2019/02/18:
●海外より先行?実は日本初の宅配ボックスは1986年にすでにできていた
●宅配ボックスはサービス業 フルタイムシステムは保守管理などで稼ぐ
●意外な宅配ボックス利用法 家族に見られたくないもの入れにも使える!
2021/05/20:
●日本の宅配ボックスの利用率はやはり低かった…一方で利用意向は? 【NEW】
●海外より先行?実は日本初の宅配ボックスは1986年にすでにできていた
2019/02/18:日本で最も一般的な宅配ボックスというと、マンションに設置されているものでしょう。宅配ボックスは今や、日本の新築マンションのほぼ全てに設置されるようになったといいますので、ない方が珍しいというほど普及しました。このうち約7割のシェアを握るのがフルタイムシステムだそうです。圧倒的ですね。
フルタイムシステムが先行した理由は、単純に宅配ボックスを始めた時期が早かったというのがあるかもしれません。なんと創業者の原幸一郎社長が宅配ボックスを実用化したのは1980年代半ばのこと。もちろん日本で初めてのことです。最近は、
日本の宅配ボックスは中国より遅れてるって話もありますが、日本のスタートは世界でも早かったかもしませんね。
会社設立は1986年。きっかけは、当時マンションの管理会社を経営していた原幸一郎社長自身の悩みからでした。住人の不在時に宅配便が届くと、管理人が預かっていたものの、すぐ荷物でいっぱいになってしまいます。あふれた荷物が盗まれたこともあったそうです。これでは困りますよね。当然、苦情も多かったでしょう。
じゃあ、管理人が受け取り拒否すりゃいいじゃないかと思うのですけど、良心的なやり方をしていたんでしょうね。管理人が帰宅する夜は、「社員を夜中に働かせるわけにもいかないので、僕が代わりに対応していたんですよ」(原社長)とのことでした。で、特に盗難のたびに弁償していられないということで、宅配ボックスの開発に着手したというきっかけだそうです。
(
宅配ボックスシェア7割企業の意外な収益源:日経ビジネス電子版 藤村 広平 2018年10月30日より)
●宅配ボックスはサービス業 フルタイムシステムは保守管理などで稼ぐ
このように単純にサービス開始が早かったフルタイムシステムですけど、シェアが多いより本質的な理由はサービスの良さだと思われます。宅配ボックスの販売というモノの販売だけではなく、様々なマンションサービスを手がけており、こっちがメインという感じでした。そして、これは当初からそういう方針という歴史の長さもあります。
最初から宅配ボックスシステムで重視したのは、どんな場合でも荷物を確実に受け取れる安心感を実現すること。トラブルのときは、制御センターに連絡して本人確認ができれば、遠隔で解錠できる仕組みを整えました。コストがかかっても、24時間365日稼働する有人の制御センターを運営するという選択です。
それ以外のサービスがいつから始まったか明記されていませんでしたが、収入が伸びているのは、フルタイムが運営する制御センターの利用料や、保守管理、緊急時の駆けつけといった、納入してからも継続的に得られるもの。今では売り上げの半分強をサービス収入が占めるまでに成長しました。宅配ボックスを売って終わりではないのです。
さらに、カーシェアやシェア自転車のカギの受け渡しのほか、宿泊できるゲストルームやパーティールームなどの共用施設の予約システムにも参入。さらに掃除ロボットのシェアリングサービスにも開始。これは収入を得られる機会を増やすだけでなく、他社との差別化。フルタイムシステムを選ぶ理由となるでしょうから、一石二鳥ですね。
●意外な宅配ボックス利用法 家族に見られたくないもの入れにも使える!
以上のようにフルタイムシステムの記事で話があったのは、法人向けのサービスだけ。個人向けについての話もほしいと思ったので検索。
宅配ボックス「一家に一台」 再配達抑制、IoT付 集荷にも活用 :日本経済新聞(2018/9/26 17:35)という記事が出てきました。
実はさっきのフルタイムシステムはかなり苦戦していた時期が長く、本当に順調だと言えるのは近年だけ。日本経済新聞の記事で最初に「インターネット通販の普及などで増える宅配便を不在時でも受け取れる宅配ボックスを戸建て住宅にも設ける動きが広がってきた」とあったように、宅配ボックス需要は最近になって急激に伸びました。ただ、マンションなどの集合住宅では宅配ボックスの設置が一般化してきた一方で、「戸建ての宅配ボックス普及率は1%未満」(LIXIL)だといいます。
こちらの記事でメインで紹介されていたのは、そのLIXILの戸建て向けの新型宅配ボックス「スマート宅配ポスト」(17万8000~26万6000円)。荷物が届くと外出中の居住者のスマホに知らせがいくというのが売り。また、既に荷物が入っているボックスでもスマホを通じて宅配業者と通話しながらスマホで解錠し、新たな荷物を入れることができるとのことです。
でも、高すぎですよね。これじゃたくさん売れませんわ。郵便受け大手のナスタは7万円前後で大幅に安いですが、これですら高すぎだろうと思います。ということで、ナスタは従来品よりかなり安くした1万円台で購入できる低価格な戸建て向け商品を発売。そうですね、これくらいじゃないと駄目だと思います。
ちなみに私は単なる家族に見られたくない物入れに使っているのですけど、アナログな宅配ボックスでしたらもっともっと安いんですよ。ただ、地元で全然売ってなくて、どこの店員さんに聞いても「宅配ボックス?なにそれ?」という感じだったので、まだまだ需要は少ない模様。もっとバリエーションが増えて、広く普及すると宅配業者も楽になるんですけどね。
↓私は左の方を買いました。ボックスというか袋の延長線上的な感じの簡易なつくりですが、大きい割に安かったです。でも、今見たらもっと安いのもある感じ。
●日本の宅配ボックスの利用率はやはり低かった…一方で利用意向は?
2021/05/20:個人的には宅配ボックスが普及してほしいな…と思っているのですが、
宅配ボックス利用率は1割未満=JADMA通販実態調査 – 物流の専門紙 カーゴニュース(2020.08.04という記事が出ていました。日本通信販売協会(JADMA、粟野光章会長)がまとめた「第27回全国通信販売利用実態調査報告書」で、宅配ボックスの利用率は全体の1割未満だったとのこと。まだあまり普及していないようです。
より詳しく言うと、宅配ボックスを「利用していない」は回答全体の92・0%という数字でした。一方、利用している人としては、「個人用宅配ボックスを利用」が3・2%、「マンションの共用設備の宅配ボックスを利用」が2・3%、「コンビニや駅に設置されている宅配ロッカーを利用」が0・7%といった結果になっています。
ただし、個人用宅配ボックスの利用意向については33・7%が「利用したい(ぜひ利用したい、できれば利用したい)」を選択しており、今後はもう少し伸びそうな感じ。とくに30代でその傾向が強く、30代女性は56・6%、同男性は50・9%が利用の意向を示しており、報告書では「利用率増加が期待できる」と評していたそうです。
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