電気自動車(EV)の異業種参入について。ヤマダ電機の他、海外のダイソンが参入を予定。ヤマダ電機は日本のベンチャー企業FOMMというところに作ってもらうそうで、生産については船井電機と組む可能性があるとのことでした。こうした動きが既存の自動車会社へどのような影響を与えるかは不透明な感じ。EVに力を入れている企業とそうではない企業が分かれていますし、自動車会社も迷っているように見えます。
2020/11/16:
●ヤマダ電機がEVをやるって話はどうなったの?すっかり音沙汰なく…
2021/02/06:
●グーグル・アマゾン・バイドゥ・ディディなども自動車分野参入 【NEW】
●ヤマダ電機・ダイソン・船井電機らがEVに異業種参入…と報道
2018/01/02:電気自動車(EV)は参入障壁が低いと言われていたものの、異業種参入は意外にあまりありませんでした。が、ここに来て、ヤマダ電機が参入するというニュースがありました。2020年をめどに100万円程度のEVを生産開発し、ヤマダ電機の店舗で販売を始める考えだそうです。
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ヤマダ電機が電気自動車参入へ 2020年めどに生産:朝日新聞デジタル 2017年10月31日18時58分より)
2017年の10月30日付でEVベンチャーの「FOMM(フォム)」(川崎市)と資本業務提携するとのこと。参入障壁が低いと言われた割に、日本ではベンチャー企業もあまりありませんでした。海外ではテスラというものすごい新規メーカーの成功例がありますし、中国も異業種参入が盛んですけどね。
国内向けでは、このFOMMが4人乗り小型EVの企画や開発を担当。ヤマダ電機と液晶テレビの独占販売などで関係の深い船井電機に生産を委託することも検討しています。船井電機も自動車会社ではないために、これも異業種参入的な感じです。
ヤマダ電機は、店舗で販売した小型EVを軸にスマートハウス事業との連携を視野に入れているようです。家電量販店としては負け組のヤマダ電機は、最近住宅産業に力を入れています。その関係で自動車も…ということで、嫌いな企業ですけど、おもしろい視点だと思いました。
記事によれば、英家電メーカーのダイソンも2017年9月、20年までにEVを発売すると発表していたそうです。あと、本格参入じゃないのですが、うちで
ソニーが車開発、コンセプトカー発表 窓なしでディスプレイ、遠隔操作、AI搭載などという投稿もしていたのを忘れていました。
●FOMMはトヨタのEVを作っていた人が創業、トヨタのライバルに?
上記の中ではベンチャー企業のFOMMは新顔であり、どんなところかわかりません。「賞賛」は「勝算」の誤字ではないかと思うのですが、
異業種が続々参入 ヤマダ電機EV電気自動車ビジネスの賞賛 2017年11月30日 13時00分 週刊実話という記事があり、FOMMについての話が載っていました。
「もともとは、主にスズキなどのオートバイ設計を担い、その後、トヨタの小型EV開発に携わった技術者の鶴巻日出夫社長が、'13年に設立したベンチャー。ヤマダで売り出されるEVは、排気ガスが地球温暖化に影響を与えていることからの脱却、水害を受けた際に水中に浮き、さらに安価で手ごろな価格、この三本柱を見据え、開発に取り組んだものと言われています」(自動車業界関係者)
トヨタの小型EVというのは先の朝日新聞によると、「コムス」という名前の自動車。トヨタ関係からトヨタのライバルが生まれた形です。
FOMMのEVは、そのコンセプトは評価されたものの、いざ開発となると、なかなか出資先が見つからず苦労。日本ではそういうパターンが多いですよね。で、海外からは評価されるというのも、お決まりのパターンで、以下のような話がありました。
「それでも何とか開発までこぎつけ、これに海外が敏感に反応。特に水害の多いタイや中国、東南アジアの各国からの視察が相次いだ。しかし、国内では採算面を理由に手を挙げる企業がなかなか現れなかったのですが、そんな折、今回のヤマダが登場したのです」(同自動車業界関係者)
●EV異業種参入でトヨタに危機?EV重視の日産と戦略が分かれる
トヨタ関係からトヨタのライバルが生まれた形と書きましたが、異業種参入が増えると、トヨタなど既存の自動車会社にも不利益があるかもしれません。ただ、今回と同じような雰囲気のタイトルで書いた
トヨタのプリウスを潰すのは、イーロン・マスクのテスラか?では、「仮に参入障壁が低いとすれば、それは旨みが低いという可能性があります」と私は書きました。
参入障壁が低いがためにいろんな会社が入り込んで、競争が激しくなり、結局儲からないということになるため。いわゆるレッドオーシャンという状態です。記事でも「ガソリン車と異なり、EVは比較的技術が単純で、参入しやすい。それだけに、売れるとなれば、国内でもあらゆるジャンルから参入が相次ぎ、競合が激しくなる」(同自動車業界関係者)という話が出ています。
なので、既存メーカーがEVを諦めて他の領域で勝負するって戦略もアリと言えばアリでしょうね。一方、EVに食われると、その他の市場が狭くなってしまう可能性もありますから、儲からなくても頑張るという選択もあります。また、ヤマダ電機が安価なモデルを目指しているように、ある程度棲み分けできる可能性もあるでしょう。
前述の通り、今のところそこまで異業種参入やベンチャー企業は増えていないわけですが、EV軽視のトヨタ、重視の日産など、自動車会社によってEV対応に温度差があり、ここらへんは結構悩んでいるんじゃないかと思います。
●ハイブリッド車強い日本外し?中国がEV最優遇政策を実行
2018/11/05:最初の投稿時には、「海外ではテスラというものすごい成功例がありますし、中国も盛ん」と書いていました。ただ、そのテスラは今危機と言われており、ここぞとばかりに「テスラがヤバイ」という報道が増えています。
一方、今回の追加は中国の話です。9年連続で新車販売台数が世界首位の「自動車大国」中国ですけど、日米欧の車が中心。そこで中国政府は、日系企業が得意とするハイブリッド車(HEV)を除いた、新エネルギー車(NEV)を優遇する政策をやっています。
具体的に言うと、優遇されるのは、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車 (PHV)分野。既存特許などが活用できるため参入障壁が比較的低いとされているものだと記事では書かれていました。
(
中国・新興EVメーカーはテスラの夢を見るか:日経ビジネスオンライン 湯 進 2018年4月11日より)
NEV補助金を受ける乗用車メーカーは55社なのですけど、17年末時点で中国にあるNEV関連メーカーは314社もあります。そして、ここの投稿で話題にしていた異業種からの参入が、目立っているとのこと。特に今や世界の上位企業に成長した中国IT大手3社(百度、アリババ、テンセント)が出資している新興メーカー(威馬汽車、小鵬汽車、NEXT EV)は注目だと思われます。
●ダイソンがEV撤退・中国が補助金削減でEVはもう終わり?
