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アスベスト(石綿)はそもそもなぜ危険なのか?




★2012/6/12 アスベスト(石綿)はそもそもなぜ危険なのか?

 被災地では放射能よりもアスベスト被害が深刻な可能性でマスコミに対して、「意味もなく怖がらせるような報道は不要ですが、アスベストの問題ももっと取り上げて、対策を求めていくべき」と書きましたので、少しでも関心を集めるべくアスベストシリーズをやります。
 
 とりあえず、いつもどおりWikipediaを読んでみましたが、秀逸だったのが石綿Q&Aです。素晴らしい内容で、たいへん充実しています。


 アスベストについての性質についてはあまりやりませんが、よく「本/リットル」という単位が使われていて面食らいました。

 これは「アスベストは浮遊粉塵であると同時に繊維物質であるので、単位は本(f)で表される」んだそうです。

 とすると、おそらく「本/リットル」は1リットルの空気中に何本のアスベストがあるという意味です。(以上、Wikipediaより)


 ちなみにアスベストは「天然の鉱石」です。私は自然=良いもの、人工=悪いものという風潮が大っ嫌いなので言っておきますけど、自然だろうが人工だろうが危険なものは危険です。

 変な信仰を持っていると、本質を見逃して、たいへんな目に合います。


 さて、このアスベストですが、そもそもどうしてこんなにも危険だとされているのでしょう?

 病名などについては次回もう少し詳しくやりますが、石綿Q&Aには以下のようにありました。

8. 石綿(アスベスト)が危険とされて問題になるのは何故ですか?

 石綿は物質として安定し変化しにくく、飛散しやすく飛散しても気づきにくい上に、悪性中皮腫や肺がんを起こす発ガン性があります。最初の石綿(アスベスト)吸入からおおむね40年前後の潜伏期をへて、石綿(アスベスト)肺、石綿(アスベスト)肺癌、悪性中皮腫、といった健康障害がおきる事が、大分以前からわかっています。 石綿による健康障害の中でじん肺の一つである石綿(アスベスト)肺は、10年以上職業性に石綿を吸入していた方にのみ起こるとされています。悪性中皮腫はより少量の石綿吸入であったり、短期間の曝露でおきることが知られています。

 アスベスト問題を難しくしている、アスベストが極めて飛散しやすいことについては、以下のような説明もあります。

3. 石綿(アスベスト)は、飛散しやすいのですか?

 石綿(いしわた・せきめん・アスベスト)繊維は、大変飛散しやすい性質を持っています。石綿の綿状の性質を強くもつ「吹きつけ石綿」の飛散しやすさは有名です。吹きつけアスベストのあるビルで6-9階を対策をせずに解体した場合、敷地の石綿(アスベスト)濃度は37-74f/Lで、風下の隣のビルの10階でも3.6-15f/Lとなり、風下でない隣のビルの10階でも1.3-5.8f/Lでした。石綿工場の近くでも高速道路の料金所付近でも石綿(アスベスト)濃度の上昇が認められました(アスベスト排出抑制マニュアルP118)。大気中の石綿濃度は、風向と希釈で距離により低下しやすいのですが、それでも周囲に一定の影響がでている事がわかります。

 これがビル内や船舶内といったある程度区切られた空間になると、濃度は一変して高値となります。(中略、古い艦船で以前の作業方法に準じた作業で、アスベストが除去されている時に、)上の階で仕事をしている人は、眼に見えない石綿繊維をまさか自分が吸うことはあるまいと思って仕事をされていた事でしょう。しかし家庭内の間接喫煙同様に、石綿繊維は船内広くに飛散している事が一目で理解できると思います。工場やビル等の建設現場でも同様に、目に見えない石綿(アスベスト)がかなり遠くまで飛散していく事がご理解頂けると思います。

 また、飛散のしやすさはアスベストによって様々であるようです。


4. 同じ石綿(アスベスト)製品でも、飛散しやすさが違うのですか?

 原綿としての石綿繊維自体や、セメントと混合されているものの綿状の性質の高い「吹きつけ石綿(アスベスト)」や石綿保温材は、使用された初期から飛散しやすい石綿(アスベスト)の代表と言えます。(中略)

 建材の多くを占める石綿(アスベスト)含有ボード等は、建築物中に存在するだけならとりたてて飛散するわけではありません。

 しかし石綿製品には使用により劣化や変質するものと、使用初期から経年劣化により飛散しやすくなるものがあります。波形スレートは経年的にセメントが脱落する傾向があり、経年劣化があることが有名です。

 問題はどの石綿製品でも、こすったり、割ったり、機械等で切断したり、外力がかかれば程度は異なりますが、石綿繊維が飛散するのが共通な事です。クリソタイルの石綿製品の多くが諸外国で禁止され、日本でも今回禁止となるのは石綿(クリソタイル)製品を使用すれば、使用時と補修時や除去時に飛散がさけられないからです。一部で言われた「非飛散性石綿」という表現は、誤解を招くので使用されない傾向にあります。最盛期に3000種類とされた石綿製品の様々な行為時及び経年劣化の濃度のすべては、十分には調査ができてはいません。類似の製品の石綿濃度データで類推して頂くことも必要だと思います。

