Appendix

広告

Entries

日本の公共事業が無駄で効果がないことは親自民党の学者が計算済み


 親自民党の教授の記事をもとに、日本の公共事業が無駄で効果がないという話をやっていました。その他、<大規模な公共事業が効果的という説、あの国が経済失速して崩壊>、<経済成長がすごかった国の理由、公共事業ではなく単に人口の問題>、<茨城県が作った江戸歴史テーマパーク、大赤字で超スピード破綻>、<危うくお蔵入り…国は「不向き」として品種登録しなかったデコポン>などの話を加えています。

冒頭に追記
2022/08/02追記:
●「よし、うちの町も主導してIT企業を呼ぼう」で逆に失敗する理由 【NEW】


●「よし、うちの町も主導してIT企業を呼ぼう」で逆に失敗する理由

2022/08/02追記:別の投稿で使った徳島県神山町はいかにして「地方創生の聖地」になったのか(神山町サテライトオフィスレポート) – WirelessWire News(Takeo Inoue 2019.10.01)という記事。これ自体は地方活性化のお手本的な成功例であり、このページの話とはむしろ逆な感じ。私も最初関係あるとは思いませんでした。

<神山町は1955年に周辺の5つの村が合併し、人口2万人の町としてスタートした。しかし年を追うごとに人口が減り続け、当初の約4分の1にまでなってしまった。そしてついに限界集落のレッテルを張られてしまった。ところが、この10年間で多様なスキルを持った若者たちが続々と移住するようになり、さまざまなプロジェクトが立ち上がっている。さらに東京や大阪のITベンチャーも新たな働き方を模索して、サテライトオフィスを開くようになったのだ。2010年以降から数えて、すでに計16社の企業が神山に集積している>

 徳島県庁も神山町にサテライトオフィスとして駐在所を置いているのですが、職員が以下のような話をしていました。これが私が繰り返し書いている、自民党が大好きな「官主導」はダメで「民間主導」が良いという話だったんですよね。思わぬ話につながってきてびっくりしました。

「地方創生は、県が主体で進めるのではなく、民間が主導することが成功のポイントになると思います。自治体は民間に寄り添って最小限の支援をしていくほうが本当は良いのです。100%お膳立てした状態では、企業も自分事として考えられなくなりますし、自由にやれません」


●親自民党の高橋洋一教授「公共事業の需要創出効果はあまりない」

2012/6/29:その後、自民党応援団みたいになってしまったので今だと全然違うことを言うかもしれませんが、高橋洋一・嘉悦大学教授は以前、公共投資増に蠢き出した 消費税増税の政治経済学 (要登録 ダイヤモンド・オンライン 2012/6/28)という公共投資に批判的な記事を書いていました。

Wikipediaでは、「公共投資」というのは、政府部門が行う投資であり、公共事業ともいう…と説明していました。この「公共事業」という言い方の方が、我々には馴染みがあると思われますので、このページでは、「公共事業」という言い方も使っています。

 高橋洋一さんによると、「公共投資の効用を主張する人は、公共投資をすれば名目GDPが伸びる」と主張。しかし、名目GDP伸び率と名目公共投資伸び率の推移データと見ると両者に関係はなくこれは嘘。したがって、「理論的には公共投資の需要創出効果はあまりないとされている」と説明していました。

 また、高橋洋一さんは、「本来、公共投資は個々のプロジェクトでみて、便益(Benefit)と費用(Cost)の比率(B/C)が1を上回っていれば、いくらでもやっていいはずだ」とも指摘。逆に、便益を費用で割った数字が1を下回っていれば、費用と比べて便益が低い公共事業が行われているということになるわけです。


●日本の公共事業が無駄で効果がないことは親自民党の学者が計算済み

 高橋洋一さんは、大蔵省時代に公共投資の評価を頼まれ、このB(便益)/C(費用)の計算チェックだけを行ったことがあるそうです。すると、そうしたらB/Cが1を下回る例が続出し、採択不能となったものが多くなってしまいました。つまり、日本の多くの公共事業が無駄で効果がないようです。

 ただ、公共事業が無駄だとわかっているのであれば、そのような公共事業はやめればいいだけ。むしろ朗報です。ところが、なんと事業評価をしなくてもよいと言われてしまった」とのこと。B/Cの計算をして、無駄な公共事業をあぶり出してしまうと、公共事業に予算をつけられなくなるからだ…と考えられます。

