100円ショップに関しては一度
100円ショップダイソー矢野博丈社長のおもしろ発言集というのを書いています。
そこで私はたぶん最大手なんだろうなぁとは思って「業界大手なのに後追い戦略的なところがあり、おもしろいです」と書いたのですけど、シェアはきちんと調べていませんでした。
しかし、先日現役会計士が語るビジネス・会計・投資コラム
cpainvestor.comというブログで、"「ダイソーが来たらすぐに逃げる」という発想は見習いたい"(2012.05.24)というおもしろい記事を読んだところ、業界のシェアの話もありました。
この業界の圧倒的な1位はダイソー(直近年度の売上高約3,400億)で、その後を、九九プラス(約1,400億)、セリア(約800億)、キャンドゥ(約600億)、ワッツ(約400億)が追いかける構図となっています。 |
やっぱり最大手だったんですね。
この記事で一番おもしろかったのはこのシェアの話ではありません。業界大手の中では最後に名前のあったワッツの経営戦略の話です。
ワッツは規模的には弱者でありながらも、「毎期着実に利益を確保し、成長を続けている」というのです。
このワッツという会社は、100円ショップ「meets.」や「SILK」などを全国展開する企業です。私はどれひとつとして知りませんでしたが、ワッツという名前よりショップ名の方がなじみかもしれません。
ちなみにワッツ自体は、JASDAQ上場を果たしています。
ワッツのスタイルは一言で言うと、
「あえて主戦場での勝負を避けて、ライバルがいない場所を探して生き残る」
「誰も来ない隙間」を探して生き残る
といったものです。
これは以前書いた
仕事・ビジネスの名言2 「誰もやりたがらない小さい市場を狙いなさい」に近い話です。
そのときは思いつきませんでしたけど、これは要するにニッチャーの取りうる戦略の一つですね。
企業をタイプ別にリーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーと分類することがあり、そのニッチャーです。
冒頭のダイソーは本来リーダーであるべきなのに、フォロワー的でおもしろいと思ったのです。
まあ、ダイソーの話はおいておき、ワッツの話なのですが、ここのやり方が徹底かつユニークで中小企業の経営戦略の参考になると思うのです。
前置きが異常に長くなりましたけど、具体的な話をどうぞ。
ワッツのIR説明会での社長のおもしろプレゼンの中で、私が特に気に入ったのが、「ローコスト出退店」というキーワードです。別業態の既存店舗を改装して自社店舗とすることで出店コストを抑える「居抜き出店」というのは、よく聞く話ですが、「出店時に退店コストを最小化することを考える」というのは、なかなか他の多店舗展開の業態では見られない発想です。
ワッツの店舗は、町のスーパーの一角の天井にポップをつけ、什器を並べただけのような、70坪程度の小規模なものが中心です(筆者撮影画像参照)。居抜き出店が普通ですから、店舗内装にはほとんどお金をかけません。
その上、出店前に、①退店の時の敷金償却をできるだけ少なくする、②退去告知後、できるだけ早く退店できるオプションを獲得するといった交渉を家主と徹底的に行うようです。
ワッツがこのような「退店のしやすさ」をあらかじめおりこんでおくのは、「ダイソーが来たらすぐに逃げる」という彼らの会社の戦略を着実に実行するためであるそうです。 ワッツの店舗は比較的小規模なもので、扱っている商品特性上、最大手のダイソーと客層がほとんどかぶります。このため品ぞろえ豊富なダイソーの大規模店舗が近くに出店してきた場合には、ワッツの店舗は、まずまちがいなく売上が激減し、競争に敗れることになります。 |
こういう割り切り、思い切りの良さはやろうと思ったって、なかなかできませんよ。大した会社だと思います。
追加
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