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日本の常識3Sを完全無視 米国流ウォルマート式の西友EDLPは失敗?成功?


2022/03/30追記:
●ウォルマート買収の西友は結局失敗?ファンドと楽天が株式取得 【NEW】
●ウォルマート時代の西友のシェアは増えていた?減っていた? 【NEW】
2012/6/26:
●特売より毎日安い!米国流のウォルマート式の西友EDLPは失敗?成功?
●日本の常識3S「接客・清掃・整理整頓」をウォルマートは完全無視
●接客が悪い・清掃しない・整理整頓しない西友…顧客の評判は?
●陳列を放ったらかして西友の店員たちがやっていること
●コストダウンにこだわりすぎの西友…でも本当に言うほど安い?


●ウォルマート買収の西友は結局失敗?ファンドと楽天が株式取得

2022/03/30追記:以前の記事は「米国流のウォルマート式の西友EDLPは成功」という見方だったものの、具体的な数字はなし。そこで一度調べておこうと思って検索すると、いろいろ判明して驚きます。まず、ウォルマートの完全子会社になってから、あらゆる数値の公表をやめていたというのが驚き。これでは判断しようがありません。

 しかし、最近になり、2007年12月上場廃止後初めて業績を一部公表。なぜ方針転換したのかと言うと、大株主が変わったため。これらの話があった記事は、新体制スタートの西友(1)巣ごもりで収益急好転、前期営業利益率5%に|NetIB-News(2021年4月7日)というタイトルですし、実際には西友のウォルマート式は失敗していた可能性があります。

<西友は、ウォルマートが株式の65%を米投資ファンド・KKRに譲渡した3月1日、2020年12月期の売上高が前期比5.6%増の7,850億円、EBITDSA(利払い前・税引き前・償却前利益)が売上高の約5%(約392億円)を記録した、と発表した>

 また、最近、西友があまりにも楽天ポイント推し推しでどうしちゃったのか?と思っていたら、どうも楽天も株式取得に絡んでいた模様。KKRと楽天、ウォルマートから西友株式取得完了 | 西友(2021.03.01)というプレスリリースが出ていました。

<KKR & Co. Inc. (以下、KKR)、楽天株式会社 (以下、楽天)およびウォルマート・インク (以下、ウォルマート) は本日、KKRおよび楽天の子会社である楽天DXソリューション合同会社(以下、楽天DXソリューション)がウォルマートから合同会社西友(以下、西友)の株式取得を完了したことをお知らせします。
 株式取得完了により、KKRが65%、楽天DXソリューションは20%の西友株式を保有します。ウォルマートは引き続き西友株式の15%を保有します>


●ウォルマート時代の西友のシェアは増えていた?減っていた?

 ただ、プレスリリースによると以下のように、西友はウォルマート時代にも好調だったとのこと。業界自体が好調な場合、業績上昇だけでは評価できないものの、業界内シェアも伸ばしていたということですから、本当に良かった感じ。また、ネットスーパーでは、以前から楽天と提携しており、仲が良かったようです。

<西友は2020年、過去10年間で最高水準の売上高および収益率を達成しました。同年の売上高は前年比5.6%増の7,850億円 [※1] を記録、EBITDA(利払い・税金・償却前利益)[※2]は売上高の約5%となりました。過去2年連続で、西友はマーケットシェアを伸ばし、利益率を改善させました。2年間の合算で、売上高の既存店前年比は業界平均 [※3] を180ベーシスポイント上回り、EBITDAは約40%伸長しました。
 た、西友と楽天が協働運営する「楽天西友ネットスーパー」の2020年第4四半期における流通総額の前年同期比は約40%増となり、昨今のネットスーパーに対する急速な需要拡大に応えるため、2021年1月に神奈川県横浜市で専用物流センターを稼働開始したほか、2021年内に大阪府茨木市でも新たな専用物流センターを稼働開始予定です>
[※1] 2020年度12月31日時点
[※2] EBITDA = Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略。税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指す
[※3] 全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会発表の販売統計による


●特売より毎日安い!米国流のウォルマート式の西友EDLPは失敗?成功?