 また、"公共事業を個別プロジェクトでみるとB/Cが1.00なんていうのが結構多い"とのこと。高橋洋一さんは、"そうしたプロジェクトは初めから1.00になるように計算しているので、すこし間違いを探すと、1.00未満になって不採択になってしまう"としていました。では、B/Cはどれくらいがいいのか?と言うと、次のようにありました。

<経験上B/Cが3以上だと、多少の計算誤りを指摘してだけでは不採択(B/Cが1未満)にはならない。海外の公共投資担当の人とも話したが、やはり同じようなことを言っており、ドイツやニュージーランドではB/Cの採択基準を3や4に設定していると言っていた。
 そこで、経済財政諮問会議で同様な提案をしたことがあるが、国交省などから強硬な反対があって、実現しなかった。公共投資は、ごく一部の人だけが潤うので、一層、合理的な意思決定が必要であるのに、先に総額を決めるなどの「計画」はB/Cの視点から見れば、かなりあやしいものだ>

 Wikipediaでは、"公共投資は政治家による利益誘導の温床になりやすく、箱物行政と揶揄されるような弊害を引き起こしやすい。費用対効果の見極めが重要である"という批判もありました。明らかに効果が見込める公共事業以外は、危ないと見ておいた方が良さそうです。

 また、Wikipediaではもう一つ、"公共投資対象が建設に傾斜しているため建設業の肥大を招きやすく、国・地方の産業構造を著しく歪める可能性がある"という批判もありました。公共事業頼りの会社などが多いと、公共事業の量が変化したときに脆いですし、他の産業も育たないということでしょうか。それよりは、国際的に通用する企業が出てきた方が良いですよね。


●効果の高い公共事業をやった方が良いに決まっている

 とりあえず、日本のやってきた公共事業が上記の通りだとすれば、それは極めておかしなことです。高橋洋一さんは、"個別の公共投資まで否定しないが、B/Cの第3者チェックもなしで行うと、従来の「土建国家」の復権になってしまう"と指摘していました。

 公共事業全般を非難する必要はありませんが、費用に関しては八ッ場ダムの費用とパブリックコメント、高尾山トンネルの効果で書いた八ッ場ダムのように大幅に予定をオーバーしているものもあります。

 便益と費用の第三者チェックくらいは行われて当然でしょうし、逆に事実上の評価なしで税金を投入するというのは、あまりにめちゃくちゃです。何も公共事業を全部やめろと言っているのではありません。無駄なものをやるより、効果の高いものをやった方が良いでしょうというごくごく当たり前のことを言っているだけです。賛成・反対で二極化せずに、よく考えてみると良いと思います。


●お役所の作るスタジアムやアリーナがダメな理由は利益軽視のため

2017/08/22:一見あんまり関係なさそうなのですが、日本のスタジアムやアリーナはしょぼすぎる 最高のアーティストが呼べない後進国・日本 東洋経済オンライン / 2017年8月22日 8時0分という記事をここで紹介します。なぜお役所の作る施設がダメなのか?という、このページと関係する話が出ていたのです。

 一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスの木下斉代表理事は、日本では、「スポーツ用の施設を造る」と決めたら、本当に「スポーツ施設だけ」造ってしまうと言っていました。そのため、「スタジアムやアリーナでスポーツ観戦をして盛り上がったお客さんが、帰りがけに一杯飲んでいく店が一つもないような場所が山ほどある」と言います。

 民間なら「どう稼いで、収支をちゃんと黒字にもっていくか」という視点が入るから、「これも必要、あれも必要だ、これもやらなきゃ」という発想になります。しかし、行政にリターンという発想がないために、使いづらい施設が山ほどでてきてしまうようです。

 木下斉代表理事は、「行政では、施設を造る人と運営する人がバラバラ」だということも指摘しています。なので、できあがったものが使う人から見たら全然使い物にならない、というケースがよくあると言うのです。

 オープン・エー代表の馬場正尊さんもこれに賛同し、海外の例を見てもわかるのは、結局、アリーナやスタジアムを再生しているのは、使う側だとしていました。公共事業以外でも、私は国が民間に介入をすることを徹底批判していますけど、民間の感覚がないと失敗しやすいのです。


