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デマンドレスポンスとは?ネガワットとの意味の違いは?


★2012/5/24 ネガワット取引とは何か?スマートメーターとの関係
★2012/6/5 ネガワット取引始動、関西電力・大阪ガス・NTTファシリティーズなど
★2012/6/21 デマンドレスポンスとは?ネガワットとの意味の違いは?
★2012/7/3   デマンドレスポンスにはネガワット式・電気料金式などがある
★2013/12/23 デマンドレスポンスの例 インセンティブベースと電気料金ベース


★2012/5/24 ネガワット取引とは何か?スマートメーターとの関係

 スマートメーターと関連して、ネガワット取引という言葉を調べておきます。わかりやすそうだったのは、「ネガワット」で節電を 動機生み出す制度に 編集委員 久保田啓介(要登録 日経新聞 2012/1/11 7:00、※1)とサローネ対談 第8回】 藤元健太郎 × 村上 憲郎(株式会社 村上憲郎事務所 代表取締役 /前Google日本法人名誉会長 / 元Google米国本社副社長兼Google日本法人代表取締役社長)(※2)です。

 2つ目の記事に出てくる村上憲郎さんは、最初に並べて貼ったリンクの最後東京電力のスマートメーターは時代遅れのガラパゴススマメでも出てきた方で、スマートメーター関連ではたくさん名前を見かけます。これらを元に書いていきますが、いくつかあった「ネガワット」の説明をまとめずにそのまま記載します。


□ネガワットとは?

・企業や家庭が努力して電気の使用を減らせば、同じ分を発電したものとみなすという考え方。(※1)

・ネガはマイナス、つまり使わなかった電力。(※1)

・電力会社が「明日のある時間帯で電力供給(KW)が足りません」とアナウンスしたら、様々な中間業者が「節電に協力する人いませんか」と契約している企業に呼びかける。そして、「協力します」と言って、実際に需要電力(KW)の削減に協力したらお金が支払われる。このとき、削減した電力(マイナスされたKW)が「ネガワット」と呼ばれる。(※2)

・日本語で表すと「節減量」。(※2)


 ネガワットの提唱は1990年代だそうです。


 ネガワットはエネルギー学者で米ロッキー・マウンテン研究所理事長のエイモリー・ロビンス氏が1990年代に提唱した。ネガはマイナス、つまり使わなかった電力を指す。工場やオフィス、家庭などが節電で電力使用を想定以下に減らせば、発電所をつくるのと同じ効果がある。そうした企業や家庭を「節電所」とみなそうとロビンス氏らは訴えた。

 省エネのため高効率の発光ダイオード(LED)照明や空調機器などを導入すれば、電気代を削れるだけでなく、技術開発や投資などの経済効果を生む。節電は電力会社の収益にとってはマイナスだが、視点を変え、経済効果を含めたプラス面を評価しようというのがネガワットの肝だ。(※1)

 ※1では、「東日本大震災に伴う昨夏の電力危機を振り返ると、ネガワットの意味を改めて考えさせられる」として以下のように書いていました。

 政府の集計によると、東京電力管内で夏の午後のピーク時の電力需要は、大企業など大口需要家では前年より29%減った。政府が15%削減を目標に電力使用制限令を発動、企業側も節電に協力した結果だ。一方、制限令の対象外だった家庭は同6%減にとどまった。

 ただ、私が昨年の節電で問題だと思ったのが、各需要家に同じように削減を迫ったことです。

 普通に考えれば、それぞれ皆違う電気の使い方をしているのですから、どれだけ節電できるかも違ってきます。

 節電する余力があるところもあれば、震災前から既に十分に節電していて余裕がないところもあるでしょうし、電力の使用不使用が直に生産に響く、あるいは生活に影響するような人もいれば、逆に融通が容易である企業・人もいるはずです。

