PFASの話をまとめ。<飲料水に少し含まれるだけで健康被害で危険 PFAS(PFOS・PFOA)規制へ>、<PFASとPFOS・PFOAの関係が全然わからん!もっとわかりやすくして!>、<実は人体への影響がはっきりしないPFAS(PFOS・PFOA) なぜ規制?>、<日本の一部でPFOS濃度が高い地域 死亡リスク上昇も調査で判明>などをまとめています。
2023/01/08追記:
●アメリカが厳しく危険視するはずのPFASをアメリカが日本で汚染か?
●日本の一部でPFOS濃度が高い地域 死亡リスク上昇も調査で判明
2023/02/15追記:
●PFAS血中濃度、沖縄で全国平均の最大14倍 目標値を上回る量検出 【NEW】
●飲料水に少し含まれるだけで健康被害で危険 PFAS(PFOS・PFOA)規制へ
2022/11/20:「PFASがなんとか~」という話があって、また危険性がはっきりしない物質に過剰反応しているのかな?と思ったら、アメリカ環境保護庁がかなり厳しい勧告を出していてびっくり。それでもなお科学的根拠が十分ではない…という可能性はなくはないでしょうが、このような勧告があるとなると、かなり確かな話なのかもしれません。
<アメリカ環境保護庁は先週、人体に有害な有機フッ素化合物、PFOAとPFOSについて、これまで考えられていたよりも少ない量で健康被害をもたらす可能性があるとして、飲料水からわずかでも検出されるべきではないとする勧告を発表しました。
これについて、岸田総理大臣は23日、糸満市で記者団に対し「数値あるいは基準値に対する考え方は、WHO=世界保健機関をはじめ、国際的な機関、さらには世界各国の状況を見ながらしっかりと判断し、必要な対応を考えていかなければならない」と述べました。
飲料水の規制をめぐっては、政府は、アメリカの基準を参考にしていることから、勧告を受けて、今後、政府は見直しを行う可能性もあります>
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20220623/5090018872.html
上記の話を伝えていたのは、<岸田首相 米環境保護庁PFAS規制強化の勧告 各国見て判断>(2022年06月23日 19時54分 NHK)という記事でした。記事タイトルでは「PFAS」なのですが、本文には「PFAS」という言葉は一切なし。そして、断りなくいきなりPFOAとPFOSが出てきていてわかりづらかったので、この後補足します。
●PFASとPFOS・PFOAの関係が全然わからん!もっとわかりやすくして!
まず、「PFAS」の説明から。
デジタル大辞泉「PFAS」の解説では、以下のような説明。健康被害が問題になることが予想される説明もありますが、重要なのは、ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称であるという話です。なので、まとめて言うときと、個別で言うときで呼び方が違うんでしょうね。
ピーファス【PFAS】[per- and polyfluoroalkyl substances]
<ペルフルオロアルキル化合物(パーフルオロアルキル化合物)とポリフルオロアルキル化合物の総称。有機弗素化合物で、界面活性剤やテフロン製造時の添加物として使用される。難分解性で環境に残留しやすく、また生体に蓄積する性質がある>
で、てっきりPFOS・PFOAがペルフルオロアルキル化合物(パーフルオロアルキル化合物)とポリフルオロアルキル化合物に対応すると思ったらそうではないようです。
大阪市:有機フッ素化合物(PFOS、PFOAなど)について (…>大阪市の環境の施策>水環境)(2022年9月6日)によると、以下のような説明でした。
<PFOSは、ペルフルオロオクタンスルホン酸(Per Fluoro Octane Sulfonicacid)の略称、
PFOAは、ペルフルオロオクタン酸(Per Fluoro Octanoic Acid)の略称で、いずれもフッ素を含む有機化合物の一種です>
<PFOS及びPFOAは、撥水性と撥油性を併せ持つ特異な性質を有していることから、これまで様々な表面処理の用途に使用されてきました>
●実は人体への影響がはっきりしないPFAS(PFOS・PFOA) なぜ規制?
