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個人的にはおもしろいが、まとめられない科学・疑似科学の話


冒頭に追記
2022/10/11追記:
●日本のやり方じゃノーベル賞は狙えない?非主流分野や偶然で発見
2022/10/04:
●日本で嫌われる誰もやっていない非主流の研究がノーベル賞に
2022/10/11追記:
●ノーベル賞候級の発見に気付いたのが、飯島澄男氏だけだった理由


●日本のやり方じゃノーベル賞は狙えない?非主流分野や偶然で発見

2022/10/11:ノーベル賞クラスの研究は、注目されていなかったり有望だと思われていなかったりする非主流の分野から生まれることがよくあります。また、これに加えて狙って発見したものではない偶然による発見…というのもよくある話。なので、あちこちに書いたここらへんの話をまとめてみようと思いました。

 このノーベル賞クラスの研究が非主流分野や偶然による発見が多いというのは、言い換えると、ノーベル賞を狙って研究するのが難しい、ノーベル賞になる研究を予測するのが難しい…とも言えるでしょう。ところが、近年の日本政府は特定の研究に予算を重点配分する…というやり方を行ってきました。

 どこからノーベル賞が生まれるか予測できないのであれば、広い分野を支援すべきなので、これは逆効果だと考えられます。しかも、個々の研究に割かれる予算は海外と比べると削られている傾向なのでダブルパンチ。実際、最近の日本の論文の引用数は驚くほど下がっており、政府方針の失敗が疑われる状況です。


●日本で嫌われる誰もやっていない非主流の研究がノーベル賞に

2022/10/04:注目されていなかったり有望だと思われていなかったりする非主流の分野から生まれることが多くあるノーベル賞クラスの研究。2022年のノーベル生理学・医学賞の場合、そもそも分野すらなかったところに新しいジャンルの研究を作り出した人が受賞した…と言えそうでした。

<ノーベル賞選考委員会は、マックス・プランク進化人類学研究所所長で、OISTの教授(アジャンクト)も務めるスバンテ・ペーボ教授が、「絶滅したヒト科のゲノムと人類の進化に関する発見」により大きな貢献をしたとして、2022年のノーベル生理学・医学賞を授与することを発表しました>
<ペーボ教授は人類の進化とゲノムに関するいくつかの画期的な研究において高い成果を上げ、古遺伝学という新しい学問分野の確立に貢献しました。
 ペーボ教授は、人類の祖先であるホモ・サピエンスと共存していた絶滅種ネアンデルタール人のDNA配列の解読に初めて成功し、後に全ゲノムの解読に成功しました。 また、2008年にシベリアの洞窟で発見された古代人の指の骨のDNAから、これまで知られていなかった絶滅したヒト科の一種「デニソワ人」を特定し、人類の歴史に大きな影響を与えました>
(OISTのスバンテ・ペーボ教授がノーベル賞を受賞 | 沖縄科学技術大学院大学 OIST 2022-10-03 より)

 本当かどうか知りませんが、海外では「誰もやっていない研究」や「独自性のあるユニークな研究」を行うことが評価される一方で、日本はそういう研究は軽視される…という嘆きを以前読みました。流行りの研究が重視される傾向なのかもしれませんが、これは将来、日本をノーベル賞から遠ざける可能性がありそうです。


●ノーベル賞候級の発見に気付いたのが、飯島澄男氏だけだった理由

2022/10/11:ノーベル賞候補とされている飯島澄男さんで検索していたら、 飯島 澄男氏:その存在に気付いたのが、私だけだった理由 という仰々しいタイトルの記事が見つかりました。週刊誌の記事か?と思う人もいるかもしれませんが、なんと科学誌ネイチャーというお固い雑誌のインタビュー記事でした。

<カーボンナノチューブ(CNT)は、炭素の平面シートがぐるりと管状に丸まった物質(太さ数nm、長さ数μm)。1991年11月7日号のNature に発表され、世界の研究者を驚かせた。発見者は飯島澄男・名城大学終身教授。電子材料や構造材料として優れた性質を持っており、現在、実用化に向けた研究が精力的に進められている>

 「その存在に気付いたのが私だけだった理由」にあたるのは、たぶん以下のあたりですね。他の人たちとは別のことに関心を持っていたことや、そもそも専門は別分野であった上に、いろいろな研究を行っていたことが理由に挙げられていました。分野を超えることの重要性は、ノーベル賞受賞者もよく言っています。

< 1990年にボストンで米国材料学会(MRS)が開かれ、C60を大量に製造できるという発表がドイツと米国の研究者からありました。それらを結晶にしてカリウムをドープすると超伝導になることも分かり、世界中が興奮状態になりました。C60の結晶をX線回折法で調べると、確かに分子が丸くなっていることも分かりました。こうしてC60が証明され、私も、この仕事との関わりはこれで終わったと思いました。
 ところが、その会場でクロトーに、「おまえもこの分野をもっと調べてみろ」とけしかけられたのです。確かに、謎はいくつも残っていたので、「じゃあ、やってみるか」となったわけです。私の興味の1つは、「丸い形の分子がガスの中からどういうふうにできるのか」ということです。そこで、もう一度、昔のタマネギ状の球状グラファイトを調べ直してみました。
 ERATOでは、私はフラーレンと同じ製造法を使って研究していたわけで、いわば、この道の先達でした。ただ、フラーレンが作れるカーボン(陽極)・カーボン(陰極)の組み合わせだけは試していなかった。ともあれ、皆さんはフラーレンをたくさん作るのが目的でした。しかし私の関心は別にあった。だから、フラーレンのある煤(すす)でなく、燃えさしの電極なんかを見ていました。そして陰極をはがしてみたら、なんとそこに、炭素原子でできたナノチューブがあったのです。それに気が付いたのが私だけだった理由は、皆とは別のことに関心を持っていたことや、電子顕微鏡の専門家であったこと、それに、いろいろな炭素材料を研究していたことなどが挙げられるでしょう>

 「他の人たちとは別のことに関心を持っていた」というのは、毎度毎度書いている「ノーベル賞級の発見は偶然であることが多い」に関係する話だと言って良さそうです。みんなと違うものが目的で探していたから発見できたというのは、狙ってノーベル賞クラスの発見をするのが難しいということですからね。

 こうした話は、「その存在に気付いたのが、私だけだった理由」というタイトルの時点である程度予想していたのものでした。インタビューでは、「歴代被引用論文ベスト100に日本人研究者のものが4つ入っています」と誇る話もあったのですが、最近の日本の論文の引用数は驚くほど下がっており、政府方針の失敗が疑われる状況です。


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