 それらを一切考慮しないというのは何とも日本人らしいですが、馬鹿げた悪平等だったと思います。


 この悪平等と比べれば、自発的な節電を促すことができるネガワットの考え方の方がはるかに優れています。

 ピーク時の需要を減らすには時間帯別料金制度の導入が理にかなっている。需給が逼迫する時間帯は料金を高く、それ以外は安くすれば、家庭を含めて需要抑制が期待できる。あわせて、ネガワットの概念を上手に活用した制度を考えられないだろうか。(※1)

 こういっったネガワットを取引するには、当然取引所が必要となります。

村上:そこに取引市場ができているのですね。企業ごとにひとつひとつ対応していたら発電サイドも状況を把握できないので、需要サイドをまとめてくれる中間事業者(デマンドレスポンスアグリゲーター)が「明日の13時から15時まで10万KWを抑えてください」という要請を受けると、契約企業のうち協力出来る企業を集めて(アグリゲートして)電力需要を10万KW抑えます。

 また、要請した発電サイドからお金をもらい、手数料を取った後の残りを協力してくれた企業に「節減量(ネガワット)」に応じて支払うわけです。
 発電サイドはピーク電力需要を賄う発電設備を用意しなくても良いので、設備コストを削減できるからお金を払ってもいいわけなんですね。つまりこのような仕組みを日本はこれまで選択して来なかったので、ピーク時に必要な電力需要(KW)のためにとんでもない遊休設備容量(KW)を持つ国になったのです。(※2)

 ただ、日本でもやっと経済産業省が「ネガワット取引」とも呼べる新制度を検討し始めたそうです。(※1)

 電力需給が逼迫しそうな日を電力会社が予測し、買い取り価格を示して必要な節電量を公募する。制度に参加する大企業などは、電力会社と取り決めた想定需要から節電できる量を算定。これを事前に申告する仕組みだ。

 申告通りに節電できた企業には電気料金を割り引き、電気代が浮く以上の恩恵を受けられるようにする。制度の具体化に向け、経産省は既存の卸電力取引所の活用も検討している。

 だが、この仕組みのままでは問題が多い。ネガワット取引は本来なら、企業が電力会社から買う電気料金より、売り戻す「節電分」の料金を高くして、経済合理性を働かせるのが筋だ。企業や家庭など多くの需要家が参加できることも前提になる。

 大企業だけを対象にすると、参加企業を優遇する分、家庭向けなどの電気料金が割高になる恐れがある。経産省の案は実効性や公平性の観点から中途半端な印象が否めない。(※1)

 そして、もう一つ「ネガワットを制度化するには、電力市場全体の改革が避けて」通れません。

 ここでやっとタイトルにしたスマートメーター(=次世代電力計)、そして、スマートグリッドの話が関係してきます。

 時間帯別料金や節電分の買い取りといった柔軟な料金制度は、需要家が電力会社を選べる市場であってこそ効果を発揮する。今のような地域独占を改め、発電事業への新規参入を増やし、価格競争を促す改革が必要だ。

 また小口需要家や家庭が参加できるようにするには、IT(情報技術)を駆使した次世代電力計やスマートグリッド(次世代送電網)の普及が欠かせない。これらの技術を早く浸透させるためにも、電力改革の議論を急ぐときだ。(※1)

藤元:海外では「電力需要が高まり、供給が足りない場合は優先的にあなたの企業から供給をストップしますよ、その代り普段の電気代は安いですよ」といった料金体系もありますよね。

村上:日本でも全くそういう仕組みを取り入れていないわけではありません。需給調整契約という仕組みがあるのですが、ただ、全体の仕組みが基本的にピーク電力を賄う発電設備を準備するという安定供給体制であったため、各電力会社もその契約をなかなか積極的に売って来なかったわけですよ。そして我々国民もそんな仕組みを知らないし、実際にどうしていいか分からないのです。

