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海外の反応 日本のラーメン香港人を魅了、ローカライズの重要性


●海外の反応 日本のラーメン香港人を魅了、ローカライズの重要性

 海外の反応・食べ物シリーズで書こうと思って忘れていた気がする行列嫌いの香港人を4時間並ばせる日本ラーメンの秘密とは?! 日本ラーメンを「現地化」することで、ハンバーガーを上回る「グローバル食」目指す(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年8月1日 田村耕太郎)を今日はやります。ちなみに過去のシリーズは以下のようなものでした。


 海外の反応・食べ物シリーズ
  ■世界三大料理より高い評価の日本料理 好きな和食ランキング1位は?
  ■日本料理の海外の反応 寿司、照り焼き、カレーライス
  ■日本料理の海外の反応・苦手な食べ物 納豆・生卵・刺身
  ■日本料理の海外の反応 おでんは好きか嫌いか?


 さて、記事の話です。知りませんでしたが、香港人は"行列しないことで有名"だそうです。しかし、その香港を真夏に"4時間以上も並ばせている日本のラーメン店"があるといいます。"2004年に新宿ゴールデン街でスタート"し、"新宿に3店舗、渋谷に2店舗"を作った「凪」(なぎ)というお店です。

 ここまでは普通ですが、その後なぜか香港で2店舗、まもなく3店目もオープン、さらに今後はインドネシアの首都、ジャカルタという異色の展開を見せます。どうも凪の生田智志社長は"ラーメンを「ユニバーサルヌードル」と定義し、グローバル展開"を目指しているようです。

 記事はこの凪の生田智志社長へのインタビューであり、その中から私がおもしろいと思った部分をいくつか紹介。例えば、以下のような宣伝手法や客層に関する部分がおもしろかったところのひとつですね。大きな宣伝はせず、SNSでの宣伝から火がついていったそうです。

凪の生田智志社長
「特に大きな宣伝はしていません。ただ開店前の情報をブログや日本のTwitterにアップしていました。香港の人たちはそれを見ていたのです。それが中国TwitterやFacebookを通じて広がっていったのです。香港のラーメンファンは驚くほど熱心に情報収集をしています。今はSNS全盛時代。SNSは、通常のメディアより有効で、お金もかからない」
「SNSを使いこなす若い人たちが主体です。でも、本当にいろいろな人に来ていただいています。行列ができる店の味を味わいたいと、香港の山奥から2時間ほどかけて来られた老夫婦。香港ラーメンを食べ歩くグルメの方など。また中国Twitterなどを見て上海やジャカルタ、シンガポールなどから来店された方もいます。いちばん少ないのは日本人かもしれません」

 そもそも開店前から興味を集めていた模様。「2ヶ月ほど試作とかやっていたので、周りからは興味をもたれていたと思います。試作期間も好奇心旺盛な香港のラーメンファンがやってきて、写真を撮っては、その様子をソーシャルメディアにアップ」していたとのこと。おかげでオープンした当日から行列ができました。

 また、実は東京での成功も関係しているとのこと。「香港人は旅行で東京に行って、その様子をBlogで紹介したりします」とおっしゃっていました。香港での成功後は、東京店にも香港人が多く訪れるという相乗効果を発揮。凪の生田智志社長も驚いているといいます。


 この投稿は<海外の反応 日本のラーメン香港人を魅了、ローカライズの重要性>というタイトルにしました。ただ、ここまで読む限り、凪は全然、日本とはやり方を変えた現地化・ローカライズを行っておらず、日本のやり方そのもので成功したように見えます。なぜ人気なのか?について以下のような話をしていました。

凪の生田智志社長
「ズバリ、日本を感じていただいているのだと思います。もちろん、凪ラーメンは世界で一番美味しいと私は思っています。でも、それだけで行列を作るのは難しい。香港の人は日本に対して非常に好感を持っており、日本によく旅行にいきます。つまり彼らは日本の良さをリアルに知っているのです。(中略)味を含めた“凪の日本らしさ”すべてが行列の理由だと思います」
「(引用者注:店構えや内装やサービスは、)日本のそのままです。古い屋台をイメージしたインテリアです。キッチンには日本人が1人いますが、それ以外は香港人。でもサービスは日本式です。行列に並ぶお客さまには、お冷やを出す。(中略)
 メニューはラーメンのみ。これは香港では珍しいです。専門性のあるラーメンだけ、というチャレンジングなメニューです」

