優先する記事の都合上、順番が逆になってしまいましたが、レーザー核融合のしくみです。
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アメリカでレーザー核融合成功報道は誤報の疑い ■
アメリカのレーザー核融合で500テラワット(TW)を供給の誤訳可能性 ■
レーザー核融合「全世界の消費電力ができた」は間違いか? いつもの
Wikipediaの他に、もう一つ今回は
大阪大学レーザーエネルギー学研究センターからも引用します。
まず、Wikipedia冒頭のシンプルな説明。
"レーザー核融合は、非常に高い出力のレーザーの光を用いた核融合のこと"ということで、とてもすてきにシンプルです。
この冒頭には「ローソン条件」という、名前だけ聞くとコンビニのローソンのフランチャイズ加盟店の契約内容みたいなものがありました。
まあ、もちろんコンビニのローソンとは何の関係もなく、単に"核融合反応でエネルギーを取り出すためには、燃料プラズマを高温に加熱し、かつ、十分な反応を起こすために密度と時間の積がある一定値以上でなければならない"条件だそうです。
何だかがっくりですね。
「密度と時間の積」ですからどっちを頑張るかは核融合のタイプによって違うようで、
磁気閉じ込め方式の核融合……低密度のプラズマを長時間(1秒以上)保持することを目指す。
慣性核融合……燃料プラズマを固体密度よりもさらに高密度に圧縮、加熱し、プラズマが飛散してしまう以前、すなわちプラズマがそれ自体の慣性でその場所に留まっている間に核融合反応を起こしてエネルギーを取り出すことを目指す。
の2種類があるようです。
レーザー核融合の場合は後者、"燃料の圧縮と加熱のために大出力のレーザーを用いる慣性核融合の一方式"だそうです。
だから、出力が大事で
アメリカでレーザー核融合成功報道は誤報の疑いや
アメリカのレーザー核融合で500テラワット(TW)を供給の誤訳可能性で見たように、「アメリカ全土の消費電力に匹敵するんだぞ」と強調していたようです。
で、肝心のレーザー核融合の原理です。
Wikipediaでは、球殻部分が重水素と三重水素の固体となっていて、球内部はそれらの気体で満たされている、燃料球(球状の燃料ペレット、ターゲット)というものがまず説明されていました。
この燃料球に"非常に強いレーザー光を当てると、急激な表面部分の加熱、プラズマの膨張により、その反作用として燃料球自身が内部へ爆縮を起こし、内部の圧力は1億気圧にも達する"そうです。
"球殻部分はこの圧縮により球中心に圧縮され主燃料"となります。
さらに"圧縮による衝撃波などにより、中空の気体部分は1億度以上という高温になる"と書かれていました。
なお、高温下で核融合反応が進む(直接照射・中心点火方式)と、燃料球内部の重水素 (Deuterium)と三重水素 (Tritium)は、中性子( n )、アルファ粒子(α、ヘリウム原子核)になってしまうようです。
D + T → n + α
どうも私はここがピンと来なかったんですけど、場所によってはこれを、
重水素+三重水素 : ヘリウム+中性子
と表しています。
どうもアルファ粒子はヘリウムの2価陽イオンとして表されるので、こうなるようです。
ちなみに重水素は「陽子1個と中性子1個」、三重水素は「陽子1個と中性子2個」、アルファ粒子(ヘリウムの2価陽イオン)は「陽子2個と中性子2個」。
左右のと陽子の中性子の数がいっしょになって、私的にはスッキリです。
また、ヘリウムが出てこないと核融合の説明としてもわかりづらいので、これもまたスッキリ。
核融合は"軽い核種同士が融合してより重い核種になる反応"というややこしい書き方をしていますが、水素がヘリウムになったということで、すいへーりーべーの順番の数字が増える形。
だから、「核融合」という名前で呼ばれるわけで、原子番号の数字が減る核分裂の反対となります。
ここが長くなりましたが、このアルファ粒子(ヘリウム原子核)の発生によって、さらに系は過熱、"核融合反応をさらに促進する(核融合反応の点火)"という好循環になります。
そして、めでたく"主燃料部分も核融合反応を開始し、最初に与えたレーザー光によるエネルギーよりずっと多いエネルギーを発生する"というわけです。
"レーザー光によるエネルギーよりずっと多いエネルギー"ってのは大事ですね、これがないとやる意味がありません。
これでもう何となくわかった気になっているんですけど、後半部については大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの"核融合の原理"も読んでみます。
こちらでは核融合反応を"2つの原子核が十分近づくと、原子核の間に働く引力(核力)が静電的な反発力(クーロン力)に打ち勝って1つに融合し、新しい原子核が生まれ"ることと説明していました。
この説明、難しくない?
残りをそのまま引用すると、こんな感じです。
重水素(D)や三重水素(T)のような軽い元素は比較的容易に核融合反応が起こります。この場合には、核融合反応によってヘリウムと中性子ができ、全質量がわずかに減少します。この減少した質量に相当する17.6メガ電子ボルトのエネルギーが重水素-三重水素核融合反応に伴なって発生します(E=Δmc^2)。
核融合反応が起こるように原子核同士を近づけるためには、1億度以上という超高温状態が必要です。また発電に必要なエネルギーを取り出すために、核融合燃料が十分燃焼する必要があります。このため一定の密度と閉じ込め時間が必要になります。これは物質の第4の状態として知られるプラズマ状態で可能となります。このような超高温のプラズマを閉じ込める方法として、慣性力を使う方法と磁力を使うまったく異なる2つの方法があります。
m(D)+m(T)=m(He)+m(n)+Δm(17.6MeV)
「重水素(D)や三重水素(T)のような軽い元素は比較的容易に核融合反応が起こります」というのは、おそらくクーロン力が弱いからですね。
原子核の粒子が少ないから、クーロン力(静電的な反発力、クーロン斥力)も小さいよってことだと思います。
式の書き方が先ほどとは異なっていて、こちらは3つ生み出されるような書き方になっていますが、最後のものは発生するエネルギーを表していますのでほとんど変わりません。
こういうときは「→」でなく「=」で表すのですが、大阪大学のものは「=」になっているのがわかります。
っていうか、「MeV」って見慣れないと思ったら、電子ボルト(エレクトロンボルト)というエネルギーの単位のようです。
eVが電子ボルトで、頭のMはメガですね。
といった感じで、イメージは湧きましたでしょうか?
私は何となくわかったつもりでいますけど、正直頭がパンパン。
どうも核融合の話は手に負えない感じです。
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