2012/6/26:世界を代表するスーパーウォルマートについては、以前も書いています。ウォルマートの在庫管理1~良い欠品、悪い欠品~ウォルマート、楽天、Amazon、サミットネットスーパーの物流・配送管理の考え方というものでした。今回はこのうちの最初の投稿とちょっとだけ重なる部分があるものです。

 (日経ビジネスオンライン 西友=ウォルマート流「常識破りの商品陳列」にびっくり!EDLP(毎日安売り)でAKY(圧倒的に価格安い)の秘密 菊地 眞弓,WITH三波 毒夫 2010年7月2日)という記事で、やはり商品陳列が米国流。また、タイトルになっている価格に関しては、「EDLP(EveryDay Low Price=毎日安売り)」というのも出てきます。米国流に日本の業界は懐疑的であったものの、成功しているという見方でした。

<ウォルマートのコンセプトである「EDLP(EveryDay Low Price=毎日安売り)を核に、続々と旧店舗のリニューアルを実施している。当初は米国流の手法に業界関係者からは懐疑的な見方も少なくなかったが、ここに来て「業績が好調になってきたようだ」と注目を集めている。躍進する“西友の皮を被ったウォルマート”の秘密はどこにあるのか。6月中旬~下旬にかけて、複数の店舗をチェックしてみた>


●日本の常識3S「接客・清掃・整理整頓」をウォルマートは完全無視

 記事冒頭において、三波毒夫さんは、西友の「EDLP」が実現しているのは、「店頭オペレーション」「発注システム」「物流システム」すべてにおいて“徹底的コストダウン”を追及しているからだと説明していました。

 ただし、コストダウンにこだわるあまり、小売業に携わった者やメーカーから見ると、日本的小売業として“許されざる店頭状況”に思える風景もあるそうです。この非常識な店頭状況とは何か?と言うと、例えば、下記のようなものでした。

<菊地><“一般のお客様代表”(笑)として店舗を回ってみましたが、三波さんが言う“許されざる店頭状況”とは「商品陳列」のことですね。
 (中略)不思議に感じたのが、棚の空きスペースが目立ち、通路には商品が詰まった段ボールや発泡スチロール、空のパレットが無造作に置かれていたこと。何も考えなければ「あ、AKY(引用者注:当時の安売りイベント)で売れ筋商品がなくなっているんだゎ~」くらいにしか感じないけど、改めて指摘されると「商品を補充する人はどこへ?」と気になってきますね>

 日本の小売業界には店舗運営に関する「3S」というものがあり、「接客・清掃・整理整頓」です。どれもこれもできていると気持ちの良いものですし、できていないとお客が離れていってしまう気がします。しかし、ウォルマートではそんなものどこ吹く風、徹底的に無視していました。

<三波><売り場の至る所にオリコン(問屋などから納品される時に商品が入っている箱)が山積み・・・。店舗オペレーションとしては「オリコンはなるべくお客様の目につかないように迅速に作業し、片付ける」のが鉄則の業界だからね。商品補充中にその場を離れる時には、通路を塞がないように気を配ることも必須。
(中略)この3Sで育った日本の小売業界人の僕だからね、5店舗視察中、何度も卒倒しそうになったよ(汗)>


●接客が悪い・清掃しない・整理整頓しない西友…顧客の評判は?

