果物と野菜の違いとは?という話。<木になるのが果物はデマ?野菜との違い 例外が多く説明できない>、<トマトは野菜かフルーツか?アメリカでは扱いを巡って裁判に>などの話をまとめています。
また、メロンだけでもおもしろい話が多かったので、<メロンは園芸分野では野菜 果物というよりは「水筒」扱いの国も>、<そもそも日本語の「野菜」と英語の「ベジタブル」は違う意味?>、<昔は緑のメロンが格上!オレンジのメロンはおいしくない低級品扱い>などの話をまとめました。、
2022/07/09まとめ
●メロンは園芸分野では野菜 果物というよりは「水筒」扱いの国も など
●木になるのが果物はデマ?野菜との違い 例外が多く説明できない
2009/7/15:野菜と果物の違いってなんだろう?と思いました。そもそもきちんとした定義があるのでしょうか。私は小さいころ「木になるのが果物」と聞いたことがありますが、これも怪しいかもしれません。後述するように例外が多いのです。また、ザクッとした感覚としては、「デザート的なものが果物」で、「サラダとかになるものが野菜」といった感じです。
野菜-Wikipediaを見てみると、「野菜とは、一般には水分が多い草本性で食用となる植物を指す」とあります。この「草本」というのは、なんか要するに「草」のことみたいで、対義語は「木本」で「木」のことみたいです。あまり使われない言葉でちょっと不思議ですけどね。
一方、
果物-Wikipediaではどのように書いているでしょう? こちらも見てみると、「食用になる果実」で、「(そのうち)狭義には樹木になるもののみを指し、農林水産省でもこの定義を用いている」とありますので、私が小さい頃に聞いていた「木になるのが果物」という理解で合っているみたいです。
●例外多い果物は木説 イチゴ・スイカ・メロン・トマトなどが例外
ただ、単純に「木になるのが果物」というのは、Wikipediaでは直後に、「また、多年草の食用果実を果物と定義する場合もある」とあり、「一般的には、食用になる果実のうち、甘味を有するものを『果物』『フルーツ』と呼ぶことが多い」ともあったんですよ。ここらへんの曖昧なところに存在するものとしては、次のようなものがあるようです。
・果実的野菜(農林水産省での分類、果物のように食べられる野菜、※1より)
・ イチゴ
・ スイカ
・ メロン
・主食となり得る野菜(野菜に含めないことが多いが、それを主食としない文化圏では野菜として扱われることがある、※2より)
・ 穀物(日本でのトウモロコシ、欧米での米などが微妙)
・ いも
・ 豆
・その他ややこしいもの
・ トマト
●トマトは野菜かフルーツか?アメリカでは扱いを巡って裁判に
最後のトマトは、実を言うとWikipediaにはなかったもの。どこぞの国では果物扱いだと聞いたことがありますので、個人的に追加しました。で、これを調べていたら、
トマトは野菜ですか?それとも果物ですか?-OKWaveにアメリカの例を詳しく書いてくださっている方がいました。
アメリカの学術雑誌「HortTechnology」の1996年July/Sept号286-287ページに載っていたコラム(?)によると、1887年にNixonという人がトマトを輸入しようとしたときに、1883年に施行された「野菜には価格に応じて10%の関税を課す」という関税法に対して、「fruitとは、種子を含んでいる植物、あるいは、そのような植物の一部」であるのでトマトはfruitであると主張して、裁判を起こしたそうです。
(書かれていた方はここでの「fruit」は「果物」でなく「果実」を指すのではとされていましたが、トマトの食用部が「果実」であることに疑念はないので、やはり「果物」の意だと思います)。
しかし、裁判官のGrayという人は「トマトは、肉や魚と並んで料理の基礎をなしている。デザートとして食べない。ここは、日常生活における意味に沿って判断するのが妥当である」という理由で、Nixonの主張を却下したそうです。ということで、アメリカでもトマトは野菜扱いみたいです。
何となく気になって調べてしまいましたが、野菜だろうが果物だろうが、わりとどっちでもいいような話ではありますけどね。食べ物の話って何かと揉めがちですが、結局場所によってマチマチみたいですので、「~は野菜か?果物か?」みたいなケンカはしないでおきましょう。
参考記事
※1
果物-Wikipedia※2
野菜-Wikipedia●メロンは園芸分野では野菜 果物というよりは「水筒」扱いの国も
2022/07/09追記:その後、特にメロンを取り上げて<果物と野菜の違い ~メロン編~>というタイトルで書いていた話を同じページにまとめました。さらに、ここでは、今まで出てこなかった果物と野菜を分類するときの考え方も見つけましたので、そちらについても書いています。
2011/7/17:毎度お世話になっている
Wikipediaでは、<メロンは園芸分野では果菜(野菜)とされるが、青果市場での取り扱いや、栄養学上の分類では果物あるいは果実と分類される>と書いています。やはり野菜か果物かややこしいところがある食べ物のようです。
また、それ以外にも「日本では、生食用・贈答品として用いられることも多いが、例えばアメリカなど国によっては庶民的な果物である。また、加工品用・飼料用での利用もある」という記述もあります。この書き方からすると、アメリカでも果物という認識なんでしょうね。
ついでに関係ないですけど、メロンでおもしろかった話も紹介。「極粉質の果実をつける品種(ババゴロシとも呼ばれる)や、乾燥地帯の品種には極めて保存性の良い(1年程度もつ)品種もある。この場合は果物というより、水筒の代わりとしての利用である」というものがありました。
●農林水産省はメロン、すいかなどを「果実的野菜」として分類か?
