2012/7/19:
●ブランドが強い!ソニーは家電系よりも金融で成功している会社
●まだまだ日本企業のブランドは強い!中国企業にはない魅力がある
●日本の電機メーカー総負けは嘘、日立製作所・三菱電機・東芝は好調
●ジレットモデルが日本企業の生き残る道 メンテナンスで儲けよう!
2021/03/19:
●中国製より安い日本製を売れる理由はジレットモデルの変種だった! 【NEW】
●違うものを買ってもらうことで来店機会を増やすという戦略も… 【NEW】
●ブランドが強い!ソニーは家電系よりも金融で成功している会社
2012/7/19:間が空きましたが、
ものづくりを知らない…バカにしていたアップルに負けたソニーの続きで、
工場を日本に残す意味はホントにあるの? (ダイヤモンド・オンライン 2012/5/8 ちきりん,竹内 健)からです。
ちょっと紹介したにも関わらず前回収まりきらなかった「ソニーは金融が助けてくれるから」の話は以下でした。竹内健教授は、ソニーは金融分野で成功しているために、一般人が本業と思っている家電系を助けているから「まだいいほう」「いちばん余裕がありそう」としていました。
多角化で金融業が大成功 トヨタ、イオン、ソニー、ホンダ、セブン&アイ、楽天でやっているように、トヨタ自動車も金融で成功している企業とされています。トヨタ自動車の場合は本業も好調ですけどね。(ここだけ2020/07/20追記)
これについて、ちきりんさんは、「ソニー銀行の場合、ソニーというブランド名が使えたことがその成功要因としてもかなり大きい」としています。批判の多いちきりんさんですが、ソニーのブランド力が大きいというこの指摘はなるほどと思いました。腐ってもソニー、ブランド力がまだあるんですね。
<あのブランドがなかったら、ソニー銀行はあんなに素早く立ち上がれなかったはずです。そのための“のれん代”を払っていると思えば、安いもんなんじゃないかな。タケウチ銀行とか、ちきりんバンクだったら全然お金、集まらないです(笑)。ソニーの名前を冠したからですよ>
●まだまだ日本企業のブランドは強い!中国企業にはない魅力がある
多角化については、
多角化はシナジーや本業との関連性より強みを出せるかどうかが大事など、何度か書いています。失敗することもあるんですが、ソニーはうまくできているようです。
また、本業を捨てる(=変える)というのも大切なこと。実はそれで成功している企業は多いです。変身して成功した富士フィルムと転換できなくてダメだったコダックという例もあります。アップルなんかも細かく変身し続けていると考えれば、ソニーもかつては主力製品が変化する企業でした。
本業を変えるパターンとしては、買収というのもあります。落ち目でも資金力があるうちに有力企業を買収、あるいは、無名企業でも買収して育てて主力事業に変えるというのもでアリです。これとはちょっと違いますが、ちきりんさんは日本ブランドはまだ強いのだから、ブランド貸しすればいいのでは?とも言っていました。(ここだけ2020/07/20追記)
<ソニーの名前があれば、アジアのどこに進出しても「うちはどんな会社か、信用できる銀行かどうか」を説明する必要さえありません。知らない人がいない名前ですから。
実際、中国のハイアールが、いまからソニーとかパナソニック、東芝といったハイレベルのブランドイメージを築くには、何千億円かかるか、何年かかるかわからないです。先生は、「死にそうな会社なんて潰れたらいい」というご意見でしたが、私は潰れるくらいなら、ブランドを売って稼いでみたらいいと思うんです。サンリオがキティちゃんをライセンス販売しているように、中国メーカーなどにたいして「キミのところのこの商品は一定の技術があるから、東芝の名前をつけて製品を売ってもいいよ。その代わり売上の2%を寄こしなさい」みたいな>
●日本の電機メーカー総負けは嘘、日立製作所・三菱電機・東芝は好調
あと、個人ブログみたいですが、ソニーの関係で検索していて見つけたのが
パナソニック・ソニー・シャープが揃って大赤字!黒字の日立・三菱・東芝とは何が違う?(2012年04月11日 マネーのプチ情報局~覚えていれば損しない~)です。
パナソニック「7800億円」、ソニー「5200億円」、シャープ「2900億円」と、驚くほど巨額な純損失。一方で、日立製作所・三菱電機・東芝の3社は業績も堅調で、それぞれ「2800億円」「1000億円」「650億円」の黒字。中でも日立製作所は過去最高利益です。(2020/07/20追記:ただし、東芝は後に粉飾の伝統が判明し怪しいかもしれません)
前回書いたように日本は総負けなどとも報道されたものの、実際には負けていなかった企業もあるのです。作者はこれについ、赤字3社はテレビを主とする「弱電系」であるのに対し、黒字3社は「重電系」で、社会インフラを事業として有しているところに大きな違いがあると指摘しています。
●ジレットモデルが日本企業の生き残る道 メンテナンスで儲けよう!
