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日本の本当の食料自給率は0% リンなどの肥料は輸入で自給は無理


 食料自給率は考え方がかなりおかしいため、農林水産省が都合の良い数字を作り出しているのではないかと、疑う人が多いです。例えば、畜産物の場合は飼料が輸入であることを計算に入れているのに、農産物の輸入肥料は完全に無視されているという問題が指摘されています。(2012/9/19)


●ベジタリアン「国内の農産物は環境に優しい」

2012/9/19:食料自給率の話なのですが、ベジタリアンという一見何の関係もなさそうな話から始めます。実は、ベジタリアンである理由の一つに「資源の浪費や環境危機」というものがあるのだそうです。

 Wikipediaのベジタリアニズムでは、食料自給率の話が出てきます。

 畜産において、大量の輸入飼料を必要とする畜産物の消費量が増えたことが、食料自給率の低下の要因の一つとなっていると指摘。日本での食料自給率の低下は、海外で枯渇が懸念される地下水を使うことにつながり、フードマイレージ(食料の輸送距離)を増加させ輸送のためのエネルギー消費を増大させている、とも主張しているんだそうです。

 では、ベジタリアンが好む農産物は、国内だけで完結しているか?と言うと、実はそうではないようなのです。Wikipediaでは、上記のあとにすぐ反論が載っていました。

 実は、日本での農産業も、資源の浪費や環境危機といった側面を持っているというのです。大量の肥料を必要とする農産物の消費量が増えたことも、食料自給率の低下の要因の一つとなっているという反論です。

 ただ、これはベジタリアンの「輸送のためのエネルギー消費」論の反論としては良いとしても食料自給率に関する話としては間違っているみたいですね。というのも、肥料は食料自給率の計算に入っていないためです。


●現在の日本の農業に必要な肥料は輸入頼り

 食料自給率うんぬんは別として、日本の農業において肥料が使われているのは事実であり、それらが輸入頼りだというのもまた事実です。Wikipediaでは、以下のように指摘されていました。

・世界の肥料価格は2007年で2倍にもなっている。人類が紀元前3000年の頃から始めた農業の歴史上、不足し続けているのがリン酸である。その原料のリン鉱石の枯渇がいま心配されているのである。リン鉱石の80%が肥料用に使用されており、英国硫黄誌(British Sulphur Publishing)によると、最悪のシナリオとして過去の消費から年3%の伸びを見込むと消費量は2060年代には現在の約5倍になり、経済的に採掘可能なリン鉱石は枯渇してしまうことになると予測している。現実的なシナリオでは2060年代に残存鉱量は50%になるとしている。国際肥料工業会 (International Fertilizer Industry Association) によると、リン酸肥料が使用される主な作物とその割合は、小麦が18%、野菜・果物が16%、米、トウモロコシがそれぞれ13%、大豆が8%、サトウキビが3%、綿花4%となっている。

・肥料の3大要素といえばリン、窒素、カリウム。この3つがなければ日本の農業は成立しない。にもかかわらず、日本はリン鉱石の全量を輸入に頼っており、その多くを中国に依存。もともと、危うい立場にあった。今後、さらに入手困難になれば、中国や米国以外の国も自国の農業のために禁輸措置に動く可能性もある。そうなれば、日本の農業は窮地に立たされる。


●飼料は計算してるのに肥料は無視している食料自給率

 さて、先ほど「違う」と書いた食料自給率の計算での肥料の扱いです。

 同じWikipediaの食料自給率では、カロリーベース総合食料自給率の計算のうち、"畜産物については、国産であっても飼料を自給している部分しかカロリーベースの自給率には算入しない"と説明しています。

 "畜産に飼料が必要なように穀物野菜果物の生産に肥料が欠かせない"ため、この考え方に倣えば、穀物野菜果物のカロリーベースの自給率の分子にも肥料を入れなくてはいけないような気がします。

 しかし、実際には"この肥料の自給率は一切考慮されていない"そうです。そもそも肥料がなければ作れないのですから、輸入肥料を少しでも使った時点でその作物は輸入とみなす、つまり、その作物の食料自給率はゼロとした方が良さそうですけどね。


●日本の本当の食料自給率は0% リンなどの肥料は輸入で自給は無理

 検索してみると、この肥料問題に関する指摘は、各所でされていました。
食料自給率の“怪” 井上 悦義(アゴラ)

輸入した「飼料」で育った畜産物に、“飼料自給率”という概念が適用されるのであれば、輸入した「肥料」で育った米、小麦、野菜なども“肥料自給率”という概念を適用して計算すべきだが、そうはなっていない。(カロリーベースの食料自給率の計算方法に一貫性がない。)

(中略)その肥料の三大要素は、「リン」「カリウム」「窒素」だ。ほとんどの肥料には、この三大要素が配合されているが、リン鉱石は全量を輸入に頼り、カリ鉱石もその多くを輸入に頼っている。窒素肥料は工業的な製造が可能だが、製造のためにはアンモニアが必要だ。アンモニアは大気中の窒素と水素を反応させて作るものであり、窒素は空気中に含まれるため無尽蔵に存在するが、水素を作るにはエネルギーが必要で、現在は天然ガスが主な原料だ。そのエネルギー自給率はたったの4%(原子力を含めると18%)で、天然ガスもほぼ100%を輸入している。

元をたどっていけば、肥料自給率は「0%」に近付いて行く(=カロリーベースの食料自給率も「0%」に近付いて行く)ということだ。肥料原料を輸入して国内で肥料を製造しようが、肥料そのものを海外から輸入しようが、輸入に頼るのは一緒だからだ。(中略)

