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海外の再生可能エネルギー全量買い取り制度 スペイン、アメリカ・カリフォルニア


★2012/6/18 スペインに学ぶ再生可能エネルギーの全量買い取り制度
★2012/3/15 再生可能エネルギーの全量買い取り制度の参考に カリフォルニア州の補助制度


★2012/6/18 スペインに学ぶ再生可能エネルギーの全量買い取り制度

 今回、風力・太陽光、全量買い取りで大量導入へ 先行スペインの悩みに学ぶ(日経BPクリーンテック研究所 菊池珠夫 日経新聞 2012/5/21 7:00)というものも読みましたので、しつこくまた書くことになりました。


 「スペインは既に電力の約32%を再生可能エネルギーで発電している」ようですが、2011年では最も多い風力で15.7%、水力で10.3%、太陽エネルギーで3.6%、小水力発電で1.9%となっています。

 「一方、日本の再生可能エネルギー比率は10%程度であり、そのほとんどが水力発電」ですから、水力の割合だけはいっしょくらいですね。


 スペインKPMG社 パートナーのAntonio Hernandezさんは、2012年5月9日、東京都内のホテルでスペイン大使館主催の「再生可能エネルギーフォーラム」でこう語っていたそうです。

「スペインの風力発電システムの設置容量は2010年に20GW(ギガワット)に達した。これは欧州で2番目、世界でも4番目の規模である。2012年末には23GWに増える見通しである。太陽光発電システムの設置容量は2010年末に4GWになり、欧州で2位、世界で3位の規模を誇る。太陽熱発電は2010年に1GWに達して世界トップ」

 何だか誇らしげですね。


 そもそもスペインの再生可能エネルギーの導入には二つの目的があり、一つが「温暖化ガスの排出量の削減」でした。

 「2005年に1990年比で約1.7倍にまで膨らんだ温暖化ガスの排出量は、再生可能エネルギーの導入が進んだ2008年に減少に転じ、2010年には2000年レベルにまで下が」ります。

 これでもなお「下げ幅の目標には及んでいないものの、当面の目的は達成された」そうです。


 もう一つの目的は、「エネルギーの国外依存度を下げること」です。

 「スペインは石油と天然ガスの99%以上を輸入に頼っており、大きなリスクを抱えている。これを少しでも軽減したい」というわけです。

 「再生可能エネルギーの導入が進」む前は「エネルギーの国外依存度は1990年の約64%から2005年には80%近くにまで上がってしまっていた」ものの、「再生可能エネルギーの導入が進んだ2008年に減少に転じ、2010年には75%を下回る水準になった」でそうです。

 こちらもまた「目的達成と言えるレベルではないものの、確実にリスク低減を進めつつある」とのことです。


 しかし、2つ目の「リスク低減」は新たなリスクを生んでいますので、「確実にリスク低減を進めつつある」という言い方はまやかしです。

 実は日本とスペインの再生可能エネルギーの割合を比べたところに、「水力は比較的安定した電源であるため系統への影響は少ない」との記載がありました。

 これは裏を返せば、風力発電や太陽光発電が「安定した」とは呼べない電源であることを示しています。「再生可能エネルギーは不安定な電源」なのです。

例えば「スペインでは(天候の変化などにより)1時間のうちに再生可能エネルギーによる発電量が最大1万3000MWから150MWまで振れることがある」(同氏)。電力では供給と需要の規模を合わせないと電圧変動や停電の恐れがあって危険だ。つまり1万3000MWが150MWに急降下したら、その差の1万2850MWを他の電源で補わなければならないのである。

 この問題をさらに大きくしているのは、再生可能エネルギーの発電量の予測精度が低い点だ。いつ1万2850MWの電源が必要になるのかが分からない。今後は予測精度を上げて、不安定な電源でも需要に見合うように電力供給を調整することが求められる。

 ここには直接書かれていませんが、「隣国との太い連系線の必要性にも直面している」という表現はありました。日本のような島国でなければ、海外からある程度融通してもらうという手があると思われます。