2022/12/12追記:前回書いた
大阪市:有機フッ素化合物(PFOS、PFOAなど)について (…>大阪市の環境の施策>水環境)(2022年9月6日)からもう少し補足。これが書かれた時点では人体への影響ははっきりせず。ただ、その性質からすると影響する可能性が高いと考えられるので、予備的に警戒されている感じでした(2023/01/08追記:ただし、後述するように、すでに死亡リスク上昇の報告もあり)。
<PFOS及びPFOAは、化学的に極めて安定性が高く、水溶性かつ不揮発性の物質であるため、環境中に放出された場合には河川等に移行しやすく、また難分解性のため、長期的に環境に残留すると考えられています。
これらの人の健康への影響については、各国・各機関で知見が集積されつつあるものの、現時点において、発がん性等の毒性について国際的に統一された評価値はありません>
また、前述の通り、米環境保護庁は大阪市のリリースより前から規制強化の勧告を出しており、日本政府もこれに追従する姿勢を見せています。日本でも以前から、原則として製造、輸入及び使用が禁止されているみたいですね。それから、水関係でも監視などの基準はあり。米の勧告の趣旨はこれをもっと厳しくということでしょう。
<PFOS及びPFOAは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs(ポップス)条約)で、製造、使用、輸出入を原則禁止する物質に挙げられており、国内では、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、PFOSは平成22年4月以降、PFOAは令和3年10月以降、原則として製造、輸入及び使用が禁止されています>
<PFOS及びPFOAは、令和2年5月に、水質汚濁に係る要監視項目(注1)に指定され、河川や地下水などにおける暫定的な目標値(指針値)として、PFOS及びPFOAの合算値で1リットルあたり50ナノグラム以下(注2)とされました。
(注1)要監視項目: 「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの」として、平成5年3月に設定したものです。現在、公共用水域では27項目、地下水では25項目が設定されています。(出典:環境省ホームページ「要監視項目」別ウィンドウで開く)
(注2)ナノグラム:10億分の1グラムを示す単位>
<また、飲用水につきましては、令和2年3月に水質管理目標設定項目に位置付けられており、暫定的な目標値は、PFOS及びPFOAの合算値で1リットルあたり50ナノグラム以下となっています。
なお現在、土壌や食物(米、野菜等)に関する指針値等はありません。また、事業所からの排水に係る基準についても定められておりません>
●アメリカが厳しく危険視するはずのPFASをアメリカが日本で汚染か?
2023/01/08追記:実を言うと、もともとPFAS(PFOS・PFOA)について調べ始めたのは、今回紹介する記事がきっかけ。その危険性に対して過剰反応である可能性を考えて先にそちらを調べたのですが、アメリカ環境保護庁が検出ゼロを求める最大限に厳しい勧告を出していることがわかったため、過剰反応とは全く言えない感じでした。
このもともときっけかになった記事というのは、
米軍横田基地への立ち入り調査を 多摩地域のPFAS検出で京大准教授求める 東京都「決め打ちではできない」:東京新聞 TOKYO Web(2022年11月13日 06時00分)で、アメリカ絡みだったんですよ。アメリカが厳しく危険視する物質を米軍が日本で撒き散らしているのでは?という話です。
<東京都多摩地域の井戸水で検出された有機フッ素化合物(PFAS)の住民への影響を調べる大規模血液検査が23日から始まる。分析を担う京都大の原田浩二准教授(43)は「汚染原因と考えられる土壌を調べるべきだ」と、米軍横田基地への立ち入り調査を求める。一方、都は本紙の取材に「決め打ちで調査はできない」と、現状は応じない姿勢を示した>
●日本の一部でPFOS濃度が高い地域 死亡リスク上昇も調査で判明
原田浩二准教授は「沖縄では、汚染源周辺に米軍基地以外のPFAS使用施設がほぼないため、関連性が強く疑われた。周辺状況は異なるが、同じ米軍基地の横田でも可能性を考えなければならない」としており、まず沖縄の米軍基地で問題になったようです。記事では、沖縄の検査の話があったのでそちらも引用します。