これだけですとあっさり過ぎますので、Wikipediaの出典も見てみます。ところが、最初の農林水産省のページがいきなりのリンク切れ。仕方なくそれっぽいのを農林水産省のサイト内から検索すると、
野菜と果物の違いを教えてください。また、すいか、メロンは野菜、果物のどちらですか。というのが出てきました。
回答
<野菜と果物(果実)の分類については、はっきりした定義はありません。あるものを野菜に分類するか果物に分類するかは、国によっても違い、日本でも生産・流通・消費などの分野で分類の仕方が異なるものもあります。生産分野においては、一般的に次の特性を持つ植物が野菜とされています。
1. 田畑に栽培されること(栽培されていない山菜などは野菜と区別することが多い)
2. 副食物であること
3. 加工を前提としないこと(こんにゃくのような加工を前提とするものは野菜としていない。漬物のように原料形質がはっきり残っているものや家庭における簡易加工は加工に含まない)
4. 草本性であること
しかし、どの定義も確固たるものではありません。 また、農林水産省では、果実を、生産や出荷の統計をとる上で果樹として分類しています。この果樹は、木本性などの永年作物のことをいいます。なお、いちご、メロン、すいかなどは野菜に分類されますが、果実的な利用をすることから果実的野菜として扱っています。
参考資料
「野菜の生態と作型」(社)農山漁村文化協会、「果樹生産出荷統計」農林水産省統計部>
4つの分類方法を提示していますが、このうち「2. 副食物」「3. 加工を前提としないこと」は、以前は出てこなかった視点。とりあえず、農林水産省の分類としては、やはりスイカ同様、メロンも「果実的野菜」(おそらく厳密には野菜だけど、果実扱いみたいな意味)として扱っているようです。
●そもそも日本語の「野菜」と英語の「ベジタブル」は違う意味?
もう一つ、出典としてあった
五訂増補日本食品標準成分表 果実類(PDF)も見てみます。これは文科省の資料で、12ページにわたってズラーッと果実の名と成分表が載っているだけですから、楽しくも何ともありません。とりあえず、メロンがここに存在することは確認できました。他の果実的野菜であるイチゴなども見つけることができます。
その他に目を向けてみると、おもしろかったのは、
メロン|野菜果物辞典というページです。(強調は引用者)
<日本語の野菜と果物の区別は本来草本か木本かによるため、草本に実るメロンは野菜(果菜)に分類されるが、強い甘味を持つため果物としての食べられ方をしている。英語の vegetable と fruit の区分は日本語とは異なるので、
野菜であってなおかつフルーツでもある。なお、今日の日本語の生活感覚ではむしろ、果物は英語のフルーツに対応した語に変貌しているので、果物として扱われることが多くなっている>
どうも英語と日本語の違いで、野菜=vegetable、果物=fruitといった置換自体が乱暴だったようです。ただ、上記でやったアメリカのトマトの例は、法的にはそのどちらか?といったところでもめていましたけどね…。日本特有の問題とは言えないような気はします。
●昔は緑のメロンが格上!オレンジのメロンはおいしくない低級品扱い
あと、このページで野菜・果物無関係でおもしろかった話が、<北アフリカや近東地方の原産であり、通常Cucumis melo L.の西方に伝わった品種群をメロンと呼び、東方に伝わった品種群を瓜(ウリ)と呼ぶ>などの話。今ではむしろオレンジ色のメロンがおいしいイメージですが、昔は逆でもあったようです。
<果肉はオレンジ色のものと緑色のものがある。夕張メロンは前者の代表的なもので、アンデスメロン、プリンスメロン、マスクメロンなどは後者にあたる。元来、オレンジ色のものは緑色のものに比べ味や香りが悪く、低級品とされていた。しかし、夕張メロンは品種改良と栽培農家の苦労、ブランド戦略で高級メロンとして認識されるようになった>
最後に、北海道生まれの私的には、夕張メロン以外にも、アサヒメロンとか、おいわけメロンとかとかいうのもありますよ!と宣伝しておきます。アサヒメロン自体も追分(おいわけ)で作っているイメージがありますね。
●食物学的・家政学的には『糖度8%以上か以下か』で区別する…説も
2013/5/17追記:メールで聞いたことのない別の説を教えていただきました。食物学的・家政学的には『糖度8%以上か以下か』で区別する…という説です。以前、テレビで見たといいます。
<うろ覚えですが子供の頃、フルーツトマトを特集していたTV番組で、「農学的・植物学的には樹木か草かで区別するが、食物学的・家政学的には『糖度8%以上か以下か』で区別する」と言っていたのを聞いた記憶があります。ただ、だいぶ後になって、ソースを探してみたものの、「糖度8%」という基準値に触れたガイドライン等の有無がよく判りません。
でも、日常でいわゆるフルーツとして扱われているものは、確かに大体8%以上くらいが境い目になっているように見受けられます。
それでも、さつま芋やカボチャのような汁気が少ない物は、甘くてお菓子作りにしばしば使われても一般に「果物」とは言われないし(そもそも「糖度」の測定自体が、絞り汁に含まれる糖分の割合らしいですが…。あと、根菜のさつま芋はともかく、南瓜は西瓜やメロンと同様にウリ科なので、品種上の理由で除かれている訳ではなさそう)、玉ネギはメロンと同じくらいの糖度があるにもかかわらず(もっとも辛味の関係で、実際の食用では甘味を感じにくい)、これも果物と扱われていません。これらの共通項を推察すると、糖度が高くても、通常あまり生食せず加熱して食べる物だという点?">
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