 逆に言うとそれができない日本というのは、それなしで済む方法を考えねばいけません。


 原発推進派はこの点を強調しており、たいへん気に食わないのですが、極めて正論でもあります。

 スペインの人が誇らしげに言っていた「約32%を再生可能エネルギー」というのは平均した数字であり、再生可能エネルギーは極めて不安定に揺れ動きます。

 太陽光発電の出力の表現なども詐欺まがいだと思いますが、都合の良い数字ばかりを使っていると批判される原子力ムラの使う手口と変わらない手口を、再生可能エネルギー推進派も涼しい顔をして使います。

 電力の不安定さは弱い人間がモロに影響を受けますので、これは本来無視して良い問題ではありません。

 私は反原発のついでに再生可能エネルギーを推進している人が人命優先を大儀に掲げている分、その冷酷さに憤りを感じます。


 話が逸れてきましたが、記事では「余剰電力を一時的にためる蓄電池」という話が出ていました。

 再生可能エネルギーを本気で原発の代替にしたいのであれば蓄電池が肝要であり、何度か書いている通り、私は本来ここが力を入れるべきところだと思っています。

 この他に記事に載っていた問題点としては、「地方に分散する再生可能エネルギーの発電システムの多くが需要家から遠い場所にあること」もありました。克服すべき課題には尽きません。


 また、制度上の問題の話になりますが、スペインは極端な失敗をしています。

 スペインは2007年に長期間にわたる高額な買い取り価格を設定したフィードインタリフ(FIT)制度を太陽光発電で導入した。その結果、2008年の太陽光発電システムの設置量は一気に2700MW(メガワット)に増えた。当初の目標だった371MWを1200MWに変更したが、結果的には変更後のさらに倍以上が設置されたことになる

 スペイン政府は、あわてて買い取り価格を下げるなど、投資ブームの沈静化に追われた。この予想を上回る太陽光発電システムの設置によって、電力を高額で買い取らなければならない配電会社は大幅な赤字に陥った。その債務額は206億ユーロ(約2兆1000億円)。スペイン政府が一時的に肩代わりしているが、今でもスペインにとっては大きな痛手だ。

 日本の再生可能エネルギーの全量買取制度に関して、私が最初に書き始めた頃に懸念していたのは、この価格設定の問題です。スペインの価格設定は下手だったので、うまくやれば防げるところのはずです。

 しかし、最近の再生可能エネルギーの全量買取制度は失敗した?買取価格42円は高すぎで書いたように、心配が現実となるというおそれもあります。


 ところが、記事では「発電事業者の提出していた希望価格にほぼ沿ったものだった。すなわちこの価格であれば投資して元が取れる水準なわけだ」というちょっと呑気な書き方をしています。

 「投資して元が取れる水準」じゃなければそもそも誰も手を出さないわけですし、本来ならこれは利益がギリギリになる価格設定のときに使う表現です。

 じゃあ、日本での普及は全然進まないと記事では見ているのかと思いきや、「2008年のスペインのように、当初予想の7倍もの量が設置される可能性も否定できない」とも書いています。

 いや、そういう可能性があるってことは、価格設定が高すぎるからだと思うんですけど……。


★2012/3/15 再生可能エネルギーの全量買い取り制度の参考に カリフォルニア州の補助制度

 時折書いている「再生可能エネルギーの全量買取制度」に絡む話。一応、週一で検索かけているんですけど、「~を作る計画が」みたいなニュースが多量に出ているものの、制度のあり方などを考えている記事はほぼ皆無です。

 そんな中で久々に良い記事だなぁと思ったのが、カリフォルニア州の補助制度、透明化で太陽光発電産業を自立に導く(2012/03/07 15:08 Junko Movellan=米Solarbuzz社 米国太陽光発電市場担当シニアアナリスト Tech-On!)です。

