2012/8/12:
●日本人による子供拉致連れ去り事件、アメリカが日本を批判
●ハーグ条約に批准していない日本が悪い…アメリカ側の味方
●ハーグ条約批准では日本人による「米国人拉致」は解決しない
●日本人がアメリカ人が拉致とみなす行為を気軽にやる理由
2019/05/13:
●日本もハーグ条約条約不履行国に一時認定、アメリカが名指し批判
●日本人による子供拉致連れ去り事件、アメリカが日本を批判
2012/8/12:検索すると、ハーグ条約と呼ばれる条約は多数あってややこしいです。ただ、現在主にハーグ条約と言われてるのは、ハーグ条約は1980年につくられた「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」という国際条約です。
英語では、「Hague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction」と言うのですけど、最後のところを上記では「奪取」と訳しています。ただ、「拉致」「誘拐」「略取」などが訳語にに当てられていたとこともあった模様。かなり深刻な意味を持っているのです。
日本で有名なのは、2009年9月の事件。テネシー州の男性が来日し、元妻と一緒に日本で暮らしていた子供を強引に米国に連れ帰ろうとして、福岡県警に未成年者略取容疑で逮捕されたということが起きました。
ところが、アメリカでの報道は「元妻が、夫妻の子供たちを拉致し、日本に連れ帰った」といったもの。ん?と思って私は何度も読み直してしまいました。日本での報道とは犯罪者・被害者が逆になっているのです。
どうもテネシー州の裁判所による決定を無視し、子供たちを日本に連れ帰った妻の行動こそ“拉致”だということのようす。米議会下院は2010年9月に、この問題を巡る日本の対応を非難する決議を採択。そのとき演説したバージニア州選出のジェームズ・モーラン議員は「日本の当局者はこれらの拉致事件に直接加担している」と訴えたといいます。
(
日本人による“米国人拉致”問題の行方 条約の批准だけで問題が解決するのか?(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年6月26日 土方奈美)より)
●ハーグ条約に批准していない日本が悪い…アメリカ側の味方
これに冒頭のハーグ条約が絡んできます。批判の裏には、主要先進国で「ハーグ条約」を批准していないのは日本だけ、という事情がある、とされていました。
ハーグ条約のもとでは、親による国外への不正な連れ去りがあった場合、もとの居住国に子供を返還することが基本ルール。世界80カ国以上がこの条約を批准しているのに、日本はこの時点では批准していませんでした。
ハーグ条約に批准していないせいで日本に連れ去られた子供が帰って来ない、というのが米議会や子を連れ去られた米国人の親の言い分。高まる批判を受け、日本政府は2012年3月9日、条約締結に必要な裁判手続きなどを盛り込んだ、ハーグ条約実施法案を決定したそうです。
●ハーグ条約批准では日本人による「米国人拉致」は解決しない
ただし、作者の土方奈美さんは"日本がハーグ条約を批准しても問題は容易に解決しないのではないか"と見ています。
アメリカは日本と違い、子育てへの父親の関与の度合いがとにかく大きいと作者は感じていました。そして、これが親権についての考え方にも反映されているのではないか、という見方です。
さらに作者の地元モントレーのベテラン離婚弁護士ゲイル・モートンさんは「離婚後も両親と親密かつ継続的な交流を持つことが好ましい、という基本的考え方がある」と説明。米国では共同親権が認められるという、日本との根本的な違いがあるのです。
●日本人がアメリカ人が拉致とみなす行為を気軽にやる理由
さらにもう1つ、日本との違いは離婚における裁判所の関与があるといいます。日本では2008年時点でも87.8%が協議離婚。つまり当事者同士が話し合い、役所に離婚届を出せば離婚成立です。だが米国では裁判所に離婚を申請し、離婚判決を受ける必要があります。
日本では離婚すると、親権を持たない親が子供にまったく会えなくなるケースも多いとのこと。しかし、裁判所を経ることが多い米国では、養育計画に反して他方の親に子供を会わせなかったりすると、親権が自分に不利に変えられてしまうリスクがあるとのこと。親権を持たない親のことも考慮されるメリットがあるんですね。
ただ、これらの極端な制度的・心理的な落差が、アメリカ人が「拉致」と呼ぶような行為を、日本人が気軽にやってしまうという事態につながっており、なかなか解決しないのではないかという見方になっていました。
●日本もハーグ条約条約不履行国に一時認定、アメリカが名指し批判
2019/05/13:
日本の「条約不履行国」認定解除=子供連れ去り年次報告-米国務省:時事ドットコム(2019年05月11日15時04分)という記事を見てびっくり。そもそも「条約不履行国」となっているとは知りませんでした。
記事によると、日本は2018年、連れ去り問題の解決手続きを定めた「ハーグ条約」加盟後、初めて条約に基づく義務の「不履行国」に認定されていました。条約批准当初から名指し批判されていたわけでなく、2018年になって強く問題視されたってことみたいですね。悪化していたのかもしれません。
しかし、事態改善に向けた法整備が進展したということで、米国務省が国際結婚破綻時の子供連れ去りに関する2019年の年次報告では、不履行国リストから外れることになりました。
実は今回の年次報告でも、日本に関し、裁判所が出した子供の引き渡し命令を執行する効果的メカニズムを欠く上、ハーグ条約に抵触する前段階の事案が相当数あることを「引き続き強く懸念する」と指摘。ただ、改善する方向性ということで、なんとかリストからは外してもらえたわけです。
なお、2018年や2019年の話はなく、古いものなのですけど、2010年の米国務省の報告書では、不遵守国としてブラジル、ホンジュラス、メキシコ、不遵守傾向国としてブルガリアが名指しで非難されていたとのこと。日本はこうした国々と同列といったイメージだったのだと思われます。(
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約 - Wikipediaより)
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