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アップルVSサムスン 年間70億ドルの取引相手に数百万ドルかけて裁判


★2012/5/18 アップルVSサムスン 年間70億ドルの取引相手に数百万ドルかけて裁判
★2012/8/30 アップルも中国に勝てない?iPad商標と山寨機(シャンザイジー)


★2012/5/18 アップルVSサムスン 年間70億ドルの取引相手に数百万ドルかけて裁判

(2012/12/27訂正:最初「70億ドルかけて裁判」としていましたけど、さすがにそんなはずがありませんでした。どこをどう読み違えたのか、自分でも不思議です。申し訳ありませんでした)

 ベースとなった記事はこちらのジョブズ氏がアップルに残した特許戦争 果たして、iPhoneは「独創的」か?(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年5月16日 BloombergBusinessweek)というもの。(エコノミストが記事提供(フィナンシャル・タイムズもだっけ?)していたのは知っていましたが、ブルームバーグもあるってのは知りませんでした)

 黒い法服に真珠のネックレスを着けたルーシー・コー判事(43歳)は、米連邦地方裁判所の判事らしく、厳粛で思慮深い雰囲気を持っている。(中略)真面目な彼女だったが、2011年6月にサンノゼで開かれた審理では、目の前で小競り合いを繰り広げる弁護士たちをからかわずにはいられなかった。

 「前回あなた方がここに来た時、確か取引関係があると言っていましたね。具体的な数字は忘れてしまいましたが、800万ドル(約6億4000万円)でしたか。それとも80億ドル(約6400億円)でしたか」とコー判事は尋ねた。

 ハロルド・マケルヒニー弁護士が「70億ドル(約5600億円)を超えていたと思います」と答えた。これは、同弁護士のクライアントである米アップルが、この裁判の相手である韓国・サムスン電子が製造するアップル製品向けの部品に毎年支払っている金額だ。実はアップルは、サムスンにとって最大の顧客だ。2011年の売上高1090億ドル(約8兆7000億円)のうち、アップル関連の売り上げは7.6%を占めている。

 一方、アップルもサムスンに依存している。収益性の高い同社のタブレット端末「iPad」とスマートフォン「iPhone」の事業は、サムスンの部品がなければ急停止してしまうだろう。

 「70億ドルですか」。コー判事は考え込んだ。「何とか丸く収められませんか。ADR(裁判以外の紛争解決)(*1)に回しましょうか」。彼女は私的な和解方法に言及した。

*1=第三者による斡旋を介して紛争を解決する方法。裁判による解決、当事者による解決の中間に当たる

 しかし、御存知の通り、「解決する気配は全く」なく、"調停どころか、アップルは2012年2月、サンノゼ連邦地裁に戻ってきて、サムスンがアップル製品を「猿真似している」と再び訴えた"といった状況です。

 "訴訟にかかる年間数百万ドルもの費用について"も"ほとんど気に留めて"いません。(12/27追記)

 2011年10月5日に56歳で亡くなったジョブズ氏は、亡くなる前の1年半、アンドロイドを潰すことで頭がいっぱいだった。ジョブズ氏は、彼が公認した伝記作家のウォルター・アイザックソン氏にこう語った。「端末メーカーに対する訴訟は、『グーグル、おまえはiPhoneを盗んだ。しかも大がかりに。重窃盗罪だ』との明白なメッセージを伝えるものだ」。ジョブズ氏は「最期の瞬間まで、アップルの金庫の中身を使い果たしてでも、不正を正す」と誓っていた。「アンドロイドを潰す。それは盗品だからだ。水爆を使ってでもアンドロイドを滅ぼしてやる」と怒っていたという。

 たとえ比喩的な表現だとしても、核攻撃をすれば報復される。今起きている事態が、まさにそれだ。アップルが申し立てをするたびに、ライバル企業のどこかが反撃してくる。「アップルの製品には、ジョブズ氏が自慢するほど独自の革新性があるわけではない」。それどころか、サムスンやモトローラなどは、アップルの最も大切な特許の一部はそもそも無効だと主張する。

 訴訟という“合法的な大陸間弾道ミサイル”の発射ボタンを押すことで、ジョブズ氏は後継者たちに重大なリスクを遺した。アップルは訴訟によって、他社の携帯電話の幾つかの機能を使用禁止にできるかもしれない。あるいは、1~2機種を市場から排除できるかもしれない。だが、ライバルはあまりに多い。1社がつまずいても、別の企業が参入してくるだけだ。

 ただ、アップルにとっては相手がサムスンであるかどうかはあまり重要ではないようです。

 シリコンバレーのベテランたちは、携帯電話やタブレット端末のメーカーは別の敵の身代わりにすぎないと言う。別の敵とは、米グーグルの携帯端末向けOS(基本ソフト)「アンドロイド」だ。