 今回はこれだけとして、次回アスベストで生じる病気についてやります。(5回の予定で下書きしています)


★2012/6/13 アスベスト(石綿)で生じる健康被害,肺がんや中皮腫

 アスベスト(石綿)はそもそもなぜ危険なのか?の続きです。

 前回でもさらっと病名が出ていましたが、アスベスト(石綿)を吸うことによって心配される病気は肺がんだけでなく、以下のように多様です。(Wikipediaより)

アスベストはWHOの付属機関IARCにより発癌性がある(Group1)と勧告されている。アスベストは、肺線維症、肺癌の他、稀な腫瘍である悪性中皮腫の原因になるとされている。

 よりわかりやすいのは、石綿Q&Aです。

10. 石綿(アスベスト)がおこす健康障害には、どの様なものがありますか?

 石綿(アスベスト)がおこす健康障害には、主に5種類あると言われています。

  1.悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫・悪性腹膜中皮種・悪性心膜中皮腫・精巣鞘膜中皮腫 最初の二つが主です。)

  2.石綿(アスベスト)肺癌

  3.石綿(アスベスト)肺

  4.胸膜肥厚斑

  5.良性石綿胸水(胸膜炎)及び びまん性胸膜肥厚 です。

 これらの病気の特徴は、初めて石綿(アスベスト)を吸入してから、平均40年前後の潜伏期(原因から病気が発病するまでの期間)がある事です。石綿(アスベスト)を吸入してから20-30年間は症状も病気も全くでない人が多いのです。この時期に石綿(アスベスト)を以前吸入したから心配だと思って、色々検査を行っても所見がありません。仕事で20‐40代で石綿(アスベスト)を初めて曝露された方の多くが、60才までの在職中に所見が少なく、それ以降に発病する理由は、この潜伏期のためです。以上の話は平均ですから、20才の初曝露で30才で潜伏期10年で悪性胸膜中皮腫になった方もいるし、16才の初曝露で86才で潜伏期70年で悪性胸膜中皮腫になる方もいます。

 石綿(アスベスト)によるこれらの病気は今後は治る病気となる可能性も高いのですが、現状では治りにくい病気が多いのが特徴です。

 前回のアスベスト(石綿)はそもそもなぜ危険なのか?でも書いたように、この潜伏期間の長さというのもまた、アスベスト問題を複雑で困難なものにしている要因です。


 上記に挙げたもののうち、Wikipediaなどでは単に中皮腫と呼んでいることが多い悪性中皮腫は、聞きなれない病気だと思うのでもう少し引用します。

12. 悪性中皮腫(ちゅうひしゅ)とは、どういう病気ですか?

 まだ十分名前が知られていないために、名前を突然言われて驚かれている方も多い事と思います。ヒトのからだが発生してくる時、上皮、中皮、内皮という細胞にわかれている時期があります。上皮は更に分化して皮膚や消化管や呼吸器系となり、内皮は血管や血液や筋肉や脂肪組織となります。中皮は、胸膜や腹膜や心膜等を覆う薄い膜となります。

 一般に上皮からできた悪性疾患を、「がん」といいます。皮膚癌、胃がん、大腸がん、肺癌というわけです。内皮にできた悪性疾患を、筋肉腫や脂肪肉腫や悪性リンパ腫や白血病と言います。中皮にできた悪性疾患を、悪性中皮腫と言うわけです。「がん」の一種と考えて良いわけです。

 悪性胸膜中皮腫は肺の外側を薄く包む胸膜に、悪性腹膜中皮種は腹部の外側を包む腹膜にそれぞれできた悪性腫瘍です。最初の症状は、悪性胸膜中皮腫では息切れや胸痛が多く、悪性腹膜中皮腫では腹部膨満感や腹痛等で気づく事が多いとされます。

 悪性中皮腫の診断は、レントゲン写真やCTや超音波写真の後に行われる、胸水や腹水の穿刺のよる細胞診断、その後の胸腔鏡や腹腔鏡等による組織診断に基づいて行われます。

 複数の免疫染色により、肺癌やその他の癌の転移との区別がつけやすくなってきました。但し胸水や腹水の出現時に悪性所見を呈さない例もあり、診断まで数ヶ月以上かかる事がやむをえない場合もある、診断の難しい疾患である事は今も変わりはありません。

 中皮腫と違ってあまり出てきませんが、胸膜肥厚斑というものについても同様に記載します。


16. 胸膜肥厚斑と石綿小体って、何ですか?

