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不当廉売はなぜダメ?理由はある? 不当廉売になる事例とならない事例


 不当廉売になる事例とならない事例があり、一見わかりづらいところがあります。ただ、説明を見るとなるほどという感じ。長期的であることやライバル潰し的な要素があることが重視されるそうです。そもそもなぜ不当廉売が悪いの?というのもこれに関係していて、競合他社を潰して市場を独占してしまうというところを懸念しているようでした。

2017/09/19追記:
●もやし・大根・キャベツ1円で不当廉売に
●1円で売ってもお店が儲かってしまう理由
●「ハイ&ロー」「目玉商法」が有効でない理由
●毎日安値が一番良い安売りの仕方
●すべての安売りが悪いわけではない
2020/09/22:
●不当廉売が悪い理由は、スマホ決済ペイペイの事例でわかる?


●旅館の宿泊代、無料どころかマイナス107円!

2009/8/6:宿泊予約サイト「トクー!トラベル」のプレミアム会員(月額440円)には、宿泊料をタダにする上に、109円返金するというプランがあるそうです。

 旅館の稼働率の低い平日などに設定し、もともと利益を生まない空室を利用してPRといった作戦です。この記事のページのコメントには「典型的な目玉商法」とありました。

 何千ものアクセスが旅館のページに集中し、抽選に外れてもその旅館に宿泊を希望するケースも出てきたりと、実際、効果もあるんだそうです。
(タダで泊まれて109円返金 「会員制」商法が人気 (J-CAST、2009/7/28)より)


●不当廉売になる事例とならない事例

 これを読んでいてふと思ったのが、不当廉売みたいなものにはならないのか?という疑問です。そこで、不当廉売-Wikipediaを見てみました。

 これによると、独占禁止法における不当廉売行為とは、以下のまず条件を満たす必要があるそうです。

* 正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給する行為
* その他不当に商品又は役務を低い対価で供給する行為

 さらにその上でもう一つ、以下の条件が必要とされていました。

* 他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

 本来なら専門家の解説がほしいところですが、今回の場合がOKな理由はなんとなく想像できました。間違いなく「費用を著しく下回る対価」ではあるものの、「継続して供給する」わけじゃありませんし、「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある」とは判断しづらいので、問題ないということなのでしょう。


●不当廉売はなぜダメ?理由はある?

 そもそも不当廉売はなぜ違法とされているのでしょう? 安く買えるのでしたら、消費者は万々歳。「誰も損していない」と考える人もきっといるはずです。実は、Wikipediaでは、なぜこの不当廉売が悪いかという話もありました。

 「不当に安い価格で商品を販売することは、その時点では消費者に利益があるように見える」とWikipediaもまず書いていました。

 ところが、長期的視野で考慮した場合、結果として資本力の強い者が弱い者の事業活動を困難にし、市場の健全な競争を阻害し、最終的には消費者の利益を害する可能性が高いとのこと。そのため独占禁止法ではこれを禁止し、公正取引委員会による是正措置の対象にしているのだそうです。

 例えば、資本力の強い会社が一時的に安くした上で競合他社を潰し、誰もいなくなったところで一気に値上げ…といったことが考えられそうです。Amazonなんかはちょくちょくそういった批判が出るところですね。


●もやし・大根・キャベツ1円で不当廉売に

2017/09/19:この古い話を書き直したのは、大根など野菜を「1円」で販売し公正取引委員会が「カネスエ」など2スーパーに警告へ|ニフティニュース(2017年09月19日 18時48分 NEWSポストセブン)という記事を見かけたためです。

 もやしや大根などの野菜を「1円」で販売し続けたのは不当廉売(独占禁止法違反)にあたるとして、公正取引委員会が愛知県内の「カネスエ」と「ワイストア」の2スーパーに警告を発する方針だといいます。

 別記事によると、これら2社は犬山市内でライバル関係であり、互いに争っていたようです。大根だけでなく、キャベツも1円にしていたという情報もありました。
(野菜を1円で販売 愛知のスーパー2社警告へ 公取委  :日本経済新聞 2017/9/14 4:00より)


●1円で売ってもお店が儲かってしまう理由

 最初の記事では、流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之さんが、こういった一見損にも思えるめちゃくちゃな安値で売っている理由について丁寧に解説していました。

 業界用語でいう「マージンミックス」というもので、安売り商品は明らかに原価割れ、仕入れコストを割っていても、その赤字分は他の商品が売れることで埋め合わせしているとのこと。

 最初の投稿のときに「目玉商法」という言葉が出ていたように、今回のように1円という超目玉商品を出すことで客数が増えることが期待できます。そして、増えた客が他の買い物もしてくれるので、全体の売り上げ増につながるというのが狙いでした。


●「ハイ&ロー」「目玉商法」が有効でない理由

 ただし、鈴木孝之代表は、こうした商法に対し否定的でした。こうした商法は「ハイ&ロー」といわれます。例えば、太くて立派な大根が通常200円(ハイ)だとすると1円大根がローです。でも、この価格差は明らかに異常であり、一時的な客寄せにはなるかもしれないものの、長続きしないとしていました。