 ここへきて総発電設備の要の原発が毀損し始めていますので、十分な発電容量を期待できなくなってきました。いよいよ需要サイドのマネジメントをしないといけません。そうなるとスマートグリッドが大きな意味を持ってくるのです。アメリカでは大口需要家から始まっていますが、企業にスマートメーター(インターネットに繋がった積算電力計)が設置されており、消費電力の「見える化」を行い、そのデータによって需要予測とデマンドレスポンスの要請を行い、「この時間帯にこれだけ節電(ネガワット)してくれましたね」と協力の証拠にも使い、その結果、お金が支払われるなどしています。全部が全部スマートグリッドにならなくても、そういうBtoBのあたりからやっていかないといけませんね。(※2)

(安定供給体制の補足、※2)

村上:諸外国を見てみると、国民ひとり当たりの年間電力消費量(KW時)は先進国ではあまり変わりません。ただし、ひとり当たりの「総発電設備容量(KW)」は日本が突出している。なぜかというとピークカットやピークシフトと呼ばれる融通をし合っていないからです。つまりそれは今までの電力システムが年間数日のピーク需要電力(KW)を賄うに足る発電設備容量(KW)を準備しておくという安定供給体制だったからです。それを国民はあまり知らされていないし、国民に知識もないし、勿論、電力会社も政府も悪意をもってそうしていたわけではなくて、そういう安定供給体制という仕組みを選択して来たというだけなのです。

 きな臭い東京電力のスマートメーターの話がありましたけど、将来を見据えてきちんと役に立つスマートメーターを作ってもらわなくちゃいけませんね。


★2012/6/5 ネガワット取引始動、関西電力・大阪ガス・NTTファシリティーズなど

 ネガワットに関しては先月24日に書いたばっかりなのですが、日本でも近々始動するようです。


 節約で浮く電力を買い取り、関西電力が「ネガワットプラン」実施へ(笹田仁,スマートジャパン 2012年05月29日 18時54分)では、以下のようなことが書かれていました。

 関西電力は今夏の電力供給量不足の解消を狙って、大口顧客を対象にした「ネガワットプラン」を実施することを明らかにした。実施期間は2012年7月2日~9月7日。参加資格者は契約電力500kW以上の大口顧客。

 ネガワットプランとは、顧客が節電で浮くと計算できる電力に値段を付けて入札し、関西電力が値段の安い順に買い取っていくという取引だ。期間内でも特に需給が逼迫すると予想できる日を対象に実施する。

 取引は、需給が逼迫すると予想できる日の1週間前から始まる。関西電力が入札を受け付け、企業が入札し、関西電力は毎日安い順からネガワットを買い取っていく。

 前回のネガワット取引とは何か?スマートメーターとの関係で書いたように、小口の顧客や一般家庭の人々が広範にネガワット取引に参加するにはスマートグリッドの普及が欠かせません。

 ということで、とりあえずは大口顧客のみ。

 前回、「大企業だけを対象にすると、参加企業を優遇する分、家庭向けなどの電気料金が割高になる恐れがある」という指摘がありましたが、関西電力の場合急を要しているのでやむを得ないでしょうか?


 ネガワットプランについて関西電力は"同社にとって初めての取り組みであることから、その効果は「まったく予想できない」としている"そうですが、"ネガワットプランは「需給逼迫に対応する最終手段」と語っている"みたいですので、期待はしている感じです。

 いずれにしろ、これまでのピーク電力を賄う発電設備を過剰に準備するという考え方以外の、新しいピーク対応の試みです。

 関西電力の需給逼迫予想は原発始動のためだという陰謀論の方にはちょっと残念かもしれませんけど(ネガワット取引の実施は原発推進に対して不利に働くと思われます)、安定供給体制を多様な角度から実現しようということで、普通の国民にとっては歓迎して良いチャレンジだと思います。


 ところで、記事では「ネガワットの取引というアイデアは、決して新しいものではない」として、以下のような先行事例を紹介していました。

例えば、原子力損害賠償支援機構と東京電力が共同で募集した「電力デマンドサイドにおけるビジネス・シナジー・プロポーザル」では、NTTファシリティーズとエネットが共同で提出した「ネガワットアグリゲーションビジネス」が選ばれている。

 この取り組みは、高圧の電力契約を電力会社と交わしている企業を対象に、それぞれの企業が節電で浮かせた電力を集約して電力会社に販売するというものだ。参加した企業は主催者から節電分に応じた金額を受け取れる。