 これは日本料理が海外の料理と異なってすごいから日本そのままでも通用する…ということではないでしょう。日本でも地域化されていない海外の商品がそのまま通用することは多いですからね。凪の生田智志社長が以下のようにハンバーガーの例を出していました。

凪の生田智志社長
「ハンバーガーが世界で普及したのは、あの手軽さとおいしさのバランスが良かったからだと思います。ラーメンも同じようなバランスの良さを持っています。一杯のスープと麺で、栄養と満腹感を得ることができます。ラーメンの品質と手軽さは、ハンバーガーを脅かす存在になるかもしれません。
 宗教を超えたラーメンの開発は未知の領域です。ラーメン=豚のイメージが強いですから。ラーメンの素材を根本から見直すことで、まだまだ世界的に広がる可能性があると思っています。ちょうど、英語を話すことで世界が広がるように、ですね。イスラムの人が食べる白湯(ぱいたん)スープなどは、他の宗教のお客さまも必ず病み付きになると思います」

 「日本そのまま」と書いたものの、ここのスープの見直しなんてのは、ローカライズの例になっています。さらに宗教的タブーのようなものは外せないでしょうから、やはり手直しの必要なところもありそうな感じ。日本料理の海外の反応 おでんは好きか嫌いか?の例もそうですけど、プライドにこだわって変えないよりも、試行錯誤してやって行くのが良いと思います。


 さて、もう一つラーメンかつ香港の例を今回は紹介。未だに私は黒歴史トリオ販売の日清食品の本当の黒歴史はラ王販売終了詐欺の件でイメージの悪い日清ですが、今回は好意的に紹介します。出前一丁のウィキペディアの香港の話がおもしろかったんですよ。

<香港では1969年に日本から輸入する形で販売が開始された。そのため、パッケージは同じで、袋に書かれている商品名「出前一丁」を、広東語で「チョッチンヤッテン」、もしくは中国語で「チューチエンイーディン」と読んだ。漢字を使うが、通常は数詞・助数詞・名詞の順序となる中国語とは異なり、名詞(出前)・数詞(一)・助数詞(丁)の順のため、全く意味不明の語となっている。しかしそのまま定着し、現在も同じ商品名で現地生産されている。なお、強いて中国語で理解しようとすると、「出る前に一切れ」となる。
 従来から、「海鮮味」や「牛肉味」など、日本の出前一丁よりも多くの味のバラエティーを揃えていた。現地生産化に伴い、最近はノンフライ麺の「出前一丁 中華生麺」やインスタントスープマカロニの「出前一丁 通心寶」といった、少しシリーズの幅を広げた製品での展開が行われ、ラインナップは頻繁に入れ替わっている。スープマカロニにもゴマラー油が付いているところが出前一丁らしい。2006年現在香港では袋麺だけで25種類が販売されており、読売新聞の報道によれば、香港の即席めん市場の約5割を占めているという。
 香港の茶餐廳と呼ばれる喫茶レストランでは具入りのインスタントラーメンも食べられ、オプションで出前一丁を指定することができる場合が多い。その場合は割増料金がかかる。また、出前一丁の麺部分と他のスープやソース・食材を組み合わせたメニューも非常に多く、出前一丁という単独カテゴリーになっている事もある。こうしたケースでは料理名に出前一丁を示す「丁」の字が入り、他の麺は選べない。上質なブランドとして、少し高く売られていることを反映した現象である>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%BA%E5%89%8D%E4%B8%80%E4%B8%81