 実はジョブズ氏は2008年に、パロアルトにあるグーグルのオフィスに出向いて、同社創業者のラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏と会談した。そして、もしグーグルが手を引くなら、iPhoneのホーム画面にグーグルが使用できるアイコンを2つ用意しようと提案した。さらに、彼らがアンドロイドを開発してiOSと競合するならば、訴訟を起こすと警告した。

 しかし、怒りを裁判所に持ち込むというジョブズ氏の考えは幾つかの障害に直面した。グーグルはそもそも携帯電話を売っていない。従って、判事はグーグルにコピー製品の販売差し止め命令を出すことはできない。同様に、他社が製造販売した携帯電話――不法に作った製品とアップルが申し立てている――に関連する損害賠償金をグーグルに支払わせることもできない。また、イメージの問題でグーグルの急所を直接刺したりすれば、消費者やシリコンバレーのエリートの間にアップルへの反感が生まれるかもしれなかった。

 そこでジョブズ氏は2010年3月、アンドロイドの身代わりを攻撃することにした。HTCの「ネクサスワン」「タッチ・プロ」「ドロイド・エリス」などの製品が、アップルが所有する10件の特許を侵害していると、米国国際貿易委員会(ITC)に提訴したのだ。1997年創業のHTCは、アンドロイドパートナーシップを利用して、スマートフォン大手へと進化していた。

 HTCが傷つけば、ほかのアンドロイド陣営のメーカーへの警告となるだろう。ところが、HTCは予想に反して手強い相手だった。HTCは、何ら不正をしておらず、アップルはライバルを貶めるために法廷で争っているのだと、提出した書類の中で主張した。

 アップルは裁判開始前から明らかに後退し始め、訴えの幾つかを取り下げた。ITCの行政法判事はHTCが侵害しているアップルの特許は2つと仮決定し、訴訟の範囲をさらに縮小した。

 2011年12月、ITCは最終決定で、裁判の対象にする特許件数をさらに減らして、HTCが侵害している特許は1つとした。この特許は、電子メールなどの文中にある電話番号を認識して即座にダイヤルできる、という小さな機能だ。これに対しHTCは、アップルが求める輸入禁止措置を避けるための対応策を講じるとの発表で応じた。

 そして、目下最大の標的はサムスンというわけです。


 これについて「両社の衝突は、ハイテク業界大手の実態を表している」ともブルームバーグは書いています。

 ハイテク業界は今訴訟ブームであるとして、それをもたらした要因として以下のように記しています。

1990年代初めから、米国特許商標局は特許を大量に認める政策を取り始めた。審査官は、特許申請を却下する場合、書面による理由説明が義務づけられた。一方、許可する場合、その必要はない。90年以降、年間特許許可件数は2.5倍――9万9077件から24万7713件――に拡大した。

 要するに特許だらけなわけで、その特許自体の信頼性も低く、

 確固たる結論を出さないまま、コー判事は「サムスンは、アップルのD’087特許の妥当性に関して実質的な疑問を提起した」と裁定した。この喧嘩を仕掛けることで、アップルは重要な知的財産権を危険にさらしてしまった。同社はその好戦性のために、将来の訴訟やライセンス交渉における影響力を失ったかもしれない。

 といった事態も発生しました。

 ただ、まあ、特許というのは本来そういった性質のもの、つまり、絶対的に認められているものではなく、仮に認められているといった部分がありますから、後から独創性に疑問が生じた場合、取り下げられることがあります。

 訴訟は無駄だから疑義が生じるけど特許料払っておこう……という判断は、実際にありうる選択肢です。


 とはいえ、現実が訴訟ブームだというのは、そういったケースはそう多くないってことですかね。

 これから先もハイテク業界では訴訟の話題が尽きないことでしょうね。


★2012/8/30 アップルも中国に勝てない?iPad商標と山寨機(シャンザイジー)

 ご存知の通り、先日アップルはサムスンにとの特許侵害訴訟で勝利しました。

AppleがSamsungとの特許侵害訴訟で勝利、損害賠償は10億5000万ドル(2012/08/27 鈴木 英子 ITpro)

 米Appleと韓国Samsung Electronicsの間で争われているモバイル関連の特許侵害訴訟において、Appleに有利な判決が下ったと複数の米メディア(New York Times、Wall Street Journal、Bloomberg、InfoWorldなど)が一斉に報じた。それによると、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所は現地時間2012年8月24日、Samsungによる特許侵害行為を認め、同社に10億5000万ドルの損害賠償支払いを命じた。