 NTTファシリティーズによると、ネガワットアグリゲーションビジネスの提案活動は始めているが、契約に至るまでの期間と、工事に必要な期間を考えると、2012年7月時点での参加企業はごく少数になると見ている。

 さらに2012年6月1日には大阪ガス、ガスコージェネで電力需給ひっ迫を緩和するデマンドレスポンスを試行(エコジャパン)というニュースもありました。

 ガスコージェネというのは、たぶんガスコージェネレーションのことだと思うのですけど、発生した熱エネルギーをただ捨てるのではなく、電気エネルギーに変えて利用するというものです。

 これは昔からある技術であり、利益を追求する企業にとっても矛盾しないエコ活動です。(余談ですが、私はそういった理由から企業側に求めるだけだと削減余地があまりないおそれがあり、家庭の様々な無駄削減余地も軽視すべきではないと思っています)

 大阪ガスは、ガスコージェネレーション(熱電併給)システムを使って電力需給のひっ迫を緩和するデマンドレスポンス(需要応答)サービスの試行を始める。大阪ガスや東京ガスなどが共同出資する電力売買・発電事業のエネット(東京都港区)とともに実施し、6月1日から2014年3月31日までを予定している。ガスコージェネの発電出力を増やして電力需要を削減する。

 デマンドレスポンスは、顧客が電力需要を減らすことに対して対価を支払い、電力需給がひっ迫した時の需要削減を促す仕組み。今回の試行サービスでは、エネットから電力の供給を受けている顧客がコージェネの発電出力を増加させ、需要を減らした分をネガワットとして評価する。ネガワットは使われなかった電力を意味し、電力供給者にとっては追加の発電と同じ効果がある。

 ガスコージェネは、天然ガスを使用してエンジン、タービン、燃料電池などで発電し、発電時に発生する熱を給湯や冷暖房に利用するシステム。発電出力を増やせば、供給を受ける電力を減らすことができる。サービスでは、エネットから通知される電力需給ひっ迫情報に基づき、大阪ガスが顧客に向けてデマンドレスポンスの募集を行い、参加する顧客がコージェネの発電出力を高める。

 大阪ガスは、コージェネの稼動状況をインターネットでモニターし、複数の顧客が創出したネガワットの状況を取りまとめてエネットに提供。エネットは、電力需給ひっ迫時に発生する追加の電源調達をネガワットで避けることができ、これによるコストメリットを顧客、大阪ガスと分け合う。大阪ガスとエネットは、このサービスを通じて電力需給ひっ迫を緩和する枠組みの拡大を図る。

 こういった試みがたとえうまく行かなかったとしても、問題点を把握するだけで十分な前進。願わくはこのまま定着してくれればと思います。


★2012/6/21 デマンドレスポンスとは?ネガワットとの意味の違いは?

 「ネガワット」についてはこの前書いたのですけど、今日読んでいるとこの「ネガワット」と同じような意味として、「デマンドレスポンス」という言葉を使っていて、あれ?と思いました。以前の説明を読み返してみると、「デマンドレスポンス」も出てきていたのですが、さらっと流していました。今回はこの「デマンドレスポンス」の方についても調べてみます。

 読んでいた記事というのは、連載/電力を安く使うための基礎知識(8):電力は使い切らない、余らせて売ってコスト削減(石田雅也,スマートジャパン 2012年06月19日 09時30分)でした。

 (一般の企業にとって電力を売る)最も簡単な方法は、夏の午後に電力会社などから要請があった場合に、節電による余剰電力を買い取ってもらうものだ。要請に応じることから「デマンドレスポンス」、あるいは余らせた電力を活用することから「ネガワット」と呼ぶ。この夏から東京電力や関西電力などがサービスを開始する。

