●生命保険の保険会社が倒産(破綻)したらどうなる?
2012/8/20:おそらく以前より生命保険の選択肢の幅は広がっていると思うのですが、ふと気になったのが「生命保険の保険会社が倒産(破綻)したらどうなるのか?」ということです。聞いたことがないけど良さそうなプランを持っている保険会社を健闘しているという方は、特に気になると思います。
調べてみるとすぐ出てきたのが、
生命保険契約者保護機構という組織です。保険会社が潰れたときのために、どうやらある程度保障してくれる組織みたいですね。概要では、以下のように書かれていました。
<保護機構は、生命保険会社の保険契約者のための相互援助制度として、万一、
生命保険会社が破綻した場合には、破綻保険会社の保険契約の移転等における資金援助、補償対象保険金の支払に係る資金援助等を行います。 また、生命保険会社の更生手続においては、更生管財人が作成した更生計画案の決議を行う関係人集会等における議決権行使等、更生手続における保険契約者の一切の手続を代理します
●生命保険会社が破綻したとき、保護機構がしてくれること
Q&Aの1番目はズバリ「生命保険会社が破綻した場合、保護機構は主にどのような役割を果たすのですか」というものでした。
<生命保険会社が破綻した場合に、仮にその会社の契約を引き継ぐ会社等が現われず、会社が清算されることになると、保険契約者は会社の資産を売却することによって得た金銭を配当として受け取ることはできますが、保険契約は継続することができません。(中略)
そこで、万一、生命保険会社が破綻した場合、保護機構は、(中略)保護機構の子会社として設立される承継保険会社(以下「承継保険会社」といいます)への保険契約の承継(②-I)、または「保護機構」自らが契約の引受け(②-II)を行うことにより、保険契約を継続させ、保険契約者の保護を図ることにしています>
全額保障というわけではないようですが、ある程度保障してくれるようですね。上記の後は、<いずれの場合でも、保護機構によって、破綻時点の補償対象契約の責任準備金等の90%(高予定利率契約についてはQ13に記載した率)まで補償されます>と続いていました。
●保険金等の支払についても保護機構が助けてくれるらしい…
さらに、生命保険会社が破綻し業務が再開されるまでの間でも、その弊害を低減するしくみがあるとのこと。続けて、以下のような説明もありました。
<その間に保険事故が発生した場合の保険金等の支払については、破綻保険会社と保護機構との間で「補償対象保険金の支払に係る資金援助に関する契約」が締結された場合、従前の保険金額の90%(高予定利率契約についてはQ13に記載した率)を乗じた額で保険金等の支払が行われ、万一の場合の資金需要にこたえられるようになっています。
また、破綻した生命保険会社において更生手続が開始された場合には、原則、保険契約者に代わって更生手続に関する一切の行為を行っています>
これらはすべて「その会社の契約を引き継ぐ会社等が現われず」といったケース。逆に引き継ぐ会社がある場合はどうなるの?と私は気になってしまいました。100%の金額が支払われるなど、同じ契約条件で保険が継続するのかどうか明記されていません。まあ、この場合は保護機構の仕事じゃありませんしね。(この問題は後で判明します)
●どの保険会社もこの保護機構が助けてくれる対象なのか?
その他に気になるのが、どの保険会社もこの保護機構が助けてくれる対象なのか?ということ。これは実を言うと、最初の引用の直前に答えがありました。
<生命保険契約者保護機構(以下「保護機構」といいます)は、保険業法に基づいて平成10年(1998年)12月1日に設立・事業開始した法人であり、
国内で事業を行う全ての生命保険会社が会員として加入しています。>
「生命保険契約者保護機構 会員会社一覧」もついでに見てみました。いっぱいありますね。最初に書いたように、やっぱり保険会社自体が増えているんだと思います。
(平成 24年 5月 31日現在、全43社)
アイエヌジー生命保険株式会社
アイリオ生命保険株式会社
アクサ生命保険株式会社
朝日生命保険相互会社
アメリカンファミリーライフアシュアランスカンパニーオブコロンバス
アリアンツ生命保険株式会社
NKSJひまわり生命保険株式会社
オリックス生命保険株式会社
カーディフ・アシュアランス・ヴィ
株式会社かんぽ生命保険
クレディ・アグリコル生命保険株式会社
ジブラルタ生命保険株式会社
住友生命保険相互会社
ソニー生命保険株式会社
ソニーライフ・エイゴン生命保険株式会社
損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険株式会社
第一生命保険株式会社
第一フロンティア生命保険株式会社
大同生命保険株式会社
太陽生命保険株式会社
チューリッヒ・ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド
T&Dフィナンシャル生命保険株式会社
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
東京海上日動フィナンシャル生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
ネクスティア生命保険株式会社
ハートフォード生命保険株式会社
ピーシーエー生命保険株式会社
フコクしんらい生命保険株式会社
富国生命保険相互会社
富士生命保険株式会社
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社
プルデンシャル生命保険株式会社
マスミューチュアル生命保険株式会社
マニュライフ生命保険株式会社
三井住友海上あいおい生命保険株式会社
三井住友海上プライマリー生命保険株式会社
三井生命保険株式会社
みどり生命保険株式会社
明治安田生命保険相互会社
メットライフアリコ生命保険株式会社
メディケア生命保険株式会社
ライフネット生命保険株式会社
●引き継ぎ会社が現れた場合、保険は100%同じ条件で継続されるのか?
