トクホや機能性表示食品の話をまとめ。<トクホコーラ(キリンメッツコーラ)の効果の勘違い 飲んでも痩せない>、<トクホの信頼性は大丈夫?実は効果がまるっきり嘘だったことも>、<難消化性デキストリンに効果なし!実は摂取してもほとんど変わらない>などをまとめています。
2017/03/23追記:
●難消化性デキストリンに効果なし!実は摂取してもほとんど変わらない
2023/05/23追記:
●機能性表示食品の加工食品、難消化性デキストリンが1番人気 【NEW】
●トクホコーラ(キリンメッツコーラ)の効果の勘違い 飲んでも痩せない
2012/7/13:
トクホコーラでやせられるのか? 正しいトクホの選び方、教えます(日経ビジネスオンライン 2012年6月4日 佐藤央明)という記事で指摘されていたのは、トクホで認められた効果が間違いだったというものではなく、イメージ上の勘違いです。
記事によれば、"メッツコーラを飲めばやせられるのか? その答えは商品パッケージに書かれている"とあるとおり、別に効果を偽って表示しているわけではありません。商品パッケージに嘘は書いていないものの、効果が消費者に誤解されてしまっているという話なのです。
<
「食事の際に脂肪の吸収を抑える」。これがメッツコーラに認められたトクホのキャッチコピーだ。関与成分(体の調子を整える働きのある成分)は「難消化性デキストリン」という食物繊維の一種。裏面を見ると、さらに具体的に「本品は、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させる難消化性デキストリン(食物繊維)の働きにより、食後の中性脂肪の上昇を抑制するので、脂肪の多い食事を摂りがちな方、食後の中性脂肪が気になる方の食生活の改善に役立ちます」と記載されている。
これを読めば分かる通り、メッツコーラはあくまでも食事に含まれる余分な脂肪の吸収を抑えるためのもの。体内に蓄積された体脂肪を減らす効果はなく、
「飲めばやせる」とはどこにも書かれていない。食事と一緒に飲まなければ、その効果は全く期待できない、ということになる>
●難消化性デキストリンの効果は「食後の血中中性脂肪の上昇抑制」
この記事と同じ作者の
トクホのコーラが売れる事情(日経ビジネスオンライン 2012年5月29日 佐藤央明)においても、"「飲めばやせる」類のものではない"と書いていますが、トクホコーラでポイントとなっているのは「難消化性デキストリン」です。
<メッツコーラの特徴は、「難消化性デキストリン」(以下、難デキ)が、食事に含まれる脂肪の吸収を抑制するというもの。難デキはトウモロコシ由来の食物繊維で、実はトクホでは非常にありふれた成分。全トクホの約3割に使われている。もともとは「お腹の調子を整える」という表示許可でトクホに使われ、次に「糖の吸収を穏やかにする」という表示許可を取得。そして昨年、キリンなど複数飲料メーカーが3つ目の「食後の血中中性脂肪の上昇抑制」を取得した>
これらが知っている人は当たり前に知っているだろうという理由でもあります。ただ、トクホコーラを打っているキリンにしてみれば、勘違いして買ってもらってもいいわけで、効果についての思い違いを狙っている可能性がありそうでした。最初の記事では、あまり良心的とは言えないコマーシャルについて、指摘していたんですよね。
<個人的により疑問を感じるのは、テレビCMなどの“過剰”とも思えるような演出だ。メッツコーラのテレビCMは、漫画『あしたのジョー』の主人公・矢吹丈が、ハンバーガーやピザをドカ食いしながら、同商品を飲み干すというもの。確かにセンセーショナルなCMで目を引くが、どれだけ食べても「これさえ飲めば大丈夫」という、“魔法のドリンク”のように見えてしまわないか、とも思う>
そもそも 中性脂肪値には“2種類”あるという話も書かれており、"メッツコーラや黒烏龍茶に書かれている「食後の血中中性脂肪」"は、"「一度の食事による中性脂肪値の上昇で大騒ぎすることではない」(医学関係者)"とのこと。となると、トクホコーラで対策する必要性がそもそもないような感じです。ひどい話ですね。
●痩せたい人が飲むべきトクホも一応ある「ヘルシア緑茶」など
ところで、ちゃんと痩せることのできるトクホ飲料もあるんでしょうか? 実はそんな都合の良い飲料もちゃんとあるとしていました。私はそもそもトクホは基準が緩い上に、所詮医薬品ではない食べ物・飲み物なのですから過度な期待をすべきではないと思うためおすすめしませんが、一応紹介しておきます。
最初の方の記事では、体脂肪を減らしたい人が飲むべきトクホとして、花王の「ヘルシア緑茶」や味の素ゼネラルフーズ「ブレンディ」ブランドのトクホを挙げています。商品パッケージには「脂肪を消費しやすくする」あるいは「体脂肪が気になる方に」などと書かれている。これらは12週間にわたる長期臨床試験で、体脂肪の低減を確認したものだとのこと。ちなみに、"サントリー食品インターナショナルの「黒烏龍茶」"はメッツコーラタイプのようです。
先ほど書いた中性脂肪値には“2種類”あるという話ですが、もう一つは、健康診断の結果で出る「空腹時の中性脂肪値」。これをを下げるトクホは、"日本水産の「イマーク」や不二製油の「リポスルー」など"だそうです。