●役所ならできない…ガンバ大阪のスタジアムも民間だからできた

 なお、木下斉代表理事が「スポーツ施設だけ造ってしまう」「民間ならこれも必要、あれも必要という発想になる」という話をしてていましたが、これはここだけ読むと全く逆に捉えられそうで注意が必要なところ。これは多目的のスポーツ施設を作るべき…といった意味ではありません。

 例えば、エイベックス・グループ・ホールディングス社長CEOである松浦勝人さんは、音楽目的で柄のなら、PA(パブリックアドレス、ライヴに必要なマイク、スピーカー、アンプなど)とか照明とかLEDビジョンが常設されていたほうが良いのに、そういうスタジアムやアリーナが日本に一つもないとしていました。

 じゃあ、どうしているのか?と言うと、コンサートやイベントをやるたびに、トレーラーが何十台も日本中を走るということをやっていると言っていたんですよ。一見、「なんにでも使えますよ」と多目的にした方が儲かるように見えて、特化していないことで逆に稼ぐ機会を失っているのかもしれません。

 先の木下斉さんは、ガンバ大阪の吹田サッカースタジアムも良い例として挙げていました。この吹田サッカースタジアムは、サッカー専用のスタジアムなんですよね。多目的どころか、サッカー専用。他の競技では使えない…という極端に特化した形のスタジアムなのです。

 そして、これも結局、役所でもできるんじゃん!という例ではなかったんですよ。役所がカネを出して造るとロクでもないものができるので、民間がカネを出して造った(ガンバ大阪のファンや協賛企業が、自分たちでおカネを集めた)という成功例。たぶん役所だと「サッカー専用はダメで公平に」となってしまったでしょう。


●大規模な公共事業が効果的という説、あの国が経済失速して崩壊

2022/06/22:ここから<大規模な公共事業など、政府の積極的な成長促進政策が最良という説>というタイトルで書いていた投稿をまとめ。ただ、これだとわかりづらいと思ったので、<大規模な公共事業が効果的という説、あの国が経済失速して崩壊>という結論まで見える小見出しに修正しました。

2013/5/2:「大規模な公共事業など、政府の積極的な成長促進政策が最良という説」という タイトルを見て日本の話だと思いました? そう思ったかどうかはわかりませんけど、実は日本ではなく中国の話。元ネタは、<中国経済を待ち受ける「人口オーナス」の衝撃>(2013年4月4日[橘玲の世界投資見聞録] ザイ・オンライン)というタイトルでした。

<中国は改革開放政策の成功により、短期間で米国に次ぐ世界2位の“経済大国”の座に上り詰めた。だが中国には、「社会主義市場経済」という、他の先進諸国とは大きく異なる特徴がある。
 2007年の世界金融危機の後、中国は4兆元にものぼる大規模な公共事業投資を行ない、グローバル市場の崩壊を救ったとされた。その一方で、アメリカやヨーロッパの“決められない政治”の弊害が誰に目にも明らかになったことから、デモクラシーと自由市場の組み合わせよりも、強力な政府が積極的な成長促進政策を行なう「管理された自由経済」の方が優れているという「北京コンセンサス」が唱えられたりもした>
http://diamond.jp/articles/-/34097

 上記で出てきた中国の説明である「大規模な公共事業投資」「政府が積極的な成長促進政策」「(政府によって)管理された自由経済」といったキーワード。これらのキーワードは中国だけのものでしょうか。最初に「日本の話だと思いました?」と書いたように、日本の政策についてもよく言われる話のような気がします。

 日本の話は良いとして、記事の本題である中国の話を。欧米のやり方より中国(や日本?)のような「管理された自由経済」の方が優れているという「北京コンセンサス」は一過性のブームで、既に過去のものとなりそうな気配だとのこと。中国経済の減速がはっきりしてきたためです。

<米国の株価が史上最高値を更新し、(ギリシア、スペイン、イタリアなどが連鎖的に財政破綻する)ユーロ崩壊の懸念が遠のくと、もはや中国国内の学者以外に「北京コンセンサス」を口にする専門家はいなくなった。習近平国家主席への権力移譲を機に、経済成長の陰に隠されてきたさまざまな矛盾が浮き彫りになってきたからだ>


●経済成長がすごかった国の理由、公共事業ではなく単に人口の問題

 前述のキーワードが売りである「北京コンセンサス」はやっぱりダメだった…というわけ。この中国の浮き沈みは日本の高度経済成長は当然だった 人口ボーナスと人口オーナスで書いた「人口ボーナス」と「人口オーナス」で説明できるようです。これはそのまま、日本など他の国でも説明出てきてしまいます。