 胸膜肥厚斑とは、石綿(アスベスト)によりほぼ特異的に出来る胸膜直下の繊維性病変です。場所と特徴的な形状から、石綿(アスベスト)曝露者に特異性が高い変化のため、この病変があれば以前石綿曝露があったと推定できるものです。(中略)

 石綿小体は、石綿(アスベスト)繊維を芯にして、タンパク質と鉄が結合して肺内で形成される物質です。石綿に特異的な物質で、石綿曝露の指標とされます。


 以上のようにアスベストに問題があるのは確かです。

 しかし、Wikipediaによるとたいへん困ったことに、「脱アスベストとして開発されたアスベスト代替製品についても、発癌性の危険を指摘する声がある」そうです。

一般的なグラスウールやロックウールについては、比較的安全性が高いといわれるものの、マイクログラスウールやセラミックファイバー、チタン酸カリウムウィスカなどについては、発癌性が疑われている。鉱物性繊維は、その成分には関係なく、(1)繊維が細いこと、(2)肺胞内マクロファージの貪食作用に耐えるという2点に合致することで発癌性が発揮される。アスベストは上記2点に合致するために高い発癌性を示すが、同様に他のアスベスト代替材料についても条件を見たす素材については規制すべきという声がある。

 次から次に問題が生じますが、このアスベスト問題もまだ解決したわけではないという話を次回やります。


★2012/6/15 アスベスト(石綿)問題は終わっていない!

 アスベスト(石綿)で生じる健康被害,肺がんや中皮腫の続きです。

 前回で出てきたようにアスベストは様々な病気を引き起こす原因となりますが、被災地では放射能よりもアスベスト被害が深刻な可能性でもちょっとだけ書いたように、「アスベストが原因で亡くなった方の大半はアスベスト製造工場の粉塵の中で長期間労働した人」(Wikipedia)です。

 健康被害の計算例としても、アスベスト工場のケースが載っていました。(以下、Wikipediaより)

500本/リットルの環境で50年間、アスベスト工場で労働することにより肺がんのリスクが2倍になるとされる。また、非喫煙者アスベスト暴露で肺がんのリスク5倍、喫煙者アスベスト非暴露ならリスク11倍であるが、喫煙者アスベスト暴露でリスク54倍と喫煙による相乗作用も指摘されている。

 そして、「アスベストの製造が禁止された」ため、現在の日本では製造による問題は無くなったと言われているそうです。


 しかし、石綿Q&Aによると、ちょっと違うニュアンスです。

 石綿Q&Aでは一般の人は神経質になり過ぎる必要はないといった書き方をしている部分もありますが、アスベストの問題は終わったものではないともしています。


 以下、そのような記述を続けて引用します。

7. 石綿(アスベスト)の問題は、終わったと思っていたのですが?

 対策が進んだから、今後アスベストは大丈夫と考える発想こそが陥穽(引用者注:かんせい。落とし穴・罠のこと)だったと思います。

 この間アスベストの危険等を促す報道で視聴者が不安を感じた後に、一定の対策とその報道で一件落着、という様な受け止め方が多く、その後の検証の報道もなかったと思われます。そのため含め多くの人が既に対策済みと誤解してきたし、多くの国民が石綿(アスベスト)は過去の問題と誤解してきたと思われます。

 現在までのアスベストでの大きな展開は、4回あったと思われるのです。

 第1回目は、1975年の「危険な吹き付けアスベストの新規使用禁止」という対策で、確かに大きな進展ではあるのですが、「重量で5%以上が石綿(アスベスト)」との定義を元に、「実際には岩綿(ロックウール)にアスベストを5%以上超えて混ぜ吹き付けていた(多くの業者の証言)」という実態は明らかにされず、1987-88年に一部の関係者が問題に気づいたままで現在に至ってしまっています。

 第二には1988年の吹き付けアスベストの危険報道で、多くの人に石綿(アスベスト)のかなり危険の認識は高まった一方で、「学校の吹き付け石綿(アスベスト)は、除去・封じ込め・表面固化処理の対策」の報道で、「石綿(アスベスト)問題は終わった。」と多くの国民が考えていました。しかし「文部省の通達の対象は3商品名で、多くの吹き付けアスベスト材が調査に漏れていた。」のが実態で、学校以外の公共建築物や民間の建築物の吹きつけ石綿問題も残されたままでした。

 第3は1995年の阪神・淡路大震災後の対策で、「改築及び解体に際してアスベスト吹き付けや建材の時前の記録を義務づけ」ましたが、記録する主任等の制度が十分でなく、費用負担もあり、多くの現場で実態としてアスベスト含有建材の事前記録は実施されていませんでした。

 第4回目は、2002年の中皮腫の将来予測、その後の石綿の自動車や主要建材での禁止、横須賀の石綿訴訟の国の敗訴、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの活動、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の活動、2004世界アスベスト会議東京の開催、と報道は増加しています。

 今回2004年のアスベストの報道が適切でないと、「色々な問題や被災者は今後でるが」、対策としては「アスベストも禁止され、新規使用はないし」と誤解し、「今後の曝露防止対策もたったようだ。」と多くの国民が理解したら大変危険です。2005年以降の検証報道が、今後の人々の健康と命の予防に重要であると思います。

 労働安全衛生と環境問題は連続しており、一体の問題としてとらえる視点が重要です。職場での安全衛生活動が充実し、リスクの把握ができて対策が立てられれば、環境への飛散は当然なくなります。労働環境でアスベスト飛散が続く限り、環境への飛散もなくなりません。住民の立場での飛散の監視と、働く作業者の自主的な安全衛生活動の協同が重要だと思います。さらに施主責任の強化と、監督署による監督、違法例への法的処罰等の複合した対策が必要でしょう。今後の石綿(アスベスト)飛散の防止と石綿(アスベスト)被災者の救済は、今後予想される10万人規模での被害、曝露労働者の総数は数百万人規模、環境での国民全員への曝露を考えると、大変重要な問題であり、石綿(アスベスト)の問題は、2040-50年まで続く大きな問題である事は確実だと思います。

 そして、Wikipediaの「アスベストの製造が禁止された」という記述が、間違っていることを示す次のような記述もあります。

17. 石綿の新規使用が、日本では今後も続くと聞きましたが?

