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米では電子書籍の売上が連続で減少 書店は逆に連続で売上高増加中 理由は「デジタル疲れ」か価格の問題か?


 "AmazonのKindleなどの電子書籍、出版社にとっての魅力"(2012/5/18)に、"米では電子書籍の売上が連続で減少 書店は逆に連続で売上高増加中"、"理由は「デジタル疲れ」か価格の問題か?"(2017/05/18)という話を追加しました。


●米では電子書籍の売上が連続で減少 書店は逆に連続で売上高増加中

2017/05/18:電子書籍、特にAmazonの電子書籍は「脅威」と見られて目の敵にされることが多かったのですが、日本より先行するアメリカでは、早くも電子書籍が頭打ちになっていると報道があり、驚きました。

  米欧「書店は死なず」 アマゾン、電子書籍値下げ弱める 品ぞろえ工夫、居心地よく 2017/4/2付 日本経済新聞 朝刊 は、「米国の書店が復調している」という話。売上高は14年の前年比1.6%減を底に、15年(3.2%増)と16年(2.5%増)の2年連続で増加です。

 これだけでも驚きかもしれないのですが、私が最も意外だったのは電子書籍の苦戦です。書店売上とは逆に、2014年・2015年と 米出版社の電子書籍は2年連続で減った上に、16年も大幅に落ちたとされています。欧州出版社連盟=FEPによれば、欧州でも書籍の売上高に占める電子書籍の比率は5~6%で「低迷している」とのこと。


●理由は「デジタル疲れ」か価格の問題か?

 理由については、米調査会社のコーデックスグループは若者を中心に電子書籍の利用を減らし、紙の本に戻る動きがあると指摘。電子端末の利用時間をこれ以上は増やしたくない「デジタル疲れ」が背景にあるとしていました。でも、データ的な根拠のないふわっとした説明なので、何とも言えず。

 価格的な魅力がなければ買わなくなる…というのはよくあることですので、より現実的な説明としては、"電子書籍は、紙の本に対する価格面の優位性が薄れてきた"というものの方が良いかもしれません。"大手出版社は電子書籍の価格が下げ止まり始めたほか、一部で電子書籍の価格が紙を上回る例もある"そうです。

 そして、この"紙と電子の逆転現象は、電子書籍の薄利多売の市場構造を嫌う著作者や出版社の消極的な姿勢で起きた"とのこと。これはAmazon脅威論による著作者や出版社の抵抗が有効であることを示しています。

 記事によると、Amazonはこれを見て、実店舗の書店を増加する計画とのこと。ただ、この実店舗でもAmazonらしさは見えており、ネット通販で集めた大量の購買情報を店舗運営に活用しているのが特徴で、消費者の評価をもとに選んだ本を並べているそうです。

 また、1号店は米国の通常の書店より小さく、床面積500平方メートル(約150坪)程度に抑えました。ネット通販に比べて利益率の低い書店を運営していくため、賃料を抑制する目的と見られています。


●AmazonのKindleなどの電子書籍、出版社にとっての魅力

2012/5/18:もともと書いていた"AmazonのKindleなどの電子書籍、出版社にとっての魅力"は、Amazon脅威論に対し、ジェフ・ベゾスCEOが出版社にとっての魅力を説明するといった話でした。

 「日本での電子書籍事業開始は年内早期に発表する」 米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOインタビュー(後編)(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年5月2日 原隆)では、「いま一度、出版社に対してキンドルでビジネスを展開するメリットについて教えてください」とジェフ・ベゾスCEOに尋ねています。

 ベゾスCEOは当然、「出版社や著者にとって、非常に大きな利益をもたらす」としているのですが、その理由の一つの利点として「ロジスティクスの流れがないこと」を挙げていました。ただ、これはわかりづらい言い方ですよね。

 もう少しイメージがつかめるのは、「本を運ぶ必要もないし、何百もの場所で本を販売する営業チームも必要ありません。非常に効率的なビジネスモデルです」という説明でしょう。

 ただ、これより先に挙げていた「いったい何部印刷すればいいのか、悩む必要がない」というものが、おそらくベゾスCEOの考える最も大きな利点です。

ベゾス「従来の書籍の場合、発行日を決めたら印刷部数を1万部にするのか、5万部にするのか、10万部にするのかを決めなければなりません。推測を立て、一か八かでやってみるしかない。そのため、出版業界は売れ残ったり、返品されたり、処分したりする本が非常に多くなります。初版部数の管理はこのビジネスにおいて非常にコストがかかる部分です。
 では逆はどうか。印刷部数が少なすぎると、その本が最も注目されているタイミングで在庫がなくなります。つまり、出版社や著者にとって、電子書籍の最も素晴らしい点は、「いつも適量がある」ということです。これは大きな利点でしょう」

 前にどっかでちょこっと書いた、出版社は「アマゾンはむちゃくちゃ横暴で話にならない」という非公式な情報をリークしておきながら、本音では期待しているというのはこういう部分です。印刷部数が噛み合わなかったときの損失やリスクは大きく、出版業界は電子書籍とは無関係に苦しい状況のようです。

 こういう印刷部数の読みが出版社・編集者の腕の見せ所…という考え方もできるでしょうけど、本来の編集者の仕事ってそこじゃない気がします。

 そこに価値を見出す会社があっても良いと思いますが、すべての会社がそうなる必要はなく、むしろリスクを減らしていろいろな本を出版できるチャンスを増やす方が、読者にとって出版業界がより魅力的になるのではないかと思います。


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