<文化大革命後にベビーブームの起きた中国は日本からほぼ30年遅れて人口ボーナスが始まり、90年代からの改革解放による爆発的な経済成長につながった。中国の成長が他のアジア諸国を圧倒したのは、多産少子から少産少死への移行から生じる人口ボーナスとともに、農村から沿海部の都市への労働人口の大規模な移動が生産年齢人口の急増をもたらし、人口ボーナスにレバレッジをかけたからだ>

 他の国の説明はこの後。経済学者で日銀副総裁を務めた西村清彦さんは、アジアだけでなく、アメリカのサブプライム・バブル崩壊も、ヨーロッパの不動産バブル崩壊も、すべては人口動態の変化という長期の「波」の上で踊られた「ダンス」だと述べていたそうです(「アジアの視点を踏まえたマクロ・プルーデンス政策の枠組み」〈アジア開発銀行研究所・金融庁共催コンファレンス〉より)。

<生産人口比(生産年齢人口・非生産年齢人口比率)は、子どもや高齢者など自力では労働市場から富を獲得できないひとを何人の働き手で支えているかの比率で、生産人口比が増加するのが人口ボーナス、減少するのが人口オーナスにあたる。
 西村氏によれば、各国のデータを比較検討すると、生産人口比が上昇するにつれて不動産価格が上がってバブルが大きくなり、生産人口比のピーク(人口ボーナスの頂点)を過ぎるとバブルが崩壊する傾向がはっきりと表われている。
 日本の生産人口比が最大(約2.3)になったのはバブル崩壊の年の1990年。アメリカは2007年(生産人口比約2.0)で、サブプライム・バブルが崩壊した年だ。
 ヨーロッパに目を転じると、ギリシアとポルトガルの転換点は2000年、アイルランドとスペインの転換点は2005年で、いずれも不動産バブル崩壊が起きている>


●茨城県が作った江戸歴史テーマパーク、大赤字で超スピード破綻

2022/01/04追記:時代劇のロケ施設があると知って興味を持って検索。Wikipediaが出てきました。日本の茨城県つくばみらい市南太田にある「ワープステーション江戸」という時代劇映像作品等でした。かつては有料一般公開されていたものの、2020年3月31日で終了。現在は、撮影専用施設として営業しているそうです。

 もともとはテーマパークだったらしく、2000年に「歴史公園ワープステーション江戸」の名称で開園したとされていました。しかし、その次の<茨城県と筑波郡伊奈町が出資した運営会社「株式会社メディアパークつくば」によって運営されていた>まで読んだ時点で嫌な予感がします。前回追記したように、お役所がやると失敗しやすいためです。

 この「嫌な予感」はすぐ的中。上記に続けて「2年後に8億円の負債を抱えて経営破綻」とありました。次の段落どころかわずか1文の中で破綻まで行くスピード感。内容的にも「わずか2年でしかも8億円もの負債を抱えて経営破綻」という超スピード。お役所が事業をすると失敗しやすいというのが、わかりすぎるほどわかります。

 「2年後に8億円の負債」という悪さですし、もともとの計画があまりにもひどすぎたのか、「ワープステーション江戸」はその後も苦戦続き。以下のように運営を民間に任せたものの赤字から脱出できず、どうしようもなくなってNHKに売却。前述の通り、一般公開は終了しているため、そうした需要はほとんどなかったのだと思われます。

<その後、運営を大新東グループに委託後、茨城県開発公社が所有し、主にロケ地・撮影施設として活用。しかし、その後も赤字が続いているため、2007年4月1日-2010年3月31日までの契約で、NHK関連会社のNHKエンタープライズにロケ事業の運営を委託。しかし、赤字解消の見込みが立たず2012年4月1日付けで、同社に売却された>

 なお、NHKも結局民間とは言い難く、公的な組織といった方が良い組織でしょう。また、買収前にNHK自身が運営していたときも利益を出す見込みが立たなかったため、NHKが買い取った後も実質赤字だと予想されます。NHK自体が事実上の税金に近いお金で運営されているため、実質的に税金を大量に使って「ロケ施設」を維持している格好ではないでしょうか…。