この弱電系・重電系の違いを分かりやすく言うなら「売ってそれで終わり」の製品かどうかとしていました。例えば、どこのオフィスにもあるコピーは「トナー交換」というビジネスがくっついており、その後のメンテナンスで儲けを産み出せるのが「重電系」という説明でした。
作者は、コピー機の「トナー」のように、メンテナンスなどのアフターサービスで儲けるビジネスモデルを生み出すことのほうが、家電業界にとって重要としていました。私は弱電を電力供給などの強電の対義語として使っていたので、ちょっとピンと来なかったと思ったのですけど、言わんとすることはよくわかります。
トナーの例を出していましたが、こういったビジネスモデルはよくあるんですね。これはカミソリメーカーの名をとって、ジレットモデルとも呼ばれますが、利益の少ないもの(たとえば、カミソリ)を利益度外視でまず最初に売って、消耗品など継続的に使ってもらえる利益の高いもの(たとえば、替刃)で設けるビジネスモデルです。
ソニーなんかで言えば、ゲーム機本体とゲームソフトなんてのがそういう関係で、本体は儲からずソフトで稼いでいるといわれています。これを読むまで気づきませんでしたが、なるほどメンテナンスもそうなんですね。確かに工場建設の見込み受注額が多少悪くっても、末永く仕事が入るのだから!とその案件を取りに行く(落札を狙う)ことがあるんですよ。
そうかー、メンテナンスもジレットモデルなのか。日本メーカーとしてはそういう道も一つあるんだなと思いました。
●中国製より安い日本製を売れる理由はジレットモデルの変種だった!
2021/03/19:
「日本製が中国製より安い」のカラクリ メード・イン・ジャパンを支える「替えのきかない人たち」 | JBpress(Japan Business Press)という記事のタイトルが気になって読んでみました。どういう手法か?と言うと、「別の商品で利益を出すことができるので、ある商品に関してだけ言えば安くできる」というものでした。
「Knot(ノット)は、時計本体とベルトを自由に組み合わせるカスタムオーダーを売りにしています。しかも、日本製なのに2万円程度で提供する。時計本体では儲けずに低価格を実現し、さまざまな種類のベルトを4000円、5000円といった価格で提供することで利益を確保するというビジネスモデルが画期的だと思います」(Knot(ノット)遠藤弘満社長を取材した金田信一郎氏)
スーパーの特売なんかこれに近いですね。より近いのは、1000円以上買った方限定で卵100円みたいなものでしょうか。卵は安く売りすぎて儲けが少ないものの、他のものをたくさん買ってもらっているために、スーパーはいつも以上に利益が出ます。また、アマゾンプライムに特典を大量につけまくれる…というのも、アマゾンが商品販売の方で稼いでいるため。「儲けどころを変える」というのは成功企業でよくあるものです。
さらに、こちらのページに追記したように、ジレットモデルも「儲けどころを変える」ビジネスの代表例。ジレットモデルの類似種と言って良いのではないかと思います。ただ、Knot(ノット)の場合は、結局有名ブランドに乗っからないといけない作戦のため、参考にして我社もメイドインジャパンを!と、真似できない企業は多いかもしれません。
●違うものを買ってもらうことで来店機会を増やすという戦略も…
最初さらっと読んで、迷いに迷った末にこちらに追記したのですが、ちゃんと読んでみると、遠藤弘満社長自身、ジレットモデルのひとつとされるゲームハードの話をしていましたわ。全然迷うことなかったですね。無駄に悩みました。もっと読んでから決めれば良かったです。あと、有料記事だったので、結局、残りはほとんど読めるところがありませんでした。
<ゲーム機とゲームソフトの関係と一緒かもしれませんが、本体をできるだけリーズナブルに抑えた上で、魅力的なソフトを多数集めれば、そのゲーム機全体のLTVは増えます。5年、10年という時間の中でみれば、魅力的なベルトをどんどん出して行くことで、5万円、10万円とノットの商品を買ってくださるお客さんが増えると思うんです>
なお、遠藤弘満社長は、スイスの高級腕時計を買おうと思えば、20~30万円はかかってなかなか買えないとも指摘。一方、ノットの時計は1万5000円から2万円で、ベルトも5000円程度にしています。すると、最高級の日本製デニムブランドとのコラボしてベルトを作ると買いやすいし、高給時計と異なり複数回買ってくれるとしていたんですよ。
購買機会を増やすということで、ニトリを思い出しました。大塚家具のお家騒動のときにニトリと比較されたのですが、中身は全くの別企業。家具は家を買うときなど特別なときにしか買われないものであり、大塚家具はそういう従来型の家具屋でした。一方、ニトリは来店機会を増やすために価格が低い様々なものを売る…という全然違うやり方であり、家具屋から脱皮しています。
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