 「接客・清掃・整理整頓」は非常に日本らしいもの。「何度も卒倒しそうになった」としていたように、日本人は拒否反応を起こしそうです。ところが、西友を利用しているお客さんたちに実際に聞いてみると、「えっ、何それ?」とこのことを全く問題にしていないようなのです。驚くべき結果になってしまいました。

<三波><各店舗でお客様にヒアリングしたところ、「生鮮売場の商品鮮度が良く、安い!」と感動している声も多かったね。棚の陳列が充足していなかったり、キャベツの棚に土埃が落ちていたりするのも、全く気にならない様子。そこで、そのことを指摘すると「商品を見ているんだから、そんなの気にならない。『キャベツの棚に土』は、産地直送なら当たり前でしょ」と。
 通常の小売りではゴンドラの前陳(商品が売れた後に、奥の商品を手前に引っ張り出す作業)が当然なんだけれども、それが行われていなくても全く気にならない様子で、むしろ「売れている商品かと思った」とのこと。それは、ある意味、当たっているのだけれども・・・>

 ここらへんは日本人らしいオーバースペックでしょうか。ただし、たびたび書いているようにすべてのお店が同じことをする必要はありません。違っているからこそ、価値があるのです。日本式で成功している店舗もあるのではないかと思いますので、みんなでアメリカ式をやる必要もないでしょう。


●陳列を放ったらかして西友の店員たちがやっていること

 ところで、西友の人たちが陳列を放ったらかしでどこに行っているのか?と言うと、さぼっているわけではありません。より優先すべき別の仕事をしていました。これはコストダウンの工夫だったのです。

<三波><関係者に聞いた話では、従業員の業務は時間ごとに区切られていて、あるカテゴリーの品出し途中でも、決められた時間になったり、レジ対応などの要請があったりすれば、すぐにほかの業務に移らなくてはならない。
 そのため、通路に商品が置き去りになったままや棚に商品が補充されないままになっているという現象が店舗のあちらこちらで見られる。従業員は、カテゴリー別の担当はなくオールラウンドで決められた業務を遂行する。まさに“徹底的なコストダウン”主義だね>

 こうした優先順位を付ける…といったのは大切なこと。日本人が長時間労働になっているというのは、大事なものとそうではないものを切り分けるということができず、「何もかも全部やれ!」になっているからじゃないかと思うエピソードでした。(ここだけ2019/09/07の感想)


●コストダウンにこだわりすぎの西友…でも本当に言うほど安い?

 ということで、徹底的にコストダウンにこだわっているという話だったのですけど、私は西友で買い物をしていて、安いと思ったことは一度もありません。安売りが売りだとは到底思えない値付けでした。しかし、ここ数年は買っていませんので、そのせいかもしれませんね、

 歴史的なところで言うと、まず1956年に西武百貨店が設立して西友が誕生。世界最大のスーパーマーケットチェーンである米ウォルマートと業務提携したのは2002年ですが、この時点ではまだ業務提携でした。変化が現れてきそうなのはもっと後であり、2008年にはウォルマートの完全子会社となり、2009年に「合同会社 西友」に…という順番。

 「続々と旧店舗のリニューアルを実施」してからだんだん変わってきたのかもしれませんし、久しぶりに店舗を覗いたり、チラシをチェックしてみようかと思います。

2019/09/07追記:以上のように書いていたのですけど、やはりその後も特に安いということはなかったですね。私のところはスーパー激戦区なのか、むしろ安くない方の店舗という印象でほとんど買い物に行きませんでした。ただ、豚と牛肉の合い挽き(ひき肉)だったかな、それだけは地域で一番安かったので、たまに買いに行っていました。


【本文中でリンクした投稿】
  ■ウォルマートの在庫管理1~良い欠品、悪い欠品~
  ■ウォルマート、楽天、Amazon、サミットネットスーパーの物流・配送管理の考え方

【関連投稿】
  ■日本でウォルマート・テスコ・カルフールが通用しない理由とは?
  ■安売りせずに売るには? 成城石井はPOPや接客などで値段を下げずに売る
  ■ウォルマートの在庫管理2~コンビニ弁当で試算してみる~
  ■安売り競争しないスーパーの秘訣 札幌市のフーズバラエティすぎはら
  ■企業・会社・組織についての投稿まとめ

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