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コチニール色素がアレルギーの原因というデマ 消費者庁の注意喚起が拡散に寄与?


2012/5/27:
消費者庁が注意喚起 コチニールの摂取でアレルギーのおそれ?
危険そうなのに、なぜ食品添加物として認められているの?
消費者庁の注意喚起がデマの拡散に寄与?
コチニール色素で問題が起きるのは技術が低いから
言うほど問題は起きていないコチニール色素絡みのアレルギー
アレルギーの疑いがある物質を知ること自体は大切なこと
コチニール絡みのアレルギーが女性に多い理由は口紅
2018/10/21:
WHO・アメリカ・EUはコチニール色素を規制してる?


●消費者庁が注意喚起 コチニールの摂取でアレルギーのおそれ?

2012/5/27:世の中には石油由来成分を敵視したり、天然成分がそれに比べて無条件に良いものだと断定したり、またその中でも動物由来より植物由来が望ましいんだと力説したりする方がいます。これはもうカルト宗教の熱心な信者みたいなものなので、マインドコントロールを解くのは相当難しいことになります。

 ところで、信者の方にとって悪くないはずの天然由来の成分であっても、その対象が虫となると途端に態度が変わるのでしょう。エンジムシから作られる色素で、えんじの名の通り赤い色素であるコチニール色素というのは、「自然由来」として讃えられず、むしろひどく叩かれている色素です。

 今でも友禅や紅型の染料としてエンジムシが使われているそうですが、コチニール色素の原料はメキシコのコチニールカイガラムシなど海外のエンジムシの仲間が主流のようです。そして、信者の方たちにとっては恐ろしいことに、このコチニール色素は食品添加物として認められているのです。

 しかし、信者の方たちにとって朗報となりそうなニュースが出ていました。アレルギー:着色料「コチニール」で発症の恐れ…消費者庁(毎日新聞 2012年05月15日 20時05分(最終更新 05月15日 20時46分))というものです。
 加工食品や飲料、化粧品などに広く使われている着色料「コチニール」の摂取で、呼吸困難などの急性アレルギー反応が起きる可能性があるとして、消費者庁が注意を呼びかけている。同庁が食品添加物のアレルギー発症で注意を喚起するのは初めて。厚生労働省もコチニール入り製品を扱う全国の事業者に、発症事例があれば報告するよう通知した。

 コチニールは、中南米などに生息するエンジムシが原料の赤色の着色料。食品衛生法で食品添加物として認められている。飲料や菓子、医薬品、口紅などに広く利用されている。今年4月、国内の病院から同庁に、コチニール入り飲料で急性アレルギー反応を起こした患者の報告があった。

 過去にもコチニール摂取による急性全身性アレルギー反応「アナフィラキシー」が報告されていたことから、注意喚起に踏み切った。

●危険そうなのに、なぜ食品添加物として認められているの?

 「アナフィラキシー」が報告されているのに「何でそんなもの許しているんだ!?」と信者の方じゃなくても不思議に思うでしょう。私も最初思いました。ただ、そのヒントが次のところにありました。

"独協医科大越谷病院の片桐一元(かずもと)教授は「精製過程で混じる不純物の中のたんぱく質が、アレルギー反応を引き起こすと言われている。今回の注意喚起で、医療現場ではコチニールが原因物質かどうか疑いやすくなるだろう」と話している"

 コチニール色素そのものではなく、不純物中のタンパク質が問題であるようです。不純物が悪いのであれば、規制しないのも当然ですね。不純物が混ざっただけで、目的の物質を規制し始めたら、すべてのものが使えなくなってしまいます。

 ただ、注意して読まないとわからない書き方ですし、要約の仕方が悪かったのかこの教授の話の中でも「コチニールが原因物質」という言い方がなされていて奇妙なことになっています。


●消費者庁の注意喚起がデマの拡散に寄与?

 このややこしくて紛らわしくて理解の不十分な書き方は、元の消費者庁のリリースからそうだったようで、わかりにくいコチニール色素問題を読み解く(2012年5月16日 フードコムネット 松永和紀)で批判されていました。デマの発生源になりかねないものだったみたいです。
 消費者庁のプレスリリースでは、コチニール色素がなぜアレルギー反応を起こすか、という肝心の「科学的な根拠」が説明されていません。アレルギー反応を起こすのは、コチニール色素自体ではなく、色素を生物から抽出する時に除去しきれないタンパク質が原因です。つまり、不純物のせい。このことを、国内の食品添加物メーカーも厚労省も以前から把握していて、極力不純物をなくす製法をとっています。しかし、海外の添加物メーカーの中には取り組みが不十分なところもあります。

 こうしたことが説明されなければ、着色料やアレルギーに対する誤解が広がってしまいます。なぜ、このような不十分なプレスリリースを消費者庁がしたのか、理解に苦しみます。

●コチニール色素で問題が起きるのは技術が低いから

 記事によると、日本では、コチニール色素は飲料や菓子、ソーセージ等に使われてきました。しかし、不純物がアレルゲンとなることが明らかとなって、ほかの色素に切り替えたメーカーもあります。リキュールの「カンパリ」の色付けに使われていることで有名だったものの、このメーカーも2007年には合成着色料に切り替えています。