また、危険性に関する研究の話もあったので、続けて以下に引用。前回、<実は人体への影響がはっきりしないPFAS(PFOS・PFOA) なぜ規制?>という話を書いたものの、今回の記事で出ていた調査では「死亡リスク上昇」との結論。アメリカがすでに危険視しているように、リスクの高さが次第に確かめられている感じですね。
<沖縄での検査は今年6〜7月にあり、387人を分析。嘉手納基地周辺の浄水場の配水地区で住民の血中のPFOS濃度が全国平均の3.1倍に上ることが明らかになった。
摂取による健康被害の研究が進みつつある。中国の四川大華西医学センターの研究医らは6月、PFOSの血中濃度が高い人は死亡リスクが上昇するとの論文を公表。生活習慣病や出生時の体重減少に影響しているという研究報告もある>
沖縄県だけでなく、神奈川県でも2022年に、厚木と横須賀の両米軍基地でPFASの漏えいが発覚していたとのこと。ただ、日米地位協定がネックになり、思うように自治体の調査が進んでいないといいます。以下の説明は厚木のケースですが、横須賀基地では2022年7月に暫定目標値の258倍のPFOAを検出したものの、記事の時点では調査が進んでいませんでした。
<厚木では9月、泡消火剤が格納庫から敷地内に放出され、相模湾に注ぐ蓼川に流入。流出の総量は不明で、基地内の排水が蓼川に流入する前に一時的に水をためる調整池の水を米軍が調べたところ、国の暫定目標値の20倍ほどの高濃度が検出された。
米軍は「消火設備が誤作動した」としか説明せず、県は日米地位協定の環境補足協定に基づき、立ち入り調査を要請した。
県は防衛省などと10月、基地内に入ったが、調査できたのは調整池だけだった。肝心の格納庫や消火設備は認められなかった。写真撮影さえも禁止されたという>
●PFAS血中濃度、沖縄で全国平均の最大14倍 目標値を上回る量検出
2023/02/15追記:先にあった沖縄の話からして全然知らなかったので、もう少し記事を読んでみることに…。「沖縄」と「PFAS」というキーワードで検索して目についたのは、
PFAS血中濃度、沖縄で全国平均の最大14倍 水道水を飲む人は高く | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス(2022年10月16日 6:01)という記事でした。
<米軍基地周辺の河川や北谷浄水場の飲料水などから、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)の検出が相次いでいる問題で、「有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会」は15日、米軍基地周辺を中心とした県内6市町村7地域の387人を対象に行った血中濃度調査の結果を発表した。環境省が昨年調査した全国平均と比較すると、最大14倍高い値の地域があり、調査データ21項目のうち18項目で全国平均以上の数値が検出された>
<約5千種存在するPFASのうち、主な有害物質のPFOS(ピーホス)、PFOA(ピーホア)、PFHxS(ピーエフヘクスエス)の3種の結果を京都大が分析した>
また、全7地域にわたる計27人の調査対象者血液から、ドイツが健康に影響があるとして定めた「管理目標値」を上回るPFASが検出されたとのこと。そもそも米軍の本国アメリカではゼロ検出を求めているのですが、当然、濃度が高い方がやばいです。調査では水道水をそのまま飲んでいる人がPFASの血中濃度が高く、水道水由来の可能性が濃厚でした。
<国内にPFAS血中濃度に関する基準値がないため、連絡会は世界で唯一、健康への影響を定めたドイツの目標値を参考にした。目標値は1ミリリットル当たりPFOSは20ナノグラム、PFOAは10ナノグラム、妊娠適齢期の女性はそれぞれ半量の値。これらの数値を超えると、血中脂質や糖尿病などのリスクが高まるとされる>
【関連投稿】
■
環境汚染ひどい中国に日本のような公害病はなぜない?隠蔽してる? ■
プラスチックごみに剥がせない紙ラベル リサイクルで問題ないの? ■
PM2.5の発がん性リスク最高水準 黄砂と混ざるとより危険な物質に ■
世界の大気汚染問題、実は解決していた? 大気の酸性度、1930年代以前のレベルにまで回復 ■
日本企業が環境汚染、中国で処分 花王・三井化学・ダイキン工業・クレハ・JUKIなど ■
科学・疑似科学についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|