 「デマンド」は「要求する」という意味で、名詞だと「要求」となりますが、「需要」と訳すべき場面もあります。

 一方の「レスポンス」はもっと馴染みが深く、「反応」や「応答」という意味で使われます。

 「要請に応じることから」と書いていたのはそういうことですが、日本語で表すと「要求応答」などではなく、「需要応答」や「需要家応答」となるようです。


 新語時事用語辞典では、以下のように説明しています。


デマンドレスポンス
別名:需要応答、需要家応答
英語:Demand Response、DR

電力系統の需要に応じて、電力事業者側で需要家側の電力消費を制御する方式。スマートメーターを通じて電力消費の監視を行い、電力使用のピーク時に各家庭で使用されている家電製品の稼動状況を調整したり、余剰電力が生じる場合にヒートポンプやEVなどを稼動させて蓄エネルギーを行わせたりする。
(2010年12月11日更新)

 この説明だと「節電」があまり強調されていませんね。


 先の記事の方に戻りますが、詳しい説明は以下でした。

 デマンドレスポンスは、東京電力と関西電力が7月から実施するほか、新電力の最大手であるエネットや大阪ガスも顧客企業を対象に同じく7月から開始する予定だ。このうち東京電力とエネットが実施するサービスを例に、デマンドレスポンスの仕組みを説明していく。

 東京電力のデマンドレスポンスは、日立製作所などの「アグリゲータ」(引用者注:需要サイドをまとめてくれる中間事業者)を通じて、電力不足が想定される夏の午後などに、顧客企業から余剰電力を買い集める。事前に日時を決めてアグリゲータから顧客企業に電力使用の抑制を依頼し、各企業が通常の使用量と比べて電力を削減すれば、それに対して報酬を支払う仕組みである。実際には電気料金を割り引く方法をとる。

 エネットの場合はさらに進んでおり、時間帯別の料金プランの中にデマンドレスポンスを組み込んで顧客企業に提供する。電力不足が見込まれる緊急時に料金を高くする一方、その時間帯に通常よりも使用量を減らした場合には報酬(リベート)を支払う。しかもデマンドレスポンス型のプランを契約すると、緊急時以外の時間帯別の料金も安くなる特典がある。

 このように事業者からの要請に合わせて電力を削減するためには、企業内の使用量を時間帯ごとに制御できるBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)が不可欠である。BEMSを使えば通常時の節電に加えてデマンドレスポンスによる報酬を得ることも可能になり、電気料金をいっそう引き下げることができる。

 東電もデマンドレスポンスやるんですね。知らなかったです。

 それは良いとして、このしくみはネガワット取引とは何か?スマートメーターとの関係でやったネガワットの説明と同じです。

 一部を引用しますが、こんな感じでした。

・電力会社が「明日のある時間帯で電力供給(KW)が足りません」とアナウンスしたら、様々な中間業者が「節電に協力する人いませんか」と契約している企業に呼びかける。そして、「協力します」と言って、実際に需要電力(KW)の削減に協力したらお金が支払われる。このとき、削減した電力(マイナスされたKW)が「ネガワット」と呼ばれる。

 まあ、そもそも「関西電力が7月から実施する」と書いているのは、ネガワット取引始動、関西電力・大阪ガス・NTTファシリティーズなどで扱ったものと同じことを指していると思われます。


 ということで、デマンドレスポンスとネガワットの使い分けがわかりづらいのですが、

このしくみ……デマンドレスポンス

このしくみで削減される電力……ネガワット

 ということで良いでしょうか?

 「削減される電力」の方も「デマンドレスポンス」と呼んでいる場面がある気がするのですけど、大阪ガスでは以下に示すように使い分けているように見えました。

「ガスコージェネレーションシステム」を用いたデマンドレスポンスサービスの試行開始について


プレスリリース
「ガスコージェネレーションシステム」を用いたデマンドレスポンスサービスの試行開始について

(前略)

 デマンドレスポンスとは、お客さまに対して電力需要を減らすことへの対価の支払いをお約束するなどにより、電力需給逼迫時の需要削減を促進する仕組みをいいます。

 今回の取り組みの特徴は、エネットより電力供給を受けるお客さまが、電力需給逼迫の緩和のために、コージェネの発電出力を増加させることにより電力需要を削減した量をネガワット※2として評価することです。