 また、食品添加物メーカーも、かなり以前から対策。日本の大手メーカー「三栄源エフ・エフ・アイ」は、精製度を上げた「低アレルゲンコチニール色素」を開発し販売しています。そのため、この10数年、同社のコチニール色素が原因と見られるアレルギー発症の連絡は、来ていないとのこと。やはり不純物の問題なのでしょう。技術的に低レベルだったようです。

 ただし、 海外の添加物メーカーの中には、そこまで徹底していないところもあるとのこと。この海外の添加物メーカーが作ったコチニール色素を用いて食品を製造する日本の食品メーカーもあります。また、海外でコチニール色素が使われ製造された加工食品も、輸入されています。したがって、コチニール色素が全部安全とは言い難いのも事実でした。


●言うほど問題は起きていないコチニール色素絡みのアレルギー

 ただし、このアレルギーの発症例は取り立てて多いとは言えないようです。他にアレルギーを起こすものが多すぎて、後回しにされていたようなものでした。
 コチニール色素によるアレルギーを、厚労省も以前から把握していました。しかし、同省にしてみれば、数多くある食物アレルギーの一つです。食物に含まれるタンパク質が原因で起きる食物アレルギーは多種多様な食品で発生しており、食品中に卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生が含まれる場合は表示義務があります。しかし、バナナや大豆、いかなど18種類については、表示が奨励されているだけです。

 そして、アレルギー症状を起こすのは上記の25種類だけではなく、そのほかにも数多くあるのです。たとえば米、ゴマ、イチゴ……。ゴマでアレルギー症状が出たという報告はかなり多く、食品表示を検討する国の会議でも、「表示が必要ではないか」と議論になったことがあります。しかし、ほとんどの人が、そんなことを知らないまま食べています。
 アレルギーの問題にはこうした背景があるため、厚労省はコチニール色素についても、わざわざ広報することはなかったようです。

●アレルギーの疑いがある物質を知ること自体は大切なこと

 このように数多くアレルギー症状を起こすものがあるというのを、知識として知っておくのは良いことです。そうすれば、何か問題が起きたときに疑わしきものを推定することができます。

 アレルギー症状が出るものを無理して使え!って私は言いたいわけではありませんからね。問題が起きないように事前に防ぐのは大事なこと。コチニール色素に限らず、非常に多くの物質でアレルギーが起きるのですから注意していかなくてはいけません。そういやこれは、「自然だから良い思想」が嘘っぱちって話でもありますね。

 あと、食物アレルギーに関する知識は、当然ながらお医者さんにとってはよりいっそう重要でしょう。先の片桐一元教授の「今回の注意喚起で、医療現場ではコチニールが原因物質かどうか疑いやすくなるだろう」というのはそういう意味であり、現在現場の医者が十分にアレルギーの原因物質を把握できていない(要するに勉強不足)ということなんだと思います。


●コチニール絡みのアレルギーが女性に多い理由は口紅

 引用記事の松永和紀さんによると、コチニール色素と同成分を用いたカルミンというものが、口紅で広く使われているそうです。

 実は今回のようなコチニール色素関連でアレルギー症状が出る方は、圧倒的に女性が多いんだそうです。ということで、より本質的には口紅の方が原因になっている可能性が高いようです。

 こちらについてはより詳しくコチニール色素、カルミンと口紅とアレルギーの関係に書きました。


●WHO・アメリカ・EUはコチニール色素を規制してる?

2018/10/21:その後新しい研究によって知見が変わった可能性があるので、コチニール色素 - Wikipediaを確認。しかし、特に変わりないみたいですね。日本では既存添加物として認められているのはコチニール色素のみですけど、WHOや欧米ではむしろもっと緩く、全く問題はなさそうでした。

・各種の安全性試験(急性毒性・催奇性・発ガン性など)の結果に問題はなく、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会はコチニールレーキの一日摂取許容量を体重1kgあたり5mgと評価している。
・アメリカ合衆国ではコチニール色素およびコチニールレーキの使用は規制されておらず、表示義務もない(検討中)。
・欧州連合ではコチニール色素およびコチニールレーキはE120として食品ごとに使用が認可されており、他の添加物と同様の表示義務が課せられている。

 また、コチニール色素ではなく、不純物が問題という説明もやはりいっしょ。

"コチニール色素を使った食品や化粧品の製造に関わる人の間、または、これらを利用した製品の使用や摂取で、喘息、アナフィラキシーショックなどのアレルギー発作が報告されている。ただし、これらのアレルギー反応は、色素自体によるものではなく、原料のエンジムシ由来の特定のタンパク質が原因物質だろうと考えられている"

 上記は例の問題だった消費者庁プレスリリースがソースであり、その後の新しい情報ではありません。ただ、結局、これ以上の確からしい情報がないのですから、コチニール色素そのものが問題ではないという理解で良いのでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■コチニール色素、カルミンと口紅とアレルギーの関係

【関連投稿】
  ■茶のしずく問題、悠香の対応は?厚労省の評価は?
  ■医療・病気・身体についての投稿まとめ

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