 残念ことですが、今後も日本では石綿と石綿製品の新規の使用が続きます。新規使用の問題が一切なくなるという様な、誤解を伝えて頂いては大変危険です。今回の規制は、2004年9月以前に販売された石綿製品の回収はいっさい義務づけていないため、2004年9月までに販売された石綿建材(スレートやボード類)が代理店から現場にある時期まで流通しています。生鮮食品と異なる安定的な商品のため、通常販売後2-3年は市場に製品がでているとされます。今回禁止された石綿含有建材の消費が2006年頃まで残る可能性がまずあります。

 次に、2004年の日本の石綿の新規使用の制限は、建材と自動車製品の主要な10種類に限定されたものです。石綿布や石綿糸、その他の石綿含有建材(左官用材質)等は規制の対象とはなっていません。建築現場から石綿製品はなくなりません。ジョイントシートやパッキング等も規制の対象でないため、機械関連での今後の石綿の新規使用が続きます。諸外国の石綿原則禁止と比べて「大変緩い」事が問題とされています。全面禁止ではなく、かっこつきの「原則禁止」なのです。2004年に使用禁止となる石綿製品が、現在までの使用の90%前後をしめていたため、2005年の日本での石綿使用はようやく数千トンレベルに減少すると予想されています。

 ただ、これは記載時期の問題と判断すべきかもしれません。

 「2005年の日本」とありますので、上記はこの頃に書かれたものと思われます。

 以前読んだ石綿(Wikipedia)を思い出して検索すると、以下のようにありました。


日本では2006年9月から、化学工業プラントで配管同士の接続に使用される「シール材」などの5製品を除き、原則禁止になった。しかし、厚生労働省は、2008年4月に、例外的に認められていた5製品についても2011年度を目途に全廃することとし、同年度以降は、新たな石綿製品は日本では製造されないことになった

 「シール材」はたぶん「ガスケット」とも呼ばれるもので、用途によっては「パッキン」と呼ばれます。

 Wikipediaを信じれば、2005年では残っていたけど、2012年の現在はもうないってことになります。


 しかし、前述のようにたとえ新製品が作られなくなったとしても、問題は続きます。

18. 既存(きぞん)石綿(アスベスト)の問題って、何ですか?

 過去に船舶や鉄道、自動車や建築物、ポンプや配管、工場で使用されてきた石綿製品の多くが現在も廃棄されずに残っています。現在も残存している石綿含有製品の事を、既存石綿(きぞんアスベスト)と言います。こうした製品は、経年劣化や使用に伴う破損及び摩滅により飛散しやすくなりますし、改築・補修・改修・廃棄の際に著しく飛散する場合が多いわけです。1970‐1990年代に多用された石綿製品の改修や廃棄が増加するのは2010年以降とされています。

 既存石綿(アスベスト)の対策で悩んでいるのは、1980年代-1990年代に石綿(アスベスト)の製造や輸入を禁止した北欧やアメリカ等の国も同様です。2000年ブラジルで初めての世界アスベスト国際会議が開催されましたが、その際石綿(アスベスト)が禁止された国での悩みとして報告されたのが、石綿(アスベスト)を飛散させる違法工事の件数の多さでした。石綿(アスベスト)の製造や輸入は禁止され、労働安全衛生や大気汚染に関する環境等の法律や行政や各種団体による活動にもかかわらず、補修や改築や解体等石綿(アスベスト)が飛散する事例があとをたたないというのです。石綿(アスベスト)を飛散させない技術は既にほとんど確立しています。それにもかかわらず、既存アスベストの問題で続くのはいくつかの理由がありそうです。石綿(アスベスト)お危険が社会全体に広く認識されていない事、所有者が十分な経済的コストを負担しない事、石綿(アスベスト)作業での的確な資格制度の不備、行政の監督の不十分、違反工事の際の罰則の不備等が複合しているといわれています。

 改修や廃棄の際の飛散防止対策を十分たてておかないと、それに携わる作業者をもちろんの事、周囲で気づかずに他の作業をしている者や、周囲の環境への石綿(アスベスト)飛散が今後懸念されている訳です。こうした事を総称して、既存石綿の問題と言います。吹きつけ石綿(アスベスト)の問題が典型ですし、石綿含有建材の問題も同様です。地震の際の飛散や、廃棄物対策も問題です。

 健康被害関連として前回のアスベスト(石綿)で生じる健康被害,肺がんや中皮腫から続けると良かったのですけど、未だ問題が続くという意味で、次回はアスベストがどれくらい危険かという話をやります。


★2012/6/18 アスベスト(石綿)の健康被害はどのくらい危険なのか?