 また、いまの消費者は賢く“バーゲンハンター”も多いため、チラシ商品である1円の野菜と数品だけ買って、帰ってしまう人もいるのではないかとしていました。「500円以上購入の方には卵99円」みたいに売っているところもありますので、そうすれば良さそうですけどね。

 さらに、一歩間違えれば“だまし商法”になる可能性も指摘。かつて大手スーパーの納入業者が、セールのために元の納入価格を上げていたことが判明し、問題になったという実例があるそうです。


●毎日安値が一番良い安売りの仕方

 それも難しい注文だと思うのですが、鈴木孝之代表は、正しいディスカウントとは、「エブリデー・ロー・プライス(EDLP)」だとしていました。通常価格を大幅に下げるのではなく、大根でも最初から常に100円程度と低価格で売るのが大手の主流のやり方だそうです。

 これは生鮮食品に限らず、ユニクロがやっているような衣料品や、ニトリが手掛ける家具・ホームファッション商品でも見られます。ただ、「大手」とあったように、規模の小さいスーパーにはできないやり方です。

 例で出ていたユニクロとニトリなんかは、小売業ではなく、製造小売業。つまり、自分で作ることで恒常的に安くするという工夫をしています。このうちニトリについては、大塚家具とニトリ・イケアの比較 価格よりトータルコーディネートがポイントなどで書いたことがありました。


●すべての安売りが悪いわけではない

 なお、長続きしないと強調しつつ、鈴木孝之代表は、以前から公取に睨まれていることが分かっていたはずなのに激安競争を続けていたのは、消費者の食品や生活雑貨を中心とした日常消費に使う支出額が増えていないからだと見ていました。

 酒の安売り規制でも見られたように、値引きの企業努力に対して国がモノの価格に介入しようとしていることは問題だとも指摘。今回のように不当廉売を公取が取り締まるのは当然なのですが、それとは別に政府が価格統制をするようなことがあってはなりませんともしていました。

 この現在の政府の価格統制志向は、産経も読売も批判!安倍政権の酒の安売り規制は庶民いじめで悪い影響と指摘でも書いている話です。左派っぽいと思うのですが、市場に介入して国がコントロールするってのが好きなんですよね。

 また、インフレ目標2%・デフレ脱却の件に触れて、民間の健全な競争を阻害しかねない空気が蔓延しているのはいかがなものかとし、「1円販売という過度な手法だけを俎上に載せて、安売り自体を否定するような流れにならないことを望みます」と締めていました。


●不当廉売が悪い理由は、スマホ決済ペイペイの事例でわかる?

2020/09/22:不当廉売で市場を独占されるとなぜ悪いか?というのが、ソフトバンク・ヤフー系のスマホ決済のPayPay(ペイペイ)でわかるかな?と感じました。ペイペイそのものは、不当廉売にあたるケースではなく、不正をしているわけではありません。ただ、消費者にとって悪い結果になっているんですよ。

 政府は、ゴリ押ししているマイナンバーカード普及のために、マイナポイントというポイントで、税金をばらまいています。このマイナポイントでは、キャッシュレスサービスをひとつ選ぶ必要があり、ペイペイが1位となりました。しかし、不思議なことにこのペイペイは、むしろお得ではないサービスではないのです。

 マイナポイントに合わせて各社は、政府の出すポイント以外に加算してポイントをつけることにしています。これはお得です。ペイペイもこのキャンペーンを行っているのですが、抽選という不確実なもので他社より見劣りする内容でした。では、なぜペイペイが1位なのか?というのは、選んだ理由のアンケートでわかります。単に「普段使っているから」という理由だったのです。人はあまり労力かけてお得なサービスを探さないみたいですね。

 他の面でもペイペイが良くないサービスであり、支払いの際に付与されるポイントも0.5%と他社より低いんですよ。イメージと違うでしょうが、サービス的には最低なのです。ただ、イメージと違うであろうというのは、サービス開始当初は大盤振る舞いで大量にお金を投入して、最もお得なサービスだったため。最初だけ大安売りして、シェアを大きくとって大幅値上げした形です。

 ということで、これは不当廉売がダメな理由そのもの。最初に赤字覚悟でシェアを大きくとっておいて、それから大きく値上げし会社側の利益を大きくして、消費者はむしろ不利益が大きくなるという流れ。前述の通り、ペイペイは不当廉売は行っていないのですが、消費者には優しくないですね。さすがソフトバンク系という汚いやり方でした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■産経も読売も批判!安倍政権の酒の安売り規制は庶民いじめで悪い影響と指摘
  ■大塚家具とニトリ・イケアの比較 価格よりトータルコーディネートがポイント

【その他関連投稿】
  ■ドン・キホーテは本当に安いのか?大原孝治社長は「安く感じる」と表現
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