●アポロ11号の月面着陸はなかったという疑惑(副島隆彦説)
2012/6/3:トンデモ本について紹介する"と学会"の第14回日本トンデモ本大賞は、「
人類の月面着陸は無かったろう論」(徳間書店)という本だったそうです。作者は副島隆彦(そえじま たかひこ)さん。見覚えのある名前のような気がしたので検索すると、評論家さんだそうです。何度か記事を読んだのかもしれません。
炎上商法みたいなもので、嘘を吐いて稼いでいる方の助けになってしまうから紹介しない方が良いのかなぁとも思いますが、笑っちゃったので今回紹介。早速
Wikipediaを読んでみると、この月面着陸疑惑についても既に網羅されていました。
<2004年には人類の月面着陸はなかったとウェブページと著書で主張した。新聞の書評に
「夏バテにはドリンク剤とトンデモ本が一番」と紹介され、と学会からも間違いを指摘されて、インターネット上でも同様の議論が数多くなされた(参照アポロ計画陰謀論)。『人類の月面着陸は無かったろう論』の後書きで副島は、「私の主張が明白に間違いで、アポロ11号の飛行士たちが月面に着陸していたことの明白な証拠が出てきたら、その時は私は筆を折る。もう二度と本を書いて出版することをしない。」と書いている>
「夏バテにはドリンク剤とトンデモ本が一番」という新聞の書評の文句に爆笑しましたが、新聞は読売新聞、作者は三浦俊彦さんという論理学者・小説家の方のようです。
ご本人のサイトにそのときの書評も載っており、以下のような皮肉の効いたコメントの後に、アポロ捏造説についても少し扱ったという自著の『心理パラドクス』(二見書房)を宣伝されていました。
<夏バテにはドリンク剤とトンデモ本が一番。このテに特有の罵倒文体を真面目に読んでいくと、世の中いろんな考え方ができるんだなあと気力が湧いてくる。ただし、断定と恫喝の嵐に気圧されて「やっぱりアメリカに騙されていたのか」と思い始めた人は要注意。読者の精神力と論理的適性をためす尺度としても使える本です>
●科学的な思考方法を重視し、理系賛美が圧倒的に多かった副島隆彦氏
さて、「人類の月面着陸は無かったろう論」の方ですが、このタイトルで検索すると、上位に
アンサイクロペディアが出てきてしまいます。このサイトは基本的に全部ジョークでできていて、本気にしちゃいけないサイトなのですが、風刺という観点で見るとたいへんに素晴らしいサイトですので、ちょっと期待して読んでみました。まず、冒頭は以下のような感じです。
<人類の月面着陸は無かったろう論(じんるいのげつめんちゃくりくはなかったろうろん、通称:たろ論)は、理科系でない文系学者の副島隆彦が「人類の月着陸」ことアポロ計画のみならず、世界規模のとんでもないアメリカの陰謀を明らかにした書籍である。
主語と述語が相対しない、日本語の新しい文法を作ったことでも知られる。 >
いきなり嫌味が全開です。ここで「理科系でない文系学者」とありますが、先のWikipediaによれば、副島隆彦さんは「理系と文系を分け、文学部哲学科、人文科学部なる意味不明なものを擁する」として日本の大学制度を批判しているため、それを踏まえたものなんでしょう。
また、「副島の文章は文系批判と比べると理系賛美が圧倒的に多かったが、ある時を境に批判的になっていった。それでも物理学以外には敵対するようなことはいってないし、科学的な思考方法というものには批判的ではない」ともありましたが、ご自身の科学的思考としてはどうなんでしょうね。
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アンサイクロペディアに戻ります。この本は、「人類の月面着陸」すなわちアポロ計画だけを否定しただけのように思われるが、実際には現代物理学・ロケット工学など、様々な分野に広まってしまっている「アメリカによるでっち上げ、陰謀」を明らかにしたものだとしていました。ただ、この「発見」というのは、皮肉で言ったものですからね。ここらへん意図を理解できない人が読むとあべこべになりそうです。
・60年代のミサイルは、半導体など高度な先端技術などなかった事から、長距離を飛ばすことは不可能であった
<半導体研究者に副島が
脳内で取材したことによる。アメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)による同年代の核ミサイル競争は、実は両国による狂言であった事を明らかにした。
1944年、ナチスドイツがベルギーから300km離れたイギリスに世界初のミサイルを撃ち込んだといわれているのは、
言うまでもなくイギリスの自作自演である>
・アポロの宇宙船は打ち上げられてさえいないか、地球の軌道上を回っていた
<アポロ4~17号の打ち上げを目撃していたアメリカ人数万人や、打ち上げから月面着陸時までそれのリアルタイム観測や無線傍受をしていたという世界中の天文台やアマチュア天文家は、
全てアメリカの手先で証言を捏造しているということを示した>
・アポロの宇宙船は全て同一背景の場所に着地しているように見え、それは当然「2001年宇宙の旅」監督であったスタンリー・キューブリックがNASAの依頼でセットとして作成したものである
<副島の考察による。少し見ただけで、詳しく調べずに分かったらしい。山のあるなしの違いとか、当初は「すべて静かの海に着陸した」と主張していたのでは、などといった反論は、すべてアメリカの陰謀であろう。
なお同様の映像を撮影するには、
月と同じ大きさのレプリカをセットとして作り、真空状態にしたスタジオでの撮影が必要。キューブリックの特撮技術の高さと、それを可能にしたNASAの資金協力は凄い。NASAは非常に気前が良い事も証明した>
・世界の天文台は常にアメリカの圧力を受けている事を発見
<月面はアメリカによる暗黙の指示により、撮影を禁止されているということを示した。
冷戦下のヨーロッパ諸国やソ連、ついでにアマチュア天文家も実はアメリカの指示に従っていた事になった。アメリカってすごいよね>
・放射線により生物は宇宙で焼けただれ、蒸発する
<放射線は常に原子爆弾のように熱風を伴い、常に同じ大きさ・種類であることを発見した。
またこれにより、
宇宙を飛んでいる静止衛星や惑星探査機は溶かされてしまうため存在しない、すなわちジョン・F・ケネディ暗殺に始まる衛星放送はアメリカと日本のでっち上げであったことを示唆した>
●「現代物理学の多くは間違っている」「マスコミはアメリカの支配下」
アンサイクロペディアの結論部分には、以下のようにありました。こういう方がいるのは仕方ないことですけど、その主張を広めることで金を稼ごうっていうんですから、「人類の月面着陸は無かったろう論」を出版した徳間書店も倫理観がないと思います。
・現代物理学の多くは間違っており、更に人類は宇宙へ行ったことさえない
・世界中の数十~数百万もの者が、アメリカの陰謀を隠すべく工作活動を行っており、日本を含む世界の学界やマスコミはその支配下にある
副島隆彦さんは先のWikipediaでは「吉本隆明を教祖の様に仰いでいた」「左派系の団体に参加していた」など、左派色の強い方のようです。しかし、アンサイクロペディアを読んでわかるようにアメリカ陰謀論者的な要素も強い感じ。Wikipedia記載の下記のようなエピソードも、アメリカ陰謀論者的な性格の強さを物語っていました。
<雑誌の対談等で漫画家小林よしのりに対し自身の学問上の師である小室直樹、岡田英弘に次ぐ師であると絶賛し告白する。理由は日本の保守派が実際のところ愛国派の衣を被った米国に媚びへつらう飼い犬のポチでしかない事を小林が見抜いた(と思っている)事による>
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