●「デコポン」はみかんの種類じゃない?品種も産地もバラバラな理由

2022/03/09追記:ちょっとこのページの他の話とは毛色が異なるのですが、適切な追記場所が思いつかず、デコポン - Wikipediaの内容をこちらで紹介。<この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です>との注意書きがあるページですが、おもしろい話があるんです。

 私は「デコポン」ってみかんの品種のひとつだと思っていました。しかし、日本園芸農業協同組合連合会(日園連)傘下の農業団体を通じて出荷されたシラヌヒ(シラヌイ)やシラヌヒ系の変種のうち、高品質を保つ一定の基準(糖度13度以上、酸度1度以下)を満たしたものに使う登録商標なんだそうです。

 つまり、デコポンにはいろんなシラヌヒ系のみかんが含まれているということになります。さらに、これに加えて産地もバラバラ。「デコポン」の登録商標を持っているのは、日園連傘下のうちの熊本県果実農業協同組合連合会(熊本果実連)ですが、前述のルールのため、熊本県産以外の「デコポン」もあるのです。

 また、同様の理由で、生産者個人での販売や柑橘関係農協県連合会を経由しない販売についてはデコポンの名称は使用できない…ということになります。気になって店頭で確かめてみたところ、私が見たお店では「シラヌイ」と「熊本県産デコポン」と「和歌山県産デコポン」を並べて売っていました。


●危うくお蔵入り…国は「不向き」として品種登録しなかったデコポン

 私はデコポンは頭のところがデコっとしているからデコポンだと思っていたのですが、この店頭のデコポンや通販で買ったデコポンは頭が出ているのと出ていないものがあります。母なんかは飛び出ている方がおいしいと思っているようで、今はこの形が売りになっている感じ。ただ、Wikipediaによると、当初不評だったみたいですね。

 このページの話と多少関係するのはここからの話です。元々は1972年、長崎県南高来郡口之津町(現・南島原市)にあった農林水産省系の国の研究機関である農研機構(旧果樹試験場)が「清見」と「ポンカン」を交配させて作ったもの。しかし、農研機構自体はこの新種を全く評価していなかったというのです。

 へたの周囲が出っ張った歪な見た目の悪さと育てにくさから、農水省は量産に不向きと判断して品種登録をしませんでした。下手すると、このままこのおいしい柑橘類は日の目を見なかったかもしれません。ただ、当時、アメリカからのオレンジ輸入自由化に対抗できる新たな柑橘類を模索していた熊本県不知火町(現・宇城市)がこれを救います。

 とはいえ、不知火町も最初に試験的に栽培を行なったときは、収穫して食べてみると酸味が強いため放置したそうです。ところが後日貯蔵していたものを改めて実を食べてみると甘味が極めて強くなっており、このことから暫く熟成期間を置くことで甘くなると判明し食用としての生産・栽培が本格化したといいます。

 「デコポン」の名称はやはり、量産に不向きと判断された歪な外見上の特徴を、逆にセールスポイントにしようとして命名されたものだとのこと。前述の通り、母は飛び出ている方がおいしいと思っているようですが、私が食べたところ、甘さはこれと連動せず、頭が出ているとおいしいというわけでもなさげでした。

 Wikipediaであった説明で甘さと関係しそうなのは、「暫く熟成期間を置くことで甘くなる」の方でしょうか。母によると、見た目が悪くて古そうなもらいものをデコポンを食べたら、むしろびっくりするほど甘くておいしかったとのこと。食べる時期の違いで結構おいしさが変わってくるのかもしれません。


【本文中でリンクした投稿】
  ■八ッ場ダムの費用とパブリックコメント、高尾山トンネルの効果

【その他関連投稿】
  ■公共事業とは、税金をいかに無駄に使うかを競う競技である
  ■人口減少とデフレは無関係?クルーグマン・浜田宏一・高橋洋一・原田泰らリフレ派の人口減少論
  ■ダム建設費用問題の盲点 寿命が来たら更新・撤去する費用も必要
  ■エコポイントとエコカー減税は失敗 需要の先食い・バラマキ・成長産業潰し
  ■ハコモノ批判は古い?国が地方の公共事業推進で乱立→維持管理費で財政悪化の現実
  ■日本と海外の公共事業予算の推移を比較すると日本は少なすぎというのは本当か?
  ■政治・政策・政党・政治家についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由