今回の内容と同様の質問をしている方が
生命保険ウィズユーにいました。こちらの回答者の話も参考になりそうです。「(有)ライフケアパートナーズ」(http://ag.hokenwithu.com/lifecp/)というところが、回答してくれています。こちらによると、<参考に以前に数社が倒産しましたが、その時はほとんど他社さん(特に外資系)に合併か売収されました>ということで、保護機構の出番はほとんどないようです。
また、ここで引き継ぎ会社が現れた場合、「100%の金額が支払われるなど、同じ契約条件で保険が継続するのかどうか」が判明。どうもそのまんま契約が続かないで、条件が悪化するっぽいですね。ただし、現在は金融庁からの指導が厳しいために、補償が削減されることはほとんどないのではないかとも書かれています。
<既契約の保険については補償内容が1割~2割位削減されてそのまま引継がれた保険会社に継続されたのがほとんどみたいです。変額年金とか貯蓄系の保険などは会社によるみたいですが結構減ってしまった方々もいたみたいです。ただ現在の保険会社の資産内容はかないり厳しい基準を金融庁から指導されていますので余程の事がない限り倒産はしないと思いますし、保険金の支払い準備金も基準を満たさないと営業が継続できないので、補償が削減されるという事もそうそう無いものと思います>
●そもそも現在の保険会社が破綻することはありえない?
別の回答も。こちらも「ファイナンシャルプランナー新美昌也」(http://ag.hokenwithu.com/trc/)ということプロの回答ですね。こちらの場合、確かに以前は破綻があったものの、今はそもそも破綻することはないのではないか?という話をされています。
<以前は保険会社も突然死することがありましたが、現在では保険業法の改正により突然死はなくなりました。破綻の大きな原因は、バブル期に保険会社が契約者に約束した高予定利率(例5.5%)の運用ができなくなり、それば逆ザヤになり保険会社の財務力を悪化させた点にあります。
現在の保険会社では一定の手続きを経て保険会社が予定利率を3%まで下げて良いことになっています。なお、破綻した場合の下限はありません。
したがって、突然死はなくなるでしょう。もし仮に破綻した場合は法律上責任準備金の90%までは補償されます。すべての保険契約(再保険は除く)が対象です。
最近加入された保険であれば、予定利率が低いので、保障額削減の影響は低いといえます>
一方で、「とは言え、保険契約は長期に渡るのもですから、保険会社の財務体力なども考え、今後保険に加入されることをお勧めします」とのアドバイス。また、「共済にはこのような保護システムはありませんのでご注意ください」とも書かれていました。
●保険会社が破綻したのは過去の話って本当?一番新しい例は…
「財務体力なども考え」とも言っていますが、先の人と同様にそもそもなかなか倒産しないよと言っています。本当でしょうか。確認してみましょう。 パッと調べたところで、一番最近の破綻した生命保険会社は2001年の
東京生命保険であるようです。その前年の2000年に数社破綻したところが見られましたが、東京生命保険のページにいっしょに記載がありました。
<中堅ながらも堅調な業績を挙げていたが、バブル崩壊後の低金利による逆ザヤ負担が重くのしかかると共に、2000年(平成12年)になって、第百生命、大正生命、千代田生命、協栄生命と生保破綻が相次いで起きたことから、相対的に財務基盤が脆弱な当社に対しても経営不安が拡がった。親密行である大和銀行などを中心に、GEキャピタルなど外資との提携による再建策を模索したが、結局まとまらず、大和銀行自体の経営不安も拡がっていたこともあり、2001年(平成13年)3月23日に自主再建を断念。同日、東京地方裁判所に対して、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の適用を申請し破綻した>
他社は前述にあった通りの「逆ザヤ」でしたが、この会社はその余波です。「逆ザヤ」はバブル期の特殊事例という先程の人の説明に矛盾はありません。この会社が最後だとすれば一応最近は滅多に潰れないというのは、本当だと言って良さそうな感じでした。
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