着物の話をまとめ。<「生活の西洋化」だけが原因とは言えない…着物離れ3つの理由>、<見知らぬ人が突然ダメ出し!着物警察が若者の着物離れに?>、<伝統を守ることが伝統を絶やす…逆効果になってしまう理由は?>、<斜陽産業の着物業界で成功している呉服店は伝統を守ってる?>などをまとめています。
2023/07/29:
一部見直し
●「生活の西洋化」だけが原因とは言えない…着物離れ3つの理由
2018/03/19:「NPO法人古都研究会」は、
着物の復興のために - 着物と京都の振興を目指すの中で、着物離れの理由を3つ挙げていました。
(1)生活の西洋化
日常着のウールや木綿の安価な着物の需要は減少し、 代用品として幅広い層に洋服が普及した。
(2)着物の高額化
安価な着物の需要が減ったことで、 業界は日常着から礼装を中心としたビジネスに切り替え。 礼装のみでビジネスを成立させるため 取り扱い商品は高級品にシフトした。
しかし、婚礼を主軸にした礼装ビジネスも、 近年の嫁入り道具の簡略化、挙式スタイルの洋式化でマーケットが縮小している。
(3)着物を着る機会の減少
礼装、高級品へのシフトのため、日常着の流通がなくなり、日常に着物を着る機会も失われた。 また呉服関係者は、着物の格を保つため、いわゆるドレスコードを厳しくし、着物が着られる機会を狭めた。
●見知らぬ人が突然ダメ出し!着物警察が若者の着物離れに?
上記の話を見つけたのは、街中で着物を着ている人にいきなり近づいてきて、警笛を鳴らす警察官よろしく「違反」を指摘する「着物警察」なるものの存在を知ったためです。
「着物警察」は上記の3つ以外の理由と言えそうなものの、最も近いのは最後の説明の中で出てきた、「着物の格を保つため、いわゆるドレスコードを厳しくし」といったところかもしれません。以下のような例が挙げられていました。
「いきなり襟や袖を引っ張って呼び止められ、“裄が足りてない、だらしがないねえ”と説教をされた」
「化粧室で突然、背後に回られたかと思ったら帯の形を整えられた。それだけならまだしも、去り際に“キチンとしなさいよ、みっともない!”と言われた」
「“現代っ子の体格には似合わない”と言われた」
「ハーフアップにしていたら“まとめ髪以外は認めない”と言われた」
「“化粧が濃い”と言われたかと思えば、別の人には“着物なんだから、もっと粉を叩かないと!”と言われた」
「“羽織が着物の柄に合っていない”“帯の色が着物に合っていない”“私ならこうする”など、面と向かって、または聞こえよがしに言われる」
「“その生地、ポリエステルでしょ、安っぽいわね”“私はもっといいものを持っている”など、自慢話をされた」
(
「着物警察」のせいで和装離れが加速、街中での警笛はもはやパワハラの域 週刊女性PRIME 2018年3月16日 17時00分 (2018年3月17日 16時47分 更新)より)
●伝統を守ることが伝統を絶やす…逆効果になってしまう理由は?
読み始めた時点では予想しなかったのですけど、これは私がよく書いている「伝統を守るべきじゃない」って話の一つかもしれません。着物のアンテナショップ「和風館ICHI TOKYO」のプレス担当、井田真由美さんは、以下のように言っていました。
「マニュアルが好きな人は、得た情報をもとに、帯の幅は何センチ、お太鼓は何センチ、おはしょりは何センチ……と、自分が着やすい感覚ではなく“正解と不正解”で知識を身につけていたりする。だから、そこからはみ出しているように見える人は“間違っているから、指摘しないと!”となるのでしょう」
伝統とは変わらないことではない 虎屋黒川光博社長は「伝統は変化の連続」と理解などで書いたように、伝統というほど長く続くには、むしろ時代に合わせて変化する必要があるときも存在するでしょう。そのときどきの人に受け入れら続けないと、伝統は絶えてしまうためです。
井田真由美さんは、着物が普段着だった時代は、それぞれが自分に合った着方をしていたのではないかとも想像していました。やはり先程の着物離れの理由「(3)着物を着る機会の減少」と関係しそうな話です。
●きもの教室主催者「人に難癖をつけるのは、マナー以前の問題」
全日本きものコンサルタント協会会員という肩書きだけ聞くと守旧派っぽい人なのですけど、下玉利礼法きもの教室を主宰する下玉利洋子さんは、わりと柔軟なことをおっしゃっています。
「着物は学び始めると、枠にあてはめなくてはと考えがちです。確かに、お茶席や冠婚葬祭の装いは型が決まっています。しかしそれ以外は文化だからこそ、新しい発想とセンスを取り入れながら継承されていってほしい。そのためには、他人からの指摘を気にするよりも、自分の着やすい着方を知ることが大切だと思います」
大体にして、「人さまの体形やお化粧にまで難癖をつけるなんて、マナー以前の問題」(マナーコンサルタントの西出ひろ子さん)ですよね。生半可な知識よりも、もっと大切なことを学んだ方が良いです。
●実はデマ?そもそも本当に着物離れが進んでいるのかデータを見る
2020/07/17:そもそも本当に着物離れが進んでいるの?嘘じゃないの?みたいな話も見かけたので、関連しそうな記事を検索。
「着物が売れない」市場縮小が続く呉服業界に未来はあるか?(2017年01月24日 08:00 JST)というものが出てきました。タイトルの時点で答えが出ていますけどね。
記事で出ていた矢野経済研究所の調査によると、呉服市場の規模は1980年前後のピーク時は1兆8,000億円だったのに対し、2005年は6,100億円、さらに2016年の予測では2,830億円と年々大幅に縮小。近年見直しが進んでいるということもなく、直近10年間で60%超もダウンしており、今もなおガンガン縮小中です。
理由はやはり最初でもあった「"ちゃんと着なくてはいけない"というプレッシャーがある」などの敷居の高さが挙げられていました。さらに、売り上げに苦しむ小売店では高価格化が進み、顧客に押し付けるように販売する"押し売り商法"も取り沙汰されているとのことで、悪徳商法に走るところもあるようです。
●斜陽産業の着物業界で成功している呉服店は伝統を守ってる?
しかし、記事では、成功している呉服店も紹介していました。とはいえ、成功例は従来の着物ファンから敬遠されそうな方向性。これまた私が最初に書いた、伝統は守らずに変わるべきだって話だったんですよ。着物の常識を覆し、時代に沿った解釈で国内外を視野に着物を広めている新興企業が存在感を示し出しているんだそうです。
例えば、元スタイリストの腰塚玲子さんが店主を務めている「カプキ(KAPUKI)」は、一般的なやさしい色合いの着物ではなく、黒やグレーなどの無彩色の着物。「黒い洋服は一般的ですが、着物になると喪服しかなかった」ということで、喪服ではなく普段着用です。
最初の着物離れ3つの理由に「着物を着る機会の減少」があったように礼服などでしか着られなくなったという問題がありました。なので、普段着用に…というのは、良い方向性。全く違うジャンルなのですけど、「特別な日用」のイメージを「日常食」に変えて最近復活したケンタッキーフライドチキンのことを思い出しました。
また、 未経験だったからこそこれまでの呉服業界になかった視点でものづくりを行っている…とされており、よく事例を紹介している「素人だからこそ成功する」という話でもあります。伝統の質を重んじてポリエステルやインクジェットは使用せず、生地から染織、仕立てまですべて職人技に徹底しているという、伝統の技術は生かしていることと合わせて、
伝統は継承せず壊せ!能作の世界初錫100%食器は曲がるやわらかさを思い出しました。
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