核融合についてはシリーズ的に続けて、
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レーザー核融合の原理・しくみ ~大出力レーザーが決め手~ ■
アメリカでレーザー核融合成功報道は誤報の疑い ■
アメリカのレーザー核融合で500テラワット(TW)を供給の誤訳可能性 ■
レーザー核融合「全世界の消費電力ができた」は間違いか? を書いてきましたが、ついでなので見つけておもしろかったのものをもうちょっと。
自然科学研究機構 核融合科学研究所 (NIFS ニフス)という組織でやっているQ&Aが詳しくて良いです。たいへん丁寧に回答されています。
自分たち組織のために有利なことを書いている可能性はありますけど、「核融合炉は爆発しない?」の話に興味を引かれたので紹介します。
Q.
(中略)「核融合炉は爆発しない」といった表現が見受けられますが、本当なのでしょうか。クエンチやディスラプションによって炉が壊れた場合、核分裂炉をはるかにしのぐ被害が発生すると思うのですが。
A.
核融合反応は、高真空状態の容器の中に強力な磁場を使って、高温・高密度のプラズマを閉じ込めることで実現します。この反応は、燃料となる重水素や三重水素の供給を止めれば、停止しますし、高真空状態でなくなった場合や閉じ込めのための磁場がなくなった場合も停止してしまいます。
いきなりぶった切りますけど、
レーザー核融合「全世界の消費電力ができた」は間違いか?でできた「全世界の消費電力」というのは時間の概念がないと書きました。
自信がなかったのでツッコんで書きませんでしたけど、おそらくあれも一瞬できただけで、連続的にやらないと実用性がないんじゃないでしょうか?
ただ、今までは使ったエネルギー分に対する収率が悪かったのが、大幅に良くなって実現に近づいたよってのがポイントだったんじゃないかと思います。
Q&Aに戻ります。
ここで「爆発」とは何かと考えてみます。極めて燃えやすい物質(火薬、ガス、ガソリンなど)が多量に閉じ込めてあってそれが急激に一度に燃えるとその圧力で容器が「爆発」します。もし燃えるものが薪だったら爆発には至りません。
すぐまた切っちゃいましたが、容器が「爆発」するのは中の圧力が高くなって容器が耐え切れなくなるためです。
容器が爆発する方がずっと危険ですので、普通圧力容器には必ず安全弁(セーフティバルブ)、逃がし弁(リリーフ弁)などがついていて、中の気体(ガス)を逃がすようにしています。
水素ガスなんかだとそれ自体が危険ですので外に出しちゃまずいと思うかもしれませんけど、爆発すりゃあそれどころじゃありません。
中身はもちろん全開な上に、プラスして周囲にも被害が出てしまうので、取り返しがつきません。ですから、逃げ口を用意するわけです。
福島第一原発のときにもバルブの話がちらっと出てきたはずですが、ベント(排気)と言っていたのはこの役割です。
核融合炉の燃やし方は薪を燃やすのに似ています。核融合の燃料は重水素ですが簡単に燃えません。燃やすためには1億度まで熱してやらねばなりません。燃料がたくさんありすぎると冷えてしまって燃えませんので燃える分を少しずつ追加しては燃やします。
丁度かまどを焚くのに薪を追加していくように、です。
しかも核融合は容器の中を真空にしてその中で燃やします。容器が壊れたら外から空気が中に入ってきます。空気は核融合にとっては薪に水をかけるようなものですから、せっかく燃えていたものが消えてしまいます。
このように、核融合炉は原理的に爆発しません。
もちろん核融合を起こしているプラズマはとても高温なので容器に直に触れないように強い磁場で閉じ込めています。もし磁場が無くなったらプラズマは容器に触れますが、触れたらプラズマは消えてしまいますので核融合は維持できません。瞬間的に高温のプラズマが容器壁に当たりますが、容器壁はそれに耐えられる構造になっています。
核融合が難しいのはそれが爆発や暴走しやすいからではなく、燃えにくく消えやすいからです。ですから逆に言うと安全なのです。
大体、ここまででわかった感じですし、わかりやすいのもここまでです。
この後はわけのわからない用語が出てきて、私の頭が拒否反応を示しました。
でも、チャレンジすっぞって人は引き続きどうぞ。
閉じ込めのための強力な磁場は超伝導磁石を用いて作ります。超伝導を使うのは磁場を作る電流を抵抗無しに流し続けられるからです。
「クエンチ」とは、超伝導磁石の一部が何らかの原因によって超伝導状態から通常の常伝導状態に戻ってしまい、その常伝導部分が磁石全体に拡がって電流が流れず磁場を発生できなくなる状態を言います。
核融合炉に使用される大型の超伝導磁石はクエンチをおこさない様に余裕を持った設計がなされていますが、万が一クエンチが発生したとしても超伝導磁石の電源を落とすことで故障に至らないように設計されています。
超伝導磁石がクエンチすると磁石が爆発するのではないかとの誤解をされることがありますが、超伝導磁石は超伝導状態を保つために-269度の極低温に保たれており、爆発することはありません。
磁場を作ると磁気エネルギーが空間に蓄えられます。核融合炉の超伝導磁石に蓄えられている磁気エネルギーは100ギガジュール(2千4百万キロカロリー)程度ですが、重量約10000トンの装置を室温から超伝導状態になるー269度まで冷却するためには約900ギガジュール(2億2千万キロカロリー)のエネルギーを取り去る必要があります。つまり、磁石に蓄えられている磁気エネルギーを総て熱として放出したとしても装置の平均温度を数十度上げるだけで、室温まで上げることにもなりません。
トカマク型の核融合装置では、プラズマを閉じ込めるために超伝導磁石の磁場だけでなく、プラズマ自身に電流を流して捻れた磁場を発生させる必要があります。この電流が不安定になって、プラズマが消失する現象を「ディスラプション」と呼んでいます。ディスラプションは、安定な核融合反応を維持するための克服すべき課題として世界各国で研究が進められていますが、ディスラプションが起きて装置が壊れたと
しても、核融合反応は直ちに停止してしまいますので、核分裂炉にける事故のように、高レベルの放射能被害が発生することはありません。
核融合科学研究所で研究を進めているヘリカル型の核融合装置では、超伝導ヘリカルコイルによって捻れた磁場を発生するため、閉じ込めのためにプラズマに電流を流す必要がなく、ディスラプションが発生しない閉じ込め方式として注目されています。
2005年7月26日
以上、
http://safety-info.nifs.ac.jp/mailQA/m-Ae15.htmlより
「設計」や「温度」など条件が関係しそうな部分があり、その条件が崩れれば何か予期せぬ事態が起きないとも限らないと思いますが、核融合の性質は重大事故には至り辛いものなのかなと思わせます。
ただ、まあ、後半は1回読んだだけじゃわかんないし、たぶん何回読んでもわかんないと思って諦めちゃったので、正直よくわかりません。
あと、そもそも核融合炉ってどんなんなのかわかっていないとあれでしたかね?
この前
レーザー核融合の原理・しくみ ~大出力レーザーが決め手~で見たのは、レーザー核融合の話でしたしね。
探してみたんですけど、ここのサイト内ではそういう図みたいなものは発見できませんでした。
中途半端な感じになってすみません。
追加
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