(中略)

※2 電力の供給者からみた、需要者の工夫による需要の削減のことで、節電電力を表す言葉として使用されています。電力の供給者にとっては、追加的な発電と同じ効果があるため、海外では供給力のひとつとして認知されています。

 ひとまず私は大阪ガスの使い方のように理解しておくことにしますが、お互いに両方の意味で使われる場面もあるかもしれません。


★2012/7/3   デマンドレスポンスにはネガワット式・電気料金式などがある

 ネガワットについては最初ネガワット取引とは何か?スマートメーターとの関係を書いて、その後ネガワット取引始動、関西電力・大阪ガス・NTTファシリティーズなどで取引開始についての動きを書きました。

 中部電力:「ネガワット取引」導入 企業の節電分買い取り(毎日新聞 2012年06月27日 01時55分 森有正)によると、

 中部電力は26日、夏の節電対策として企業の節電分を買い取る「ネガワット取引」などを7月2日から導入すると発表した。中部電が融通を予定している関西電力などの需給逼迫(ひっぱく)時に実施する。

 ネガワット取引は、商店など小口利用者(契約500キロワット未満)の電力を一括管理する事業者に対し、中部電が節電を要請。節電分に応じて、中部電が管理事業者に資金を払う。事業者は小口利用者の電気料金を割り引く。

 これとは別に、中部電と直接契約している工場などの大口利用者に対しては、中部電の要請に応じて空調や生産ラインなどを停止すれば、料金を割り引く契約を結ぶ。

 ということです。続々動き出していますね。

 見込みは"中部電は、これらの対策で小規模な水力発電所1基分に相当する約10万キロワットの節電が見込めるとしている"とのことで、大した量にはならないようですが、それでも一歩前進です。


 それから前回に当たるデマンドレスポンスとは?ネガワットとの意味の違いは?で書いたデマンドレスポンスについても新しい話が。
 経済産業省は電力会社からの節電要請に応えると報奨金などを得られるデマンドレスポンス技術を標準化する。東京電力と関西電力が今夏からデマンドレスポンスサービスを計画中だが、節電要請などのデータ方式がばらばらだとデマンドレスポンスサービス事業者や利用者に不利益が生じる恐れがあるため。

 スマートコミュニティアライアンスに設置した「スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会」で標準化などの工程表を9月に策定する。2012年度内の完了を目指す。
 また同省はスマートメーターや太陽光発電などのスマートハウス重点8機器を特定し、機器の相互接続時に必要になる伝送メディア(無線LANやブルートゥースなど)を統一する。

経産省、デマンドレスポンス標準化(掲載日 2012年06月25日 11時00分 日刊工業新聞)

 これは良い動きと言って良いのかな?


 あと、前回書いたデマンドレスポンスとは?ネガワットとの意味の違いは?の説明より丁寧なデマンドレスポンスとネガワットの説明がありました。

 キーワード解説「デマンドレスポンス」(2012年06月29日 07時30分 笹田仁,スマートジャパン)という記事です。


●デマンドレスポンス

 "電力供給量が逼迫した時や、系統が不安定になった時、つまり電力会社が電力を供給しにくくなったタイミングに合わせて、需要家(企業や家庭など電気を利用しているところ)が電力の使用を抑制するように仕向けること"

 "つまり、需要家に節電させる気を起こさせるシステム"

 "デマンドレスポンスの手法としては、「電気料金ベース」と「インセンティブベース」がある"


●電気料金ベースのデマンドレスポンス

 "例としては、電力会社が電力を供給しにくい状況に陥る時間帯(例えば夏の暑い日の昼間)の電気料金単価を高く設定する時間帯別料金"

 "夏の昼間の電気料金を高く設定すれば、多くの需要家は余計な出費を抑えたいという心理から節電に励むと予想できる。反対に、余計に使ってしまうと痛い目に遭うことになる。"