 カリフォルニア州の太陽光発電補助プログラムは、「California Solar Initiative (CSI)」と呼ばれ、2006~2016年までに1.9GWの太陽光発電システムの設置を目標としている。もう一つの大きな目標は、その期間内に太陽光発電産業を補助金に頼らない自立した産業に育てることである。

 繰り返し書いていますけど、「自立した産業に育てる」という視点は絶対になくしてはいきません。それを忘れては、原発利権に替わる新たな利権を産むだけで、「クリーン」なエネルギーとは言えなくなり、国民にとって害悪です。

 まず、課題として挙げられていたのは、以下のような点。

・需要(補助金申請)が急増した場合、予定していた時期よりも早く予算が終わってしまう。

・補助金がなくなったら、市場が冷え込んでしまう。

・モジュール価格の暴落で、早く補助金を申請した家庭と遅く申請した家庭のどちらも同じ補助金額になってしまった。 (日本)


 これに対するカリフォルニア州の太陽光発電補助プログラムの対策としては、

・需要が増すと補助金額を低下させる。

 です。

 補助金が減ると嫌かもしれませんけど、よく普及しているということはそれだけメリットがあるということですから、無理に補助金を増やす必要もありません。

 それに資金を浪費して早くに息切れしてしまっては、最初の目的を果たせません。それだと意味がないでしょう?

 カリフォルニア州の場合、この対策で「資金を効率よく使って、より多くの家庭や企業に太陽光発電システムを広めることができる」というわけです。


 タイトルで「透明化」とありましたけど、すごいなと思ったのが次の引用部。

 CSIの詳細データが、ほぼリアルタイムで公開されていることも特徴である。太陽光発電システムの設置場所(市と郵便番号)やシステム・サイズ、システム・コスト、補助金額、申請状態、施工業者名、モジュール・メーカー名、モジュール型名、インバーター・メーカー名、用途(住宅用、産業・工業用、公共用)などを閲覧することができる。さらに、エクセルのデータとして自由にダウンロードすることも可能だ。

 消費者や施工業者、モジュール・メーカーなどは、このデータを参考に、補助金申請の時期などを、あらかじめ計画できる。日本のプログラムでは、四半期ごとの申請数と設置数のデータなどが、都道府県別に公開されるにとどまっている。どの施工業者がいくらでシステムを売ったか、などという情報は、日本では公開されていないだろう。

 これは業者間の競争も促進するのではないでしょうか?

 さすがに市場を重視するアメリカらしいなと思いますけど、制度を悪用する悪徳業者をはびこらせないためにも、情報を広く公開するのは良いことだと思います。

 さらにカリフォルニアの制度がすごいのは、

 この他のCSIの特徴として、補助金が支給される前に、設置したシステムに対してランダムに点検が入ることが挙げられる。これは、補助金を申請した通りにシステムが設置されているか、発電がなされているかを確認するためである。例えば、申し込み時にはシステム設置傾斜角度が30度となっていたが実際は 28度だった、影の影響なしとあったが実際にはシステムの半分が影で覆われていた、などのケースを見つける。これらの場合、補助金額の修正だけでなく、施工業者が今後1年の間に設置するシステムに点検が入ることになる。さらに、申請と実際の設置に25%以上の差があると、この施工業者はCSIに参加できなくなる。

 ということで、やはりより良いシステムを、より競争を……という理念が、制度設計者の中にあるんだと思います。

 作者も次のように述べています。

補助金の使い方やシステム・コストなどを透明化することで、施工業者やメーカーが不当にビジネスをすることを防ぐものである。消費者には、どの業者が、どのくらいの価格でシステムを売っているのかが、丸見えになる。補助金の効率的な運用と、システム設計や施工の最適化を促すことで、持続可能な太陽光発電産業をつくりあげようという、制度設計者の意思が感じられる。

 本気で「良い太陽光発電を!」という気迫を感じる制度で、「日本の制度設計にも、このような持続可能な産業作りのメカニズムを、ぜひ取り入れていただきたい」という作者の思いに賛同します。


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