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のれん代とのれん代の償却のわかりやすい説明


 昨年、オリンパスに関してはしつこいほど取り上げて、のれん代の出てくる話としても、

  ■推奨株だったオリンパス、不透明な買収やお家騒動で株価暴落
  ■オリンパス不正経理(損失隠しと穴埋め)を認める

 などを書きました。

 もちろんこのときものれん代については調べていたのですけど、正直言うとイマイチわかった気がしていませんでした。


 ところが、ここに来て読んだ(と言ってもこれはストック記事なので2月ほど前ですが)武田薬品、JT、楽天、キリン、ソフトバンク・・・のれん償却の廃止で利益急増の会社はココだ!~IFRS(国際会計基準)の衝撃 第2弾~(2012年5月25日 ザイ・オンライン編集部)が良かったのです。

 タイトルの通り、会計基準の変更の話ではあるのですから、今の話から丁寧にやってくれているので、これでもかと言うほどわかりやすかったのです。

 感謝、感謝ですね。


 いつも前置きが長くなるのでこれくらいにして、すぐ引用に入ります。

 まず、"企業買収時の発生する「のれん」とは何か?"です。

 純資産の額が仮に100億円の企業を買収するとき、買収に必要な額は会計上はその100億円で足りるはずだが、実際には100億円よりも多い金額が必要となるケースが多い。

 それは買収先の企業には帳簿には表れないブランド力や販売力、製品開発力といった“見えない資産”が潜んでおり、買収企業はこうした見えない資産も同時に買収する、つまり手にすることができるからだ。

 こうした見えない価値を会計上「のれん」と呼ぶ。

 のれんは、商家や料亭などの歴史や格式、矜恃、志操などの象徴である“暖簾”から発した用語だが、会計上ののれんは正規の勘定科目であり、無形資産として資産計上する。

 前例でのれんの価値が40億円と算定されれば、買収額は純資産額を合わせた140億円となり、のれんの40億円は資産として計上する。

 これでのれんとのれん代はわかりました。次にわからないのが、のれん代の償却です。

 しかし、のれんは物理的には存在しない。また買収時には価値のあったブランド力も、何年か経過するうちに価値が低下する。例えば、買収から20年経過すれば、買収時に40億円あったのれんの価値も、ほとんどゼロになっている可能性もある。

 そのため、日本の会計基準ではのれんは20年目までには価値がセロになると仮定し、毎年一定額を減額するルールになっている。前例では「40億円÷20年=2億円」ずつ毎年減額することになる。

 そしてこの2億円は、その期の費用として計上する。これをのれん償却費という。のれん償却費を費用計上すれば、当然ながらその金額だけ利益が減る。

 まとめると、以下のようなことだそうです。


(1)企業を買収すると、買収先企業の見えない価値の分、のれんが発生する。
(2)計上したのれんは、その後は費用として計上しなければならない。
(3)そのために利益が減る。


 でも、そういった利益の減少は「ちとおかしい」んじゃないの?と、記事では指摘しています。

 その理由は以下です。

 買収先の見えない価値が大きければ大きいほど、つまりすなわち優れた企業をであればあるほど、のれんの額は大きくなる。そのため優れた企業を買収した場合、利益は逆に減ってしまうことになる。

 そして、実際「国際会計基準(IFRS)では、日本とは異なり、のれんの償却を禁止している」んだとか。

 記事タイトルでいう「武田薬品、JT、楽天、キリン、ソフトバンク・・・のれん償却の廃止で利益急増」というのは、こういうわけのようです。


 記事ではオリンパスの話はなぜか上がりませんでしたが、国際会計基準(IFRS)を採用している国にとって、オリンパスの問題は理解しづらかったかもしれません。

 また、国際会計基準(IFRS)を採用していないからこそ、オリンパスのような問題が起こる、悪用が可能だという話かもしれないと思ったのですが、ぱっと探してもそういった論調はありませんでした。


 このことに関して検索していて出てきたのは、オリンパス問題に先鞭をつけたFACTAのオリンパス 「無謀M&A」巨額損失の怪(2011年8月号 COVER STORY)です。

さらに目が離せないのは、ジャイラスののれん代の償却。海外関係会社の監査法人がのれん代について思い切った償却をするよう求めだしているとの観測が浮上している点だ。国際会計基準(IFRS)や米国会計基準がのれん代の均等償却を認めていないのは、合理的な償却期間の算出が難しく、曖昧さが残ってしまうからだ。一方で毎期、のれん代の価値を見直し、価値が毀損していると判断されれば減損することになっており、思い切った償却を求めているとすれば、のれん代の価値に疑問符がついていることになる。

ジャイラス買収に伴ってオリンパスが抱えるのれん代は1千億円ほど残っているうえに、ジャイラス自身が過去に行ったM&Aで、のれん代や商標権は600億円前後に上るとみられ、それがオリンパスの連結貸借対照表上、無形固定資産の「のれん代」ではなく、「その他」に隠されているとの情報もある。

 もうちょっとこの問題は議論されて良さそうなんですけど…。


追加
  ■のれん代の割合が大きい企業ランキング コメダ珈琲,すかいらーく,牛角などのコロワイド,アパマンショップなどが上位

 関連
  ■推奨株だったオリンパス、不透明な買収やお家騒動で株価暴落
  ■オリンパス不正経理(損失隠しと穴埋め)を認める
  ■棲み分けの具体例
  ■フリーミアムの事例
  ■こんなにあるゲーミフィケーション ~その意味と事例~
  ■その他の仕事について書いた記事

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