●トクホの信頼性は大丈夫?実は効果がまるっきり嘘だったことも
ここまで書いてきたことを台無しにするかもしれませんが、実は冒頭で書いたトクホで認められた効果そのものが間違いという可能性は、マジであるようです。2つ目の記事では、エコナというかつて販売されていたトクホの話が出てきました。
<長引く消費者の低価格志向で価格の高いトクホが敬遠された、という表向きの理由に加え、2009年には“エコナショック”が起こった。食用油エコナの成分に発ガン性が疑われた問題である。これがトクホ全体への不信につながり、現在まで尾を引いていた>
花王が販売中止したエコナ油 再起狙うも、効能認められず(ダイヤモンド・オンライン 2012/7/11 週刊ダイヤモンド編集部)によると、花王は"「発がん性の懸念はない」としており、公的に安全性が確認された上で再発売する"予定だそうで、発がん性に関しては間違いだった可能性があります。しかし、肝心かなめのトクホの効能に黄色信号が灯るという別の問題が発生していました。
<花王は欧州食品安全機関(EFSA)に対して、エコナの主要成分であるジアシルグリセロール(DAG)油を摂取することで体重が減少するという健康機能表示を行いたいと申請した。日本での再発売に向けて、まずは海外で機能の高さについてお墨付きをもらおうという狙いだ。ところがEFSAは、
体重減少の効果は認められないという結論を出したのだ。花王は「栄養学的に見て、十分に体重減少との関係が証明されている」と強弁するが、後の祭りだ。効能なしの烙印を押されてしまった。
エコナは、かつて日本では特定保健用食品(トクホ)として認められ、体に脂肪がつきにくい効果の表示を認められていた。一方、EFSAが認めなかったのは、審査基準が厳しいからだ。食品でありながら、「医薬品並みの厳格な審査」(業界関係者)といわれる>
「ただし
EFSAが特別に厳しいわけではない」とも当時に書かれていました。食品による健康機能表示は、世界的に厳格化の傾向のためです。日本のトクホもエコナ問題で信頼性が揺らぎ、誇大広告が蔓延していることから、審査や運用の厳格化を検討しているとありましたので、現在のトクホは世界的に見て緩すぎるのかもしれません。
●難消化性デキストリンに効果なし!実は摂取してもほとんど変わらない
2017/03/23:今回追記したのは、ちょうど最後のトクホの効能そのものが間違いという可能性に関するもの。キリンメッツコーラなど、トクホ全体の3分の1を占める「難消化性デキストリン」(難デキ)の脂肪抑制効果が、マジでなしと言って良いと指摘する記事がありました。
これは、
「キリンメッツコーラ」に脂肪抑制効果ナシ 消費詐欺「トクホ」の大嘘 2017年3月22日 17時0分 デイリー新潮という記事。千葉大学名誉教授の山本啓一さんは、「難デキには脂肪の吸収を抑制する効果はない」と断言しています。
まず、 トクホ商品の多くが根拠としている論文は、難デキの主要な製造元である「松谷化学工業」の研究者らが作成したものです。そこでは、難デキを摂取した実験群と未摂取の比較対照群を比べ、糞便として排出された脂肪量が前者は「1・44グラム」、後者は「0・77グラム」と、排出量に2倍の差がついたとの実験結果が記されています。これだけ見ると、効果があるように見えます。
しかし、それぞれが摂取した「脂肪量」に対する“排出されなかった脂肪量の割合”を計算すると、「実験群は97・4%、対照群は98・6%。その差はわずか1・2%」で、誤差範囲だとしていました。97・4%の脂肪を吸収しちゃってるんですから、比較対照のグループを見ずに、難消化性デキストリンを摂取したグループだけ見ても、意味ないなと感じる実験結果…。うーん、ほとんど詐欺のように見えてしまいますね。
●機能性表示食品の加工食品、難消化性デキストリンが1番人気
2023/05/23追記:難消化性デキストリンに関する新しい情報は出ていないかな?と検索。
機能性表示食品の加工食品(その他)の2割以上が「難消化性デキストリン」 | 食品産業新聞社ニュースWEB(2018年6月21日)という記事を見つけました。効果が「ウソ・大げさ・まぎらわしい」である一方、大人気であることも事実のようです。
<消費者庁は機能性表示食品の届出を2017年4月のスタートからこれまで(2018年6月)までに1,388件受理した。うち、サプリメント形状のものが47.1%の654件、それ以外の加工食品が51.8%の719件、生鮮食品は1.0%の15件となっている。
サプリメントではない加工食品のうち、機能性関与成分名が「難消化性デキストリン」のものは171件(6月19日時点)。全体の12.3%、サプリメントではない加工食品のうちの23.7%を占める。飲料がほとんどである傾向は変わらないが、ゼリー、もずく、雑炊、豆腐といった商品も出てきた。>
消費者庁はこのとき、機能性表示食品の理解度の目標値を「40.7%」と設定し、普及啓発の推進を掲げていました。でも、国民の利益のためには、機能性表示食品の効果が怪しいことの方を啓発してほしいところ。とはいえ、そもそも国にそういう意識があれば、機能性表示食品なんて制度は作りませんからね…。
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