 アスベストシリーズ4回目です。


 アスベストについて秀逸な解説をしている石綿Q&Aでは、ズバリ「石綿による健康障害は、どの位石綿を吸入した場合に心配なのでしょうか?」という質問がありました。

11. 石綿による健康障害は、どの位石綿を吸入した場合に心配なのでしょうか?

 大変難しい質問です。

 第一に、石綿(アスベスト)吸入の量や濃度を推定する事自体が、前例や測定例がなく困難で答えられない場合や、濃度の時間的推移が不明で答えにくい場合があります。 第二に石綿(アスベスト)の吸入量(曝露量)が判明しても、その量に応じた中皮腫や肺がんの発症は、リスクのモデルによりかなり100倍程度の幅で異なる事もあります。さらに判明した一定のリスクを、どのオーダー(10のマイナス7乗、10のマイナス6乗、10のマイナス5乗、10のマイナス3乗)から問題とするのかは、様々な立場で異なる問題だからです。

 はっきりしている事は、二つあると思います。石綿(アスベスト)肺は、概ね10年以上の職業性石綿(アスベスト)曝露を受けた人にのみ発症することです。石綿肺は職業性でも吸入期間が数年程度や環境曝露ではまず発症がない疾患です。その点、悪性中皮腫はもちろん、石綿(アスベスト)肺がんや胸膜肥厚斑等は、低濃度の短期曝露でも発症が知られています。

 第二には、現在の一般大気中の石綿(アスベスト)濃度をバックグラウンドとして考える事です。鉱山周囲や土壌に石綿や関連鉱物が含有されている地域では、胸膜肥厚斑や悪性中皮腫の発症が報告されています。しかし現在のところ、それ以外の地域での一般大気中の曝露だけで胸膜肥厚斑が生じたとする報告はないと思います。もちろん一般大気自体で悪性中皮腫等が生じるリスクは今後考えなければいけない問題です。日本の都市では現在0.2-0.3f/L以下の大気中石綿(アスベスト)濃度の環境が多いと思います。残念ながら私たちは毎日息を吸う中で、石綿(アスベスト)をさほど危険と思わずに吸入してきています。成人は1分間に5Lの大気を吸入するので、

1年に吸入する石綿本数
=0.2-0.3本/L-5L/分-60分-24時間-365日=525,600-788,400本となります。

 「さほど危険と思わずに吸入してきています」という書き方をしていますが、まあ、仕方ないですね。危険だとわかっても息しないわけにはいかないですもの。

 ただ、「日本の都市では現在0.2-0.3f/L以下の大気中石綿(アスベスト)濃度の環境」というのが諸外国より多ければ、海外に逃げるという手はありそうです。気になって検索しましたが、よくわからず。

 次回の部分で紹介するものですが、建物などに使用されているアスベストは、基本的に常時にはあまり飛散しないと考えられていることは付記しておきます。


 途中でぶった切ってしまいましたが、吸入する石綿本数の計算の続きです。


 1日に1500-2000本以上、1年で50万本から80万本の石綿(アスベスト)繊維を日本人は吸入しているわけです。

 もしあなたが石綿製品の側で石綿(アスベスト)繊維が500本/Lの環境に1時間いたとすると、

吸入した石綿本数=500本/L - 5L/分-60分=150,000本(15万本)となります。

 大気中の石綿(アスベスト)の3ヶ月を1時間で吸入したわけです。人生が仮に70年とすると、大気中から吸入する石綿(アスベスト)の量が、3500万本から3515万本に増えたともいえます。

 この程度なら心配ないという考え方もあると思いますが、皆さんはいかがでしょうか? 肺癌や中皮腫には閾値はないという考え方もあります。吸入した濃度と時間に応じて発病のリスクは増加するわけで、曝露が数日や高濃度になれば許容できないリスクと感じる方が増加するのが当然です。リスクをどの程度から許容するのかは、大変難しい問題です。

 実は最初のアスベスト(石綿)はそもそもなぜ危険なのか?で引用した「8. 石綿(アスベスト)が危険とされて問題になるのは何故ですか?」の回答は、後半部省略していました。

 前半部分は上記と同じように、一般の人はあまり気にしなくても大丈夫かな?というニュアンスです。

8. 石綿(アスベスト)が危険とされて問題になるのは何故ですか?

