2012/9/13:
●ドミナント戦略、最大の成功例はセブンイレブン
●お店が多すぎると失敗…と思うが、実はこれがドミナント戦略の長所
●儲かることになっているドミナント戦略…実は失敗して死人も
●同じ路線沿いに次々と出店・すぐ近くにお店など
●ドミナント戦略は万能でない…失敗しやすい業界も実はある
●ドミナント戦略、最大の成功例はセブンイレブン
2012/9/13:
セブンイレブンがない県が多かった理由はドミナント戦略 残っていた四国・青森・鳥取・沖縄も進出でやっと全都道府県制覇の補足。セブンイレブンが国内最大のコンビニチェーンなのにも関わらず、進出していない都道府県が遅くまで残っていたということに関して、ドミナント戦略の話をやります。
ドミナント戦略の説明に関しては、そちらでも引用した
なぜ四国には、セブンイレブンが1店もないか プレジデント 2012年6月22日(金)15時34分配信で見るセブンイレブンの事例が非常にわかりやすいと思います。
セブンイレブンは一定エリア内に店舗ごとに商圏を隣接させながら集中出店し、店舗網を広げていくやり方をしています。一定エリア内に高密度で出店すれば、いろいろとメリットがあるため。物流、広告、店舗指導等の各面で効率向上が期待できるのです。
また、弁当、おにぎりなど、商品の製造面でも、提携メーカーが出店エリア近くに専用工場をつくっても経営が成り立つため、鮮度の高いまま配送できます。
●お店が多すぎると失敗…と思うが、実はこれがドミナント戦略の長所
すでに広告という話があったように、集中出店することで大きく売上が伸びるという話もありました。
「ある地域に出店すると、最初に利用した顧客から評判が口コミ感染的に広まります。続けて、まわりに何店も出てくると、地域全体のセブン-イレブンへの認知度が高まり、心理的な距離感がどんどん縮まって、利用率がにわかに上がっていきます。そのため、新しい地域に出店した当初は1店舗あたりの平均日販はあまり伸びませんが、店舗密度が一定レベルまで高まると、日販のカーブが急速に立ち上がる。これが爆発点です」
例えば、人口3000人のエリアに、(1)コンビニが1店舗だけの場合と、(2)ドミナント方式で3店舗が出店した場合と比べてみましょう。1店舗あたりのターゲットは(1)は3000人、(2)は1000人となり、(1)のほうが一見有利なように感じます。
ところが、ここに顧客心理が作用すると逆転してしまうとのこと。(1)はコンビニへの認知度が高まらず、実際のターゲットは店の周辺1000人くらいで店との心理的な距離感も縮まらないといったことが起きます。
一方、(2)は、地域の人が域内を移動するたびに「ここにも店が、あそこにも店が」と目に入って認知度が高まり、さらにエリア周辺にも出店が進むとさらに認知度が上昇し、あるレベルに達すると利用率が急速に立ち上がるとのこと。1000人のターゲットのうち7~8割、700~800人が利用するようになり、収益力で(1)を上回るというからくりなんだとか…。
この成功例としては、セブンイレブンが、"ダイエー系だったローソンの地盤"である大阪へ1996年に進出した例が挙げられていました。
さすがにこの地域では、セブン-イレブンも当初は苦戦。しかし、ドミナントで出店を続けたところ、300店舗を超えたあたりから集客力が急激に伸び、ついに関西地域でも1店舗あたり平均日販でトップに立つに至ったといいます。
●儲かることになっているドミナント戦略…実は失敗して死人も
上記の説明では人口3000人のエリアに1店よりも3店の方が高いことになっていました。1店なら「利用者は500人程度」、3店なら1店当たり「700~800人」と書かれているのはそう捉えるしかありません。
しかし、実際にはそうならない場合も当然ながらあります。
姫井議員がコンビニ問題で法整備訴え(2012年 8月 2日 00:55 高橋清隆)では、いくつかのコンビニの問題点が書かれていますが、その一つにドミナントが挙げられていました。むしろ反対にデメリットだというのです。
(2016/02/04追記:この後、
コンビニ経営は儲かる?儲からない?セブンイレブンオーナーの悲劇など、セブン-イレブンで死人が出ている例を何度も書いてます。店舗を増やすと既存店の客も増えるというセブン-イレブンの主張はかなり嘘がありそうです)