●インセンティブベースのデマンドレスポンス

 "電力会社からの節電要請に応じて需要家が節電したら、何らかの形で報酬を受け取れるというもの"

 インセンティブベースのデマンドレスポンスは、さらに主に2種類に分けられる。


●電力会社からの要請に応じる方式(インセンティブベースのデマンドレスポンス1)

 "電力会社からの要請に応じて需要家が節電する、あるいは受電を止めるという契約を結び、需要家の行動次第で電力会社がインセンティブを渡す方式"


●ネガワット取引(インセンティブベースのデマンドレスポンス2)

 "節電で浮く電力を供給量と見立てて、市場で取引する方法だ。この場合、節電で浮く電力、つまり市場に売りに出す電力を「ネガワット」と呼び、市場での取引を「ネガワット取引」と呼ぶ"


 前回引っかかったネガワットとデマンドレスポンスの関係も整理されていました。が、微妙にわかりません。

 電力会社からの要請に応じる方式(インセンティブベースのデマンドレスポンス1)をなぜネガワットと呼ばないんでしょう?

 下書き時にはここが全然わかりませんでしたが、今読みなおしてみると詳細な節電量ではなく、基準値を達成するかどうかだけで見る方式という意味かもしれません。(つまり、いくら節電しても同じ評価というやり方)


 あと、省略しましたが、電気料金ベースのデマンドレスポンスをムチ、インセンティブベースのデマンドレスポンスを飴としていたのには、ちょっと納得が行きません。

 どうも今までの記事を読む限り、インセンティブベースのデマンドレスポンスが海外では中心で、日本でもこちらが検討されているようなのですが、私は電気料金ベースのデマンドレスポンスも悪くないと思っています。


 というのも、"電力会社からの節電要請に応じて需要家が節電"という形にするには、最初に基準値が必要です。この基準値の決め方によっては一部の企業を優遇することが可能になり、不公平、癒着、利益誘導などのおそれがあります。

 また、昔から節電に励んでいてキツキツになっている会社はインセンティブを受け取ることができず、今まで努力してこなかった企業がインセンティブを受け取れるということになってしまいます。

 まあ、そういった努力の差は既に今までの損益に現れているのでいいっちゃいいのでしょうが、電気料金ベースの方が透明なような気がします。


 それから、電気料金ベースをムチとしていますが、それは"電気料金単価を高く設定する時間帯"だけを設定した場合です。

 その他の時間帯に逆に電気料金単価を"低く"設定する時間帯を設ければ、アメとムチを併用できます。高く設定する部分があると聞くと抵抗感が大きいでしょうけど、こちらの方が理に適っていますし、制度もすっきりしていて透明感があると思います。


 まあ、でも、先行している海外勢やデマンドレスポンスに詳しい人が訴えないのですから、何らかの問題があるのかもしれません。


★2013/12/23 デマンドレスポンスの例 インセンティブベースと電気料金ベース

 電力自由化の報道はすっかり少なくなって、国民の関心も薄れている感じがします。

 ということで、あんまり読まれないかもしれませんけど、おもしろいなと思ってメモしていたものが出てきたので少し書きます。

 以下は経済産業省のPDFです。

(PDF)デマンドレスポンス(Demand Response)について 経済産業省 総合資源エネルギー調査会 総合部会 第2回 電力システム改革専門委員会‐配付資料
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denryoku_system_kaikaku/002_s01_01_05.pdf


 私が興味を持ったのは、デマンドレスポンスの例が載っていた部分です。


■代表的なデマンドレスポンスのメニュー

●電気料金ベース

Time-of-Use Pricing
 使用単価価格が、その期間の平均の発電・送電コストを反映して、通常1時間以上24時間以内の間隔で変化するプログラム。

Critical Peak Pricing
 卸売価格高騰時やシステムの不測の事態時に、限られた日数や時間、予め指定された高い価格を課すことによって、使用量の削減を促すよう料金や価格構造が設定されているプログラム。

