる可能性を秘めている」と言った方が適切でしょうね。この前も同じようなことを書きましたが、資源大国になるのを夢見て寝て待つのではなく、私たちは目の前のことを精一杯頑張りましょう。
(2017/10/16:その後、
実は不幸な資源大国 オランダ病と資源の呪いアフリカは原油などの鉱産物価格の変動で不安定という投稿をしているように、そもそも資源大国というのはそもそもあまり良くないものである可能性があります)
●スイスの下水に含まれる金銀は3億円以上
2017/10/16:日本の話ではないのですが、似たようなものということで、
スイスの下水に含まれる金銀は3億円超に、時計メーカーが排出か 2017年10月13日 16時24分(最終更新 10月13日 16時24分)という記事の話をここに追加。
スイスの政府系研究機関、スイス連邦水科学技術研究所(EAWAG)は、国内の下水処理施設の沈殿物に昨年、合わせて金43キロ、銀3トンが含まれていたとのリポートを発表しました。このほか、医療用造影剤に使用するガドリニウムなどのレアメタル(希少金属)も見つかりました。
主な排出元は、金や銀を製品や生産過程で使用する時計メーカーや製薬会社、化学産業などとみられています。金銀は、金額にして300万スイスフラン(約3億4500万円)に相当するといいますので、かなりの金額に見えます。
ただ、私が日本の件で気にしたそもそもコスト的に意味があるの?というところは否定的でした。研究者らは、沈殿物を焼却処分する前に貴金属を抽出する価値があるかを検討しているのですが、これまでのところコスト効率が良いとの結果は得られていないそうです。
ここらへんのコスト感覚・ビジネス感覚を持ち合わせていない「識者」の方は多いので、日本の場合もかなり大げさに言われている可能性があります。
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