すなわち、現実を見据えれば、農水省が現在定義する食料自給率が高くても大きな意味を持たない。

食料自給率を考える後夜 | 植物のミカタ

どれも、
資源のない日本では大量入手が困難なものではないですか!
海外から燃料や肥料を燃料で動く船で運んできて、
トラクターを燃料で動かして
人件費のかかる我が国で
貯蔵の効くものを栽培するより、


資源のある国で栽培して輸入した方が、
遥かにエコで、経済的ではないだろうか?
と思うわけです。

農VISION(のうびじょん) 食料自給率の幻(コラムA06)

畜産の自給率は低いがイメージに反し店頭での国産肉の割合は高い。その原因として畜産物の計算方法がある。 それはエサが外国産だと生産された畜産物は自給率に加える事ができない。例えば牛乳を生産している農家がもしエサを100%外国産であれば 自給率は0%と扱われる。また豚肉の場合は国産52%だが同様の理由で自給率は5%とされている。 もしエサが輸入できなくなったら国内で調達を試みるだろう。それを考えると数値を額面で受け取るには問題がある。
一方で野菜を生産する場合にも外国産の肥料を使う事がある。だが[肥料]については産地は食料自給率には関係ないらしい。 つまり何が言いたいかというと『算出方法は複雑で思惑があれば変わりうる数値』だということ。

●肥料なしで農産物を作ればいいじゃん!という反論(?)も

 上記に対する典型的な反論としては「リン・カリウム・窒素のような肥料は使わなくても農作物はできる」というもので、複数の場所で見かけました。

 ただ、そうだとしても、食料自給率の計算がおかしいこととは全く関係ないですけどね。実際今は輸入しているのですから、食料自給率の計算式がデタラメであることは覆せません。ずれた反論でした。

 また、本当に肥料無しで作った場合には、収穫量や価格など、その他の条件にも影響があるでしょう。自給のハードルがかなり高いものであることも否定できません。


●食料が輸入できない状態ではエネルギー輸入も問題に

 あと、農産物や畜産物が海外から輸入できない状態の場合、肥料だけでなく、石油などのエネルギー関係の輸入も途絶えると思われます。そうなると、農産物ができたとしても、消費者のもとに届けることができません。

 「肥料なしで行こう」がどれくらい現実的なものなのかは判断しかねますが、この感じでエネルギーも「人力で農作物を作って、人力で運ぼう」となると、さらに無理っぽさが増してきます。

 まあ、馬で運んでもいいんですが、馬の飼料も自給しなくちゃいけませんからね。かなり壮大なことを想定しています。


●窒素肥料がなかったら世界の人口はもっと少なかった

 あと、収穫量との関係では、『「地球のからくり」に挑む』新刊書評 (PRESIDENT 2012年9月3日号 京都大学大学院人間・環境学研究科 教授 鎌田浩毅=文)で、窒素肥料に関する話がありましたので、参考のためにどうぞ。
我々が毎日使う物質は、何らかの仕掛けを用いて地球から取り出しているものだ。たとえば、第二章「窒素固定の魔術」では、自然界ではほとんど化学反応しない大気中の窒素を、窒素肥料として大量に作り出す技術が描かれる。ここでは「高度な化学の知識や技術がビジネスと直結することによって、巨万の富が生まれ」たのだ(38ページ)。

もしこの窒素肥料がなかったら、世界の人口は今より30億人も少なかったと言う。一方、肥料を生産するには大量のエネルギーが必要で、「エネルギーなしに、便利な暮らしにありつけないどころか、そもそも地球上に暮らす人々の食糧を供給することさえままならない」状態にまでなってしまった(49ページ)。


 非現実的な話に見えるものの、飼料にしても、肥料にしても、エネルギーにしても、輸入が途絶えてしまう可能性を考えて、ある程度自衛策を練ろうということなら、一貫性のある話ではあります。

 しかし、現在の農水省の食料自給率の考え方は何かへんてこりんなところがあるように見えますので、これを政策の基準にして良いのだろうか?と不安を感じます。


●2種類ある食料自給率でなぜカロリーベースを重視?

2017/09/19:食料自給率に関する別記事を読んだのでここに追加。日本の「食糧自給率」、実はそんなに深刻ではなかった(ドクターZ) | 現代ビジネス | 講談社(ドクターZ)というものです。

 そもそも食料自給率は2種類の計算の仕方があります。農水省が重要視している食料自給率は「カロリーベース」と呼ばれるもので、それ以外に「生産額ベース」で食料自給率を求める方法があります。この二つを比べてみても、農水省がなぜカロリーベースの食料自給率ばかり強調するのかがわかります。そっちの方だと日本が低くなって、危機を訴えやすいのです。

「カロリーベース」
2016年 日本38%
2013年 カナダ264%、オーストラリア223%、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、イギリス63%

「生産額ベース」
2016年 日本68%
2009年 カナダ121%、オーストラリア128%、アメリカ92%、フランス83%、ドイツ70%、イギリス58%

 ただ、上記の値は農水省が計算したものであり、他国ではそもそも発表すらしていないところが多いとのこと。全く重視されていないわけですね。

 記事では、エネルギーに関する話もやはり触れていました。近代農業では、農耕機やビニールハウスなどでガソリンやガスなどのエネルギーが不可欠であることを指摘した上で、エネルギーの自給率は、日本では6%程度と圧倒的に低いことを明らかにしていました。


【その他関連投稿】
  ■日本の食料自給率(カロリーベース)の推移など
  ■工場野菜の可能性、地産地消を超えた店産店消
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