Critical Peak Pricing with Control
 システムの不測の事態時または卸売価格高騰時に発動される、DLCとCPPを組み合わせたデマンドサイドマネジメント。

Real-Time Pricing
 1日または1時間先を基本に電気卸売価格の変化を反映させ電気小売価格が毎時間もしくは更に頻繁に変動する料金または料金構造。

System Peak Response Transmission Tariff
 インターバル·メーターを所有しており、通信料を削減するためにピーク時の負荷を軽減する需要家のための条項、条件、料金。


●インセンティブベース

Direct Load Control
 プログラム設置者が直前の通知により、顧客のエアコン等の電気機器を遠隔で遮断もしくは循環運転する手法。原則的には一般家庭や小規模商業者用のメニュー。

Interruptible Load
 システムの不測の事態時に需要家に負荷軽減に同意させる代わりに、料金割引等を提供する契約下で、電気の使用量が削減または遮断されるメニュー。いくつかの例においては、需要の減少は、契約の規定に従い顧客への通知後に行う系統運用者の行動に影響を受ける。

Load as Capacity Resource
 システムに不測の事態が起こった際に、需要家に予め規定された負荷削減量を約束させるメニュー。

Spinning Reserves
 緊急時の最初の数分間、供給と需要のインバランスを解決策を、需要家に同期させいつでも提供できるようにするプログラム。

Non-Spinning Reserves
 すぐには利用できないが、10分程度の遅れで供給と需要のインバランスを解決策を需要家に提供できるようにするプログラム。

Emergency Demand Response
 負荷削減が課されている間に得られた負荷削減量に応じて、顧客にインセンティブを付与するデマンドレスポンスプログラム。

Regulation Service
 システム運用者からのリアルタイム情報に呼応して、需要家が負荷を増減させるプログラム。このサービスを提供している需要家は、約束期間中継続的に効率性が求められる。このサービスでは普通、通常の調整余地を提供するために、AGCに対応する。

Demand Bidding and Buyback
 需要家に、小売・卸売市場においてある価格で負荷軽減を申し出たり、特定の単価でどれくらいの負荷を進んで削減するかを特定することを許可するプログラム。


 いろいろ考えていて、おもしろいですね。

 PDFでの順番としては常に電気料金ベースが先に説明されていたのですが、北米での実績を見ると圧倒的にインセンティブベースの方が多いみたいです。


<北米における負荷抑制ポテンシャルと内訳> ※報告に基づく実績値

インセンティブベース 47,400MW(89%)
電気料金ベース    4,300MW(8%)
その他            (3%、明記なかったので推算)


 インセンティブってのはよく「インセンティブが働く」と言いますのでわかると思いますが、「報奨」という意味があります。

 「電気を使ったら悪いことがありますよ」と言って電力削減を迫るのではなく、「節電すると良いことがありますよ」と言って自発的な電力削減を促すものです。
キーワード解説「デマンドレスポンス」
2012年06月29日 07時30分 更新 笹田仁,スマートジャパン

 電気料金ベースのデマンドレスポンスの例としては、電力会社が電力を供給しにくい状況に陥る時間帯(例えば夏の暑い日の昼間)の電気料金単価を高く設定する時間帯別料金が挙げられる。

 夏の昼間の電気料金を高く設定すれば、多くの需要家は余計な出費を抑えたいという心理から節電に励むと予想できる。反対に、余計に使ってしまうと痛い目に遭うことになる。電気料金ベースのデマンドレスポンスは、ムチを使って消費電力量を抑えるものと言える。(中略)

 インセンティブベースのデマンドレスポンスとは、電力会社からの節電要請に応じて需要家が節電したら、何らかの形で報酬を受け取れるというものだ。報酬としては現金やクーポン券を使う例が多い。電気料金の割引をもって報酬とすることもある。インセンティブベースのデマンドレスポンスは、いわばアメを利用して消費電力量を抑制する取り組みと言える。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1206/29/news022.html

 私好みというのもありますが、インセンティブベースの方が健全で良いと思います。そして、実際北アメリカではそれが主流となっているみたいですね。


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