2019/10/23:言っていたほど増えていないと書いたEVへの異業種参入。EVが簡単と言うのはやっぱりウソで、本当はかなり難しかったんでしょうね。すでに撤退している企業もあり、
掃除機のダイソン、EV開発断念 計画2年、不採算で:朝日新聞デジタル(ロンドン=和気真也 2019年10月11日15時32分)という報道がありました。
創業者ジェームズ・ダイソンさんは「商業的に続けられる見通しがつかない」などと従業員らに伝え、採算性を見込めずに行き詰まってしまった模様。ダイソンのやっていたEV関連事業の譲渡先を探したものの、買い手すらが見つからなかったといいます。有望ではない分野なのかもしれません。
その他の動向ですが、世界のEV市場拡大を担った中国が補助金の削減で急ブレーキと言われているところであり、EV業界全体の逆風を思わせます。ただ、削減は当初から予想されてきたことですし、一気に会社を増やした後合併させて減らすというのが中国政府のいつものパターン。EV軽視だったトヨタが方向転換するという動きもありますし、長期的にはやはりEVが増えるのは間違いないという見方が大勢です。
●ヤマダ電機がEVをやるって話はどうなったの?すっかり音沙汰なく…
2020/11/16:ヤマダ電機のその後のEVの話…と検索すると、多くが最初の発表の2017年のもの。その次が2018年ということで、最近の記事は上位でヒットしません。全然話題になっていないようです。当初の予定では2020年にEV事業を始めるとされていました。もう2020年は終わるんですけどね…。
その古い記事ばかりであった中では最も新しい記事だったのが、2018/12/17の
ヤマダ電機、EVリースの会社設立 バッテリー開発会社と共同 :日本経済新聞でした。<家電量販大手のヤマダ電機は17日、バッテリーの設計・開発を手掛けるスリーダム(横浜市)と電気自動車(EV)のリースなど行う共同出資会社を設立すると発表した。ヤマダ電機と新会社で2020年をめどに、EVのリース事業などを始めるという>と書かれています。
合弁会社の名前は「ソーシャルモビリティー」。ヤマダ電機とスリーダムがそれぞれ50%出資します。EVリースなので、違う方向性だと思ったのですが、記事の中では、<EVやバッテリーは販売するのではなく、リースするビジネスモデルにする>と説明されていました。どうも前述のEV開発しているFOMM(フォム)とセットで考えているようです。
記事によると、消費者向けには軽乗用車のリースを主に行い、ヤマダ電機はメンテナンスや保険を手掛けるやり方。一度に出る売上は大きくなりませんが、手堅いやり方に見えます。ヤマダ電機は住宅関連事業を強化しており、EVは蓄電池としても利用できることから、停電時など「災害に強い住宅」にもつながると広報しているともいいます。これも既存事業とのシナジー効果を狙ったものであり、私の好みのやり方。ヤマダ電機は好きじゃない会社のはずだったのですが…。
●グーグル・アマゾン・バイドゥ・ディディなども自動車分野参入
2021/02/06:日経新聞の
アップル、日本勢にEV生産打診か 水平分業の決断迫る 2021年2月4日 23:00 (2021年2月5日 5:19更新) を読んでいたら、アップル以外の自動車業界への異業種参入するという企業の名前がたくさん出ていました。「参入」の中身はいろいろなのですが、とりあえず、名前が出ていたのを全部挙げておきます。
記事で名前が挙がっていたのは、グーグルの親会社アルファベット、アマゾン・ドット・コム、浙江吉利控股集団と提携したバイドゥ(百度)、ディディ(DiDi、滴滴出行)といったところでした。最後のディディの場合はもともと配車アプリという自動車関連な仕事をしていましたが、ライドシェア専用EVを比亜迪(BYD)と開発したそうで、より一歩踏み込んだ感じです。
また、グーグルの場合は、グループ会社のウェイモを通じて米アリゾナ州で無人の「ロボタクシー」の試験サービスを始めているからというもの。記事では、「自動車分野参入」という書き方をしており、これは自動車メーカーというイメージとはちょっと違いますね。ただ、無人カー技術そのものはたいへん重要なので、単純なメーカーへの参入よりむしろ脅威になる可能性もありそうです。
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