 石綿は物質として安定し変化しにくく、飛散しやすく飛散しても気づきにくい上に、悪性中皮腫や肺がんを起こす発ガン性があります。最初の石綿(アスベスト)吸入からおおむね40年前後の潜伏期をへて、石綿(アスベスト)肺、石綿(アスベスト)肺癌、悪性中皮腫、といった健康障害がおきる事が、大分以前からわかっています。 石綿による健康障害の中でじん肺の一つである石綿(アスベスト)肺は、10年以上職業性に石綿を吸入していた方にのみ起こるとされています。悪性中皮腫はより少量の石綿吸入であったり、短期間の曝露でおきることが知られています。

 しかし、じょれは同時にそうじゃない人は、気にしないといけないということでもあります。

 後半部は以下のように続いていました。


 特に2002年、日本の男性で2000‐2040年の今後40年間の悪性中皮腫の死亡数が10万に達するという、早稲田大学の村山教授の研究が公表された事が大きな衝撃を与えています。また在使用されている製品から様々な理由で飛散した石綿(アスベスト)が現在どなたかに吸入されたとすると40年後の2044年に健康障害を起こす可能性があるわけです。こうした将来の世代への危険も問題とされる理由の一つだと思います。

 たいへんな数です。

 もう一つ、似たような趣旨のQ&Aがありましたので、そちらも引用します。

15. 今後、悪性中皮腫や石綿肺癌は増加するのでしょうか?

 増加するのは確実です。早稲田大学の村山教授等は、誕生年代と50歳代、60歳代等の死亡時年代を一定の群とする方法で、日本の男性の過去の悪性胸膜中皮腫の死亡率を産出しました。その結果から今後の悪性胸膜中皮腫の推計を行った結果が、次の図です。

 今後日本男性の悪性胸膜中皮腫で、40年間で平均10万人の死亡が推定されたのです。石綿肺癌の男性はこの約2倍、悪性腹膜中皮腫と女性での発病を推計し合計すると、かなりの影響が予想されます。石綿(アスベスト)関連疾患は平均して40年前後の潜伏期間がありますから、石綿の消費年代(その際の石綿の、作業環境や一般環境への飛散)から約40年して発症の時期になるわけです。1920-1930年代の日本の石綿の消費と石綿曝露は、造船所、鉄道や発電等の蒸気機関周囲が多く、あとは石綿製造工場でした。消費される地域も石綿製造工場の多かった大阪泉南地区や神奈川県、横須賀市や呉市や長崎市等の造船所地域等で、その時期の影響が1970-1990年代にその地域で顕著に見られた訳です。1940年代日本は戦争のため石綿の輸入の制限で、石綿の使用が激減します。1949年から再開された石綿(アスベスト)の輸入と消費は、1960‐1990年代まで、多くは建材として全国で使用され、また自動車や電気製品等様々な産業で使用されました。吹きつけ石綿(アスベスト)も広範な地域で使用されたのです。40年後に発症の時期が来るとすると、2000年から2030年代以降まで、様々な病気の発症が予想されるわけです。

 次回やっと最後ですが、これからもずっと続くアスベストを使用した建物の解体などに伴う問題についてです。


★2012/6/19 建物の解体・破壊に伴うアスベストの健康被害,東日本大震災の場合は?

 アスベストシリーズの最後です。普通、アスベストを含んだ建材は粉砕しないと空気中には飛散しないため、建造物を解体しない限りアスベストの危険性はないと言われています。

 ただ、Wikipediaによると、「学校・病院等公共建造物ではアスベストの撤去作業を進めているが、解体作業者の安全性を考えると、アスベストを撤去した方が安全なのか、そのまま撤去しない方が安全なのか議論の分かれるところである」ともあります。


 ともかく、「残された大きな問題は、建造物の中に大量にアスベストが含まれ、将来解体するときアスベスト粉塵を長期間吸う労働者に健康被害の発生する懸念」とあるとおり、解体による問題が大きいというのは確かです。

 因果関係は確定していないものもありますが、実際の「アスベストによる労働災害の例」から、解体に関わるものだけをピックアップしてみます。

・2007年12月18日、JRの車両に使用されたアスベストの除去作業で石綿肺を発病した大阪市内の作業員らが、元請け会社が安全対策を怠ったためだとして、同社を相手取り慰謝料などを求めて、大阪地裁に訴訟を起こした。

・中国地方の自治体において、建築現場に出向き、建築指導・検査などに携わっていた職員が、公務中に吸い込んだアスベストが原因で、中皮腫を発症した事例が、2009年に判明している。この職員は、労災と認定されたが、出向中の公務員の石綿被害としては初の事例と見られている。

・東急車輛製造大阪製作所(大阪府堺市、現在は閉鎖)で、元社員の男性3人が、1960年代以降に7~30年間、塗装や配管などの業務に従事していたが、3人の男性の作業場では、隣接して車両からアスベストを取り出す作業が行われていて、そこから生じた粉塵を吸い込み、退職後に中皮腫を発症し死亡した。3人の遺族は、「会社が安全配慮を怠ったため」などと主張し、2011年4月4日に、同社を相手取り約1億円の損害賠償の支払いを求め、大阪地方裁判所に提訴した。

・他にも、各地で、建設現場などでアスベストを吸い込み中皮腫などを発症した患者やその遺族らが、各地で国や建材メーカーなどを相手取り訴訟を起こしている。

 全部で13件ですから、製造に関わった人だけでなく、解体に関わった人についてもかなり問題になっているようです。


 上記のうちの自治体の職員にはびっくりです。毎日どこかの建築現場に行っていたというのも考えにくいですけど、建築現場にいる時間自体も作業員に比べると極めて短いはずです。

 通常の人よりアスベストを多く吸っているのは確かなのですが、因果関係はどうなんでしょうね?