姫井由美子参院議員(国民の生活が第一)が7月31日、都内で開かれた「未来社会研究会」(代表世話人・岩渕美智子)の勉強会でコンビニエンスストア問題について講演し、本部と加盟店との不当な関係を改めるためのフランチャイズ法の制定を訴えた。(中略)
「ドミナント」はコンビニチェーン特有の集中出店戦略で、フランチャイズ本部はチェーンの拡大と売り上げアップを図れる一方、順調な売り上げと利益を見込めた既存店舗の経営を脅かす。
ただし、ドミナント戦略を一律に禁止するような真似はできないでしょう。これ自体は出店方法の一つでしかありません。
考えられるとすれば、コンビニオーナーに対して事前にはっきりとした説明をするように義務付けることでしょうか。さらに良いのは仮に同系列の新店舗が進出して既存店の売上を低下させた場合に、何らかの補償をしてもらうということでしょうね。ただ、そこまでできるか?と疑問ですし、する必要があるのか?というところも議論が分かれる気がします。
●同じ路線沿いに次々と出店・すぐ近くにお店など
セブンイレブンおよびコンビニとしては以上ですが、あとは
Wikipediaから適当に補足していきます。ドミナント出店、エリア・ドミナンス戦略とも言うそうです。 前述の実例がわかりやすかったと思いますが、以下のような説明でした。
"日本であれば47都道府県や市町村全てを対象にした絨毯爆撃のような出店を行なわず、特定の地域の例えば関東地方であれば南関東1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)等の限定した地域を対象とした集中的な出店や特定路線沿いに次々と出店し同一商圏内の競業他社や競合他店に比べて市場シェア率の向上獲得や独占を意図した出店戦略や出店計画を言う"
さっきの記事では出てきませんでしたが、"特定路線沿いに次々と出店"というパターンもあります。これは自動車で走っているとわかりやすく、ドミナントを知らないときは不思議に思っていました。
これで身近な話をもう一つ思い出しました。前に住んでいたところは僅か100m(今地図で確認)というところに同じ食品スーパーが2店あったのです。以前は別のチェーン店のスーパーだったんですけど、チェーンごと買い取って改装。売り払う選択肢もできたんですから、これもドミナント戦略だったんでしょうね。当時は不思議で堪らなかったのですが、謎が解けました。
●ドミナント戦略は万能でない…失敗しやすい業界も実はある
ドミナント戦略は商品の搬送なんかでも便利です。先の特定路線沿いなんかは特にそうでしょうね。Wikipediaでは、孤立店舗だった場合、商品輸送等の物流ルートや搬送時間の観点からスムーズに店先に商品を列べるのは困難であり、チェーン展開によるメリットが生まれないとしていました。
コンビニエンス・ストアの場合、これが特に重要なのは、お弁当のためだとの説明。コンビニの主たる商品は日用品であり身の回り品ですが、実を言うと、売上の大半を占めるものは弁当等の食料品。食中毒リスクもあり、配送時間には最大限の配慮がなされていて、一筆書きで搬送できるか否かが重要だといいます。
また、フランチャイズ店では本部機構の職員が定期的に視察に訪れることがあり、効率良く各店舗を周回することが期待されているというところも。これはなかなか思いつかない観点ですね。
加えて競争の激しいコンビニ業界では同一商圏内に存在する競業他社を囲い込んだり、時には競業他社の向かい側に店舗を建てるなどして閉店に追いこむ動きもあり集中出店による効果は著しいとしていました。
一方、"消費サイクルの長い商品を扱う量販店では一店舗当たりの商圏が広く、建設費等の設備投資や先行投資の費用がかかる。加えて同一量販店であっても商圏が異なれば客層も異なる"としており、量販店ではドミナント戦略は有効でないという見方です。
以前たくさん書いたホームセンターの
AZスーパーセンターなんかは、大きな商圏を構成しているパターン。ドミナント戦略が万能ではないってのもおもしろいですね。
また、
コンビニ日本一のセイコーマートもセブンイレブンとは全く違うやり方をしていました。いろいろ個性があって違うわけですが、それで良いんだと思います。
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