 <編集長ヨシオカの香港レポート:香港人は「出前一丁」がお好き?>(Business Media 誠 2008年11月12日 )によると、現地のスーパーでは、棚が3列ある乾麺コーナーで、そのうちの1列分以上を「出前一丁」が埋め尽くしていたといいます。この袋麺の他、、カップ入りの出前一丁もあるし、サイズが小さいものや大きいもの、「生麺」と書かれたちょっと高級そうな商品などさまざまなものがありました。

<驚きはそれだけでは済まなかった。おいしいと評判の粥専門店、上環の「生記粥品専家」へ、朝食を食べに行ったときのことだ。
 記者は粥を注文したのだが、ふと隣にあった「精選早餐」(モーニングセット)と書かれたメニューに気が付いた。(中略)麺は3種類から選ぶことができ、その1つは「出前一丁麺」となっていた。
 こういったセットメニューは朝食以外でも楽しめる。「茶餐廳」と呼ばれる店では大抵、麺類や丼物と飲み物を組み合わせたセットメニューを用意しているが、よく見ると「麺類を出前一丁にした場合は3ドル増」などと書かれている。「3ドル高くなっても出前一丁を食べたい」という香港人が少なからずいるのかと思うと、なんとなくうれしくなってしまうから不思議だ。(中略)
 「(香港への輸出は)1980年代からです。日本製の袋入りインスタントラーメンとして初めて登場したのが『出前一丁』でした。日本からの輸入品ということで高級感があると感じてもらえたようです。また当時、湯かけタイプではなく、煮込みタイプなことも『おいしい』と評判になったそうです」(同上)
 ちなみに出前一丁の袋に印刷されているキャラクター「出前坊や」は、香港では「清仔(チンチャイ)」と呼ばれて非常に人気があり、キャラクター商品も各種販売されている。記者も香港で出前坊やが大きくプリントされたバスが走っているのを見かけたことがある。
 「香港で出前一丁が愛されている理由は、上記の『煮込みタイプでおいしい』ということと、清仔人気が大きな2つといえると思います」(同上)>
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0811/12/news014.html


 さらに、<「出前一丁」 香港でシェア60%、売れ過ぎでお詫び広告も>(週刊ポスト2012年9月28日号)という記事も出ています。上の記事で『煮込みタイプでおいしい』とあったように、香港は食べ方が異なるみたいですね。こちらは、地域に合わせてローカライズされた例となっています。

<「日本とは麺の作り方が違います。香港ではラーメンは茹でるのではなく、鍋の中で野菜や肉と一緒にグツグツ煮込むもの。麺の製造工程では長く煮ても伸びないように、特別な植物油が使用されているなどの工夫が施されています」
 そのほか激辛豚骨味やXO醤海鮮味など日本ではお目にかかれないメニューが製造されてラインアップは17種類。ビーフンタイプやマカロニタイプまで販売されている。(中略)今年春先には新味商品が一時売り切れ状態。香港日清がお詫び広告を出す騒動までおきた。
 だが、数ある麺ブランドの中からなぜ出前一丁が香港人の心を掴んだのか。人気の一翼を担うのがイメージキャラクターであるオカモチを持った「出前坊や」だ。香港では「清仔」(日清の清と子供を意味する仔)と呼ばれ、ポスターやグッズを街のあちこちで見かけるほど愛されている。大きくプリントされたバスまであった>
http://www.news-postseven.com/archives/20120916_142728.html


 ということで、日本式を捨てることも大事なときがあるんですね。以前も書いたように、私は海外で受け入れられる寿司屋が日本人以外の経営が多いことが悔しいです。凪の例のように日本そのままの姿で人気が出るのであればそれに越したことはありませんが、それにこだわってしまってみすみすチャンスを逃すのはもったいないと思います。


【本文中でリンクした投稿】
  ■世界三大料理より高い評価の日本料理 好きな和食ランキング1位は?
  ■黒歴史トリオ販売の日清食品の本当の黒歴史はラ王販売終了詐欺
  ■日本料理の海外の反応 寿司、照り焼き、カレーライス
  ■日本料理の海外の反応・苦手な食べ物 納豆・生卵・刺身
  ■日本料理の海外の反応 おでんは好きか嫌いか?

【関連投稿】
  ■文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ

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