 もっとびっくりしたのは、建築現場と関係ない下記の例。

・地方公務員災害補償基金審査会の2010年3月29日付裁決で、体育担当の教員が学校の体育館でアスベスト被害にあい死亡したと認定した。これは学校での被害認定として全国初の事例である。

 これは以前書いた「アスベストを含んだ建材は粉砕しないと空気中には飛散しない」を否定しちゃうことになります。

 [要出典]となっていますが、「入江ら 1989」によると、「アスベスト工事除去後に必ずしもアスベスト飛散量が減少していない」との報告があるそうで、これもまた平時にはアスベスト使用設備からアスベストが飛散しているわけではないという話です。

 全然アスベストに関係ない人でも肺がんや中皮腫(ただし、これは特に珍しいそうです)が発生することはあると思いますので、不幸なことに極めて稀な例に当たってしまったのかもしれません。


 ただ、最初のアスベスト(石綿)はそもそもなぜ危険なのか?では、「経年劣化により飛散しやすくなるものがあります」とありました。

 経年劣化以外にも傷ついている部分などで、本当にアスベストを多量に吸った可能性もあるかもしれません。


 なお、解体に類するものとして、以下のようなものもありました。

災害で壊れた建物のアスベスト被害が確認されている

  アメリカ同時多発テロ事件 - 2001年(平成13年)9月11日発生
  阪神・淡路大震災 - 1995年(平成7年)1月17日発生

 アメリカ同時多発テロ事件でビルの崩壊後の救出作業に従事した方に、ガンが多発したことは覚えていました。

 これについては、陰謀論の方が「あれは核爆弾を使ったアメリカの自作自演だ」と言っていたというのも覚えていました。

 で、この前アスベストの話を書いたときに、放射線ではなくアスベストが原因だったのでは?と思いついたのですけど、実際これはそういう話なんですかね?

 アスベストじゃなくたって、あれだけ粉塵が舞っていれば、病気になりそうなものですけど……。


 そして、気になるのはもう一つ書かれている阪神・淡路大震災です。

 そもそもこのシリーズをやったのは被災地では放射能よりもアスベスト被害が深刻な可能性がきっかけです。

 この場合は建物を解体に伴うものを心配していて、壊れた建物によるものは考えていませんでした。こちらの危険性はどうなのでしょう?


 検索して出たよくあるご質問 - 阪神淡路大震災時の対応(中小建設業特別教育協会)には、

Q3.阪神淡路大震災のときは、大気中のアスベスト(石綿)の状況はどうだったのですか?
   
(中略)震災後の一時期は、アスベスト(石綿)濃度は比較的高いレベルにありましたが、大気汚染防止法の規制基準値と比べても数分の一程度であり、半年後にはこの基準値の十分の一以下にまで低下しました。

解体現場で基準値を超える状況は、ごく一部ではありましたが、期間も限定されていたと推測されています。

こうしたことから、一般市民への震災によるアスベスト(石綿)の影響は基本的に小さいと考えられています。

 とあり、主に「倒壊した建物の解体作業」の方が問題といった書き方になっており、Wikipediaと見解が異なっています。


 それから、東日本大震災そのものに関しても、石綿濃度は通常と変わらず(大分合同新聞[2011年04月27日 20:58])という記事が見つかりました。

 環境省は27日、東日本大震災で倒壊したビルや家屋などから大気中に飛散する恐れがあるアスベスト(石綿)について、宮城、福島、茨城3県のがれき仮置き場など計15カ所で大気中濃度をサンプル調査した結果、全地点で通常の大気とほぼ変わらなかったと発表した。

 同省は、5月末にもほかの被災地を含めた本格調査に乗り出す方針。今回の調査では木くずや砂ぼこり、乾いた汚泥など石綿以外の粉じんの飛散が確認されたことから、がれき撤去などの作業時にはマスクを着用するよう呼び掛けている。

 サンプル調査は家屋の倒壊現場やがれき仮置き場、避難所周辺などで実施。濃度はすべての調査地点で、大気1リットル当たり石綿繊維1本以下にとどまった。通常の大気中では0~1本とされる。

 環境省は近く、厚生労働省と合同で専門家による検討委員会を設置。今回の結果を踏まえた本格調査の方法や、現場でがれき撤去作業に当たる人の健康被害防止などについて意見を求める。

 何ともなかったのなら良いんですけど、あとは建物の解体時の問題ですね。

 前回のアスベスト(石綿)の健康被害はどのくらい危険なのか?を読む限りは、短期間のアスベスト吸入なら大きな問題にはならなそうなのですけど、被災地では放射能よりもアスベスト被害が深刻な可能性では、敷地境界で中皮腫の発症リスクが12.5倍というケースがありました。