 9人の陪審員が3日間にわたって評議し、Samsung製品がAppleの6件の特許を侵害していたと判断した。問題の特許には最後までスクロールすると跳ね上がる設計、タップして拡大する技術、スマートフォンの外観に関するものが含まれ、その多くが「意図的な侵害」だったと陪審は見ているという。Appleは7件の特許を侵害されたと主張していたが、タブレット端末のデザインに関する特許についての侵害は無いとされた。

 ただし、一連の裁判の影響がアップルにとって完全勝利だったかと言うと、疑問の声が上がっています。

 サムスンはソニーや三菱電機などの日本メーカーやサムスンの戦略からアップルが(柔らかい言い方で言うと)ヒントを得ていたことを暴露し、高い独創性にプライドを持つアップルのアイデンティティを傷つけました。

 また、サムスンについてもブランド力失墜の声が上がる一方で、パクリは承知の上なのだからむしろ大きな宣伝だという見方や侵害が認められたのは古い機種で実害に乏しいといった分析があります。

 それでも、アップルの株価は跳ね上がり、サムスンの株価は急落したのは事実です。一部ではアップルの全面勝利という報道も見られました。

 アップルの勝利には違いなく、面目を保った形です。


 しかし、中国ではそうは行かないぞというのが、 アップルもサムスンも勝てない「山寨機」 産業部次長 中山淳史(要登録 日経新聞 2012/8/29 7:00)です。

 中国には、"「山寨機」(シャンザイジー)と呼ばれる模倣版の携帯電話やタブレット、ゲーム機など"があり、"巨大な地下経済をつくってい"ます。

 "一部のメーカーは低価格機を次々に投入し、対抗しているが、大半の場合、あまり効果を上げら"ず、"マイクロソフトはあきらめモードに入ったのか、東南アジア市場の開拓に軸足を移し、中国よりインドネシアの売上高の方が大きくなったと言われている"ほどだそうです。


 「いや、でも、アップルは別格」と考える人もいるでしょうが、"現地に詳しい電機メーカー関係者"は「アップルといえども中国は難しい。先進国での係争とはわけが違う」と答えています。

 その理由は"山寨機を生み出している中国企業の多くが、アップル製品などの部品や完成品の生産にも関わっている可能性がある点"です。

 アップルのデジタル製品の"大半は中国で組み立てられており、同国の電子産業はいわばアップルの競争力を握っている存在"であり、これを敵に回せばダイレクトにアップルの製品に響くということのようです。


 ただし、アップルVSサムスン 年間70億ドルの取引相手に数百万ドルかけて裁判で出てきたように、サムスンとも取引がある関係ではありました。

 また、中国でも一気にではなく少しずつ訴えていけば、大半の部品の提供を止めずに……とちょっと考えてみましたが、たぶん雨後の竹の子のようにパクリが出てくるのでキリがなさそうです。


 この他には、記事に"中国では「iPad」の商標権を巡り、痛い目にあったばかり"とあるように、そもそも中国でアップルが勝てるか?という問題もあります。

アップル、6千万ドル払い和解 中国のiPad商標訴訟(朝日新聞 2012年7月2日16時48分)

 米アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」の商標権をめぐる裁判で、広東省高級人民法院(高裁に相当)は2日、商標権を持っていると主張していた中国企業にアップルが6千万ドル(約48億円)を支払うことで和解した、と発表した。アップルは、中国でもiPadの商標権の正式な所有者として認められ、商品を通常通り、販売できる。

 同法院によると、和解が成立したのは6月25日。アップルはすでに和解金を振り込んでいる。中国で商標権を主張していたIT企業「唯冠科技」(同省深セン市、センは、土へんに川)は、巨額の負債を抱えていた。アップルは事実上、6千万ドルでiPadの商標権を買い取った形になった。

 2010年5月から広東省で裁判が始まり、同省恵州市の裁判所が「唯冠」の訴えを認め、関連商品の販売停止命令を出すなど混乱が続いていた。中国紙によれば、「唯冠」は今回の和解を受けて、他の裁判も取り下げる方針。(北京=吉岡桂子)

 時系列的に書いていないのでわかりづらいですが、まず先にアップルが敗訴して、中国の「唯冠」に商標が認めらていました。

 で、仕方ないので今回アップルは「唯冠」から"6千万ドルでiPadの商標権を買い取った"ということです。

 これは実際に先に「唯冠」がiPad発表前に商標を登録していたという例のようですが、そもそもこの商標を用いたのはアップルのパクリ製品(iMac)だったとか何とか……。


 中国ではアップルすらこれなんですから、日本のパクリ被害はもうお手上げな気がします。


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