2012/8/9:
●GDPが把握していない経済…地下経済・ブラックマネーとは?
●地下経済の規模が7割以上の国も…政府は全然把握できていない
●世界最小ですら9%、日本の地下経済はいくらくらい?
●強盗や麻薬取引・脱税行為なども把握が難しい
●増加傾向を示している地下経済、肯定的に評価する人も
●GDPが把握していない経済…地下経済・ブラックマネーとは?
2012/8/9:読んでいなかった日経ビジネスオンラインの古い記事で見つけた
世界中で拡大する地下経済 米国でさえ約10%に達する(要登録 2010年8月9日 BloombergBusinessweek)で初めて知ったのですが、地下経済という概念があるそうです。
ブルームバーグの説明では、世界には2種類の経済があり、1つは金額が確定している公式の経済。そして、もう1つは金額がつかみづらい非公式の地下経済です。
正規の経済活動を表す国内総生産(GDP)は、政府や金融機関が税収、社会保障負担、雇用者識別番号(EIN)などのデータを使って推計します。一方、地下経済は、合法・違法を問わず、公式経済の範囲外で生み出されるすべての経済取引や雇用を含むものだそうです。
Amazonの
日本の地下経済―脱税・賄賂・売春・麻薬 (講談社プラスアルファ新書)
でも説明があったので、見てみました。
ここでは、経済活動の中には、GDP(国内総生産)に含まれないものがたくさんあると指摘。地下経済、つまりブラック・マネーは、そうした目にみえない経済活動の主役だとしていました。また、GDPから漏れた経済活動までとらえなければ、景気判断や経済成長の議論も、現実とかけはなれてしまうだろうとも書いています。
●地下経済の規模が7割以上の国も…政府は全然把握できていない
ブルームバーグによれば、驚いたことに、地下経済の規模がGDP比で40%以上に達している国は、世界に50カ国以上もあるといいます。
GDP比で見て、地下経済の規模が最も大きな国は、旧ソビエト連邦のグルジア共和国。最新データ(2007年)によると、公式統計に含まれない財・サービスの規模はGDP比72.5%に達しました。7割も把握できていないのです。
これは、グルジア政府が、膨大な額の税金を取り損ねていることを示しているとのこと。本来なら、国家インフラ整備や公債費、学校・道路建設、さらには徴税機能の強化などに使えるはずのものだといいます。
一方、地下経済の比率が最も小さかった米国の場合、その額はGDP比9%。とはいえ、世界一の経済大国である米国のGDPは約14兆2600億ドル(約1200兆円)ですから、米政府が徴収できていない税収は毎年1兆2000億ドル(約100兆円)と大きいだろうとの見方でした。
●世界最小ですら9%、日本の地下経済はいくらくらい?
アメリカが最小とされていました。では、日本は地下経済が大きい国か?と言うと、そうではないかもしれません。
日本の地下経済―脱税・賄賂・売春・麻薬 (講談社プラスアルファ新書)
では、以下のように書いていました。
"盗難車1110億円、援交630億円……。日本のアングラ・マネーの総額はGDP(国内総生産)比で3.3パーセントにもなる。額にして17.1兆円に達する地下経済を解明!!"
ブルームバーグが言う"地下経済の比率が最も小さい米国"より小さい数字を推計しています。
●強盗や麻薬取引・脱税行為なども把握が難しい
世界最小のアメリカより日本の方が小さいというのは妙な話。ただ、ブルームバーグで使っていた調査に関しては、以下のような説明がありました。"言うまでもなく、地下経済の規模の正確な把握は難しい"とのこと。
"共同で執筆したヨハネス・ケプラー大学(オーストリア・リンツ)のフリードリッヒ・シュナイダー教授(経済学)によれば、調査の統計誤差は±約15%"
また、"この調査は、強盗や麻薬取引のような「典型的な犯罪経済行為」は対象から除外したと注記して"いること、"脱税行為そのものにも焦点を当てて"いないと説明しています。
そして、"調査が焦点を当てているのは、税金および社会保険料の支払いや労働関連法の適用から逃れるため「意図的に公的機関に情報を隠している、違法ではない財・サービスを提供する市場取引」"であるとのこと。
具体的には、"大企業から中小企業、医師、各種請負業者、ベビーシッター、食料雑貨店など、さまざまな経済活動主体による、非正規の所得や取引がこれに含まれる"そうです。
●増加傾向を示している地下経済、肯定的に評価する人も
さて、この地下経済ですが、注目すべき点は、1999~2007年、ほぼすべての調査対象国において地下経済のGDP比が増加傾向を示していることです。
これについて"シュナイダー教授は過去10年間「ほとんどの国で税率が引き上げられ、規制が強化された」ことが原因だと"考えていました。
教授は報告書において「地下経済を縮小させる最善策は税負担を軽減することだ。次に有効なのは金融・企業活動の規制緩和だ」と述べ、この縮小を訴えています。
しかし、起業を促進するペルーの民間団体、投資研究所の所長も兼務しているペルーのパシフィコ大学で大学院長を務めるダニエル・コルドバさんは、「ペルーのような途上国の多くでは、地下経済の拡大は都市化と商業活動が活発化したことの表れだ」と主張。「ペルーなどの中南米諸国では、地下経済こそが人々にとっての実体経済だ」とも語り、地下経済に肯定的な立場のようです。
一口に地下経済と言っても、その内容も異なりますし、一筋縄で行かなそうですね。
【関連投稿】
■
海外ではスウェーデン・カナダなどが相続税廃止 メリットは何? ■
相続税と贈与税の意義 富の再分配と所得税の補完(二重課税?) ■
日本の財政収支(財政赤字と財政黒字)の推移 ここ20年間は常に赤字 ■
日本の税金(一般会計税収)の推移 一般会計歳出に占める税収分は半分以下 ■
高所得者の税金は高すぎ?税率を上げると経済が悪化って本当? ■
ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|