 これは半月その場にいたらという数字(こういった計算の仕方はよくされますね)ですけど、無視し得ることが可能なリスクなのかというと疑問が残ります。

 シリーズ最初で書いたように、もう少しこの問題についてマスコミが注目してくれることを願います。


★2013/1/11 手抜き除染、環境省知りながら放置 ゼネコン各社は法律違反の可能性

 この報道は朝日新聞のものばかりで、他はあまりしていません。関心薄いのかもしれませんが……。

2013年01月04日
「手抜き除染」横行 回収した土、川に投棄

 【青木美希、鬼原民幸】東京電力福島第一原発周辺の除染作業で、取り除いた土や枝葉、洗浄に使った水の一部を現場周辺の川などに捨てる「手抜き除染」が横行していることが、朝日新聞の取材でわかった。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301040001.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201301040001


 本来のルールは以下でした。
 環境省が元請けと契約した作業ルールでは、はぎ取った土や落ち葉はすべて袋に入れて回収し、飛散しないように管理しなければいけない。住宅の屋根や壁は手で拭き取るかブラシでこする。高圧洗浄機の使用は汚染水が飛び散るため雨どいなどごく一部でしか認めていない。洗浄に使った水は回収する決まりだ。

 しかし、

 取材班は昨年12月11~18日、記者4人で計130時間、現場を見て回った。楢葉、飯舘、田村の3市町村の計13カ所で作業員が土や枝葉、洗浄に使った水を回収せずに捨てる場面を目撃し、うち11カ所で撮影した。また、作業員約20人から、ゼネコンや下請け会社側の指示で投棄したという証言を得た。「作業ルール通りやればとても終わらない」との声も相次いだ。

 楢葉町の道路沿いの山林で働いた下請け作業員は11月27日、大日本土木の現場監督から刈り取った草木の一部を崖下に捨てるよう指示されたと証言。取材班はこの際の録音記録を入手した。大日本土木や前田建設は取材に回答していない。

 など(長いので省略しています)という有様。
(最後の録音記録ってのは、指示したときのものですかね?作業員が意識して記録していたんでしょうか?)


 これらの作業は"除染作業中に土や枝葉を捨てる行為は契約違反にとどまら"ないと言います。
 放射性物質による環境汚染への対処に関する特措法が禁じる廃棄物の投棄(5年以下の懲役や1千万円以下の罰金)に触れる可能性がある。

 これはたいへんなことですので、"環境省は「事実なら重大な問題だ」とし、ゼネコン各社から事情を聴く方針だ"と言っています。

 ただ、この他人ごとのような口ぶりの環境省、省内で情報を共有していたかどうかは別として、実はこれらの事実を知っていたようです。

2013年1月5日7時38分
手抜き除染、夏から苦情殺到 環境省、対応おざなり

 東京電力福島第一原発周辺で「手抜き除染」が横行している問題で、住民から環境省に除染作業への苦情が殺到していたことが分かった。ところが、環境省は苦情内容や件数を記録・分析して業者の指導に活用することをしていなかったという。(中略)

 除染事業の現地本部である環境省福島環境再生事務所によると、建物や道路から20メートル以内の本格除染を始めた昨夏以降、住民から「草がきちんと刈り取られていない」「洗浄に使った水が漏れている」といった苦情が多数寄せられるようになった。これらは環境省が定めた作業ルールに違反する可能性があるが、担当者の一人は「ひっきりなしに電話がかかってきて、いちいち記録をとっていられなかった」と打ち明ける。

 同事務所は朝日新聞の取材に「苦情があるたびに契約に基づいてきちんとやるよう作業現場に注意してきた」と説明。一方で具体的な内容や業者名、件数などは記録せず、苦情の多い業者を厳しく指導するなど効果的な対応をしていなかったことを明らかにした。個別の苦情にどう対応したのかは検証できないという。
http://www.asahi.com/national/update/0105/TKY201301040463.html

 これは夏の話ですけど、さらに朝日新聞取材班が

"12月25日に現地本部の環境省福島環境再生事務所に、ゼネコン側の指示で草木が投棄されたことや洗浄水が回収されなかったことを日時や場所を特定して伝えた"

後も放置していたようです。

2013年01月10日
環境省、手抜き除染情報を放置 ゼネコン業者の聴取せず

 【多田敏男】福島第一原発周辺で手抜き除染が横行している問題で、環境省が昨年12月25日以降、詳細な手抜き情報を得ながらゼネコンを聴取せず、放置していたことがわかった。聴取を始めたのは、朝日新聞の報道を受けて除染適正化推進本部を発足させた今月7日だった。初動が遅れた結果、実態解明が難航する恐れがある。

(中略)仕事納めの12月28日に雇い止めになって出身地に戻った作業員は多く、現場も風雪で変わり、調査は難航しそうだ。環境省は「情報共有や連絡体制に不備があったか調査中」としている。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301090533.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201301090533

 除染に関しては世論とはむしろ逆に過剰対応では?といった問題があるものの、それとこれとは別です。こういった対応をしてしまうと、ますます疑いを持つ国民は増えることでしょう。

 うやむやにせずにきちんと対応してほしんですけど、マスコミの関心も薄いようですしどうなりますか?


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